行動医学研究
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15 巻, 2 号
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原著
  • −性差の検討−
    村田 伸, 大山 美智江, 村田 潤, 大田尾 浩, 豊田 謙二, 津田 彰
    2010 年 15 巻 2 号 p. 52-60
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    本研究では、地域在住の高齢者291名(男性62名、女性229名、平均年齢73.9±5.8歳)を対象に身体・認知・心理機能を評価し、日常生活活動能力(ADL能力)に関連する要因について性別に検討した。その結果、ADL能力を評価した老研式活動能力指標の得点に有意な性差は認められなかったが、その関連要因は男女間で異なった。重回帰分析の結果、ADL能力の関連要因は男性では認知機能と生きがい感であったのに対して、女性ではこれらの要因に加え、握力と6分間歩行距離もまた関連することが明らかとなった。これらの知見から、男女ともにADL能力に影響を及ぼす要因として認知機能と生きがいを持つことが示されたが、男性よりも女性の方がADL能力に体力の関与が大きいことが示唆された。
  • 長塚 美和, 荒井 弘和, 平井 啓
    2010 年 15 巻 2 号 p. 61-68
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    本研究では、行動変容の準備性に注目したトランスセオレティカルモデル(Transtheoretical Model: TTM)を適用して、健康診査(健診)・検診受診行動の変容ステージにおける分布を明らかにし、健診・検診受診行動と健診・検診受診行動に関する意思決定のバランス(行動を変容させることに伴う恩恵と負担に対する評価のバランス)との関連を検討した。無記名の郵送法による横断的質問紙調査を行い、40歳以上の男女503名を分析対象者とした。その結果、対象者の6割が健診・検診を定期的に受診している維持期に属していた。また逆戻りリスク期以外においては健診・検診受診行動の変容ステージが高い対象者ほど恩恵の評価が高くなり、負担の評価が低くなることが明らかになり、一般的なTTMの理論的枠組みと一致した。以上のことから、行動の変容ステージや行動に関する恩恵や負担に注目することは重要であり、TTMを利用して健診・検診を受診することを促すアプローチを考えていくことが期待される。
  • 石川 信一, 戸ヶ崎 泰子, 佐藤 正二, 佐藤 容子
    2010 年 15 巻 2 号 p. 69-79
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、学校ベースの抑うつ予防プログラムを開発し、その有効性を予備的に検討することであった。方法:予防プログラムは認知行動的技法に基づき、学校ベースで実施できるよう作成された。プログラムは全8回であり、ソーシャルサポート、社会的スキル訓練、認知再構成法といった多面的な介入要素から構成された。中学校2年生22名(男子11名、女子11名)が介入群、277名(男子140名、女子137名)と296名(男子155名、女子141名)が統制群として本研究に参加した。結果:介入群の分析の結果、先生との関係のスキル、先生からのサポート、友だち関係のストレッサーにおいて、有意な改善がみられることが分かった。統制群のうち介入群と同じレベルの抑うつ得点を示すマッチングサンプルを無作為に抽出し、群と時期を要因とする分散分析を行ったところ、Depression Self-Rating Scale for Children(DSRS)とChildren’s Depression Inventory(CDI)の両尺度において有意な交互作用がみられた。単純主効果の検定の結果、DSRSにおいては、介入群で有意な得点の低減がみられ、実施後は介入群の方が統制群よりも有意に得点が低いことが示された。また、効果サイズを算出したところ、プログラムの効果は3ヵ月フォローアップまで維持されている可能性が示された。結論:本研究の結果、教育的効果に加え、学校における抑うつ予防プログラムの有効性と適用可能性が示唆された。
資料
  • 金 ウィ淵, 村田 伸, 津田 彰
    2010 年 15 巻 2 号 p. 80-86
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    韓国の伝統気功である活命法を10週間実施し、立位姿勢の保持能力と主観的健康感に及ぼす効果について、活命法の経験の有無別に比較検討した。方法:対象者は活命法の経験群7名と初心者群13名であった。1回60分間のトレーニングを週1回の頻度で10週間行ったが、その開始前後の片足立ち保持時間と主観的健康感を測定した。結果:介入前、初心者群は経験群と比較し、開眼片足立ちと主観的健康感が有意に低かったが、介入後有意に上昇して有意差はなくなった。経験群は、介入前後に有意差は認められなかった。結論:活命法は様々な動作を伴う運動であるため、初心者の片足立ち保持時間と主観的健康感が有意に上昇したと考えられる。また、経験群において介入前後に有意差が認められなかったことから、活命法の効果が持続できていたものと推測した。これらのことから、定期的に活命法のトレーニングを行うことによって、高齢者であっても立位姿勢の保持能力と主観的健康感の改善効果が認められることが示唆された。今後、より多くの被験者を募り、無作為に振り分けた介入研究を行う必要がある。
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