日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
21 巻, 1 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
  • 東間 紘
    1996 年 21 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 梁井 皎
    1996 年 21 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    マイクロサージャリーによる組織移植術は, 今や確立された術式になっているが, 術後に移植組織の血流障害などのトラブルを生じることもあり, そのような場合には, できるだけ早期に適切な処置を行うことが必要である。今まで, 各種のモニタリング法が考案されてきたが, どのような移植組織に対しても用い得る決定的なモニタリング法は未だ開発されていない。本稿では, モニタリング法に関して, 現在どの様な方法が広く用いられ, どのような問題点があるのか, さらに今後理想的なモニタリング法として, どのようなものが求められているのかを述べる。
  • パルスオキシメーターの有用性について
    上田 吉生, 高島 正広, 橋本 賢二
    1996 年 21 巻 1 号 p. 14-21
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    われわれは, パルスオキシメーターをマイクロサージャリーによる組織移植術後のモニタリングに応用している。今回動物を用いた基礎実験と臨床症例をもとにパルスオキシメーターの有用性を検討した。パルスオキシメーターは, レーザードップラー血流計との比較において, 操作性に優れ瞬時に正確にしかも非侵襲に持続モニタリングが可能であることが証明された。また, 動静脈血行障害の鑑別やアラーム設定が可能などの利点を有している。臨床的には切断指肢再接着・足趾移植などが本法の最も良い適応である。その他直視下で循環状態の観察が不可能な遊離空腸移植や血管柄付き遊離骨移植などの“buried flap”も本法の適応になる。また口腔咽頭再建で循環状態の観察が困難な皮弁においてモニタリング皮弁の作成が可能であれば, 本法の適応となりえる。
  • 貼付型皮膚表面温度インジケーターを改良して
    相原 正記, 石田 寛友
    1996 年 21 巻 1 号 p. 22-25
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    1988年, 発売された皮膚表面温度インジケーター (プロチェッカー, 協和メデックス, 東京) は表面皮膚温度を正確にかつ迅速に知ることができるうえ, 簡便, 安価である。そのため著者らはこの皮膚表面温度インジケーターを, マイクロサージャリーによる遊離皮弁移植手術後の表面皮膚温度モニターとして用いている。初期には単純に貼付するのみであった。しかし直径18mmの大きなサイズのインジケーターを使用しても夜間の見まわり時に数字が見えにくく誤認しやすいという欠点があった。この点を改善するため, 著者らは本インジケーターの一部33の数字のみを使用することにより, 夜間の視認性を向上させ, 色をチェックすることにより温度変化を知ることが可能となったので改良点を中心に使用経験を報告した。
  • 水沼 雅斉, 梁井 皎, 西田 匡伸, 別府 倫兄
    1996 年 21 巻 1 号 p. 26-29
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    マイクロサージャリーを用いた組織移植の成功には, 手術手技は勿論のこと, 術後のモニタリングも大きな鍵を握る。モニタリングに関しては様々な方法の発表があるが, いずれも皮弁を通じて行われるものがほとんどである。皮弁を持たない遊離腸管, 骨弁, 筋弁移植においては, 未だ確立されたモニタリング法がないのが現状である。われわれはあらゆる組織移植術に対応可能な, 内視鏡でのドップラー使用によるモニタリング法を考案したので発表する。
  • レーザードップラー血流計と皮膚温計測器の併用
    副島 一孝, 菊池 雄二, 野崎 幹弘, 竹内 正樹
    1996 年 21 巻 1 号 p. 30-36
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    移植組織の血行のモニタリングはより安全に移植手術を行うために重大な課題であるが未だに確立した方法はない。日常の臨床で行われるモニタリング法の条件として簡便であること, 短時間に繰り返し行えること, 無侵襲であること, および検者が異なっても再現性があることなどが挙げられる。われわれはこれらの条件をある程度満たす客観的モニタリング法としてレーザードップラー血流計と皮膚温計測器を選択し併用して用いている。レーザードップラー血流計としてはPERIMED社製PeriFlux3を皮膚温計測器としてはANRITSU社製Data Collector AM-7002を用いている。今回, 臨床例において本法の有用性を検討するとともに, 移植組織のモニタリングにおいて問題となることの多い動静脈の血行不全の区別に関してその対応策をラットモデルにて検討し興味ある結果を得たので若干の考察を加えて報告する。
