本研究では、大学生の精神的健康保持増進のためのWeb形式によるセルフヘルププログラムの開発と、その実行可能性の確認を目的とし、非同時性参加者間ベースラインデザインによる介入実験を実施した。プログラムは4本の動画視聴と計20日間のホームワークで構成され、全9回のアンケートが設定された。5名の参加者のうち3名がプログラムを完遂した。介入の結果、臨床的に十分な効果ではないものの、本プログラムには健康関連QOLの中長期的な改善に寄与する可能性が示された。アクセプタンス&コミットメント・セラピーのプロセスについては、長期的には改善した値が戻る可能性があるが、少なくとも一部には想定どおりの影響を与えることが示唆された。また、時系列的な変化より、プロセスの変化がアウトカムの改善を媒介している可能性が示された。最後に、脱落の要因を考察し、プログラムの精緻化への方向性が提案された。
本研究では、社交不安者とビデオ通話をする際の留意点を明らかにするために、スピーチ課題時におけるビデオ通話と対面の違い、ビデオや鏡に映る自己像の有無のそれぞれが社交不安の増悪要因に与える影響を検討した。高社交不安者53名を対面自己像なし群、対面自己像あり群、ビデオ通話自己像なし群、ビデオ通話自己像あり群に割り当て、スピーチ課題を実施し、課題前後での自己注目、スピーチパフォーマンスに対する自己評価の変化を比較した。その結果、自己像の存在は自己注目が高まることを防ぎつつ自己評価を改善させる一方で、ビデオ通話は自己注目を高めることが示された。また、自己像とビデオ通話の交互作用は認められなかった。以上より、社交不安者がビデオ通話で話す際には自己像を示すことが有用であることが示唆された。
薬物療法は行わず、侵入思考に焦点を当てた心理教育と最悪のシナリオにより、初診から約2カ月間の治療期間、4回の診察で著明に改善し、治療終了に至った加害強迫観念を主訴とする小児強迫症について報告する。患者は、10歳、女児。人を傷つけたあるいは傷つけるのではないかという加害強迫観念のため、そのようなことを考えないようにする、考えてしまったらその考えを追い出そうとする、心の中でそのようなことが起こらないように祈る、そのようなことを実際にしていないか母親に何度も聞いて大丈夫だと言ってもらわないと気が済まないといった強迫行為を認めた。侵入思考の解釈の誤りとして、「恐怖自己」と「可能性思考と行動のフュージョン」を認めた。侵入思考に焦点を当てた心理教育と最悪のシナリオなどの認知行動療法のホームワークを行ったことにより、侵入思考の誤った解釈は完全になくなり、強迫観念が生じることはなくなった。
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