日本循環器病予防学会誌
Print ISSN : 1346-6267
38 巻, 3 号
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  • 河北 俊子, 佐藤 篤彦, 軽尾 昭人, 松尾 喜香, 井川 一典, 馬場 多代, 梶原 扶美, 宮下 友紀子, 土田 真弘, 中森 勲, ...
    2003 年 38 巻 3 号 p. 131-137
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    健康講座 (定員約80名) プロジェクトを予防医学機関職員の実践的教育・トレーニングの場と位置付けて運営し、その教育効果ならびに企画運営の組織作りにつき検討した。教育効果検討の対象は第1期プロジェクトメンバーの男性4名、女性5名、平均年齢32.8歳、職種は医療職6名、事務2名、車両技士1名の計9名であった。6ヵ月間の任期前後で12項目について自己評価スコアを比較した。任期後に、人の話を聞く (p<0.05) 、共感 (P<0.05) 、自己表現 (P<0.05) 、会議の司会 (P<0.01) 、討議 (P<0.05) 、議事録作成 (P<0.05) 、企画立案 (P<0.05) 、報告発表 (p<0.05) 、チームワーク (p<0.01) 、問題解決 (p<0.05) 、判断 (p<0.05) 、所内外折衝 (p<0.01) の全項目でスコアが有意に増加した。また、行動によって得られた自信の自己評価スコアの平均値は講座開催後に上昇した。医療職・事務職などすべての職種から人選したことは、通常業務で得にくい能力開発や意見交換に役立った。
    プロジェクト第1期から3期のそれぞれで組織・運営方式を変更した。それらが教育効果ならびに効率に及ぼす影響の正確な比較は企画内容や通常業務の多忙さが異なるため困難であるが、効率的なプロジェクト運営を行う上で、小グループ化しグループリーダーを置くこと、全体の統括者はメンバーの動機づけと支援を行うこと、メンバーの希望を聞いた上で明確な目標設定と期限を定めた具体的な課題の提示をすることが有効である可能性が示唆された。しかし、本研究は自己評価によるものであり、しかも追跡調査などを行っていないなどの限界を有する。
  • 竹森 幸一, 山本 春江, 浅田 豊, 三上 聖治
    2003 年 38 巻 3 号 p. 138-142
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    尿中食塩 (NaCl) およびカリウム (K) 排泄量は同一人でも日によって変動するため、普段の平均値を得るには7日または14日間の測定が必要である。本研究では濾紙法を用いて7日問の平均値を得る簡便法について検討した。尿試料は、減塩教室参加者115人について連続7日間、起床後2回目の尿を濾紙片に吸着、乾燥することによって収集した。7日間の濾紙片を重ね、端約1mmを縦に切り取った後、7日間の各濾紙片および切り取った濾紙片を一括したものから、希塩酸で尿成分を抽出し、ナトリウム (Na) 、K、クレアチニン (Creat) 濃度を測定した。Kawasakiらの推定式で24時間のNaClとK排泄量を計算し、7日間の平均値と一括測定値の相関を見た。NaCl、K、Na-K比の相関係数および回帰方程式はそれぞれr=0.942 (p<0.001) 、y=1.0448x+0.5213; r-0.932 (p<0.001) 、y=1.0455x+0.0262; r=0.903 (p<0.001) 、y=1.1128x-0.0013であった。これらの回帰方程式に一括測定値を代入して求めた平均推定値と7日間の平均値間にはNaCl、K、Na-K比共に有意差が見られなかった。
  • 阿南 隆一郎, 鄭 忠和
    2003 年 38 巻 3 号 p. 143-147
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    【背景】肥大型心筋症の病因解明に分子遺伝学的手法が導入され、1990年に心筋βミオシン重鎖遺伝子の異常が病因である家系が示された。現在では肥大型心筋症は心筋のサルコメアを構成する9種類の蛋白質、あるいは1種類の蛋白キナーゼをコードする遺伝子の異常による疾患であることが明らかにされている。遺伝子異常の判明した家系においての遺伝子異常と生命予後との対比により心筋βミオシン重鎖遺伝子、心筋トロポニンT遺伝子による家系は一般的に予後不良であり、心筋ミオシン結合蛋白-C遺伝子による家系は一般的に予後良好であることが判明してきている。本研究の目的は家族性肥大型心筋症の家系において病因遺伝子を明らかにし、遺伝子異常と臨床型の関連を検討することである。【方法】対象は71家系の家族性肥大型心筋症である。発端者およびその家族の血液よりDNAを抽出し、直接塩基配列決定法により家族性肥大型心筋症の病因遺伝子を解析した。臨床的には心エコー、心電図、症状の評価に加え、家系調査を行いKaplan-Meier法を用いて家系ごとの生命予後を比較した。【結果】心筋βミオシン重鎖遺伝子の異常を7家系に、心筋トロポニンT遺伝子の異常を6家系に、心筋ミオシン結合蛋白C遺伝子の異常を9家系において見いだした。生命予後の検討では、心筋βミオシン重鎖遺伝子のPhe513Cys変異による家系の生命予後は他の心筋βミオシン重鎖遺伝子による家系の生命予後に比し良好であった。また心筋トロポニンT遺伝子のPhe110Ile変異による家系の生命予後は他の心筋トロポニンT遺伝子による家系の生命予後に比し良好であった。さらに心筋ミオシン結合蛋白-C遺伝子のGlu451Gln変異による家系の生命予後はInsG791変異による家系に比し不良であった。【結論】家族性肥大型心筋症の遺伝子型と臨床型の対比により、その生命予後は病因遺伝子異常により異なることが明らかになった。遺伝子から見た循環器予防において、肥大型心筋症の遺伝子型と臨床型の関連を理解することが重要であり、今後遺伝子診断の結果を管理に役立てていく必要があると考えられた。
