応用教育心理学研究
Online ISSN : 2436-6129
Print ISSN : 0910-8955
38 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 岡本 かおり
    2021 年38 巻1 号 p. 3-18
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/10/20
    ジャーナル フリー
    本研究では,信頼関係構築による変化に焦点を当て,信頼関係を基盤とした保育の特徴を捉えることを目的とした。幼稚園教諭と保育士を対象にしたインタビュー調査によって明らかになった結果は,次にまとめられる。第一に,子どもの変化における【情緒的安定】,【自己表出態度】,【友達に関する関係構築態度】,【外的表出態度】については,半数以上の保育者による言及があり,特に,《情緒的安定-自己表出態度》の言及が多く,子どもの心の安定と自分を出せることを関連付けて捉えていた。第二に,保育者の変化における【自己充実感】,【向上的実践態度】については,半数以上の保育者による言及があり,これらは単独で現れるのではなく,子どもや保護者の変化と同時に語られていた。このような子どもの変化や保護者の変化と関わり合いながら,保育者自身の内面や保育実践において肯定的な影響をもたらす子どもとの信頼関係構築は,保育の専門性を高める上で重要な保育者の実感になりうることが示唆された。
  • 金子 智昭
    2021 年38 巻1 号 p. 19-34
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/10/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,幼稚園実習事前指導に対する保育者志望学生の学習動機づけが実習成果に及ぼす影響を検証することであった。分析1 では,熟達・子ども志向,内発的動機づけ,無関心,承認・比較志向,義務感の5 下位尺度から構成される「幼稚園実習事前指導に対する学習動機づけ尺度」が作成された。さらに,①熟達・子ども志向と内発的動機づけは,保育職への志望度,保育職の適性感,保育者効力感と正の相関,実習前の心理ストレス反応と負の相関があること,②無関心,承認・比較志向,義務感は,実習前の心理ストレス反応と正の相関があることが示された。分析2 では,熟達・子ども志向と内発的動機づけは,実習エンゲイジメントを媒介に,実習成果(幼稚園教諭への志望度の向上,保育者としての力量形成の認知,実習評価)を高めるプロセスが確認された。以上より,保育者養成校において,保育者志望学生の適応的な学習動機づけを育むことの必要性が示された。
  • 秀 真一郎, 若田 美香
    2021 年38 巻1 号 p. 35-46
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/10/20
    ジャーナル フリー
    保育者による受容は保育の基盤の1つとされてきた。しかしながら,これまでその本質の確認や共有がなされてきたとは言い難い。本研究は,保育者による受容の捉え方を明確にすることを目的とする。方法として,幼稚園・保育所・認定こども園の保育者を対象に,自由記述を中心とした質問紙調査を行った。テキストマイニングによる自由記述の量的分析の結果,以下の3点が明らかとなった。1)抽出語から,保育者による受容の中心は子どもであり,「信頼関係」「自己肯定感」等との関連が明示された。2)保育経験年数から設定した初任・中堅・熟練の3群毎に受容の捉え方に特徴が見られ,経験の積み重ねや立場の違いによる相違が示唆された。3)一方で,世代の離れた初任と熟練との間にも共通の捉え方が見出され,共通理解や研修に向けた示唆が得られた。これらの結果を踏まえ,保育者による受容に関わる今後の具体的な研究課題について議論した。
  • 楢林 衿子, 浜崎 隆司
    2021 年38 巻1 号 p. 47-61
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/10/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,選択理論心理学を学び教育現場で実践している教師の思考と行動の変容を明らかにし,選択理論の学びが周囲との関係構築と仕事に対するモチベーションの維持に有効であるかを検討することである。X 県内の選択理論を教育現場で実践し,小学校中学校に勤務するまたは勤務経験のある3 人の教師に半構造化インタビューを行い,SCAT(Steps for Coding and Theorization)を用いて分析を行った。その結果①児童,生徒との関わりについてはどの教師も自身の思考と行動を変化させ児童,生徒の愛・所属の欲求を満たす関わりをし,児童,生徒との良好な人間関係構築に努め,自身の愛・所属の欲求も充足しようとしている様子が見られた。良好な人間関係は教師自身の欲求充足につながり,幸せにもつながることが明らかとなった。②同僚との関わりについては,どの教師も自身の考えと異なる同僚や周囲から孤立している同僚に対し,心理的距離をとるのではなく日々のコミュニケーションを通じてその同僚のことを理解し,思いを汲み取ろうとしていた。それによって同僚の思考と行動においてのみ変容が見られた。この結果,選択理論を学んだ教師側に共通して意欲的に業務に取り組む姿勢が示された。
  • 田村 隆宏, 木村 直子, 谷村 宏子
    2021 年38 巻1 号 p. 63-75
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/10/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,保育実践力向上に及ぼす保育実習の効果とその促進要因を検討することである。調査参加者は四年制大学幼児教育コースの学生130 人であった。調査参加者は保育実習の前後に「保育実践力スタンダード(子どもとの関わり編)」に対する回答と,子どもや保育者との関わりに対する自信の程度を問う評定尺度に対する回答が求められた。その結果,保育実習後に“ 実践に必要なコミュニケーション力”“ 保育を計画する力”“ 保育を発展的に展開する力” が向上することが明らかにされた。それに加えて,保育実習前後の子どもや保育者との関わりに対する自信が,実習後の保育実践力に肯定的な影響を及ぼしていることも確かめられた。
  • 金子 智昭
    2021 年38 巻1 号 p. 77-94
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/10/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,適性の理論から保育者の専門性を再検討するとともに,専門性を包括的かつ体系的に捉えるための統合モデルを構築することである。第一に,産業・組織心理学における職業適性について説明し,保育者の専門性を捉えるうえで,「適性の3 側面モデル」(大沢, 1989)を活用することの有益性と問題点を指摘した。第二に,適性の3 側面モデルに階層性の構造を適用した「保育者における適性の同心円モデル」(同心円モデル)を構築し,モデルの作成手続きと概要を説明した。第三に,同心円モデルにおける能力的適性(表層),態度的適性(中層),性格的適性(核層)に基づき,専門性の概念を具体的に取り上げ,そこで展開されている研究概要を述べた。同心円モデルが構築されたことで,これまで拡散していた専門性の概念が一定の方向性に収束され,専門性に関する研究の進展の素地が形成された。今後の課題として,同心円モデルの妥当性を検討するとともに,保育者の態度的適性に関する研究を推進することが指摘された。
  • 2021 年38 巻1 号 p. 100
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/20
    ジャーナル フリー
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