日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
21 巻 , 6 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
  • 小林 英司
    1996 年 21 巻 6 号 p. 917-921
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    輸血後GVHDは, 移入されるドナーリンパ球によって生じるが, ホスト側の免疫状態も重要な因子である。手術侵襲による宿主免疫能低下と輸血後GVHDの発症の関係を著者らラットGVHDモデルを用いた実験結果より概説した。手術操作を加えることでホストのリンパ球の増殖応答が障害されGVHD対する感受性が増加した。輸血のタイミングは術中が最も危険であったが術前輸血も注意が必要であった。手術の種類は臓器阻血を加えるものが危険であった。エンドとキシン血症がGVHDの発症を助長するため阻血―再潅流障害及び術後の感染症を予防することが肝要と考えられた。
  • 今野 弘之
    1996 年 21 巻 6 号 p. 922-928
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    癌の進展における血管新生の意義が注目され, 腫瘍血管を標的とした血管新生阻害剤の抗腫瘍効果が注目されている。われわれはヒト胃, 大腸癌に対する血管新生阻害剤の抗腫瘍効果を実験的に検討した。ヌードマウスにヒト癌株を同所移植することにより, 肝転移モデルを作製した。血管新生阻害剤としてはFumagillinの誘導体であるTNP-470を用いた。TNP-470は胃癌, 大腸癌いずれの肝転移も対照群に比し有意に抑制した。また腫瘍倍加時間の短い腫瘍に対しては腫瘍増殖抑制効果を示した。さらに移植腫瘍切除モデルを用いた検討では, 切除後転移の増悪を認めたがTNP-470は有意に増悪を抑制した。TNP-470をはじめとする血管新生抑制剤は消化器癌に対する新しい治療戦略となりうる。
  • 矢崎 恒忠, 梅田 隆
    1996 年 21 巻 6 号 p. 929-936
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    高齢化社会になった本邦では前立腺肥大症 (BPH) が増加している。外科治療としては経尿道的前立腺切除術 (TUR-P) が現在最もよく行われているが, より少ない侵襲でBPHによる尿路閉塞を治療する新しい治療法が最近続々と出現しはじめている。しかし現在のところTUR-Pの治療効果を凌駕するほど有効なものはない。本文ではまずTUR-Pに用いられる手術器具の最近の進歩について述べる。ついでより侵襲を少なくするための技術について述べる。さらにTUR-P同様内視鏡手術を用いるレーザー切除術 (VLAP) および電気蒸散術 (TVP) を考慮したTUR-Pの長所, 短所や合併症などについて述べる。最後にTUR-Pの今後の展望についても述べる。
  • 岡林 均, 嶋田 一郎, 仁科 健, 曽我 欣治
    1996 年 21 巻 6 号 p. 937-940
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    冠動脈病変に脳血管病変を合併する冠動脈バイパス術症例の増加がみられ, 手術に際し脳神経合併症の発生が危惧される。従来, 欧米に比べ日本人の脳血管病変は頭蓋内病変が多く頭蓋外病変は少ないとされてきたが, 最近頭蓋外病変が増加してきたとの報告がみられ, 冠動脈バイパス術症例でも同様の傾向が見られる。われわれは脳外科と協力して頭蓋外脳血管病変を合併する冠動脈バイパス術症例に対し, 積極的に同時手術を施行してきた。現在までに27症例に対し冠動脈バイパス術と同時に内頚動脈内膜切除術及び椎骨動脈再建術を施行し良好な結果を得た。頭蓋外脳血管病変を有する冠動脈バイパス術症例の治療に際し, 脳外科と協力して共同手術を施行することは周術期の脳神経合併症を減少させるのに有用である。
  • 大内 浩, 岡部 英男, 長田 信洋, 金子 幸裕, 伊藤 健二
    1996 年 21 巻 6 号 p. 941-947
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    小児開心術におけるアプロチニンの凝固線溶系に対する影響および有効性について検討した。当施設で施行した15歳未満の開心術31例を以下の3群に分けた。I群 : アプロチニンを使用せず, 13例。II群 : 人工心肺プライミングに15000KIU/Kgのアプロチニンを投与し1時間毎に5000KIU/Kg追加, 8例。III群 : プライミング30000KIU/Kg投与および10000KIU/Kg/Hr追加, 10例。血小板数および凝固機能は各群に有意差を認めなかった。線溶系はプラスミノーゲンが術直後値でI群―II, III群間に有意差 (p<0.01) を認めた。α2プラスミノーゲンインヒビターは術直後直でIII群―I群, II群間 (p<0.01), 1群―II群間 (p<0.05) に有意差を認めた。術後12時間出血量はIII群と他群に有意差 (p<0.05) を認めた。今回のプロトコールによる小児開心術におけるアプロチニン投与では血小板数および凝固系に影響をおよぼさず, 線溶系は有意に抑制された。術後早期出血滅少のためにはIII群の投与量が適当と思われた。
