老年臨床心理学では心の健康教育,すなわち一次予防としての地域臨床も求められてきている。本研究では計量テキスト分析を用いて,世代間交流が高齢者と子ども双方にとってどのような良い点・悪い点があるのかを検証した。ウェブ調査を利用して自由記述と文章完成法による質問により世代間交流に対する認識を尋ねた。分析対象は研究参加者600名(男性365名,女性235名,平均年齢53.1±14.5歳)から得られた2,097の文章であった。共起ネットワーク分析の結果,【知識や経験の伝達】【慣習の伝達】【認知機能の低下予防】【価値観の差異】【活力】【疲労】【感染症のリスク】【利他的な感情】の8つのグループが抽出された。各グループの出現頻度は,世代間交流の良い点・悪い点別や質問項目で尋ねた世代別(高齢者・子ども)で異なっていた。以上の結果は,地域臨床における世代間交流の実践の促進に寄与する知見を提供した。
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