  • モニタリング法への光ファイバーの応用と可能性について
    澤泉 雅之, 丸山 優, 大崎 雅海
    1996 年 21 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    微少血管外科における血管吻合後のモニタリング法として, われわれは, 近年さまざまな医療分野で取り入れられている光ファイバーの特性に注目し, 明視下吻合部血流測定法として応用を試みた。この方法は, 計測とイメージ伝送用の2系列の光ファイバーを利用し, 吻合部動静脈の血流を鏡視下に直接計測することにより, 吻合部の異常をより早期に感知することを目的とする。実験的にラット下肢に阻血状態を作成し, レーザー血流計とファイバースコープを用いて検討したところ, 血流の途絶を鋭敏に反映し得ることが確認された。臨床的には, 安定した計測値を得るための工夫や簡便なシステムの構築などの問題が残る。しかし, 吻合部の血流を直接知り得る方法の一つとして有用であり, さらに改良を加えることにより今後広く応用可能と考えられる。
  • 開発のための基礎的研究と心大血管手術症例での臨床検討
    上田 恵介, 新井 庸倫, 美濃島 卓哉, 芝田 敏勝, 北沢 貴樹, 福原 純一郎, 山下 伸樹, 田島 数子, 尾本 良三
    1996 年 21 巻 1 号 p. 42-50
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    ヒスチジンとATPを添加した酸素加St. Thomas液 (酸素加SHA液) について, (1) 長時間心保存効果, (2) 溶液の安定性, (3) 臨床使用時の問題点の検討を行った。(1) 犬を用い, 酸素加SHA液で12時間心保存し同所性心移植を行った。左室圧は, 摘出前値で110±20mmHg, 体外循環離脱後2時間値で109±17mmHg, 左室拡張末期圧は各々3.8±1.5mmHg, 2.3±1.2mmHg, 一回心拍出量は各々9.7±2.3ml, 8.4±1.9mlと, 良好な心機能を維持した。(2) バック保存したヒスチジン添加酸素加液では7日以後でも溶存酸素分圧>650mmHg, 溶液pH<7.0であった。(3) 心大血管手術での心筋保護液として酸素加SHA液を使用し, 再灌流後除細動率, 術後不整脈発生率, 術後心機能等で良好な結果を得た。すなわち, 酸素加SHA液は心移植での臨床使用可能な心停止保存液であることが示唆された。
  • 新保 秀人, 安田 冬彦, 宮村 俊行, 田中 仁, 徳井 俊也, 水元 亨, 小野田 幸治, 高尾 仁二, 谷 一浩, 田中 國義, 湯浅 ...
    1996 年 21 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    高齢者では心臓以外の臓器にも障害を合併することが多く, 術中, 術後管理は成績向上に重要である。術後人工呼吸からの早期離脱を目的として術中管理を行い好結果を得たので報告する。最近10年間に体外循環を使用して手術を行った70歳以上の112例を対象とし, 前期, 後期に分けて検討した。術中フェンタネスト, 気管内挿管日数ICU滞在日数は前期, 後期で各々107vs31ml, 5.1vs1.4日, 7.1vs2.6日で有意な差を認めた。中枢神経系以外の合併症は前期18例 (23%), 後期2例 (7%) で有意に減少した。中枢神経系合併症は改善傾向はあるものの有意差はなかった。人工呼吸からの早期離脱などの工夫により合併症の頻度が減少し手術成績も改善傾向にあった。しかし, 術後能合併症の頻度はまだ高く, 術中管理に一層の工夫が必要であると考えられた。
  • 田中 利明, 数井 暉久, 森下 清文, 小松 作蔵
    1996 年 21 巻 1 号 p. 55-58
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    1985年1月より1995年5月までに手術を施行した冠状動脈疾患 (CAD) を伴う動脈硬化性腹部大動脈瘤 (AAA) 36例について検討した。内訳は, CADに対する手術をAAAに先行させたもの11例, CADとAAAを同時に手術したもの5例, CADは内科治療でAAAのみ手術したもの16例, 切迫破裂のためAAAの手術をCADに先行させたもの4例であった。術後早期死亡1例 (2.7%), 遠隔死亡4例 (11%) でありあきらかな心事故はなかった。最長10年での実測生存率ではCAD合併例81.6%, CAD非合併例85.7%であり, ほぼ同程度のリスクで手術可能であった。本症に対する方針としては, 冠血行再建術を先行させる二期手術を原則とし, 破裂例および切迫破裂例ではAAAに対する手術を先行させる。左冠状動脈近位部に病変のない, またはあっても側副血行が十分な場合は, 十分な薬物治療のもとにAAAのみの手術を行うこととする。
  • 河内 寛治, 川田 哲嗣, 小林 修一, 水口 一三, 多林 伸起, 北村 惣一郎
