老年臨床心理学研究
Online ISSN : 2436-4568
最新号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 長田 久雄
    2024 年 5 巻 p. 4-6
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/04/09
    ジャーナル オープンアクセス
  • システマティック・レビュー
    倉坪 和泉, 中川 威
    2024 年 5 巻 p. 9-23
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    認知症の発症前段階である軽度認知障害(MCI)における抑うつは認知症に移行する確率を高める。マインドフルネストレーニングは抑うつに有効な非薬物療法であるが高齢者医療ではほとんど実施されていない。本研究ではMCI高齢者の抑うつに対するマインドフルネストレーニングの効果に関するシステマティック・レビューを行った。PubMed,PsycINFO,Web of science,医学中央雑誌を用いて2023年4月までに出版された文献を検索し,6件の研究が同定された。介入は集団形式で8週間から9か月の期間で行われ,評価尺度はGDS-15,GDS-M,GDS-30であった。1件で対照群と比較して介入群で有意に抑うつが改善,4件で介入前後で抑うつが改善しており,一定の介入効果が認められた。マインドフルネストレーニングはMCI高齢者の認知症予防の一助となる可能性がある。
  • 馬場 絢子
    2024 年 5 巻 p. 21-33
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,実親介護における行動様式の構造および介護負担や精神的問題との関連を明らかにすることを目的とした。実親を在宅介護している,もしくはしていた経験のある534名分のデータを分析対象とし,行動様式に関する項目について因子分析を行ったところ,「没入」「手放す介護」「サービスの活用」「自動操縦」「自分や親に合わせる」の5因子が抽出された。いずれの因子においても介護組み合わせ(母・父・娘・息子)による差異は見られなかった。介護負担に対しては「自動操縦」が正の説明力を,精神的問題に対しては「没入」「自動操縦」が正,「手放す介護」が負の説明力を持った。以上をふまえ,「没入」に対してコントロール欲求をやわらげたり感情や日々の親の変化を共有したりすること,「自動操縦」に対してマインドフルネスを行うこと,家族との関係調整やピアサポート等により「手放す介護」を促進することで,精神的問題が軽減する可能性がある。
  • 高齢者と子どもにとっての良い点と悪い点に着目して
    大庭 輝, 松田 侑子, 小河 妙子
    2024 年 5 巻 p. 35-47
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    老年臨床心理学では心の健康教育,すなわち一次予防としての地域臨床も求められてきている。本研究では計量テキスト分析を用いて,世代間交流が高齢者と子ども双方にとってどのような良い点・悪い点があるのかを検証した。ウェブ調査を利用して自由記述と文章完成法による質問により世代間交流に対する認識を尋ねた。分析対象は研究参加者600名(男性365名,女性235名,平均年齢53.1±14.5歳)から得られた2,097の文章であった。共起ネットワーク分析の結果,【知識や経験の伝達】【慣習の伝達】【認知機能の低下予防】【価値観の差異】【活力】【疲労】【感染症のリスク】【利他的な感情】の8つのグループが抽出された。各グループの出現頻度は,世代間交流の良い点・悪い点別や質問項目で尋ねた世代別(高齢者・子ども)で異なっていた。以上の結果は,地域臨床における世代間交流の実践の促進に寄与する知見を提供した。
  • 野口 代, 武藤 崇, 山中 克夫
    2024 年 5 巻 p. 49-59
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    認知症の人の介護をしている家族への支援は実際のニーズをもとに調整すべきである。本研究では,家族介護者200名にWeb調査を行い,彼らが最も望む心理・社会的な支援,要介護者の年齢,続柄,介護負担感等について回答してもらい,支援ニーズと要因間の関係を多重応答分析により解析した。その結果,続柄が配偶者である場合は「家族会」,要介護者が79歳以下の場合は「認知症ケアに関する教育・研修」が近くに布置し,これらの群では能動的な参加による支援ニーズが高いと考えられた。一方,介護負担感が高い,要介護者の年齢が80歳以上である,続柄が子または子の配偶者である場合は「認知症ケアの情報提供」や「レスパイト」が近くに布置し,これらの群では受動的な支援ニーズが高いと考えられた。また,介護負担感があまり高くない場合は「カウンセリング」が近くに布置しており,その背景やニーズに合わせた支援促進について論じた。
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