日本外科系連合学会誌
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20 巻, 4 号
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  • 山田 誠, 杉山 保幸, 佐治 重豊
    1995 年 20 巻 4 号 p. 231-238
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    ヒト末梢血をPSKおよびOK-432で刺激した培養上清を各種標的細胞や自己新鮮腫瘍細胞に添加し, MTT assay法で増殖抑制程度を検索した。その結果, (1) PSKやOK-432添加により上清中にIL-1β, TNF-α, IL-6, IFN-γの産生が観察された。 (2) 健常人末梢血ではPSK添加上清は増殖抑制を示さなかったが, OK-432添加上清はKATO-IIIに対し時間依存性の抑制を示した。 (3) 胃癌患者末梢血ではPSK添加上清はKATO-IIIに対し, OK-432添加上清はKATO-III, K-562, MKN-45に対し高い抑制活性を示した。また, PSKのKATO-IIIに対する増殖抑制率とTNF-α産生量との間に有意の正相関がみられた。 (4) 自己新鮮腫瘍に対してはPSKとOK-432添加上清は7例中2例で約20%以上の抑制活性を示した。 (5) サイトカインの直接効果ではTNF-αは各標的細胞に対し, IFN-γはKATO-III, MKN-28に対し抑制を示した。 以上の結果, MTT assayによるBRM感受性試験の可能性が示された。
  • 西田 勝則, 冲永 功太, 宮澤 幸久, 加藤 正久, 並木 一信, 広瀬 敦, 安達 実樹, 横畠 徳行
    1995 年 20 巻 4 号 p. 239-244
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    消化器救急手術症例のうち70歳以上の症例28例 (A群) について, 同一時期の65歳から79歳の症例74例 (B群) を対照群として, 術前重症併存症と術後合併症発生との関連, 術前管理, 術式, 術中・術後管理について検討した。 重症併存症を有した症例はA群で13例 (45.8%) に対し, B群では23例 (31.1%) であった。術後重篤な合併症をみた症例はA群で15例 (53.5%), B群で18例 (24・3%) で, このうち有重症併存症例ではA群で7例 (57.1%), B群で15例 (65.2%) に重篤な合併症をみた。とくにA群で術前呼吸器疾患を有した症例の全例とB群で肝硬変症例の半数に同一臓器の病態の増悪が認められた。死亡例はA群で9例 (32.1%), B群で7例 (9.5%) で, 有重症併存例ではA群で4例, B群で5例と死亡例の44.4%, 71.4%を占めた。疾患別では大腸穿孔例でA群の7例中5例が死亡した。高齢者においては, 原疾患はもとより併存疾患の評価と治療を的確かつ迅速に行い, 予測しうる合併症の対策を早期に実施することが重要であった。
  • 寺田 信國, 佐野 晴夫, 小玉 正智
    1995 年 20 巻 4 号 p. 245-249
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究は, 自己血輸血を施行するに際して, 消化器外科の領域における特徴的な問題点を明確にすることを目的とし, さらにわれわれの解決策について検討した。【方法と結果】1) 教室の胃癌治愈切除症例で輸血群 (145例) と非輸血群 (102例) とで比較した。輸血群で予後の増悪が見られ (p<0.01), 特にこの予後増悪はstageII+III+IV症例でみられ, この症例の多変量解析では, 輸血は予後に影響を与える因子の一つであった。2) 動物実験では, 同種血輸血は, 腫瘍増殖を促進したが, 同系輸血では影響はなかった。3) 胃癌の進行程度が進むにつれて, 貧血症例が多くなり, 貯血の適応からはずれる症例が多くなった。4) エリスロポエチン (EPO) は in vivo, in vitro の実験で腫瘍増殖に影響は与えなかった。5) 自己血輸血症例でEPO投与群 (21例), 非投与群 (46例) の比較検討では, 軽度貧血のある症例でもEPO投与で自己血輸血の対象とすることが可能となった。
  • 岩崎 昭憲, 秀島 輝, 馬場 美樹, 山下 純一, 川原 克信, 山下 裕一, 白日 高歩
