比較経済研究
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55 巻, 1 号
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特集「移行経済研究の体系的レビューとメタ分析―コーポレートガバナンス・汚職問題・国際貿易」
  • ―メタ分析―
    岩﨑 一郎, 溝端 佐登史
    2018 年 55 巻 1 号 p. 1_1-1_22
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/22
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,中東欧・旧ソ連諸国における企業所有構造の集中化と経営成果との関係を分析した研究成果のメタ分析を試みることにより,移行経済研究は,この問題領域において,総体として,如何なる結論に到達しているのかを検証することにある.先行研究64点から抽出した1,376推定結果のメタ統合は,有意に正な所有集中効果の存在を示唆した.但し,その統合効果サイズは,微弱といえる水準に過ぎない.その背景要因を特定すべく行ったメタ回帰分析は,研究対象産業,推定期間,所有変数の設計,実証データの情報源,推定量,並びに制御変数の選択に顕れた差異が,先行研究の実証結果に,体系的かつ重大な影響を及ぼしたことを明らかにした.更に,筆者らは,当該研究分野においては,公表バイアスの疑いが非常に強く,恐らくはこの問題の深刻さ故に,既存研究の中に,所有集中効果に関する正真正銘の証拠が存在しないことを確認した.真の効果の特定を目指して,更なる実証研究の蓄積が望まれる.

  • ―体系的レビュー―
    鈴木 拓, 溝端 佐登史
    2018 年 55 巻 1 号 p. 1_23-1_43
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/22
    ジャーナル フリー

    市場経済移行研究では汚職問題は早期から注目されていたが,その分析視点は発散傾向にある.そこで本稿では331件の文献に基づき,政治・経済的要因及び文化・価値観といった観点から14の仮説検証を通じて体系的レビューを行う.その結果,自由化・私有化は汚職に拡大と縮小の両義的な影響を与えており,かつ文化・価値観の影響も無視できないこと,そしていわゆる“潤滑油仮説”はほぼ否定されていることが明らかになった.

  • ―メタ分析―
    上垣 彰, 雲 和広
    2018 年 55 巻 1 号 p. 1_45-1_60
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/22
    ジャーナル フリー

    我々は,「コメコン体制」崩壊後の移行国の貿易構造の変化について,21の論文から216の推定結果を抽出して,それにメタ分析を実行した.得られた結果によれば,「EU要因変数」を除き公開バイアスの存在が強く示唆されるが,重力モデルが想定するような貿易量の決定要因は,移行国においても有意に作用している事が示される.金融深化度や貿易開放度等を含む「構造変化変数」も,貿易量を増やす方向に作用している事を確認出来た.

書評
Abstracts
比較経済体制学会2017年度全国大会プログラム
学会機関誌投稿・執筆要綱
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