バイオフィードバック研究
Online ISSN : 2432-3888
Print ISSN : 0386-1856
46 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特別講演
  • 早野 順一郎
    2019 年 46 巻 2 号 p. 83-90
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/13
    ジャーナル フリー

     急速に普及しているウェアラブルセンサによるセルフモニタリングは, 日常活動中のバイオフィードバックの一種と言えるかも知れない. 中でも, 携帯型心電図または脈波からの心拍変動の分析は, 睡眠, リラクゼーション, 運動, ストレスなどのさまざまな条件下の自律機能のセルフ・コントロールに使用されようとしている. しかし, コントロールされた条件下での短時間の心電図によって研究開発されたHRVによる自律神経機能評価の原理が, 自由行動下の日常生活中の長時間心拍変動に直接適用できるかどうかは疑問である. この疑問に対して, 最近の多くの研究は, 否定的な結果を報告している. 日常生活における長時間心拍変動の適用, 分析, および解釈には, もっと慎重になり, より多くの注意を払う必要がある. 逆に, 長時間心拍変動には短時間心拍変動にはない利点もある. それは, 心室性期外収縮や睡眠時無呼吸発作など, 偶発的に発生する生体現象に対する心拍数の応答を利用した反射性自律神経機能の評価である. この論文では, 心拍数と心拍変動に焦点を当てて, 生体信号の長時間モニタリングの課題と有用性について述べる.

ワークショップ
  • 竹内 聡
    2019 年 46 巻 2 号 p. 91-99
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/13
    ジャーナル フリー

     ニューロフィードバック (以下, NF) は一般的には脳波を用いたバイオフィードバック (以下, BF) を意味するが, 広義にはさまざまな脳神経活動 (DC電位, 脳血流) のBFである. 最近, fMRIを用いたデコーディッドニューロフィードバックの研究が注目されているが, 一般臨床では扱いやすさや応用範囲の広さなどから脳波フィードバックが用いられることが多い. 脳波フィードバックの方法自体多彩であるが, 脳波解析技術の進歩により, さらに大きく変容している (Z-score, LORETAなど). NFの歴史は1960年代までさかのぼり, 海外では目覚しい発展を見せている. しかし, 日本において実地治療においてBFが用いられること自体少なく, NFに至っては医学的治療として行われることは極めて稀である. 現在, 国内でもNFは少しずつ広がりを見せているが, NFに関する情報を共有するような組織的活動には至っていない. NFを理解する上で, 通常のBFとの違いが重要となる. BFは意識できない情報を意識できる形に変換して意識的に制御することを支援する技術といえる. 脳波を意識的に制御することと誤解されると, いかがわしいものと思われかねないが, NFは脳から得られた情報を意識ではなく, 脳機能そのものにフィードバックし, 脳に自律的にある種の反応パターンを学習させるという技術である. 自覚的操作は自覚できる範囲に制限されてしまうが, NFにより本人が自覚できない情報がフィードバックされることにより, 脳の機能的拡張が促される可能性がある. 脳の自己組織化という性質により, ほんのわずかな機能的拡張が大きな変化を生み出す可能性もある. 当院では2007年より心身医学的治寮のひとつとしてNFを導入し, 現在まで年齢, 疾患を問わず, さまざまな状態の改善の一助として利用してきた. NFの技術の進歩は目覚しく, 個人的経験ではNFの全貌を紹介することは困難であるが, 当院での経験をベースとしてNFの効果と限界, 今後の展望について紹介する.

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