    1995 年 20 巻 4 号 p. 250-254
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    サイトケラチン19フラグメント (CYFRA 21-1) の腫瘍マーカーとしての意義を肺癌11症例, 消化器癌9症例で腫瘍潅流静脈血を用いて検討した。CYFRA値は扁平上皮癌においてその高値が報告されてきたが, 術中潅流血を取することにより腺癌症例や正常値を示す例でも放出されていることが確認された。サイトケラチンと同様にCEAを同様に測定したが末梢血と潅流血との間に有意な差は認められなかった。CYFRA値は潅流血が末梢より有意に高く, 特に潅流血値は病期進行に伴い高値を示し相関していたのに比べ, 末梢血では病期と余り相関しなかった。CYFRA潅流血測定により現在末梢血で正常値を示す症例も含め, より正確に病態や癌の悪性度を把握でき, その評価は他の肺癌組織型や消化器癌にも応用できる可能性があると思われた。
  • 薄場 彰, 元木 良一
    1995 年 20 巻 4 号 p. 255-258
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    ヘモグロビンをマイクロカプセル内に封入し, 赤血球の代わりに酸素運搬体として利用する人工赤血球ネオレッドセル (NRC) を開発した。基礎実験では急性毒性, 慢性毒性ともに認めず, 凝固系や補体系を活性化せず, 1週間以内に代謝され網内系の貧食能も障害されず安全であった。NRCは出血性ショックに対し末梢血管抵抗を減少させ心指数を増加させた。また, 完全体外循環でも血管抵抗を著明に減少させた。NRCの粘度が血液と比較して極めて低いので末梢循環が改善したためと思われた。NRCはまた酸素運搬能でも同一ヘモグロビン濃度の赤血球の2倍以上運搬した。イノシットヘキサ燐酸の添加により酸素結合量が倍増した結果と思われた。以上NRCは安全でしかも出血性ショックや体外循環で赤血球を越える効果を示した。
  • 特に胸腔, 縦隔疾患を対象に
    乾 健二, 福瀬 達郎, 横見 瀬裕保, 池 修, 水野 浩, 和田 洋巳, 人見 滋樹
    1995 年 20 巻 4 号 p. 259-262
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    1992年8月から1995年3月までに18例の胸腔・縦隔疾患に対し胸腔鏡下手術を施行した。その内容は縦隔・胸壁腫瘍が12例, 胸部交感神経切除術が3例, 術後肺瘻が2例, 胸膜生検が1例であった。縦隔・胸壁腫瘍例の組織診断は先天性嚢腫が6例, 神経鞘腫5例, ホジキン病1例であった。嚢腫6例に対し内容吸引と嚢腫壁切除を施行し, 神経鞘腫5例はすべて胸腔鏡下に摘出した。交感神経切除術を3例に行い著効した。肺瘻症例は瘻孔を確認しfibrin糊で瘻孔を閉鎖した。胸膜炎1例において確定診断を得た。胸腔鏡手術は重篤な合併症がなく, 安全に施行可能であった。成績は満足すべきもので, 良性縦隔・胸壁腫瘍の切除や胸部交感神経切除術, 一部の術後胸腔合併症 (肺瘻, 乳糜胸, 膿胸など) の治療は胸腔鏡のよい適応と思われた。胸腔鏡用処置用具のさらなる発達, 手技の洗練, 症例の蓄積により今後ますます多くの胸腔内疾患に対して胸腔鏡の適応が広がると予想される。
  • 小田 勝志, 久直 史, 広瀬 邦彦, 小越 章平
    1995 年 20 巻 4 号 p. 263-266
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    Duplex scanを用いて, ITAの内径および流量を計測し,術前のグラフト適性と,術後の血行動態の評価について検討した。術前の対象は, 25歳から84歳の成人50例である。術後の対象はCABG術後の18例で, 左ITAをLADに使用した。Acuson 128を用い, 仰臥位で第3肋間よりカラードプラー法を用いて左右のITAを描出した。さらにパルスドプラー法にて平均流速を求めた。【結果】術前 : 50例中49例 (98%) で, ITAの検出が可能であった。左ITAは内径2.23mm, 流量49.1ml/min, 右ITAは内径2.34m, 流量56.7ml/minであり, 右は左に比べ内径, 流量とも有意に大であった。術後 : 18例中13例 (72%) でITAグラフトの検出が可能であった。最高流速は30cm/s, 平均流速は17cm/s, 内径は2.2mm, 流量は40ml/minであった。【結論】duplex scanを用いたITAグラフトの非侵襲的評価は術前後で有用だった。