  • 仲田 文造, 鄭 容錫, 小川 佳成, 小川 正文, 井上 透, 山下 好人, 前田 清, 澤田 鉄二, 曽和 融生
    1996 年 21 巻 6 号 p. 948-950
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    高度進行胃癌に対して化学療法を行う前に感受性を予測する目的で, 化学療法によるapoptosisを誘導するのに重要な役割をもつ野生型p53との関連から, 内視鏡生検標本中のp53蛋白の免疫組織化学的染色を行った。対象は5-FU+low dose cisplatinによる化学療法を施行した進行・再発胃癌15例である。化学療法施行前の生検標本を用いてp53およびbcl-2蛋白のABC染色を行い, またTUNEL法によるapoptotic indexの変化を測定した。施行前の変異型p53の発現率は奏効例 (CR1例, PR5例) で33%, 非奏効例 (NC9例) で100%であり, 有意差を認めた。bcl-2蛋白はNCの1例のみが陽性であった。施行前後でapoptotic indexは有意ではないが増加傾向を認めた。結論として, 胃癌に対する化学療法施行前の生検標本中の変異型p53蛋白発現は化学療法に対する抵抗性の予測に有用であった。
  • 市倉 隆, 大草 康, 辻本 広紀, 冨松 聡一, 望月 英隆
    1996 年 21 巻 6 号 p. 951-955
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍家族歴陽性胃癌について腫瘍増殖能およびp53蛋白発現に注目して検討した。1989~93年の胃癌切除339例を, 悪性腫瘍に罹患した第一度近親者が発端者以外に2人以上であった集積群 (24例), 1人であった中間群 (77例), 0人であった対照群 (238例) に分けた。近親者に発生した悪性腫瘍は胃癌が圧倒的に多かった。臨床病理学的諸因子に各群間の差はなかった。胃癌組織のパラフィン包埋切片を用い, PCNA, p53蛋白の免疫染色を行うと, PCNA標識率に3群間の差はみられなかったが, p53蛋白の染色陽性例は集積群で74%と, 中間群24%, 対照群38%に比べて有意に高頻度であった (p<0.05) 。集積群の中でも胃癌が2人以上集積した群では1人以上の群に比べ, p53蛋白 (++) 以上の症例が多い傾向にあった。したがってp53蛋白陽性の胃癌症例では, 近親者に対し胃癌のスクリーニング検査を行うことが望ましいと考えられた。
  • 小林 理, 鈴木 一史, 高橋 誠, 小野寺 誠悟, 奥川 保, 利野 靖, 円谷 彰, 山本 裕司, 西連寺 意勲, 本橋 久彦
    1996 年 21 巻 6 号 p. 956-961
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    当科では1988年から進行胃癌に対して, 漿膜浸潤例には術中腹腔洗浄細胞診断や閉腹時抗癌剤の腹腔内投与を行い, 外来follow upは血清腫瘍マーカー測定による一次スクリーニングを行い, 再発後は化学療法を積極的に行ってきた。その結果, 抗癌剤の腹腔内投与は洗浄細胞診断陽性例の健存日数の有意な延長による生存日数の延長を認め, さらに腹膜再発予防効果も得られた。マーカー測定は再発の早期診断が可能となり, 特に術前陽性マーカーによるfollow upは有意義であった。血行性再発では肝再発の早期診断と化学療法効果を認めたが, 投与ルート別の成績に差はなかった。以上の集学的治療を積極的に行った1988年以後の再発99例 (後期群) はそれ以前に再発した85例 (前期群) に比べて生存日数と再発後生存日数に有意な延長を認めた。腹膜再発の生存日数は前期群の699日に対し後期群は1133日, 肝再発後生存日数は前期群の111日に対し後期群は276日と有意に延長していた。
  • 中島 一彰, 落合 武徳, 鈴木 孝雄, 軍司 祥雄, 菱川 悦男, 菅谷 睦, 磯野 可一
    1996 年 21 巻 6 号 p. 962-965
