犯罪心理学研究
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41 巻, 1 号
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原著
  • 高村 茂, 徳山 孝之
    2003 年 41 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/09/07
    ジャーナル フリー

    本研究は,実務プロファイリングに使用する民家対象窃盗犯のデータベース構築を目的として実施された.そのため,民家対象窃盗犯は,金銭動機と性的動機という動機の違いに応じて,様々な犯人特性が異なるかどうか,また,それぞれを,同一データベースのサンプルとして扱ってよいかどうかが検討された.

    分析対象として,犯行を自供した男性の民家対象窃盗犯168名の捜査資料が収集された.これらの窃盗犯は,金銭の窃取を犯行動機として現金(一部品物を含む)を盗んだ100名の現金群と,性的動機に基づいて女性の衣類や下着を盗んだ68名の色情群とに分類された.そして,検挙時に窃盗犯の取り調べを担当した警察官に,調査票を配布し回答を求めた.調査票の内容は,大きく人物像に関する項目,犯行方法に関する項目,取り調べに関する項目で構成され,得られた結果は,X2乗検定によって両群聞の比較が行われた.

    その結果,両群間には,3項目聞の多くで有意な差が認められ,犯人特性が異なる傾向が示唆された.そのため,両群を,同一データベースのサンプルとして取り扱うと,各群の特性が十分に反映されない可能性があり,群別にデータベースを構築した方が望ましいと考えられる.

  • 阿部 晋吾, 高木 修
    2003 年 41 巻 1 号 p. 15-27
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/09/07
    ジャーナル フリー

    自己効力及び結果予期が,怒り表出反応としての攻撃行動と認知的再評価に及ぼす影響について検討した.被験者は,自分の性格について,サクラから否定的な評価を受けた.その後に,怒り表出反応として,そのサクラが課題失敗の罰として電気ショックを受ける可能性のある実験に参加したいがどうかを判断する状況を用意し,自己効力と結果予期を独立変数として操作して,怒り表出反応と認知的要因への影響を検討した.

    その結果,怒り表出反応としての攻撃行動が,自己効力や結果予期という,怒りの喚起とは異なる認知的要因に制御されること,また,怒りの表出が困難な場合には,挑発者の加害意図と怒り抑制評価の再評価が生じることが明らかとなった.

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