  • 矢永 勝彦, 西崎 隆, 山本 一治, 武冨 紹信, 川原 尚行, 調 憲, 竹中 賢治, 杉町 圭蔵
    1995 年 20 巻 4 号 p. 267-269
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    一般に肝切除に際しては肝門部処理を実質切離に先行させることにより, 手術中の出血と経門脈的腫瘍細胞播種を抑制する。しかしながら, 臍静脈が肝円索内の門脈臍部へ交通する解剖学的特性を肝切除に応用すれば, 肝門部処理なしにバルーンカテーテルで経臍静脈的に門脈を閉塞した上で容易に肝実質切離や門派本幹に及ぶ腫瘍栓の除去が行える。本稿ではかかる肝切除手術手技を呈示する。
  • マイクロ波凝固装置とアルゴンビームコアギュレーターの比較検討
    高木 純人, 金子 弘真, 光丸 哲吉, 鈴木 孝雄, 柴 忠明, 継 行男, 山形 邦嘉
    1995 年 20 巻 4 号 p. 270-277
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    われわれは腹腔鏡下肝切除 (LH) において, 切除断端の凝固止血装置としてマイクロ波凝固装置 (MTC) とアルゴンビームコアギュレーター (ABC) を使用している。本稿ではわれわれの行っている手術手技を報告し, さらに臨床経験および実験的検討によりこれら凝固止血装置の特徴と有用性を明らかにした。LH終了後, MTCでの凝固により, 創部は灰白色に変化し, 表面は湿潤しているものの凝固能は高い。実験的検討では, 径2mm程度の血管であれば確実に凝固可能であった。しかし, 広範囲の切除面に対しては凝固にやや時間を費やす。一方ABCは, oozingであれば出血点を確認しながら短時間で広範囲の凝固止血が可能であった。しかし実験的検討では, 径2mm程度の血管を凝固する事はできなかった。またMTCに比ベカメラを曇らせる事が多く, さらに連続使用にて腹腔内圧を上昇させるため, つり上げ法による視野展開が原則である。LHは手術適応を選び, これら凝固止血装置の特性を理解して使用することにより, 安全な手術手技となり得る。
  • 宇根 良衛, 齋木 功, 内野 純一
    1995 年 20 巻 4 号 p. 278-284
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌 (HCC) 切除例の術前の血清alpha-fetoprotein (AFP), PIVKA-II値と臨床病理学的因子および予後との関係を検索し, その有用性を検討した。HCC切除例の140例を対象とした。術前の血清AFP値の異常値を20ng/mlとすると異常値群に腫瘍再発陽性例, PCNALI≧40%のものが有意に多く, 異常値を200ng/mlとすると異常値群にHBs抗原陽性例, 組織学的分化度の高分化型以外のもの, vp陽性例, Stage II以上のものが有意に多かった。一方, 血清PIVKA-II値の異常値群にHCV抗体陽性群, vp陽性群, im 陽性群, Stage II以上の群, 腫瘍再発陽性群が有意に多かった。さらに, 絶対非治癒切除例を除く予後との関連では, 術後累積生存率は血清PIVKA-II値の異常値群で有意に不良であった。無再発生存率はAFP, PIVKA-IIともに, 異常値群の予後が有意に不良であった。以上より, HCCにおいて術前の血清AFP, PIVKA-II値はその悪性度をよく反映し, 再発予知の指標としての価値は大と思われた。
  • 丹正 勝久, 島 敦之, 会田 光宏, 富田 凉一, 黒須 康彦
    1995 年 20 巻 4 号 p. 285-289