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    1983年からの10年間で71例の腹膜播種性転移陽性胃癌の手術を経験した。43切除例の1年および5年生存率は29.3%, 0%であったが, 28非切除例の1年生存率は0%であった。非切除例の直死率は, 21.4%と切除例の0%と比較して高率であった。また, P1, P2, P3切除例の3年生存率はそれぞれ5.3%, 0%, 0%であった。P1症例のうちリンパ節転移がn1以下症例の3年生存率は14.3%であったが, n2以上では0%であった。4年8カ月生存した1例はP1H0n0t3であり, 術後に補助化学療法 (FAP) が行われ, 再発に対し右半結腸切除が行われた症例である。また, P2症例で2年10カ月生存が得られた1例には術後全身的化学療法に加えCDDP腹腔内投与が施行された。
  • 原口 美明
    1996 年 21 巻 6 号 p. 966-974
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    固有筋層浸潤大腸癌 (以下大腸mp癌) の生物学的悪性度を客観的に評価できる指標について検討した。再発には, 臨床病理学的因子の関与が認められなかった。そこで, 大腸mp癌41例を対象としてmp層の腫瘍の浸潤様式から生物学的悪性度を検討した。方法は最深先進部の標本でmp層径/m層径 (以下mp/m比) を算出し, 再発, 病理学的因子およびp53, Ki-67との関連を検討した。 (1) mp/m比は再発の有無で差を認めなかった。 (2) 再発指数としてmp/m比0.68を算出すると, 0.68以上の症例で再発例が有意に多かった。 (3) p53陽性例は再発例で有意に多く, Ki-67L.I.は再発例で高値を示した。 (4) mp/m比0.68以上の症例ではp53陽性例が有意に多く, Ki-67L.I.は高値を示した。以上より, mp/m比は大腸mp癌の腫瘍の浸潤様式を客観的に数値で表し, 悪性度の指標として用いることができ, mp/m再発指数0.68以上の症例は再発の可能性が高いことが示唆された。
  • 富田 凉一, 宗像 敬明, 黒須 康彦
    1996 年 21 巻 6 号 p. 975-979
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    成人における機能性腸疾患には, Hirschsprung病 (H病と省略) およびその類似疾としてのhypoganglionosis (Hypoと省略), intestinal neuronal dysplasia (INDと省略) などが存在するが, それらの確定診断は直腸粘膜生検のacetylcholinesterase (AChE) 染色あるいは直腸全層生検のhematoxylin-eosin (H-E) 染色, NADPH-diaphorase染色でなされる。そこで, 過去16年間に教室で経験した成人機能性腸疾患9例に行われた直腸粘膜および全層生検について検討を行い, 以下の結果を得た。1) H病 (2例) とIND (2例) では, 全例が直腸粘膜生検 (AChE染色法) のみで診断された。2) Hypoでは全例 (5例) が, 直腸全層生検を行うことにより診断された。
  • 玉崎 良久
    1996 年 21 巻 6 号 p. 980-987
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    NO (Nitric oxide) が肝温虚血再灌流障害による微小循環障害や肝細胞障害におよぼす影響を明らかにするため, ラット全肝温虚血モデルに対して, NO基質であるL-arginineとNO合成酵素阻害剤であるL-NMMA (NG-Monomethyle-L-arginine) を投与し, 実験的に検討した。A群 ; 生理的食塩水, B群 ; L-arginine 100mg/kg, C群 ; L-NMMA 1mg/kg, D群辱 ; L-NMMA 10mg/kgの4群について検討した。B群の生存率は他の群に比べ高く, 肝組織血流量も早期より回復した。また血液生化学検査成績はすべての群で虚血再灌流により高値を示したが, B群のLDH, GOTおよびGPTは他の群に比べ増悪が軽減し, B群のNO3-は他の群に比べ高値を示した。肝組織障害はB群で他の群に比べ軽減した。よって, NOは微小循環障害や肝組織障害を軽減させることから肝温虚血再灌流障害に対して保護的に作用すると考えられた。
  • 宮川 眞一, 野村 和彦, 川手 裕義, 久保田 充, 中山 中, 小林 聡, 野池 輝匡, 島田 良, 今村 宏, 川崎 誠治
    1996 年 21 巻 6 号 p. 988-991
