ウクライナは2010年代の銀行改革の流れとIT関連の発達から金融全般のデジタル化が進行していた.従来からの金融包摂の低さを補う形で進行し,仮想通貨も普及しつつあった.2020年代に入ると各国の中央銀行の中央銀行デジタル通貨(CBDC)導入の流れの中でバハマなどでCBDCが導入され,スウェーデン,中国で実験が進行しつつある.途上国では金融包摂やコストカット,先進国はキャッシュレス推進を期待した.他方,金融仲介機能への影響,プライバシー保護など導入には慎重な意見も根強い.ウクライナ国立銀行(NBU)もCBDCであるe-hryvniaの導入検討を始めた.2022年2月以降の展開の中でCBDCの位置づけも変わりつつも,仮想通貨で受け取った寄付との親和性など導入の検討は続いていた.この展開の中では海外に避難民との国境を越えた支払いを容易にし,通貨主権を補完する狙いが加わった.ここでは国家やハード通貨への信頼も揺らぐ中でのウクライナのCBDC導入と役割を考察する.
本稿は,2022年の対ロシア大規模金融制裁後におけるルーブル防衛の成否を,短期・中期・長期の三基準から評価することを目的とする.短期的には,急激な為替下落に対して,ロシア中央銀行は大幅な利上げおよび資本規制を組み合わせることでルーブルの急落を抑制し,為替レートの水準維持には成功した.しかしその達成は市場メカニズムではなく,政策的介入によるものであった.中期的には,ドル・ユーロ依存からの脱却が進む一方で,人民元への依存が急速に深化し,通貨主権は部分的にしか維持されなかった.長期的には,高金利と資本規制が民間部門を圧迫し,スタグフレーションや成長率低下を招いている.以上の分析から,ルーブル防衛は短期的には成功したが,中長期的には副作用を伴うものであったと評価される.
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