認知行動療法研究
Online ISSN : 2433-9040
Print ISSN : 2433-9075
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原著
  • 高階 光梨, 鈴木 ひかり, 白塚 龍太郎, 大橋 佳奈, 宮下 太陽, 横光 健吾
    2021 年 47 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2021/05/18
    ジャーナル 認証あり

    近年、多くのスマートフォン用アプリケーション・プログラムが抑うつ症状を呈する者や抑うつの予防のために開発され、日常生活場面での情報提供、支援、介入の機会を提供している。本研究は、うつ病に対する心理学的支援を目的としたアプリに関する日本の現状を明らかにすることであった。アプリケーションストアでダウンロード可能なうつ病や抑うつ症状を対象としたアプリは47個であった。ダウンロード可能なアプリについてApp Evaluation Model、アプリの主たる目的、テクノロジーコンポーネント、および治療を目的としたアプリに含まれる認知行動療法の要素について評価を行った結果、概してエビデンスに基づいており、安全で、使用者が期待するサービスを提供しているアプリはほとんど開発されていないことが示唆された。本研究はわが国において利用できるうつ病を対象としたアプリの最初のレビューであり、その枠組み作りに役立つであろう。

  • 中西 陽, 石川 信一
    2021 年 47 巻 1 号 p. 11-21
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2021/05/18
    ジャーナル 認証あり

    本研究の目的は、小中学生の自閉症的特性と抑うつ症状の関連およびその媒介要因としてソーシャルスキルと友人との関係性を仮定したモデルを検証することであった。対象者は、小学4年生から中学3年生までの子ども(392名)とその母親であった。自閉症的特性とソーシャルスキルは母親の評定、友人との関係性と抑うつ症状は対象児の自己評定により測定した。構造方程式モデリングによる多母集団同時分析の結果、小学生男子、中学生男子、中学生女子においては、自閉症的特性のうち社会性の問題が、ソーシャルスキル、友人との関係性を媒介して抑うつ症状と関連することが示された。小学生女子においては、ソーシャルスキルと友人との関係性に関連が見られなかった。本研究は、自閉症的特性のうち社会性の問題が強い子どもの抑うつの予防において、ソーシャルスキル介入が重要であることを示唆した。

  • 井森 萌子, 常川 祐史, 片岡 沙耶, 伊藤 雅隆, 大屋 藍子
    2021 年 47 巻 1 号 p. 23-32
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2021/05/18
    ジャーナル 認証あり

    本研究は、先延ばし傾向のある大学生を対象に、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)が先延ばしに与える影響について、先延ばしの心理指標と行動指標の両側面から検討することを目的とした。対象者47名を60分のACTのプログラムを行う実験群、プログラムは行わない統制群に振り分けた後、先延ばしの行動指標として、7日間の課題達成率、先延ばしの心理指標として先延ばしを測定する質問紙への回答をプログラムの前後に求めた。同時に、ACTのプロセス指標であるFFMQとAAQ-IIも測定した。四つの指標の変化を分析した結果、実験群では課題達成率、先延ばし尺度がともに改善されたが、ACTのプロセス指標は変わらなかった。ACTに基づくプログラムが心理面、行動面ともに先延ばしの改善に効果的である一方、効果のメカニズムについては検討していく必要があることが示唆された。

実践研究
  • 宮崎 哲治
    2021 年 47 巻 1 号 p. 33-45
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2021/05/18
    ジャーナル 認証あり

    症例は、強迫観念を主症状とする40歳代前半の男性強迫症患者。患者は初診時、悪い人間のオーラが襲ってくるというイメージが生じ、自分も悪い人間になってしまうのではないかという不安に圧倒され、仕事にも行けなくなっていた。無念無想の境地を思い出してもらうために行った剣道の素振りにより、強迫観念に対する望ましい対処の仕方を患者が体得し、imaginal exposure法を入院中集中的に行うことにより、強迫症状の改善に至った。これまで武道やスポーツで無念夢想の境地に入るような体験をしたことがある場合、再度その体験ができるような稽古や練習を行うことによって、強迫観念に対する望ましい対処の仕方を体得することは、強迫症の治療に寄与する可能性があると思われた。筆者なりの工夫を紹介するが、強迫症に対するimaginal exposure法などの行動療法を施行する際、本論文が参考資料になれれば望外の喜びである。

  • 岡島 純子, 中村 美奈子, 石川 愛海, 東 美穂, 大谷 良子, 作田 亮一
    2021 年 47 巻 1 号 p. 47-60
    発行日: 2021/01/31
    公開日: 2021/05/18
    ジャーナル 認証あり

    本研究では、不安症状がみられる小学2~6年生の自閉スペクトラム症(ASD)児とその親に対して、認知行動療法(CBT)と親訓練(BPT)を実施し、その効果を検討した。1回120分のCBTセッションを6回、BPTセッションを6回実施した。参加者は、12組の親子であった。親と教師により、子どもの不安症状、自閉的行動特徴、情緒と行動の問題について事前、事後に評価された。自己評定の不安症状も事前と中期(CBT後)に評価された。t検定の結果、自己評定による不安症状は、「社会恐怖」において、事前よりもCBT後のほうが減少する傾向がみられた。自閉的行動特徴では、親評定の「対人的気づき」、「対人コミュニケーション」、「対人応答性尺度合計」、情緒と行動の問題では、教師評定の「仲間関係の問題」が、事前よりも事後のほうが有意に減少していた。一方で、親の精神的健康度に変化はみられなかった。

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