地域理学療法学
Online ISSN : 2758-0318
2 巻
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
講座
原著
  • 篠原 智行, 齊田 高介, 田中 繁弥, 村山 明彦, 樋口 大輔
    原稿種別: 原著
    2023 年 2 巻 p. 9-20
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/31
    [早期公開] 公開日: 2022/09/30
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】新型コロナウイルス感染症対策のための自粛要請期間において,フレイル状態の経時変化に関連する要因を明らかにすることを目的とした.【方法】2020年5-7月のベースライン調査で回答が得られた地域在住高齢者1,217名を対象に,6ヶ月と12ヶ月後に再調査をするコホート研究を実施した.簡易フレイルインデックス,後期高齢者の質問票,生活変化の質問票を含む調査票を配布した.ベースライン調査で非フレイル群とフレイル群に分けた.【結果】フレイル状態を従属変数とする多重ロジスティック回帰分析の結果,非フレイルで有意に関連した項目は,6ヶ月後で自覚的な足腰の力(Odd Ratio [OR] 3.35),12ヶ月後でむせ(OR 1.68)と喫煙習慣(OR 2.48)であった.フレイル群でフレイル改善に有意に関連した項目は,6ヶ月後で転倒経験なし(OR 31.98),12ヶ月後で会話の機会(OR 2.84)であった.【結論】フレイルの経時変化には,自覚的な足腰の弱りやむせ,喫煙習慣,転倒,会話の機会が関連した.

  • 杉田 翔, 藤本 修平, 小向 佳奈子
    原稿種別: 原著
    2023 年 2 巻 p. 21-30
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/31
    [早期公開] 公開日: 2022/11/18
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】安価な簡易的徒手筋力計(ハンドヘルドダイナモメーター)の有用性として,膝伸展筋力測定の精度および信頼性を担保するための測定条件を調査した.【方法】測定者は,理学療法士5名とし,健常成人の膝伸展筋力を測定した.信頼性の指標として,検者内および検者間の級内相関係数を求めた.また,信頼度指数を算出し,信頼性の担保される測定条件を求めた.【結果】検者内の級内相関係数は男性で0.88,0.92,0.94,女性は0.71と0.82であり,5名中4名が0.8以上の完全一致を示した.検者間では,測定者5名では0.36,男性では0.89,女性では0.32であり,男性でのみ良好な値を示した.信頼性が担保される測定条件は,男性測定者1名で1回以上であった.【結論】安価な簡易的徒手筋力計における膝伸展筋力の検者内信頼性は,男性測定者で良好であり,女性測定者では低い信頼性となった.信頼性には,測定者の握力や徒手固定力が影響している可能性があり,測定前に測定者自身の徒手固定力を把握する必要がある.

  • 平井 智也, 上出 直人, 重田 暁
    原稿種別: 原著
    2023 年 2 巻 p. 31-38
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/31
    [早期公開] 公開日: 2022/12/07
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】日常生活動作(以下,ADL)障害を有する地域在住高齢者における入院および死亡イベント(以下,イベント)発生を識別する運動機能のカットオフ値を算出し,イベント発生との関連を調査した.【方法】当院通所リハビリテーションに通所する65歳以上かつBarthel indexが100点未満の利用者143例(81.4±6.7歳,女性102例)を対象とし,最大3年間追跡した.イベント発生を識別する運動機能(握力,膝伸展筋力,快適歩行速度)のカットオフ値を算出し,イベント発生に関連する運動機能を調査した.【結果】追跡期間中に,65例(44%)の利用者にイベントが発生した.イベント発生を識別する握力のカットオフ値は 15.6 kg,膝伸展筋力は 15.2 kgf,快適歩行速度は 0.89 m/sと算出され,握力 15.6 kg未満および快適歩行速度 0.89 m/s未満であることはイベント発生に関連することが示された.【結論】ADL障害を有する地域在住高齢者におけるイベント発生の識別には握力と快適歩行速度の評価が有用であることが示唆された.

  • ―日本地域理学療法学会会員を対象としたwebアンケート調査―
    尾川 達也, 合田 秀人, 石垣 智也, 齋藤 崇志, 脇田 正徳, 杉田 翔, 牧迫 飛雄馬, 池添 冬芽
    原稿種別: 原著
    2023 年 2 巻 p. 39-51
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/31
    [早期公開] 公開日: 2023/02/08
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】地域理学療法の標準化されたアウトカム評価指標(Standardized Outcome Measures: SOM)の作成・普及に向け,アウトカム評価指標の使用状況と必要条件,および障壁を調査することを目的とした.【方法】日本地域理学療法学会会員の中で要介護認定者への通所,訪問,施設サービスに従事する者を対象にwebアンケートを実施した.【結果】回答数は188名.アウトカム評価指標の使用に対して83.5%は重要と認識している一方,日常的に使用している者は44.7%であった.必要条件としては,尺度特性で信頼性や変化の検出可能性,測定方法で評価に必要な準備物や金銭的負担,実施時間が各々上位2つであった.また,障壁としては,教育不足や仲間と話す機会の不足が上位2つであった.【結論】アウトカム評価指標への重要性に対する認識と実際の使用状況との間に乖離を認めた.アウトカム評価指標の日常的な使用に至るには,実用性を考慮したSOMの作成と地域理学療法に特徴的な障壁に対処していく必要があると考える.

  • 五十嵐達也 , 塩浦 宏祐, 谷 友太, 小田原大昂 , 井上 和樹, 星野 涼, 松岡 秀典, 三友 恵一
    原稿種別: 原著
    2023 年 2 巻 p. 52-58
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/31
    [早期公開] 公開日: 2023/03/10
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】要支援・要介護高齢者を対象に,生活空間での移動性の広狭を判別する修正版5回椅子立ち座りテスト(modified SS-5)と片脚立位時間(OLS)のカットオフ値を明らかにすることを目的とした.【方法】要支援・要介護高齢者66名(年齢80.9±7.6歳,女性39名)をLife Space Assessmentの点数から2群に分類した.modified SS-5とOLSのカットオフ値と判別精度を,ROC曲線によるYouden IndexとAUCで算出した.【結果】AUCとカットオフ値は,modified SS-5が0.905(感度0.889,特異度0.754)と12.82秒,OLSが0.860(感度0.778,特異度0.842)と7.25秒であった.【結論】要支援・要介護高齢者の生活空間での移動性の広狭の判別には,下肢筋力とバランス能力が重要な指標であることが示唆された.本研究の結果は,社会参加の向上を目指した理学療法における目標設定や介入計画の意思決定に寄与する知見である.

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