生物教育
Print ISSN : 0287-119X
58 巻 , 3 号
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研究報告
  • 井上 陽子, 大友 麻子, 高橋 千果, 森屋 宏美, 大貫 優子, 谷口 泰史, 和泉 俊一郎, 秦野 伸二
    2017 年 58 巻 3 号 p. 98-113
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/29
    ジャーナル フリー

    現代社会では,犯罪捜査や事故などの犠牲者の身元確認や親子鑑定などの個人のもつ遺伝の情報が活用されることが多くなってきている.また,インターネット上には個人の「遺伝子検査」を行うサイトが掲載されている.このような社会環境の中で,高校生が「遺伝子」についてより深い理解を得るために学習機会を持つことはきわめて重要と思われるが,設備や試薬などの経費の面で高校において体験的な授業実践を行うことは容易ではない.そこで,筆者らは,授業内容は高校側が立案し,設備や試薬は大学側が負担するという高大連携によって「遺伝子」を扱う実験を開発し,授業実践を行った.扱った「遺伝子」は広く動物界の生物に保存されている転写調節因子の一つであるSOX2遺伝子で,ヒトとゼブラフィッシュを実験材料とした.また,遺伝子解析因子の基本的な技術を体験する意味で,「DNAの抽出」,「PCRによる特定の遺伝子領域の増幅」,「塩基配列の異同を調べるための制限酵素処理」及び「アガロースゲル電気泳動」を含む内容とした.その結果,高大連携授業に参加した高校生は,それぞれの実験が持つ意味や結果の解釈について,実験前より実験後においてより深い理解を示し,対照実験の意義を理解するなど「科学的な探究能力」の育成について,効果があることが示された.

研究資料
  • 倉林 正, 武村 政春
    2017 年 58 巻 3 号 p. 114-121
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/29
    ジャーナル フリー

    本研究は,安価で簡単に自作できる簡易電気泳動装置を開発するとともに,電気泳動実験全体の費用を軽減させる方法を考え,授業で実施しやすくする安価な電気泳動実験を開発することを目的とした.本研究では,「弁当用シリコーン容器」,「鉛筆の芯」,「乾電池」,「リード線」を材料に安価で簡単に自作できる簡易電気泳動装置を開発することができた.さらに,使用する試料やゲル,結果確認の方法を工夫することによって,電気泳動実験全体の費用も軽減することができた.授業実践では,生徒たちもスムーズに実験操作を行うことができ,適切な結果を得ることができた.また,生物教員を対象とした質問紙調査では,多数の教員から本研究で開発した電気泳動実験を授業で実施できるという回答が得られた.以上のことから,本研究は,高校生物等の授業で電気泳動実験を実施しやすくするために有効であることが明らかとなった.

  • 本橋 晃
    2017 年 58 巻 3 号 p. 122-129
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/29
    ジャーナル フリー

    高等学校の授業におけるDNAリガーゼの作用を確かめる実験教材の開発と実践を試みた.λDNA(λファージのDNA)を制限酵素Hind IIIで分解したものを基質として, T4リガーゼ(T4ファージのDNAリガーゼ)を用いたライゲーションを行った.両者を緩衝溶液に溶解した溶液を混合し,3分間室温で反応させた.電気泳動を行い, Fast Blast DNA Stainを用いてDNAを染色すると,基質のDNA断片より移動度の小さいDNA断片が形成されることが確認でき,T4リガーゼによってDNA断片が結合することが示された.本実験を授業に導入をしたところ,実験操作が簡便であることも有り,大多数の生徒達は実験を達成することができた.本実験を通じて,生徒はDNAリガーゼの機能を確認し,バイオテクノロジーについての興味,関心が一層高まったといえる.

特別寄稿:日本生物教育学会第101回全国大会特別講演
  • 佐藤 たまき
    2017 年 58 巻 3 号 p. 130-137
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/29
    ジャーナル フリー

    本稿では古生物学という学問と,絶滅した中生代の化石海生爬虫類である首長竜について解説した.化石の研究は古生物学と呼ばれ,考古学と間違われやすいが,地学と生物学の境界に位置しており,博物館との関わりも深い.古生物学に関連するトピックは小学校から高等学校までの様々な学年の理科教科書に登場し,高校教科書では地学と生物学の両方にまたがっている.

    首長竜は恐竜であると思われがちであるが,系統学的な定義でも骨の形態でも異なる別個の分類群である.また,福島県で発見された首長竜フタバスズキリュウを用いて,学名や記載論文の意義についても解説した.

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