日本循環器病予防学会誌
Print ISSN : 1346-6267
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  • 馬場 みちえ, 板並 智子, 一木 真澄, 畝 博
    2007 年 42 巻 2 号 p. 75-80
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    目的 : 要介護4・5の重度の要介護状態になるリスク要因を明らかにすることである。
    対象と方法 : 福岡県Y町において症例対照研究を実施した。症例群は介護保険の要介護4と5の高齢者 (以下、要介護者群) 62人、対照者群は健常高齢者あるいは要支援の高齢者から性、年齢をマッチさせ、1 : 1の割合で無作為に抽出した。2001-2002年に聞き取り面接調査を行い、要介護状態になった原因疾患、既往歴・治療歴、基本健康診査受診回数、生活習慣、性格、趣味などの情報を得た。さらに、過去の血圧値と降圧薬服用状況、および実際の基本健康診査受診歴について、1989年~1993年の基本健康診査データを参照した。
    結果 : 要介護状態になった原因疾患は、脳血管疾患が41.9%、認知症27.4%、大腿骨骨折12.9%の順であった。要介護に関連する要因では、糖尿病治療歴のある者ではオッズ比は3.54 (95%CI : 1.07-11.76, p<0.05) と有意に高く、高血圧治療歴のある者ではオッズ比が0.82とリスクの上昇がみられなかった。そこで、要介護者群と対照者群の高血圧症の頻度およびその治療状況を過去の基本健康診査データ (1989-1993年) に遡って22ペアについて比較した。既に治療中である者も含めた高血圧症の数は、要介護者群が14人 (63.6%) 、対照群が8人 (36.4%) であり、要介護者群に高血圧症が多かった (p<0.05) 。そのうち降圧薬を服用している者は、要介護者群では4人 (28.6%) 、対照者群では4人 (50.0%) であり、要介護者群に高血圧症でありながら治療を受けている者が少なかった。また実際の基本健康診査受診歴 (45ペア) では、要介護者群に受診回数が少なかった。
    結論 : 要介護者群では、高血圧症の者が多いにもかかわらず、高血圧症への認識や治療へのコンプライアンスが悪く、また基本健康診査の受診回数も少なかった。定期的に健康診査を受けることは、人々の高一血圧への認識や治療へのコンプライアンスを高めることにつながり、重度の要介護状態になることを予防していることが示唆された。
  • 笠井 みさ子, 石井 徹, 吉野 泉, 冨田 真佐子, 横田 和彦
    2007 年 42 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    虚血性心疾患の早期発見、予防のためにヘリカルCTによる冠動脈石灰化検出の有用性を検討した。2004年4月1日から2005年3月31日までに当センター人間ドックを受診した男性社員2879人中297人 (10.32%) に冠動脈石灰化を認めた。
    また、冠動脈石灰化と年齢、喫煙習慣、収縮期血圧、拡張期血圧、空腹時血糖値、HbAlc、総コレステロール、中性脂肪との間に有意な正の相関が認められた。
    これらの動脈硬化の危険因子に、早期から介入することにより、冠動脈石灰化および虚血性心疾患の予防が可能になると考えられた。
  • 岸 拓弥, 廣岡 良隆
    2007 年 42 巻 2 号 p. 86-91
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    [目的] 糖尿病は、虚血性心疾患だけでなく心不全患者においても多く合併している疾患である。しかし、心不全の発症進展における糖尿病の影響には不明な点も多い。今回の目的は、糖尿病を有する場合と有さない場合での心不全の発症進展の違いについて検討した。
    [方法] 2002年1月から2004年8月で、678名の心不全入院患者を早朝空腹時血糖 (FBS) 126mg/dl以上を複数回確認された糖尿病群 (DM group, n=128) とそれ以外の非糖尿病群 (NDM group n=550) に分け、背景・経過を比較した。
    [結果] 年齢、性別、喫煙、高脂血症、高血圧、虚血性心疾患、弁膜症、不整脈、内服内容、NYHAクラスおよびBNP値には両群問で有意な差は認められなかった。DM群はbody mass indexが有意に高く、冠動脈多枝疾患と蛋白尿を有する症例が有意に多かった。また、退院後1年以内の心不全による再入院率がDM群でNDM群に比し有意に高かった (44%vs 25%, p<0.01) 。再入院の理由は、コントロール不良の高血圧と虚血性心疾患がDM群でNDM群に比し有意に高かった。心エコーでの左室収縮能や左室径には両群間で有意な差は認められなかったが、E/A比は有意にDM群で低く (0.56±0.10vs 0.78±0.11, P<0.05) 、deceleration timeも有意に延長していた (262±11msec vs 224±15msec, P<0.01) 。
    [結語] 糖尿病を有する心不全では有さない場合に比べて、左室拡張能が低下していることが多く、心不全による再入院率が高いことが示唆された。糖尿病の治療が心不全の進展・繰り返す再入院を予防することにつながる可能性がある。
  • 2年間の追跡調査結果報告
    大澤 正樹, 加藤 香廉, 藤島 洋介, 板井 一好, 丹野 高三, 近田 龍一郎, 中村 元行, 岡山 明, 小野田 敏行, 坂田 清美, ...
