脳死・脳蘇生
Online ISSN : 2435-1733
Print ISSN : 1348-429X
最新号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
特集:脳蘇生の最前線
  • 井上 明彦
    原稿種別: 脳蘇生の最前線
    2021 年 33 巻 p. 1-7
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/23
    ジャーナル フリー

    【体温管理療法の適応】心拍再開後も昏睡が継続している患者が適応となる。初期波形は問わない。【方法】体温管理装置を用い,心拍再開後可及的速やかに開始し,32〜36℃から目標体温を選び,その体温に達したら少なくとも24時間以上維持し,ゆっくりコントロールされた復温を行う。【限界】最適な設定温度,維持期間,復温速度はいまだ不明である。体温管理療法は,体温管理装置だけで適切に実行できるものではない。体温管理療法だけが心拍再開後の集中治療ではない。【今後の課題】重症度に応じた体温管理療法。

  • 小畑 仁司
    原稿種別: 脳蘇生の最前線
    2021 年 33 巻 p. 8-14
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/23
    ジャーナル フリー

    抄 録:くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage;SAH)は脳卒中3 病型のなかでもっとも頻度が低いが,死亡率がもっとも高い疾患である。転帰不良の最大要因は,出血直後から生じる早期脳損傷(early brain injury;EBI)である。EBI はSAH 発症72 時間以内に進行する脳損傷と定義され,脳動脈瘤破裂による急激な頭蓋内圧亢進(intracranial pressure;ICP)と脳灌流圧(cerebral perfusion pressure;CPP)および脳血流(cerebral blood flow;CBF)の低下,ならびに血腫そのものによって惹起されるさまざまな有害事象の連鎖がその本態である。EBI をもたらす要因として,全脳虚血,出血による機械的応力,微小循環障害,脳血液関門の破綻,皮質拡延性抑制,エンドセリン-1,炎症等の関与が想定されている。EBI に対する特異的な治療法は現在のところ確立されていないため,その進行を可及的に抑制し,二次的脳損傷を軽減するとともに遅発性脳虚血を予防し, 早期発見と治療を行うことが転帰改善のためにきわめて重要である。EBI を中心にSAH の病態を概説し,最重症SAH に対する超急性期からの脳低温療法導入と復温後の血管内冷却法による体温管理に関する当施設の取り組みを報告する。

  • 横堀 將司
    原稿種別: 脳蘇生の最前線
    2021 年 33 巻 p. 15-18
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/23
    ジャーナル フリー

    抄 録:【重症頭部外傷における体温管理療法の適応】重症頭部外傷に関しては,数々のランダム化比較試験(randomized controlled trial;RCT)において有効性が証明されておらず,依然明確な推奨がない。高体温が脳障害を助長させるとの意見は一致している一方で,いかほどの体温を治療目標にすべきかは明確ではない。最近のRCT からは,頭蓋内圧が高く,血腫除去手術を必要とするような患者において,長期(5 日間)の脳低温療法を行った群が転帰がよかったとする報告があり,適応病態を厳格に設定することの重要性が明確となった。【方法】従来のクーリングマットによる冷却法に代わり,血管内冷却カテーテルやジェルパッドを用いた,コンピューター制御の冷却デバイスが普及している。より正確な体温管理が可能となっており,エビデンスの刷新が期待されている。【限界】頭部外傷の病態は複雑であり,びまん性,局所性ともに多くの病態を併せ持つ。臨床研究で脳低温療法の効果が明確にならない一因であると思われる。【今後の課題】どのような頭部外傷患者に,どのくらいの温度でどのくらいの期間冷却し,どのくらいの速度で復温すべきかを明確にするために,さらなる基礎・臨床研究を必要とする。また,より安定した体温管理が可能なデバイスを用いた臨床研究を継続する必要がある。適応病態を厳格に設定すること,そのためのモニタリング法の選択に関しても今後の課題である。

特集:脳死下臓器提供の諸問題と解決策〜厚生労働省研究班から〜
  • 5 類型施設における効率的な臓器・組織の提供体制構築に資する研究;ドナー評価・管理と術中体制の新たな体制構築に向けて
    嶋津 岳士, 田崎 修, 射場 治郎, 市丸 直嗣, 横田 裕行, 江川 裕人, 西田 修, 森松 博史
    原稿種別: 脳死下臓器提供の諸問題と解決策〜厚生労働省研究班から〜
    2021 年 33 巻 p. 19-26
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/23
    ジャーナル フリー

    抄 録:わが国における脳死下臓器提供数は世界的にみてもきわめて少ない。そのため普及啓発活動と院内体制整備事業が進められてきたが,とくに臓器提供にかかわる医療機関の体制整備が十分でないことが最大の課題となっている。現在,臓器提供が行われる際には,移植施設からメディカルコンサルタント(MC)が5 類型施設に派遣され,ドナーの全身管理とドナー評価を行っている。MC 制度はわが国独自の制度で良好な移植成績等に寄与しているが,移植施設,提供施設双方の負担は大きい。今後,臓器提供数は増加することが見込まれることから,本研究班では,MC 制度の利点を活かしつつ,ドナー評価を含めた術前・術中管理を5 類型施設内で完結できる体制の構築を目指している。

  • 厚生労働省研究班「脳死下・心停止下における臓器・組織提供ドナー家族における満足度の向上及び効率的な提供体制構築に資する研究」から
    横田 裕行
    原稿種別: 特集:脳死下臓器提供の諸問題と解決策〜厚生労働省研究班から〜
    2021 年 33 巻 p. 27-34
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/23
    ジャーナル フリー
    本邦の脳死下,心停止後臓器提供数は他の先進諸国と比較すると極端に少ない。救急医として臓器移植を積極的に推進すべき立場ではないが,法律に記載されている臓器の移植術に使用されるための提供に関する意思は尊重されなければならないと考えている。臓器提供時には様々な課題が指摘されるなか,救急や脳外科施設で脳死とされうる状態になった患者家族に対して,臓器提供に関する情報提供(いわゆる“選択肢提示”)が十分になされていない点は改善されなければならない。厚生労働省研究班「脳死下・心停止下における臓器・組織提供ドナー家族における満足度の向上及び効率的な提供体制構築に資する研究」に関する研究班(以後,研究班)は平成29年度からこれらの課題解決に向けての検討をしてきた。具体的には,法的脳死判定や脳死下臓器提供時の様々な手順に関してテキストを作成し,脳死患者だけでなく急性期疾患の重症患者とその家族の心理的サポートを行う入院時重症患者対応メディエーター(仮称)の重要性を考え,その育成を目的にセミナーを開催した。同時に脳死下臓器提供した場合の医師に負担となる事後検証のための書類作成を効率的にするため,あらたな検証フォーマットを提案した。しかしながら課題解決には関連学会の協力のもとに引き続き検討を継続する必要があると認識している。
feedback
Top