  • 北村 明彦
    2003 年 38 巻 3 号 p. 148-153
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
  • 吉村 道博
    2003 年 38 巻 3 号 p. 154-157
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
  • 米田 武, 神戸 泰
    2003 年 38 巻 3 号 p. 158-162
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    職域で、2001年度の定期健康診断の結果より、15620人の社員を対象に、高脂血症と診断される者の年代別分布を調べた。男性では、30代から既に50%以上の者が、そして40代後半から50代前半では60%が高脂血症と診断された。女性では、加齢に伴い高脂血症の頻度が増加する傾向が顕著であり、50代からは50%以上の者が高脂血症と診断された。
    さらに喫煙、飲酒、運動習慣および肥満との関連についても検討した。その結果、喫煙者、肥満者では高脂血症と診断される者の割合が高く、飲酒者、運動習慣をもつ者ではその割合が低いことが明らかとなった。
    高脂血症の内容を検討してみると、喫煙者では、非喫煙者と比較し、総コレステロール値では有意差はなかったが、トリグリセリド値、LDLコレステロール値が高く、HDLコレステロール値が低いことが判った。
    飲酒者では、非飲酒者に比べ、総コレステロール値に有意差はなく、トリグリセリド値とHDLコレステロール値が高く、LDLコレステロール値は低値であった。
    定期的な運動習慣をもつ者では、そうでない者との比較で、総コレステロール値には有意差なく、トリグリセリド値とLDLコレステロール値が低く、HDLコレステロール値が高かった。このような生活習慣と高脂血症との関連をも考慮した、社員への保健指導が重要であると思われる。なお、高脂血症の診断は、日本動脈硬化学会のガイドライン2002年版の基準値に拠った。
  • 鷲尾 昌一, 尾島 俊之, 玉腰 暁子, 杉森 裕樹, 坂内 文男, 森 満
    2003 年 38 巻 3 号 p. 163-171
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    目的 : 医学生を対象に、疫学研究における倫理的問題についての意識を、公衆衛生学の講義の際の倫理に関する講義 (60分、2コマ) の前後で比較し、疫学研究における倫理教育のあり方の参考にする。
    方法 : 医学部3年生を対象に、公衆衛生学の講義の際に質問票を用いて調査し、疫学と倫理に関する講義の前後の調査結果を比較する。
    結果 :
    1. 健康診断の際の健診に直接関係ないアンケート調査、血液検査に対しては、講義の前後とも、「同意の得られたものだけに行うのなら良い」と答えた者が7-9割を占め一番多かったが、講義の後で、「断りは不要」という者が減り、「してはいけない」という者が増え、2割になった。
    2. 保存血液を用いた健診と直接関係ない血液検査については、「同意の得られた者だけに行うのなら良い」 (前 : 5割、後 : 6割) が一番多く、「無断で血液を保存していることは倫理的に問題がある」 (前後とも4割) が二番目に多かった。
    3. 調査に必要以上の人に調査の参加を依頼することについては、講義の前では「特に問題ない」と答えた者が5割を占め、一番多かったが、講義後には2割に減り、「時間と費用、参加者の善意が無駄になるので、倫理的に問題である」と答えた者が2割から4割に増え、一番多くなった。
    4. 必要以上の人に調査の参加を依頼し、残った血液を他の研究に利用することについては、「同意の得られた者だけに行うのなら良い」 (前後とも5割) と「してはいけない」 (前 : 4割、後 : 5割) と答えた者が多かった。
    5. 健診で残った血液を用いた遺伝子検査に対する倫理的基準については「遺伝子検査は普通の血液検査よりも倫理基準を厳格にすべきである」と講義の前後とも答えた者が多かった (7割) 。
    6. 研究結果の公表、研究の科学的合理性の確保、インフォームド・コンセントの受領、研究の倫理性の確保、個入情報の保護の5つのうち、疫学研究を行う際に大切だと思う順に番号をつけると、講義の前後で、一位が個人情報の保護から、研究の倫理的妥当性の確保に変わったものの、前後とも、個人情報の保護、インフォームド・コンセントの受領、研究の倫理的妥当性の確保が上位を占めた。
    結論 : 医科人学関係者は、卒前・卒後教育を通じて、疫学研究の意義と方法、個人情報保護の仕組みと問題点の両方を良く理解してもらい、臨床や保健活動の現場で、適切な疫学研究が行われるように支援していく必要がある。
  • 村上 保壽
    2003 年 38 巻 3 号 p. 172-176
    発行日: 2003/10/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
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