生物教育
Print ISSN : 0287-119X
58 巻 , 2 号
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研究論文
  • 園山 博, 渥美 茂明
    2017 年 58 巻 2 号 p. 30-37
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/29
    ジャーナル フリー

    準備が容易で,短期間に明瞭な結果が得られる実験教材が見あたらないために,高等学校理科「生物」の「植物の環境応答」の単元の生徒実験の実践はまれである.そこで,土中(暗所)から地表(明所)に出現した芽生えの胚軸は直ちに伸長を停止するという,周知の環境応答を利用して,ジベレリン(GA)の作用の理解を深めることを意図した生徒実験を開発した.生徒実験では,1晩吸水させたホウレンソウのネーキッド種子を,水(対照区),あるいは0.3 × 10−6 Mウニコナゾール溶液(GA生合成阻害剤,処理区)を含ませたバーミキュライトに播き,実験区を2分しそれぞれを暗所と明所で栽培した.5日後に芽生えの胚軸長を測定し,水とウニコナゾール溶液の効果を比較した.暗所に置いた対照区の胚軸は伸長し,明所の約150%の長さがあった.一方,暗所に置いた処理区の胚軸の長さは暗所に置いた対照区より有意に40%も短く,その長さは明所においた対照区や処理区と有意な差を示さなかった.授業実践の前後に,4ないし5の回答文から1つの正答を選択する3問からなる評価試験を行った.暗所における胚軸の伸長促進とGA生合成の増加に関する問における正答率が,11%からそれぞれ,実践の結果88ないし85%に増加した.すなわち,この実践を通して生徒達は,植物の成長や形態に現れるGAを介した環境応答をより良く理解するようになったことがわかった.

研究報告
  • 山田 貴之
    2017 年 58 巻 2 号 p. 38-44
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/10/29
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,中学校第2学年「動物の体のつくりと働き」における「生命を維持する働き」において,ブタ心臓の解剖実験を取り入れた授業実践が,「心臓の各部位の同定」,「動物の生命に対する意識」および「解剖に対する意識」に与える効果について明らかにすることである.

    この目的を達成するために,ブタ心臓の解剖実験を取り入れた授業を行い,作成したワークシートおよび質問紙を分析したところ,以下の3点のことが示唆された.

    第1に,「心臓の各部位の同定」については,85%以上の生徒が8点以上(10点満点)を獲得するとともに,個人の合計得点の平均値が9.07点と大変高かった.特に,心臓の8ヶ所の部位の観察事実に基づく同定に効果があった.このことから,ブタ心臓の解剖実験は,「心臓の各部位の同定」に効果がある.

    第2に,「動物の生命に対する意識」については,解剖実験を基点に変容が促進されるとともに,授業実施から約4ヶ月後においても高い割合で維持できることが示された.このことから,本単元「生命を維持する働き」において,ブタ心臓の解剖実験は,生徒の「動物の生命に対する意識」の変容とその維持に効果がある.

    第3に,「解剖に対する意識」については,解剖実験後の平均得点が,解剖実験前のそれよりも有意に上昇した.このことから,ブタ心臓の解剖実験は,「解剖に対する意識」の変容を促進する.

研究資料
特集:公開シンポジウム
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