    1996 年 21 巻 1 号 p. 59-62
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    腹部大動脈瘤 (AAA) を合併した重症虚血性心疾患例に対して冠状動脈バイパス手術 (CABG) とAAA手術を同時に施行し, 手術成績, 手術合併症および遠隔期成績について検討した。対象は14例で年齢は67.2±5.4歳, 男性12例, 女性2例であった。LMT病変4例, 3枝病変6例, 2枝病変3例で14例中13例 (93%) が多枝病変例であった。陳旧性心筋梗塞を10例 (71%) に認めた。動脈瘤の大きさは6.2±1.0cmであった。手術死亡および在院死亡はなく, 現在14例全例が生存中である。CABGのグラフト数は2.6±0.7本/患者で内胸動脈は12本 (86%) 使用した。術後の手術合併症は出血による再開胸止血術1例 (7%), 皮膚創部感染症1例 (7%) を認めたのみで他の重篤な合併症はみられなかった。遠隔期の成績では死亡はなく, 再手術, 術後のPTCA, 狭心症再発などのcardiac eventもみられなかった。術後平均3年未満の成績であるがNYHA1.1±0.2度を示し, 良好な成績であった。患者にとっては1回の手術で手術が完了するという利点が認められ, 患者全員がその結果に満足を示していた。
  • 一期的手術症例の検討
    下川 新二, 豊平 均, 西元寺 秀明, 森山 由紀則, 古賀 正哲, 渡辺 俊一, 平 明
    1996 年 21 巻 1 号 p. 63-67
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    腹部大動脈瘤 (AAA) と冠状動脈疾患 (CAD) 合併の5例に人工血管置換術と冠状動脈バイパス術 (CABG) を一期的に行った。平均CABG枝数は1.4枝で, AAA手術はCABG後に行い, 全手術時間は平均9時間18分であった。3例では体外循環開始前に緊急時に備えて腹部大動脈のtapingを行い, うち1例では部分体外循環下に, 2例では体外循環離脱後に, AAA手術を行った。残り2例ではCABG終了後に部分体外循環下に開腹を行い, AAA手術の最中に体外循環より離脱した。3例で下腸間膜動脈 (IMA) を再建した。全例周術期心筋梗塞はおこらなかった。1例をS状結腸壊死で術後4カ月で失ったが, 他の4例は現在元気に生活している。これらの経験から一期的手術は十分に可能で, 今後は低左心機能症例以外では, CABG後に循環動態が安定していれば体外循環を離脱してから開腹しAAA手術を行う方針である。術後腸管虚血の発症を念頭において対処すべきである。
  • 後藤 平明, 宮内 好正, 宇藤 純一
    1996 年 21 巻 1 号 p. 68-71
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    冠動脈病変を合併した腹部大動脈瘤患者23例を対象に腹部大動脈瘤手術を優先し, 手術後早期ならびに遠隔成績について検討した。23例中心筋梗塞の既往例は6例であり, 冠動脈造影による有意狭窄病変は1枝6例, 2枝11例, 3枝6例であった。左冠動脈主幹部有意狭窄病変例はなかった。腹部大動脈瘤手術による周術期心筋梗塞発生例はなかった。手術死亡は1例で, 胸部大動脈瘤の破裂によるものであった。遠隔死亡は冠拡張薬の服薬も冠血行再建術も拒否した1例のみにみられ, 本例は心筋梗塞をきたしたものの延命し44カ月後に肺炎にて死亡した。心筋梗塞をきたさずに5年生存する率は91.3%であった。
  • 今関 隆雄, 村井 則之, 山田 崇之, 木山 宏, 大島 永久
    1996 年 21 巻 1 号 p. 72-74
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    1987年6月から1994年2月までに, 緊急破裂例を除いて63例の腹部大動脈瘤手術を行った。手術死亡は2例 (3%) にみられ, 病院死は3例 (4%) であった。51例 (81%) に冠動脈造影を行い, 29例 (48%) に有意冠動脈狭窄を認めた。AAAの準緊急手術適応 (urgent) を最大径6cm以上, または4ないし6cmで急な増大傾向のあるものまたは腸骨動脈瘤という破裂しやすい病変を考え, 同時に合併する冠動脈狭窄で手術適応のある不安定狭心症を準緊急適応 (urgent) と考え一期的手術の対象にした。この適応で4例の一期的手術を行い (2例は体外循環下同時手術) 体外循環離脱後の1例をMNMSで失った。8例に二期的手術を行い (CABG→Ygraft 5, Ygraft→PTCA : 2, Ygraft→PTCA→CABG : 1) 最後の症例をLOSで失った。
  • 田中 弘之, 成澤 隆, 松尾 義昭, 森保 幸治, 饗場 正宏, 村田 升, 村上 厚文, 山田 真, 井上 恒一, 高場 利博
