生物教育
Online ISSN : 2434-1916
Print ISSN : 0287-119X
44 巻, 3 号
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研究論文
  • 相澤 信, 吉野 弘
    2004 年 44 巻 3 号 p. 116-125
    発行日: 2004年
    公開日: 2021/09/25
    ジャーナル フリー

    イエバエは遺伝学や分子遺伝学でよく研究されているショウジョウバエに比べて,丈夫で飼育が容易であるという特徴の他に,成虫の体が大きいために赤外線発光ダイオードとセンサーによる自動計測を正確に行うことが出来るという利点がある.本研究では,イエバエのこれらの特徴を生物教育に生かすことを目的として,イエバエの歩行活動の概日リズムについて,野生型と三重劣性突然変異体(眼色,体色,翅の形状)を用いて検討した.その結果,歩行活動は野生型,三重劣性突然変異体ともに,羽化リズムと非常によく似た周期の体内時計に従った概日リズムを持つことが明らかになった.また,三重劣性突然変異体は眼色などの形態的遺伝形質に加えて歩行活動に関しても短周期性の突然変異体であることが判明した.さらに,両系統とも羽化は幼虫期と蛹期の両方の周期に依存した概日リズムを示したのに対して,歩行活動は蛹期のリズムと同じ位相で発現することも明らかになった,羽化リズムと歩行活動リズムの周期が野生型においても三重劣性突然変異体においても非常に良く一致していることは,羽化の時刻を決めている体内時計と歩行活動のリズムを調節している体内時計が共通の機構によって制御されている可能性を示唆している.すでに報告した羽化行動に関する概日リズムと歩行活動の概日リズムから得られた知見は,成虫の行動を通してイエバエの生活史全体における概日リズムの重要性を理解する重要な手がかりを与えるものとして期待される.

  • 松田 仁志
    2004 年 44 巻 3 号 p. 126-133
    発行日: 2004年
    公開日: 2021/09/25
    ジャーナル フリー

    この論文では自然環境下における野草ツボミオオバコ種子の発芽に及ぼす光条件の影響についての教材開発的研究を述べている.土の中に種子を埋めたとき,人工照明下では大部分の種子は土の表面近くの薄い層から発芽した.その表層は約2.5mmの深さであった.ツボミオオバコの種子の発芽はインドゴムノキの緑葉を透過した太陽光を3分間照射することによって抑制された.しかしながら,その発芽はインドゴムノキのアルビノの葉やバナナの黄色い葉や枯れ葉を透過した太陽光によって抑制されなかった.この実験によって,緑の葉で覆われた森床などでは,透過光は高い割合で遠赤色光を含み,野生の光発芽種子の発芽を抑制することを生徒たちに示唆することができる.これらの実験は自然環境における植物の生活と光の作用について生徒たちがよく理解するのに寄与するだろう.

  • ―全国質問紙調査と関東地域実踏調査を基にして―
    大澤 力, 落合 進, 二宮 穣, 山内 昭道
    2004 年 44 巻 3 号 p. 134-147
    発行日: 2004年
    公開日: 2021/09/25
    ジャーナル フリー

    本研究は,幼稚園の保育者を対象として,ビオトープに対する意識や設置行動・保育への活用実態を探ることを目的に,全国で質問紙アンケート調査および関東地域で実踏調査を実施した.その結果,ビオトープは保育に役立つが実際には作っていないという現実が明らかとなった.そこで,調査資料を基に考察を加え,簡単で効果的なビオトープの設置,維持,管理マニュアルの提案やビオトープを活用した保育の意義を再検討した.

研究報告
  • 小林 辰至
    2004 年 44 巻 3 号 p. 148-153
    発行日: 2004年
    公開日: 2021/09/25
    ジャーナル フリー

    In this study, the characteristics of the germination of Bidens biternata (Lour.) Merr. et Sherff ex Sherff, Bidens pilosa L. and Bidens frondosa L. seeds were compared to obtain basic findings to be used for the development of their teaching materials. The following results were obtained.

    (1) There was a characteristic of dormancy in the seeds of Bidens biternata (Lour.) Merr. et Sherff ex Sherff and Bidens frondorsa L..

    (2) Bidens pilosa L. showed a high germinating rate several days after seeding, and it was found that the optimum germinating temperature was 30°C. Since its seeds can germinate wherever required, they are easily dealt with as teaching aids, and it was believed that these seeds are appropriate for the learning that requires children and pupils to conduct observation of sprouting and subsequent growth.

    (3) The study indicated that gibberellin (GA3) exerts an awakening effect on Bidens biternata (Lour.) Merr. et Sherff ex Sherff. Fron this findings, it is clear that this substance can be utilized as an experimental material for determining the awaking effect on the dormancy of Bidens biternata (Lour.) Merr. et Sherff ex Sherff.

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