バイオフィードバック研究
Online ISSN : 2432-3888
Print ISSN : 0386-1856
26 巻
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  • 川原 健資
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 p. 1-7
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
    本論では, 心拍変動(heart rate variabi1ity; HRV)解析の臨床的研究をreviewし, 今後の検討課題を整理した.まず, 急性心筋梗塞時のHRV低下は, 予後指標としてのみではなく, その予防上のリスクを総合的に反映する因子としても注目される.その他, 心不全などの循環器系をはじめ, 心身医学領域に関するHRVの臨床研究を紹介した.次に, HRVの臨床応用の限界について触れた.周波数解析法の問題点としては, 方法論が最近まで標準化されていないことがあげられる.また, HRVのみから自律神経活動を評価することは, 現時点では疑問であるといわれる.HRVの臨床応用ではっきり言えることは, 1.急性心筋梗塞後の不整脈発生や心突然死の危険性の予測因子として2.糖尿病性神経症の病勢の臨床的マーカーといわれる.最後に, HRVの臨床応用の今後の展望について述べた.
  • 澤田 幸展
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 p. 8-13
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
    この簡潔な評論では, 心拍変動性(HRV)の心理生理学的研究における, 利用可能性の問題を論じた.第1に, HRV関連指標が, 時間領域対周波数領域に大別されることを指摘し, 後者の指標であるスペクトル・パワーについて詳しく述べた.第2に, 高周波数帯域および低周波数帯域のパワーが, 自律神経活動とかかわってどう解釈できるか, 要約した.前者は, ほぼ心臓迷走神経活動を反映するものの, 後者については, 規準化してあるとないとにかかわらず, これが一こ、臓交感神経活動とかかわる程度はさほど大きくない点に言及した.第3に, ストレス刺激の賛的特徴(すなわち, 能動的対処対受動的対処)は, それぞれの曲行力学的昇圧機序と, 背後にある自律神経調節機能に, 寄与することが示された.したがって, ストレス刺激負荷時のスペクトル・パワーは, 刺激の質的特徴によって変化するのである.最後に, スペクトル・パワー(とくに低周波数帯域)の, 心理生理学的研究における利用可能性は疑問であり, むしろ, 圧反射感度, 前駆出期, 規準化脈波容積といった, 他の無侵襲的指標の方が優れたものであることを指摘した.
  • 竹内 裕美, 寺井 堅祐, 梅沢 章男
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 p. 14-20
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
    本研究は, 実験的ストレッサーに対する心臓血管反応性とアレキシサイミア人格特性の関連性を明らかにすることを目的とした.健康な男女大学生25名に対して, 暗算(能動的対処課題)と寒冷昇圧(受動的対処課題)の2種類の課題を提示した.また, 全被験者に対しトロント・アレキシサイミア尺度(TAS-20)とMMPIを施行した.被験者はTAS-20の中央値によって, アレキシサイミア高・低群に分けられた.心拍数(HR)と平均血圧(MBP)を分析したところ, 以下の所見を得た.(1)HR, MBPは, 実験的ストレッサーに対して有意な増加を示した.(2)アレキシサイミア高群は, 低群と比較して, 有意に低いHR反応性を示した.(3)MBP反応性については, アレキシサイミア高・低群に統計的な差異は認められなかった.(4)アレキシサイミア高群は, 低群と比較すると, MMPI妥当性尺度の修正点(K)が有意に低く, 抑うつ(D), 精神衰弱(Pt), 社会的内向性(Si)尺度において高い丁得点を示した.これらの結果より, アレキシサイミア傾向の高い個人は, 強い主観的な不適応感を持っているにもかかわらず, ストレス刺激に対する心臓側の反応性は決して高くないと考えられた.