    2007 年 42 巻 2 号 p. 92-102
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    カレン研究は岩手県北部地域を対象とした成人透析患者の悉皆性コホート研究で、2003年6月から2004年3月までに登録調査を終えた。参加同意者の内1,214名 (全体の81%) で血液検査を含めた登録調査を実施した。25透析施設を直接訪問して、1,214名の透析患者診療記録を1年ごとに閲覧した。平成19年4月の時点で、転院先での詳細な追跡調査が終了していないものが69名存在している。生存分析による解析は1,145名を対象に検討した。総観察人年は2,215人年であった。観察期間中に189名の死亡、214名の心不全発症、29名の急性心筋梗塞発症、107名の脳血管疾患発症を確認した。死亡率は85/1000人年で、死亡率に性差はなく、原疾患別で比較すると糖尿病性腎症患者の死亡率が高かった (p<0.01) 。Cox回帰分析による検討では、死亡に影響していたリスク要因として、年齢 (ハザード比 (95%信頼区間) : 1.047 (1.033-1.062)) 、糖尿病合併 (1.502 (1.096-2.058)) 、 C型肝炎抗体陽性 (1.546 (1.015-2.356)) 、血清低アルブミン値 (2.272 (1.657-3.117)) 、血清高CRP値 (1.907 (1.403-2.591)) 、があげられ、これらの要因は、循環器疾患合併、悪性新生物合併の有無に関わらず、死亡の強いリスク要因であった。
  • 河野 雄平
    2007 年 42 巻 2 号 p. 103-107
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
  • 山崎 力
    2007 年 42 巻 2 号 p. 108-111
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
  • 上嶋 健治, 大庭 幸治, 保野 慎治, 藤本 明, 中尾 一和
    2007 年 42 巻 2 号 p. 112-116
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    CASE-J試験は心血管系イベントの発症を指標として、ハイリスク本態性高血圧患者を対象にカンデサルタンとアムロジピンの有効性について比較検証した本邦初の臨床試験である。主要評価項目には両薬剤間に有意な差は認めなかったが、カンデサルタン群はアムロジピン群に比べて、糖尿病の新規発症と腎機能障害例での腎イベントおよびBMI高値例での全死亡を有意に抑制し、左室肥大退縮率も有意に大であった.とくに糖尿病の新規発症への抑制効果が肥満度に応じて大きくなったことは重要な知見である。また、CASEJは京都大学EBM研究センターがマネージメントし、アカデミア主導で実施した循環器領域では本邦初の大規模臨床試験である。今後、臨床試験が企画され実施されていく中で、科学的、客観的、倫理的に中立的な立場に立つ、アカデミア主導の質の高い臨床試験の増加が望まれる。
  • 清原 裕
    2007 年 42 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
  • 中山 健夫
    2007 年 42 巻 2 号 p. 124-128
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    地域における健康診査 (以下、健診) は、1983 (昭和58) 年に老人保健法に基づき保健事業の一環として実施されてきた。2000 (平成12) 年には健康寿命の延長やQOLの向上を実現するために「一次予防」に重点を置いた健康日本21が開始された。健康日本21の法的基盤として、2002 (平成14) 年に健康増進法が公布され、健診の実施等に関する指針 (以下、健康診査等指針) が定められた。以後、老人保健法に基づく健診は、労働安全衛生法、学校保健法などとも調和した形で健康診査等指針に準拠して実施されている。
    2005 (平成17) 年12月の「医療構造改革大綱」の中で、国民健康保険及び被用者保険の医療保険に対し、40歳以上の被保険者及び被扶養者を対象とする、糖尿病等の予防に着目した健診及び保健指導の事業を計画的に行うことが義務づけられた。従来、健診は「疾病の早期発見から保健指導までを含むもの」とされていたが、新たに制定された「高齢者の医療の確保に関する法律」では、それぞれ「特定健康診査 (健診) 」、「特定保健指導」とされ、健診は指導対象者の適切な階層化の役割を担うことが明確にされた。
    海外では、1970年代から無症状の健常成人を対象とした健診の有効性評価のエビデンスが主として介入研究によって蓄積されてきた。米国の “Preventive Services Task Force Report” や “Guideto Community Preventive Services” はその成果の集大成として有用な情報源となっている。国内では、2004 (平成16) 年度厚生労働科学研究「最新の科学的知見に基づいた保健事業に係る調査研究」により、国内で実施されている多くの健診項目は、疾病予防や死亡減少という視点では有効性を示す根拠が乏しいことが指摘されている。
    本稿では健診・保健指導に関する代表的な先行研究のレビューを行い、健診に関連する課題を考えたい。
  • 調理加工食品や特定の栄養素が強化されている食品からの栄養素摂取に着目して
    野末 みほ, 猿倉 薫子, 荒井 裕介, 由田 克士
    2007 年 42 巻 2 号 p. 129-133
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    食事や運動などの日常の生活習慣の改善は、循環器疾患を始めとした疾患の予防や治療のために重要な役割を果たす。食事状況を正しく評価し、効果的な対策に結びつけるために食事調査が行われる。現在、食事調査で得られたデータから栄養素摂取量を把握する為には、日本食品標準成分表 (文部科学省 科学技術・学術審議会) を利用することが多い。しかし、近年の我が国の多様化する食事状況において、食事調査から得られる調理加工食品や特定の栄養素が強化されている食品等から日本食品標準成分表のみを用いて栄養素摂取量を算出することは、困難である。2001~2004年の国民栄養調査 (2003年より国民健康・栄養調査) より食事形態の現状を把握すると共に、より詳細に栄養素摂取量を把握するために有用な食品データベースのあり方について考察する。
  • 上島 弘嗣
    2007 年 42 巻 2 号 p. 134-139
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
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