本研究の目的は、学校ベースの抑うつ予防プログラムを開発し、その有効性を予備的に検討することであった。方法:予防プログラムは認知行動的技法に基づき、学校ベースで実施できるよう作成された。プログラムは全8回であり、ソーシャルサポート、社会的スキル訓練、認知再構成法といった多面的な介入要素から構成された。中学校2年生22名(男子11名、女子11名)が介入群、277名(男子140名、女子137名)と296名(男子155名、女子141名)が統制群として本研究に参加した。結果:介入群の分析の結果、先生との関係のスキル、先生からのサポート、友だち関係のストレッサーにおいて、有意な改善がみられることが分かった。統制群のうち介入群と同じレベルの抑うつ得点を示すマッチングサンプルを無作為に抽出し、群と時期を要因とする分散分析を行ったところ、Depression Self-Rating Scale for Children(DSRS)とChildren’s Depression Inventory(CDI)の両尺度において有意な交互作用がみられた。単純主効果の検定の結果、DSRSにおいては、介入群で有意な得点の低減がみられ、実施後は介入群の方が統制群よりも有意に得点が低いことが示された。また、効果サイズを算出したところ、プログラムの効果は3ヵ月フォローアップまで維持されている可能性が示された。結論:本研究の結果、教育的効果に加え、学校における抑うつ予防プログラムの有効性と適用可能性が示唆された。
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