    1996 年 21 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    過去12年間に当科で施行された腹部大動脈瘤 (AAA) 待機手術112症例をペルサンチン負荷心筋シンチなどを用い冠動脈疾患の有無, 程度で次の3群に分類し, その成績を検討した。冠動脈疾患なし (72例);コントロール群, 安定した冠動脈疾患を伴うもの (29例) : I群, 不安定な冠動脈疾患を伴うもの (11例) : II群。コントロール群, I群ではAAA手術のみを施行し, II群の中で無症状のAAA9例では, 冠血行再建術後にAAA手術を2期的に施行した。切迫破裂のAAAの2例では1例でAAA手術後に冠血行再建術を施行し, 他の1例では冠動脈バイパス術とAAAの同時手術を施行した。コントロール群, I群に1例ずつの軽度心合併症を認めたが術後早期心臓死はなかった。II群では同時手術の1例を失ったが2期的手術の他の10例に術後心臓合併症も早期死亡も認めなかった。不安定な冠動脈疾患がある場合, 2期的手術は安全性が高いと考えられた。
  • 森田 理一郎, 金子 公一, 菅 理晴, 尾本 良三
    1996 年 21 巻 1 号 p. 79-82
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    中葉発生肺癌における術後成績とリンパ節転移様式からその適応術式について検討した。原発性肺癌切除例217例のうち中葉発生であった9例 (4.1%) を対象とした。男性7例, 女性2例, 年齢51~77歳, 組織型は腺癌6例, 扁平上皮癌3例, 術後病期はI期5例, II期2例, IIIA期2例であった。pN0は全てI期で中葉切除が4例, 中下葉切除が1例に行われ, pN1はII期2例で中下葉切除が行われ, 全例再発なく生存中であった。いずれも中葉切除+R2a郭清で治癒切除できるものであり, N0-1のI, II期に対しては中葉切除が適応術式と考えられた。pN2は中下葉切除が1例, 肺摘除1例であったがともに早期に死亡した。N2では1b群リンパ節を越える#12u, 1にも転移する場合があり, N2, IIIA期に対しては二葉切除を基準とし, #12u, 1リンパ節も標準的に郭清すべきと考えられた。
  • Hironori Kaneko, Sumito Takagi, Yuichiro Ohtsuka, Masaaki Yoshino, Tet ...
    1996 年 21 巻 1 号 p. 83-86
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    The application to laparoscopic hepatectomy has not been actively developed because of the technical and anatomical difficulties. In this article we describe our surgical technique and the materials used in the experimental model of pigs.
    A laparoscopic left lateral lobectomy was performed in six pigs.
    The left medial and lateral lobes of the liver were grasped after four trocars were introduced. An ultrasonic surgical system was used to dissect the parenchyma. The portal vein and hepatic vein were carefully dissected free from surrounding tissue. The vascular pedicles were secured with an Endo-clip and/or transfixing suture, cut with the scissors or Endo-cutter. The resected liver was placed in a nylon sack (Endo-pouch) and removed through a trocar site by extending the incision.
    A left lateral lobectomy was performed safely in all six pigs. Surgery required 90 to 130 minutes and blood loss was less than 100 ml except one animal. All pigs were stable condition. No bile leakage or site of bleeding was observed at autopsy.
    The laparoscopic hepatectomy, especially partial hepatectomy or left lateral segmentectomy, in select number of patients is considered to be a feasible operation from the result of our experience.
