コミュニケーション障害学
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  • 安崎 文子, 山本 佐代子, 桐生 昭吾, 柴崎 光世
    2020 年 37 巻 2 号 p. 81-89
    発行日: 2020年
    公開日: 2024/06/13
    ジャーナル オープンアクセス
    脳科学の研究から,吃音をもつ者では左脳聴覚言語野の活性の乏しさが指摘されている。我々は,右耳から聞いたときに左脳の活性が乏しかった吃音例から,その原因として聴覚伝導路の障害を考え,左右の耳別に入力した際の障害の有無を確かめた。成人吃音者13名と成人非吃音者16 名を対象者として,クリック音と/da/ 音を用いて聴性脳幹反応検査を行い,そのピーク間潜時を群別・左右耳別の二元配置分散分析で解析した。非吃音者群,吃音軽度群,吃音中・重度群の3群では,軽度群はクリック音I-V 波間の左耳潜時が他の2群に比べて長かった(p<.05)。また3群の多重比較では,吃音中・重度群は,クリック音I-V 波間の右耳潜時が他の2群に比べて長かった(p<.05)。吃音の聴覚伝導路における左右耳の情報伝達のわずかな遅れが,左右の耳からの情報入力に微妙なずれを引き起こし,発語のタイミングに影響を及ぼしている可能性も示唆された。
  • 畑添 涼, 小薗 真知子, 池嵜 寛人, 水本 豪, 入田 真由子
    2020 年 37 巻 2 号 p. 90-97
    発行日: 2020年
    公開日: 2024/06/13
    ジャーナル オープンアクセス
    失語症者のコミュニケーション評価におけるCommunicative Abilities in Daily Living(CADL)とCADL 家族質問紙(FQ)の関係について,両者の評定値を比較することにより検討した。あわせて言語機能の指標として標準失語症検査を,知的機能の指標としてRaven’s Colored Progressive Matrices を用いてFQ に影響する要因について検討した。その結果,軽度・中等度例は重度例に比べFQ よりもCADL が高い項目が多く,重度例は軽度・中等度例に比べCADL よりもFQ が高い項目が多いことが示された。また,FQ には失語症者の言語理解の機能や知的機能が関与することが示された。失語症者が日常生活で発揮可能な最大限の能力をあらゆる角度で評価し,家族や周囲の人に情報提供していく必要がある。
  • 澤井 雪乃, 飯村 大智, 宮本 昌子
    2020 年 37 巻 2 号 p. 98-104
    発行日: 2020年
    公開日: 2024/06/13
    ジャーナル オープンアクセス
    聞き手がネガティブな反応を示すと捉えている吃音症状を調べるために,吃音者142 名を対象に質問紙調査を実施した。結果,「工夫・回避」へのネガティブな反応を感じている吃音者は少ない一方,中核症状の「繰り返し」「ブロック」へのネガティブな反応を感じている吃音者が多いことが示された。聞き手への調査では「工夫・回避」はネガティブな印象を与えるという先行研究を踏まえると,吃音者と聞き手では吃音症状に関する捉え方が異なる可能性が示唆される。
  • 中嶋 理香
    2020 年 37 巻 2 号 p. 105-114
    発行日: 2020年
    公開日: 2024/06/13
    ジャーナル オープンアクセス
    児童発達支援(通所型)の保育士を対象に,食べる機能の6領域(食形態/姿勢/食具/食べ方/マナー/偏食)について質問紙調査を実施し,その結果を基に療育施設の意向に沿った支援のあり方を考察した。保育士は,対象児の29.4%を食べる機能の発達状況が順調であると判断した。一方,指導に苦慮しているとされたのは全体の6.8%であった。姿勢と食具の2領域は,他の領域に比べて順調であるとの判断が有意に少なく,マナー領域は,指導を必要とするとの判断が有意に多かった。施設形態別では,訓練実施施設は食具,姿勢,マナー領域で順調との判断が少なかった。専門職と保育士との連携には,保育士の問題意識が食具・姿勢・マナーといった幼児期前期の保育課題であることを認識し,保育課題と各専門領域との関連性を手掛かりに臨むことが必要であった。
  • 槻舘 尚武
    2020 年 37 巻 2 号 p. 115-116
    発行日: 2020年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル オープンアクセス
  • 小林 真理子
    2020 年 37 巻 2 号 p. 146-151
    発行日: 2020年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル オープンアクセス
    公的機関における臨床・実践での心理検査に関連する事例をあげ,心理検査の有用性と限界について考察する。一つには,心理検査は,信頼性・妥当性のある基準による公正配分としての役割がある。支援の受け手となる利用者,送り手となる実践家,検査作成者の三者で基準を定めていくことが必要で,特に検査作成者は,時代の趨勢に敏感になり,基準の柔軟な変化を恐れない姿勢が必要である。二つ目には,心理検査は支援に繋がるこころの状態や動きの代弁的側面がある。そのため検査作成者も実践家も,EBA とNBA との両方の視座をもつ重要性があり,この両視座を揺れ動き,その状況をモニターできていることが,結果として,有用性のある心理検査の作成を可能にし,実際の支援に役立てることができる。
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