太平洋戦争のとき, 2年あまり赤道にほど近い島々ですごした私には, さんご礁やマングローブの海岸に特別の関心がある。ある島では, 沖縄からやっできて畑仕事に従事していた中年の男性と親しくなった。その人から, このような土地での生活の知恵といったものを教わった。谷合いでの水場の探しかた, 火薬を使ってリーフの魚をとるこつなどなど, いま思い出しても無数といってよいほどである。知恵の原型は, ほかならぬ沖縄のふるさとでの生活のようだった。だから沖縄そのものの風物が絶えず話題にのぼった。
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