日本循環器病予防学会誌
Online ISSN : 2759-5323
Print ISSN : 1346-6267
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総説(循環器病予防総説シリーズ50:ライフコース編4 )
原著
  • ―愛知職域コホート研究―
    近藤 寛, 宋 澤安, 髙田 碧, 西尾 七海, 権藤 夏子, Avina Alawya, 王 爽, Tahmina Akter, 小林 芽 ...
    原稿種別: 原著
    2026 年61 巻1 号 p. 15-26
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/08
    ジャーナル 認証あり

    【目的】2000年前後で生活習慣、健康政策の変化、高血圧治療ガイドラインの制定、新たな降圧薬の承認が行われたが、我々の知る限り2000年以降をベースラインとし、収縮期血圧(SBP)120 mmHg未満かつ拡張期血圧(DBP)80 mmHg未満の正常血圧を基準として血圧と心血管疾患(CVD)の発症との関連を評価した前向きコホート研究は少なく、特に脳卒中、冠動脈疾患(CHD)の病型別に検討したものは見当たらない。そこで本研究は、2000年以降をベースラインとする日本人勤労者集団のコホートにおいて血圧値分類とCVDならびにその病型の発症リスクと人口寄与危険度割合(population attributable fraction: PAF)を調べた。

    【方法】愛知職域コホート研究の2007年実施のベースライン調査時に35歳以上でCVD既往歴のない4,824名(男性3,864名、女性960名、35-65歳)を研究対象とした。SBPが 120 mmHg未満かつDBPが 80 mmHg未満の場合を正常血圧、正常血圧ではないが、SBPが 140 mmHg未満かつDBPが 90 mmHg未満の場合を正常高値・高値血圧、同様にSBPが 160 mmHg未満かつDBPが 100 mmHg未満の場合をⅠ度高血圧、それ以外をⅡ・Ⅲ度高血圧の4群に分類し、CVD、さらに脳卒中、CHDの発症との関連(ハザード比:HR)を年齢、性別、Body Mass Index、喫煙、運動、飲酒、睡眠時間、高血圧、糖尿病、脂質異常症の治療歴を共変量とするCox比例ハザードモデルで調べた。PAFは多変量調整ハザード比に基づき推定した。

    【結果】CVDと脳卒中の多変量調整HRは、Ⅰ度高血圧(CVD: 2.15、脳卒中:2.39)、Ⅱ・Ⅲ度高血圧(CVD: 3.05、脳卒中:4.88)で、いずれも統計学的に有意であった。一方、CHDのHRはⅠ度高血圧のみで有意(HR: 2.01)であった。PAFは、CVD、脳卒中、CHDのいずれもⅠ度高血圧で最大となった(PAFの範囲:16.1-16.6)。

    【結論】Ⅰ度高血圧はCVDとその各病型、Ⅱ・Ⅲ度高血圧はCVD、脳卒中の発症と有意に関連した。PAFはいずれのアウトカムもⅠ度高血圧で最大となった。

  • 江口 依里, 濱口 雄飛, 白井 こころ, 林 史和, 近藤 克則, 大平 哲也
    原稿種別: 原著
    2026 年61 巻1 号 p. 27-40
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/08
    ジャーナル 認証あり

    【目的】ポジティブな心理的因子や社会的要因が、生活習慣病のリスク低下と関連することが明らかになっている。「感謝」はポジティブ心理の中心であり、社会的関与とも密接に関連するが、感謝と生活習慣病との関連について検討した研究はほとんどない。そこで本研究では、日本人地域住民を対象に、「感謝の頻度」と生活習慣病との関連を検討する。

    【方法】JAGES2019年度調査に参加した要介護を受けていない65歳以上の地域在住高齢者23,554人のうち、生活習慣病に関する情報を得られた22,400人を解析対象とした。

    感謝の頻度は「日常生活の中で周囲の人に“ありがとう”という機会はどのくらいありますか」という質問への回答(1日に数回、1日に1回、1週間に数回、ほとんどない)の4カテゴリとした。生活習慣病は、自己記入式質問票により、高血圧、糖尿病、脂質異常、うつ、脳卒中、心臓病、がん、認知症、呼吸器疾患、消化器疾患の治療中または後遺症のある既往を把握した。感謝の頻度が「1日に数回」の人に比較して頻度の低い群の生活習慣病の性・年齢調整オッズ比および多変量調整オッズ比(95%信頼区間)をロジスティック回帰分析にて算出した。同様の解析を男女別、人に会う頻度別に実施した。共変量は、性、年齢、BMI、飲酒、喫煙習慣、身体活動であった。

    【結果】感謝の頻度が「1日数回」の人は全体の32%であった。その人と比較して、「ほとんどない」人では生活習慣病の有病割合が高く、多変量調整オッズ比(95%信頼区間)(傾向性のp値)は、高血圧1.07(1.00-1.15)(p=0.04)、糖尿病1.10(1.00-1.22)(p=0.08)、うつ2.49(1.65-3.77)(p<0.01)、認知症1.65(1.02-2.66)(p<0.01)、呼吸器疾患1.16(1.00-1.36)(p=0.16)、消化器疾患1.24(1.06-1.44)(p<0.01)であった。がんは有病割合が低かった0.75(0.63-0.90)(p<0.01)。男女別では、男性でうつ、認知症、呼吸器、消化器疾患のオッズ比が高く、女性では糖尿病とうつが高かった。さらに、「人に頻繁に会う群」では、特に感謝の頻度が低いほど高血圧、うつ、認知症などの有病割合が高く、がんは低かった。

    【結論】感謝の頻度が低い人ほど生活習慣病の有病割合が高いことを初めて明らかにした。これらの関連は、男性および人と会う頻度の高い人でより顕著であった。今後は、縦断研究や介入研究によって、さらに詳細に検討する必要がある。

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