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    1990年1月から1996年9月まで87例の転移性肝癌患者に104回の肝切除を施行した。入院死亡は2例 (2.3%) であったが, 再切除に伴う死亡はなかった。大腸癌肝転移症例53例と胃癌肝転移症例17例 (入院死亡を除く) の初回肝切除後の5年生存率はそれぞれ54.5%と16.4%であった (p<0.001) 。多変量解析により肝離断端への腫瘍の露出の有無のみが有為な予後因子であることが示された。転移性肝癌, 特に大腸癌の肝転移症例では肝切除により, 長期生存が期待でき, 肝転移巣の切除に際しては, 転移巣の数よりも, 肝離断端に腫瘍が露出することなく切除可能であることが重要な予後因子であることが示された。再肝切除の有効性を統計学的に示すことはできなかったが, 再肝切除により長期生存が期待できる症例もあるので, 再肝切除が有効な症例をどのように選択していくかが今後の課題と思われる。
  • 杉浦 芳章, 浅野 友彦, 早川 正道, 小池 啓司, 愛甲 聡, 吉住 豊, 渡辺 真純, 田中 勧
    1996 年 21 巻 6 号 p. 992-996
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    外科と泌尿器科で行う共同手術としては下腹部の手術が一般的であるが, 上腹部の手術も最近増えてきた。1991年から1996年の間に6例を経験した。腎癌が5例, 後腹膜の悪性組織球腫が1例であった。腎癌に関しては下大静脈腫瘍塞栓摘除が3例, 肝転移が1例, 膵尾切除術が1例であった。悪性組織球腫では肝右葉部分切除術と右腎摘を行った。良視野を得るために4例に開胸術が必要であった。泌尿器科主体の手術が多かった。手術時間は3例が8時間を超えた。出血量も2例で5,000g以上の大量出血をみた。手術死亡はなく, 1例が肺塞栓疑いで急死したほか, 延命かつQOLも良好に保っている。両科共同で診断, 術式の検討, 手術, 週術期管理を行い, 進行癌の治療に当たることは有意義であると考えた。
  • 西村 泰司, 阿部 裕行, 伊藤 博, 池田 一則, 岡 史篤
    1996 年 21 巻 6 号 p. 997-999
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    本邦において1995年から始まった前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺電気蒸散による手術法は, 従来のTURのループ電極に3列の溝を持つ回転型円筒状ローラーを装備し, 使用電力を増量したに過ぎないが, 1) 出血が極めて少ない, 2) ほとんどの症例で2日以内に留置カテーテルを抜去できる, 3) カテーテル抜去後, 直ちに症状の改善がみられる, 4) レーザーによる治療に比し安価, であり総合評価において従来のTURのみならず側射レーザーファイバー前立腺切除術に対しても優れていると思われる。われわれは1995年4月より本術式を採用し, かつ原法より高い電力を用い, 手術台を頭側上位とし膀胱瘻を置く工夫を加え手術時間を短縮でき, 73例において満足の行く結果を得た。本法はハイリスクの患者にも安心して行える有用な手術法で, 少なくともEvaporationを主体としたレーザー照射機器の価格が著しく安価となるまでは普及し続けると思われる。
  • 八杉 巧, 大西 克幸, 嶌原 康行, 小林 展章
    1996 年 21 巻 6 号 p. 1000-1002
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    近年, 各科で施行される拡大手術・緊急手術において, 多科による共同手術の機会が増加しつつある。1993年~1996年6月までの間に施行した他科との共同手術52例の現状と問題点について検討した。当科が参助したものは41例で主に消化管再建, ドレナージ, 止血, 血行再建である。一方, 他科の援助を仰いだものは11例であった。共同手術により救命率・切除率・予後等は確実に向上している。予定手術では各科合同で入念に術前検討し, 患者・家族への説明も双方の立場から十分に行なっている。緊急手術や不測の事態にも, より迅速に対応できるよう共同体制を採っている。手術成績の向上, 手術適応の拡大, より高度な医療を行うために, 多科による共同手術はさらに推進すべきである。
  • 冨木 裕一, 諌山 冬実, 坂本 一博, 小林 滋, 前川 武男, 榊原 宣
    1996 年 21 巻 6 号 p. 1003-1006
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    皮膚潰瘍を形成した乳腺葉状腫瘍を経験した。症例は46歳, 女性で, 右乳房の無痛性腫瘤が急速に増大し, 皮膚に潰瘍が生じ, これを主訴に外来受診, 入院となった。悪性腫瘍を疑い, 定型的右乳房切除術を施行したが, 組織学的には良性腫瘍であった。乳腺葉状腫瘍の本邦報告例のうち, 皮膚潰瘍形成例は自験例を含め19例であった。皮膚潰瘍は, 腫瘤の急速な増大により皮膚を圧迫, 伸展, 壊死に陥る結果, 生じることが重要視されている。自験例の腫瘍径5.5cmは本邦報告例で最小であった。自験例は良性腫瘍であったが, 悪性例は19例中5例 (26.3%) にみられることから, 臨床的には悪性腫瘍を疑い定型的乳房切除術を施行した。5年経過観察し局所再発はみられていない。