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    急性膵炎における単球, 好中球の活性酸素産生能を検索し, 重症度との関連を検討した。対象は軽症膵炎例5例 (M群), 重症膵炎例6例 (S群) で, 健常成人12例 (C群) を対照とした。これらの症例の単球, 好中球の活性酸素産生能をPhorbol myristate acetate (PMA) 非刺激下, 刺激下で, ケミルミネッセンス法により測定した。測定値はcumulative fluorescence intensity (CFI) で表した。単球CFIは, PMA非刺激下ではC群に比しM群, S群が高値を示したが両群間に差を認めなかった。PMA刺激下では, C群に比しM群, さらにS群がより高値を示した。好中球CFIはPMA非刺激下ではS群, 刺激下ではM群のみ高値を示した。好中球CFIは死亡群が生存群に比し低値を示したが単球ではこのような差を認めなかった。以上より膵炎重症化には好中球の産生する活性酸素がより直接的に関与していると考えれるが, 重篤例ではその産生はに抑制されるものと推察された。
  • 進行・再燃癌―進行性前立腺癌に対する新しい併用化学療法
    伊藤 博
    1995 年 20 巻 4 号 p. 290-296
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    抗男性ホルモン療法施行後再燃した前立腺癌14例およびホルモン抵抗性前立腺癌2例の合計16例の進行性前立腺癌stage D症例に対して, ヒト前立腺癌樹立細胞株を用いたclonogenic assay法による抗癌剤感受性試験の結果より得ている抗腫瘍作用の高いcarboquone, adriamycin, cis-platinumの3剤併用化学療法を施行した。近接効果について, 本邦前立腺癌の治療効果判定基準に準じての総合効果判定ではpartial response (PR) 3例, stable disease (Stable) 9例, progressive disease (PD) 4例であった。PR症例およびStable症例の平均効果持続期間は, それぞれ12.7±7.6カ月, 11.2±5.8カ月であり, またPR+Stable症例はPD症例に比し有意に生存期間の延長を認め (P<0.001), 予後が良好であった。副作用として, 食欲不振, 悪心, 脱毛, 造血器障害などが認められたが, いずれも中等度以下であった。
  • 三方 律治
    1995 年 20 巻 4 号 p. 297-300
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    浸潤が浅部筋層までの未治療膀胱癌73例に対して初回外科的治療として経尿道的切除術を行った。男61 例, 女12例で, 年齢は29から87歳 (平均64.8歳) であった。G分類ではG1が9例, G2が40例とG3が28例で, T分類ではTaが6例, T1が50例とT2が17例であった。 全73例の累積再発率をKaplan-Maier求めた。1年再発率は41.0%, 2年再発率は60.5%, 3年再発率は69.4%, で再発しない期間は平均769日 (標準誤差99日) であった。G1症例の再発率はG2, G3症例にくらべ有意 (P=0.0345) に低率であったが, T分類別では差を認めなかった。反面5年生存率は81%と高率であった。 浸潤が浅い膀胱癌の治療法として経尿道的切除術は優れているが, 今後は再発防止法の検討が必要であることを考察した。
  • リンパ節内の血流パターン分類を中心に
    四條 隆幸
    1995 年 20 巻 4 号 p. 301-308
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    体表リンパ節に対する良悪性の鑑別診断は, Bモード法のみでは困難である。著者はカラードプラ法によるリンパ節内血流パターンの観察を行い, Bモード法も加えた独自の診断基準を作成し検討を行った。その結果, 癌転移リンパ節, 悪性リンパ腫, 炎症性リンパ節のそれぞれに特徴ある所見を見出し, 46例に対しprospective studyを施行した結果, overall accuracyは93%と非常に良好であった。特に炎症性リンパ節のsensitivity, specincityはともに100%で, 良悪性の鑑別診断が可能と考えられた。Bモード法では大きさや扁平度より, リンパ節門の所見が良悪性の鑑別診断に有用であった。同時に施行したリンパ節内拍動流の波形分析ではResistance Indexが癌転移リンパ節と炎症性リンパ節間に有意差を認めたが診断率は低く, カラードプラ法を用いた血流パターン分類を中心にした鑑別診断法が最も有用であると考えられた。
  • 成高 義彦, 小川 健治, 島川 武, 我妻 美久, 石川 信也, 今野 宗一, 若杉 慎司, 渡辺 俊明, 細川 俊彦, 勝部 隆男, 芳 ...