  • 田辺 博, 飯田 豊
    1996 年 21 巻 1 号 p. 87-90
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    早期胃癌を合併した胃原発悪性リンパ腫の1例を経験した。症例は77歳, 男性。食欲不振を主訴として近医を受診しUGIにて胃の異常を指摘されて紹介された。内視鏡検査では胃体中部大彎側に深い潰瘍性病変と前庭部小彎側に低い隆起性病変を認めた。生検では体部が悪性リンパ腫, 前庭部が腺癌の所見であった。早期胃癌を伴った胃原発悪性リンパ腫の診断で平成5年7月20日手術を施行, R2リンパ節郭清を伴う胃全摘を施行した。摘出標本では胃体部大彎側にBorrmann III型の病変があり前庭部には2.5×2cmの低い隆起性病変を認めた。組織学的にはmalignant lymphoma foicular lymphoma medium sized cell type, sm, ly0, v0とwell differenciated adenocartinoma, m, ly0, v0であった。同一胃内に胃癌と胃悪性リンパ腫が共存することは比較的まれであり報告する。
  • 安斎 光昭, 冲永 功太, 馬場 靖雄, 矢後 岳志, 白石 賢子, 富家 隆樹, 富岡 峰敏
    1996 年 21 巻 1 号 p. 91-95
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    胃癌の再発形式では, 腹膜再発, 肝転移などの頻度は高いが, 単独の骨転移再発は少ない。われわれは, 術後6年目に胃癌の肋骨転移再発をきたした症例を経験したので報告する。患者は47歳女性で, 1986年10月, 中・下部に3型, 中部に広範囲なII c advanced胃癌に対し, 幽門側胃切除術を施行した。中下部の病変は未分化型が主であり, 中部の病変は分化型が主であった。術後は補助免疫化学療法を施行し, 術後5年間の1991年11月頃までは定期的に外来に通院していた。術後6年目の1992年6月右背部痛が出現したが, 特に積極的治療を受けなかった。1993年4月骨シンチグラムにて右第8肋骨転移を疑われ, 1993年6月右第8肋骨部分切除を施行し, 胃癌の再発が確認された。抗癌剤感受性試験を実施し, 術後化学療法を施行したが, 多発性骨転移をきたし, 術後8年4カ月目に死亡した。
  • 柴 忠明, 野崎 達夫, 橋村 千秋, 高木 純人, 池田 正視, 金子 弘真, 鈴木 孝雄, 継 行男
    1996 年 21 巻 1 号 p. 96-100
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    露出腫瘤型十二腸乳頭部早期癌を経験したので報告する。症例は61歳, 男性。全身倦怠感と心窩部痛に対して施行された上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭部に露出腫瘤型に相当する腫瘍が認められた。計2回施行した生検ではいずれもgroup IIIであったが, ERCP所見等で閉塞性黄疸の発生が予見されたため開腹手術を施行した。臨床的には十二指腸乳頭部癌が疑われたため膵頭十二指腸切除を施行した。手術所見では十二指腸乳頭部に露出腫瘤型の腫瘍を認め, 胆道癌取扱い規約によるとHo, Panco, Do, Po, N (-), stage Iであった。病理組織学的にはm, panco, do, lyo, Vo, n (-), ow (-), aw (-) であり十二指腸乳頭部早期癌と診断された。本症例はいわゆるcancer in adenomaを呈していた。
  • 飯田 豊, 田辺 博, 伊藤 英夫
    1996 年 21 巻 1 号 p. 101-104
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    外傷性膵損傷は合併症を伴うことも多く治療に難渋する外傷疾患の1つである。今回われわれはERCPにて主膵管断裂と診断した外傷性膵損傷に対して外科的手術を施行した1例を経験したので報告する。症例は19歳, 男性。河原で遊んでいて岩で上腹部を強打し来院した。入院時検査で膵損傷を疑い腹部CTを施行したところ, 膵頭部に大きさ5×4cmの内部不均一な腫瘤陰影を認めた。保存的に治療していたが腹痛が増強するため膵管損傷を疑いERCPを施行したところ, 膵頭部にて主膵管の断裂が確認され, 造影剤の流出を認めた。保存的加療は不能と判断し手術を施行した。術式はLetton & Wilson法とした。外傷性膵損傷の予後を決める因子として主膵管損傷の有無は重要であり, 必要に応じてERCPを行うことにより, 手術の必要性の有無と適切な術式を判断する上に有用と考えられここに報告する。
  • 佐野 純, 松村 幸次郎, 樫塚 登美男, 本多 俊太郎, 金崎 周造
    1996 年 21 巻 1 号 p. 105-109
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    小網原発と思われる平滑筋芽細胞腫の1例を経験した。症例は51歳の男性で, 無症状ながら人間ドックの検診で発見され, 開腹の結果小網原発腫瘍と診断し, 外科的に摘出した。術後の病理組織学的検査で平滑筋芽細胞腫と診断された。自験例は文献上検索し得た範囲内では, 本邦第3例目の症例と思われる。
  • 佐治 重豊
    1996 年 21 巻 1 号 p. 110
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 山本 保博
    1996 年 21 巻 1 号 p. 111
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
feedback
Top