バイオフィードバック研究
Online ISSN : 2432-3888
Print ISSN : 0386-1856
38 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 中尾 睦宏
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 71-76
    発行日: 2011/10/25
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
    生活習慣病とは不適切な食生活,運動不足,喫煙などで起こる病気全般の総称である.1998年から2001年まで筆者が留学していたハーバード大学医学部心身医学研究所では,生活習慣病に対してCardiac Well Programなどのストレスマネージメントプログラムを実践していた.このプログラムでは,虚血性心疾患の既往があったり高血圧に罹患している患者を対象に,食事指導や運動療法に加えて「リラクセーション練習」と「認知行動療法」の指導を6-10週間かけて毎週実施するものであった.日本に戻って生活習慣指導の講習をするときは,簡潔に「戦略をもった声かけ」と「本人が続けることができるリラクセーション指導」が柱であると説明してきた.最近はメタボリックシンドロームへの対応が国民的な課題となっているが,実は生活習慣だけでなくメンタルヘルスもメタボリックシンドロームに大きく影響する.例えば,うつ病が運動療法で改善する研究データも多く発表されるようになってきた.運動という生活習慣は,メタボリックシンドロームとうつ病の双方の予防や疾病改善につながる可能性がある.会長講演では,生活習慣病とメンタルヘルスの問題について臨床医学と予防医学の双方の見地からまとめた.また会長講演の後でドラムサークルの特別セッションを組んだので,その意図や音楽療法等との違いなどについて,バイオフィードバックと関連させながら説明をした.
  • 竹林 直紀
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 77-82
    発行日: 2011/10/25
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
    この度の東日本大震災や原発事故による大きな環境の変化は,心だけでなく身体にも自律神経を介して影響を及ぼしている.「精神生理学的ストレス(トラウマ)ケア」は,心身のストレス反応を自分自身の力で改善していくためのセルフケアの方法である.医療施設や薬がない状況下でも,自律神経バランスを自分自身で回復することで,さまざまな心と身体の症状を改善することができる.この方法は,従来の「治療モデル」の考え方による専門家を必要とする医療的ケアとは異なり,「教育モデル」に基づき,震災被害により引き起こされた自律神経系などのストレス反応を,認知,行動,栄養の3つの要素を重視しながら自らセルフコントロールやセルフケアにより回復させていく.
  • 中尾 睦宏
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 83-88
    発行日: 2011/10/25
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
    本シンポジウムでは,「バイオフィードバック」の定義について,関連する問題と合わせて議論をした.バイオフィードバックとは,「意識にのぼらない情報を工学的な手段によって意識上にフィードバックすることにより,体内状態を意識的に調節することを可能とする技術や現象を総称したもの」である.意識にのぼらない情報とは自律神経系や内分泌機能など自覚できない生体情報を指し,そうした情報を工学的機器を用いて知覚できる形に変換して提示し,自らその生体反応の制御を試みる.最終的にはバイオフィードバック法として,身体・心理・行動的な生体反応の制御がどこまで可能か開発を進めていく.ところがバイオフィードバックが医学応用され治療法として確立されるためには,思った以上に課題が多く厳しい作業となる.体内状態を意識的に調整するためには,どのくらいの精度・情報タイムラグまでが許容できるのか,フィードバック信号提示の頻度・強度はどの程度が適当なのか,臨床で数多くの試行錯誤が必要となる.さらにその臨床効果のエビデンスを厳密に証明することが難しい.例えば,東京大学医学部附属病院心療内科では分院(現在は本院に統合・廃院)が稼動していた1980-90年代に,血圧バイオフィードバックを臨床応用できないか研究を続けていた.現在の学会理事長の野村先生が実験を重ねながら血圧バイオフィーバック装置の開発を進め,当時大学院生であった筆者が内科から高血圧患者を紹介してもらって血圧バイオフィードバック法を試みた.その結果,ランダム化比較試験により血圧バイオフィードバック療法が高血圧症の血圧降下に役立つことを証明した(Psychosom Med 59:331-338,1997).さらにメタ分析によってバイオフィードバック群と比較対照群との間の血圧降下量の差を算出し,バイオフィードバック群の方が有意に大きな効果があることを証明した(Hypertens Res 26:37-46,2003).筆者らの研究成果はそのままコクランライブラリーの専門検討委員会において基礎資料として採用され,バイオフィードバックが高血圧症の血圧低下に寄与することが国際的に認められて現在に至っている.ただしこのコクランライブラリーでは,バイオフィードバックはリラクセーション法の1つとして位置づけられており,バイオフィードバック信号を提示すること自体の特異的な意義については考慮されていない.また筆者が1998-2001年に師事したハーバード大学医学部心身医学研究所所長のベンソン先生も,最初は血圧バイオフィードバック法に取り組んでいたが,その後リラクセーション技法を臨機応変に用いるストレスマネージメント法へと治療法を切り替えている.このようにバイオフィードバックを医学の立場から考えると,リラクセーション技法との類似・相違点を明らかにすることが,1つのポイントになりそうである.
  • 大須賀 美恵子
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 89-90
    発行日: 2011/10/25
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
  • 廣田 昭久
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 91-94
    発行日: 2011/10/25
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
    バイオフィードバックは,心理学における学習理論に関する議論から生まれ,発展してきた.従来,自律系反応は古典的条件づけのみによって学習されると考えられていた.しかし,Neal E.Miller(1969)は,ラットの心拍率の増加と減少が,目的とする心拍率変化が生じた時にラットの脳に刺激を与えることにより,オペラント条件づけによって学習され得ることを示した.一方,Joe Kamiya(1969)は,アルファ波を検出すると音が提示される装置を用いることで,被験者がアルファ波状態を弁別し,アルファ波をコントロールできることを示した.通常,我々は自らの自律系反応や中枢神経系の活動を調節することができないが,これらの研究は,生理学的状態に関する情報を被験者に与えるという方法を用いることで,不随意な反応がコントロールされ得ることを示した.このような議論とその方法論がバイオフィードバックを発展させた.バイオフィードバックの本質は,生体の生理学的状態に関する情報を生体自らに返すことにある.生理学的状態に関する情報は,行動,姿勢,体重の変化,表情や顔色の変化や健康診断の結果など,様々な内容を含むものと考えることができる.バイオフィードバックに関するそのような広い定義によって,バイオフィードバックの研究分野が広がり,研究がさらに発展していくだろう.
  • 稲森 義雄
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 95-
    発行日: 2011/10/25
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
  • 一色 政志
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 97-100
    発行日: 2011/10/25
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
  • 竹内 武昭
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 101-105
    発行日: 2011/10/25
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
  • 大澤 幸生
    原稿種別: 本文
    2011 年 38 巻 2 号 p. 106-110
    発行日: 2011/10/25
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
    意思決定を左右する事象(チャンス)の多くは新規あるいは稀な事象であるから,チャンス発見においては潜在因子に注意し過去から未来に至るシナリオを把握することが重要となる.そのために人が自分の関心に基づいて環境からデータを収集し,思考や経験の記憶を言語化したメモや議事録と統合して可視化するチャンス発見プロセスは,自分自身と外界との相互作用における潜在因子を振り返るメタ認知を実現するものである.本論文ではこのメタ認知の効果に焦点を当て,チャンス発見における本質的な認知とその支援について述べる.
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