    1995 年 20 巻 4 号 p. 309-313
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    従来の非開胸食道抜去術の盲目的な手術操作を回避する目的で, 縦隔鏡を用いてテレビモニターの観察下に非開胸食道抜去術を試み, 良好な結果がえられたので報告する。 症例は72歳の男性, Imの早期食道癌および噴門部胃癌の重複癌である。手術は正中切開にて開腹, 噴門側胃切除を施行したのち, 後縦隔を開大し, 腹腔鏡の器械を用いて直視下にて食道を気管分岐部の近くまで剥離した。次に左頚部の切開創から縦隔鏡を食道の後壁, 側壁に沿わせて挿入し剥離を進め, 細い血管は電気凝固して切離した。食道前壁の剥離操作はやや困難なため, vein stripperを腹腔側より挿入, 先端を食道断端の外側に固定し, 腹腔側へ反転牽引し, 縦隔鏡下で止血操作を行いつつ抜去した。食道抜去操作による出血は50ml程度であった。 本術式は盲目的操作に起因する合併症を減少させることが可能で, よりpoor riskの症例や高齢者症例への応用が期待される。
  • 周術期管理を中心に
    柴 忠明, 鈴木 孝雄, 上田 一夫, 緒方 秀昭, 本田 善子, 白倉 立也, 金子 弘真, 池田 正視, 辻本 志郎
    1995 年 20 巻 4 号 p. 314-318
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    42歳, 女性。特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) にS状結腸癌, 子宮頸部異型上皮, 子宮筋腫を合併した1例にS状結腸切除 (D2), 膀胱部分切除, 単純子宮全摘, 両側付属器切除を併施する機会を得た。術前処置としてγ-グロブリン大量投与を行い血小板数の増加をはかるとともに, 術後に濃厚血小板液を輸注するなどして安全に手術を遂行し得た。術後約6年を経過した現在, 再発の徴候もなく順調である。
  • 鈴木 卓, 杉浦 有重, 東 永誠, 石丸 正寛, 加藤 昌弘, 軽部 義久, 須田 直史, 吉川 貴己, 小林 順弘, 田島 芳雄
    1995 年 20 巻 4 号 p. 319-322
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/06/17
    ジャーナル フリー
    症例は54歳の女性。約8年前から原発性骨髄線維症の診断にて, 当院血液内科において加療中であった。1994年1月頃から腹部圧迫感と全身倦怠感が出現し, 同年10月の定期検査で著明な貧血を指摘され, 11月7日精査加療目的に血液内科に入院した。入院時の血液検査所見は汎血球減少を呈し, 幼若白血球や赤芽球, 奇形赤血球の出現も認められた。腹部CT上, 巨脾を認めた。原発性骨髄線維症の脾腫による脾機能亢進症と診断し, 同年12月13日外科にて脾摘を施行した。摘出脾の重量は2150gであった。術後は腹部圧迫感などの自覚症例は消失し, 血液検査所見も改善した。原発性骨髄線維症の一般的予後は2~3年といわれ, 本症例も今後のfollow-upが重要であるが, 術後5カ月の現在では患者の満足度も得られており, 脾摘は有効であったと思われる。
  • 特に外来超音波検査について
    阿部 裕行, 伊藤 博, 岡 史篤, 池田 一則, 中神 義三, 井出 道也, 近藤 亮一
    1995 年 20 巻 4 号 p. 323-326