  • 小林 利彦, 櫻町 俊二, 木村 泰三
    1996 年 21 巻 6 号 p. 1007-1011
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は67歳, 男性。心窩部の不快感を主訴に来院し, 胃内視鏡検査にて胃角小弯に大きさ15×12mmのIIc病変 (印環細胞癌) が指摘された。潰瘍形成がなく超音波内視鏡検査にてM癌と判断されたため, 局所切除の適応ありと考え, 腹腔鏡下胃局所切除術が行われた。切除標本をEMRに準じ詳細に検索した結果, 一枚の切片でsm癌であったため後日幽門側胃切除術が追加された。しかし, 追加切除胃に遺残腫瘍はなく, 郭清リンパ節にも転移は認められなかった。本症例は当施設の胃癌局所切除術の適応病変 (UL (-) M癌, 分化型3cm以下, 未分化型2cm以下) ではあったが, 未分化型癌における術前評価の困難性と本術式選択にあたっての慎重性, および切除標本に対する厳格な病理組織学的検索の必要性を示した1例であると思われた。
  • 吉松 和彦, 矢川 裕一, 加藤 博之, 高橋 直樹, 遠藤 俊吾, 橋本 雅彦, 石橋 敬一郎, 芳賀 駿介, 梶原 哲郎
    1996 年 21 巻 6 号 p. 1012-1015
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    転移性甲状腺癌は肺癌, 乳癌などが原発であることが多く, 消化器癌ではきわめてまれである。今回われわれは上行結腸癌の手術後5カ月目に甲状腺腫を認め精査により上行結腸癌原発の甲状腺転移であった症例を経験した。われわれの検索し得た限りにおいて文献的には臨床上甲状腺腫を触知する大腸癌からの転移性甲状腺腫瘍は自験例を含め8例しかなく, きわめてまれであると考えられたので報告する。
  • 飯田 豊, 田辺 博
    1996 年 21 巻 6 号 p. 1016-1020
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    虫垂腫瘍は特徴的な臨床所見に乏しく, また鑑別すべき疾患も多いためその術前診断には苦慮することが多い。今回われわれは, 術前検査にて虫垂腫瘍を疑い, 腹腔鏡検査にて虫垂腫瘍と確定診断したものの虫垂癌の可能性を否定できなかったため, 引き続き腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行し, 良好な経過を得た症例を経験したので報告する。症例は64歳, 女性。右下腹部痛を主訴に来院した。注腸造影検査にて虫垂腫瘍を疑われたため腹腔鏡検査を施行した。虫垂に比較的限局した腫瘍性病変の診断は確定的であったが, 良悪性の鑑別までは困難であったため虫垂癌の可能性も考え, 第2群の一部までのリンパ節郭清をともなう腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した。術後の病理組織学的検査では虫垂粘液嚢胞の診断であり, 虫垂癌は否定的であったが, 仮に本症例が虫垂癌であったとしても, 腹腔鏡補助下手術で十分根治し得たものと考えられた。
  • 阪本 研一, 橋本 高志, 福地 貴彦
    1996 年 21 巻 6 号 p. 1021-1023
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    腫瘤形成性膵炎 (TFP) は今日でも膵癌との鑑別が困難なことが多い。われわれは主膵管と総胆管の狭窄を呈し膵頭部癌との鑑別に難渋したTFPに幽門輪温存膵頭十二指腸切除術 (PPPD) を施行し良好な結果を得た1例を経験した。症例は54歳男性。飲酒・膵炎治療歴なく, 上腹部痛, 黄疸を主訴とし来院した。腹部CTで膵頭部は著明に腫大し, ERCPで下部胆管の全周性狭窄と膵頭部主膵管の糸状狭窄を認めた。胆汁・膵液細胞診, 膵管生検で悪性所見なく, 1ヵ月間保存的治療を行うも, 腹痛と経時的に観察したPTGBD造影での胆管狭窄像が軽快せず膵頭部癌が否定できないため手術を施行した。術中迅速病理で悪性所見を認めずPPPDを施行し, 術後診断は慢性膵炎であった。膵癌と鑑別が困難なTFPでは経時的観察が重要で, 保存的治療で軽快しない場合には早期に膵機能温存手術を行うのが妥当であると考えられた
  • 森 宏之
    1996 年 21 巻 6 号 p. 1024
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 平澤 博之
    1996 年 21 巻 6 号 p. 1025
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
feedback
Top