終末期がん患者の希望は,死への過程の中で身体的な希望から,生活の意味,人生の目的達成,生活の統制,価
値といった実存・人間関係の希望へ変化する.
本研究では,終末期がん患者の希望する作業実施の有無と,実存面を含めたQOLの関係性を明らかにすることを目的とした.対象を緩和ケア病棟入院患者19名として後方視的に調査した.作業療法介入時に,希望する作業を聴取した回答をもとに,希望する作業あり群と,希望する作業なし群に分類した.両群とも,作業療法介入1週間以内の初期評価時と,初期評価から2週間後評価時のデータを分析対象として,QOLの変化をWilcoxon符号付順位和検定で分析した.患者が希望する作業は,他者との交流を目的にする希望が大半を占めていた.2週間後の評価時の希望する作業実施状況は,実施7例,一部実施3例,調整中3例であった.希望する作業あり群のMcGill Quality of Life Questionnaire日本語版では,実存面のQOL初期中央値5.3点,2週間後中央値6.0点で有意差を認めたが,希望する作業なし群ではすべての項目で有意差を認めなかった.患者自身が希望する作業に参画することは,QOLの改善につながることが示唆された.終末期がん患者が,限られた人生の中で自ら希望する作業に,一部でも参画することは重要である.
抄録全体を表示