  • 史 学敏, 内山 尚志, 福本 一朗
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 p. 21-27
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
    我々は対光縮瞳反射を用いた痴呆診断システムの開発を行っている.このシステムでは無害な可視光を利用しその光を被験者の目に照射し, 赤外線カメラを用いて瞳孔の様子を見ながらその画像をコンピュータに取り込み解析する.今までの実験より, 痴呆患者は健常高齢者と比べて, 縮瞳率が有意に小さく, 縮瞳時間が有意に長いという結果がみられ, 更にHDS-R(the Revised version of Hasegawa's Dementia Sca1e, 改訂長谷川式簡易知能評価スケール)を用いて患者らの痴呆重症度を調べ, 対光縮瞳反射との相関を考察したところ, 痴呆が重症になるに従い, 縮瞳率が小さく, 縮瞳時間が長くなる傾向もみられた.痴呆患者の場合には, 脳の副交感神経伝達物質のアセチルコリン(ACh)の活動が低下し, 対光縮瞳反射が弱くなると考えられる.以上の結果は, 対光縮瞳反射をBF情報とすることにより副交感神経機能の訓練を行い, 痴呆のリハビリテーション(以下リハビリ)が可能であるという仮説を導く.光刺激は1分問に3試行(1試行の刺激時間は5秒, 刺激問隔は15秒)とし, 1日に4回(29分間隔), 3日問連続して与え, その前後の痴呆重症度をHDS-Rにより求め, 痴呆のリハビリ効果を評価した.訓練の結果, 5名の痴呆患者の対光縮瞳反射もHDS-R得点も上昇し, 対光縮瞳反射をBF手段とした痴呆のリハビリが有効であることが示された.
  • Atsushi Hiraoka, Haruo Kobayashi, Teruyo Arato
    原稿種別: Article
    1999 年 26 巻 p. 28-37
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
    Factors influencing the human biochemical responses to mental stresses were studied by examining urine samples from male and female subjects before and after receiving two different kinds of mental stresses : per-forming mathematical calculation and riding roller coasters. Psychological tests (MPI and TGE) were also given to all the subjects in order to elucidate the relationship between the psychological characteristics and the biochemical data. The results suggest that the human biochemical responses to mental stresses, which are reflected by changes in the urinary excretion levels of catecholamines and some major minerals, vary according to various factors such as gender, psychological characteristics and differences in properties of the stresses. The results of these experiments indicate that Kai-Gou, a relaxation strategy of qi-gong, is effective in alleviating the calculation stress-induced biochemical changes at least among some of the female subjects with particular psychological characteristics.
  • 志和 資朗, 松田 俊, 佐々木 高伸
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 p. 38-42
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
    本研究では, 広場恐怖を伴う慢性のパニック障害患者に対して, その症状の軽減を目的として, マルチフィードバック療法の適用を試みた.患者自身の日常生活における不安階層表に基づき, 患者は段階的に恐怖場面に曝露された(現実的脱感作).同時に, マルチフィードバック訓練により, 複数の生理反応の自己コントロールが試みられた.その結果, この患者は自分自身の生理反応のコントロールが可能となり, さらにそのような進歩を患者自身が確認できたことにより, 抵抗なくより高次の不安場面への曝露が可能となった.3ケ月にわたる組合せ療法により, 広場恐怖が解消し, 復職が可能となった.この症例にみられる結果は, 従来の方法ではその解消が困難な場合が多々ある広場恐怖の治療において, 現実的脱感作とマルチフィードバック療法の組合せが有効であることを示唆するものである.今後さらに症例を重ねて検討していきたい.
  • 長野 祐一郎, 児玉 昌久
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 p. 43-48
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
    近年, コンピュータを用いた生体情報計測が一般的となり, CPUの高速化に伴い, 従来ハードウェアで行われていた処理は次々とソフトウェアにより実現されるようになってきている.従来、バイオフィードバックシステムの開発は比較的困難であり, その形態は, 著しく汎用性を欠く傾向にあったが, 様々な安価で強力な開発ツールの出現により, 生体情報計測・フィードバックシステムの構築は以前より劇的に容易となり, 短期間に高機能で安定したシステムを構築することが可能となった.また, マルチメディァ技術の急速な進歩により, フィードバック情報は様々な形態をとる事が可能となった。この事実は, 被験者により理解しやすい形態にフィードバック情報を加工する事が可能となる, フィードバック情報を適切に加工することにより被験者の動機付けを高く維持し, バイオフィードバックトレーニングの効率を向上させることが可能となる, 以上の二点において大きな恩恵をもたらすと考えられる.今回は, 1)フィードバック手段に近年開発された, マルチメディア技術の適用を試みる, 2)TCP/IPを使い, サーバ, クライアント型のネットワークを形成し, サーバ側で計測した生体情報をクライアントに転送しフィードバックを実現する, 3)なるべくシンプルで, 容易に実現可能なシステム, 以上の3点を特徴とするバイオフィードバックシステムの構築を試みた.
  • 福本 一朗
    原稿種別: 本文
    1999 年 26 巻 p. 58-59
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
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