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    尿膜管疾患は比較的稀な疾患とされているが, 1992年10月~1994年9月の2年間に4例を経験した。2例は尿膜管嚢胞で他の2例は尿膜管癌であった。年齢は25歳から67歳, 性別は, 男性3例, 女性1例であった。これらの疾患の診断には, MRIやCT検査が重要ではあるが, 超音波検査が日常の外来診療時に施行でき, 患者への侵襲もすくなく, 非常に簡便であり, 有用であると考えられた。一方, 治療法については, Urachal cyst や External urachal sinusでは腺癌の発生に関与するとされていることから, 6) 尿膜管摘出術を行い, 全例経過は良好である。
  • 面川 進, 三浦 亮, 小山 研二
    1995 年 20 巻 4 号 p. 327-330
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 石川 泰章, 加藤 良成, 井口 正典, 秋山 隆弘
    1995 年 20 巻 4 号 p. 331-335
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    続発性上皮小体機能亢進症による骨関節痛を主訴とした66例に対し上皮小体摘除術を施行した。術後, 自覚症状による骨関節痛は改善群は44例, 非改善群は22例で, 改善率は66.7%であった。両群間で, 年齢, 透析期間および摘除総重量に有意差はなかったが, 男女比において非改善群は女性の頻度が高かった。血清Ca, イオン化Ca, ALP, C末端PTHの術前値および術後の変化を比較したが有意差はなく, 血液化学検査のみで手術適応を決め得る有用なパラメーターはなかった。骨塩密度は術前値には有意差はなかったが, 改善群では後有意の増加がみられた。一方, 非改善群は術後も低値のままであった。骨関節痛に対する上皮小体摘除術の適応は血液化学検査, 骨X線での線維性骨炎の有無を中心として総合的に決定するが, 判断の困難な症例では骨塩量測定が補助診断として有用である。
  • 浜田 吉則, 加藤 泰規, 高田 晃平, 佐藤 正人, 岡村 成雄, 真田 俊明, 辻 正純, 古形 宗久, 日置 紘士郎
    1995 年 20 巻 4 号 p. 336-339
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    小児肝癌における外科的治療の意義を, 肝切除施行例と非切除例との比較から臨床的に検討した。対象は小児肝癌8例で, 肝芽腫6例, 成人型肝癌2例であった。非切除の4例はいずれもT4によるStage III B以上で肝切除不能例であった。VCR, CPA, ADR, CDDPなどによる動注あるいは全身化学療法を施行したが, 治療開始後3から14カ月で死亡した。切除4症例はすべて肝芽腫で, うち3例にCDDP, ADM, VCR, CPAを主体にした全身化学療法と肝動注を術前に施行した。腫瘍が残存したStage III Bの1例は術後11カ月で死亡したが, 完全に腫瘍を切除できた症例では術後7年, 3年の現在再発なく健在である。小児肝癌の長期生存に腫瘍の外科的完全切除が必要条件であるが, 化学療法との組合せも治療上非常に重要であると考えられた。
  • 田中 淳一, 浅沼 義博, 小玉 雅志, 進藤 吉明
    1995 年 20 巻 4 号 p. 340-343
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 矢部 裕
    1995 年 20 巻 4 号 p. 344-345
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2009/08/13
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