バイオフィードバック研究
Online ISSN : 2432-3888
Print ISSN : 0386-1856
47 巻, 2 号
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論文
  • 張 帆, 杉本 匡史, 山﨑 陽一, 宮井 彩希, 小幡 浩大, 山本 倫也, 長田 典子
    2020 年 47 巻 2 号 p. 33-42
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

     ビスポークサービス (会話形式で顧客の好みや要求に合わせて製造すること) において, 顧客の満足度を向上するため, 顧客と対面交流するスタッフは相手の振る舞いから心理の変化を推測し自分の販売行動を調整する. しかし, 経験の浅いスタッフはその状態を的確に把握することは困難である. その顧客の状態を制御入力としたフィードバックによるトレーニングを繰り返すことにより, 最終的に販売員は顧客の心的状態を想定し, 販売行動をとれるようになると考えられる. 本研究は, 以上の販売員熟練化支援システム開発のための予備研究として, オーダースーツ中の顧客の心理活動について皮膚電気活動 (EDA) を用いて検討した.

     本研究はオーダースーツの販売現場で男性顧客10名を対象とし, 腕時計型センサーを用いてEDAを計測した. また, 販売時両方の振る舞いを2台のカメラで記録した.

     EDAは販売時の心的活動を測定できることが示唆された. 販売プロセスの幾つかのキーポイントにおいてEDA反応が確認できた. 特にオプションの選択に 「葛藤」 する時, オプションを 「決定」 する時, または自分に着た時の様子を 「イメージ」 する時に, EDA反応が出現することが分かった.

     実験の結果, EDAは販売時の感情変化が起こるタイミングを提示できる可能性があると示唆された. 顧客のEDA情報をスタッフにフィードバックすることによって, 販売時に発生した会話の重要さを提示し, 販売行動を見直す提示として有用であると考えられる. 今後は, 提案したフィードバックシステムを構築し, 実際にスタッフに対する行動変化について明らかにしていく.

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