日本外科系連合学会誌
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23 巻 , 1 号
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  • 富田 凉一
    1998 年 23 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    胃癌手術ではリンパ節郭清程度, 切除範囲, 再建術式などの詳細な検討から, 根治性とQOLの向上を目指したより良い術式が選択されて来ている。今回, 胃癌手術後における病態生理および手術後症候群を概説し, また, 胃手術後症候の予防としての機能温存縮小手術についても概説を加えた。胃癌の半数が早期癌であることより, 術後QOLの重要性が増し, 胃手術後症候群としてよく経験される早期ダンピング症候群と逆流性食道炎の防止に, 幽門側胃切除となる症例では幽門輪温存手術が多く行われる様に成ってきた。そして, 小胃症の予防に対してJ型空腸嚢代用胃が, 胃全摘術ばかりでなく胃亜全摘術にも応用されつつある。
  • 山田 豊, 浜島 秀樹, 難波 美津雄, 砂川 正勝
    1998 年 23 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    高度進行食道癌症例に対して化学・放射線療法を施行し, 画像診断による効果判定を行い, この効果によるアポトーシスの化を検討した。化学療法はCDDP/5-FUを主体とし, ロイコボリンを追加した。放射線照射量は, 30~60Gyとした。アポトーシスの発現の検索には, TUNEL法を用いて, Apoptosis Index (A.I.) を求めた。対象は, 化学・放射線療法施行18例で検討した。18例の組織型は高分化型5例, 中分化型6例, 低分化型7例であった。化学・放射線療法を施行した例でPR以上の奏効度は, 高分化型2例 (25.0%), 中分化型5例 (83.8%), 低分化型0例 (0%) であった。これをA.I.で比較すると未法療の組織でその平均は高分化型5.3, 中分化型4.6, 低分化型1.7で高分化型と低分化型, 中分化型と低分化型で有意差を認め, A.I.が高い高分化型, 中分化型に化学・放射線療法の効果があった。一方, 化学・放射線療法の前後でのA.I.の平均値の変化は高分化型5.3→8.6中分化型4.6→7.4, 低分化型1.7→2.2と分化度が高いほどA.I.が上昇し, 高分化型で有意差を認め, 中分化型においても上昇傾向であった。従って, 化学放射線療法の効果は治療前のA.I.が高い分化型で有効であった。
  • 大平 雅一, 六車 一哉, 長山 正義, 曽和 融生
    1998 年 23 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    過去10年間に教室で経験した亜全胃胃管を用いた胸骨後再建例 (61例) を対象として右胃動脈の切離と縫合不全の関係について検討し, さらに亜全胃胃管吻合部漿膜面および粘膜面の血流に及ぼす右胃動脈遮断の影響をレーザー血流計を用いて検討した。その結果, 右胃動脈温存36例中, 縫合不全は2例 (5.6%) にみられ, 右胃動脈切離25例中, 縫合不全は1例 (4.0%) で, 右胃動脈切離により縫合不全の頻度は増加しなかった。また両群間に吻合法の差は認めなかった。胃管吻合部漿膜面の右胃動脈遮断前後での血流比は0.97±0.13 (n=15), 粘膜面の血流比は1.02±0.07 (n=10) と右胃動脈遮断による血流の低下は認めなかった。これらの血流測定を行った症例 (右胃動脈温存13例, 切離2例) では縫合不全は認めなかった。以上より, 亜全胃胃管吻合部血流に及ぼす右胃動脈血流の影響は少ないと考えられた。
  • 弓場 健義, 中尾 量保, 仲原 正明, 清本 徹馬, 李 千万, 中森 靖, 久保 光彦
    1998 年 23 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    胃粘膜癌に対する胃局所切除術ならびに分節切除術における術前診断, 適応, 手技上の問題点について検討した。術前に超音波内視鏡 (EUS) を施行した胃癌手術例141例およびm癌切除例182例を対象とした。EUSにて深達度Mと診断したもの (n=57) の組織学的深達度はm : 47例 (82.5%), sm : 10例であった。smであった10例中, sm1は5例であり, 潰瘍合併1例, por, sig各1例であった。リンパ節転移を伴うm癌症例は潰瘍を伴うIIc病変に認められた。m癌でpor, sig, 潰瘍合併例を除いた隆起型40mm以下, 陥凹型30mm以下のものを適応とし胃局所切除15例, 分節胃切除2例を施行し, 隆起型30mm以下, 陥凹型20mm以下のものを適応とし腹腔鏡下胃局所切除5例を施行した。断端癌陽性は5例あり, 術中の病変範囲の把握の不十分さおよび自動縫合・切離器による切除時の粘膜のずれが原因と考えられた。
  • Zhibin Xi, Daomin Luo, Xinzheng Li, Bo Jiang, Baofang Liu
    1998 年 23 巻 1 号 p. 28-32
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    The postoperative complications occurred in a high ratio (41%) after total gastrectomy (TG) for stomach cancer. In order to decrease the complications, an ultrasubtotal gastrectomy (USG) was performed for cancers in the upper or middle stomach.
    Since 1989, twenty-eight patients with cancer in the middle or upper stomach have undergone an ultrasubtotal gastrectomy (USG). The cardia and the proximal 1/10 of the stomach were preserved, and D2 lymph node dissection was performed.
    Of those patients that underwent a USG, none died of postoperative complications (5.3% in TG : p <0.05), and neither anastomotic leakage nor gastrointestinal bleeding was observed (3.5% and 10.7%, respectively in TG : p< 0.05). The two year survival rate of patients that underwent USG was 46% (25% in TG : p <0.05).
    These results suggested that the USG is a safer surgery than a TG for patients with cancer in the upper or middle stomach, and the survival rate is improved when the USG is performed.
  • 市倉 隆, 小川 敏也, 帖地 健太郎, 望月 英隆
    1998 年 23 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    空腸pouch作製時の出血に関し,ブタを用い,吻合器としてENDOGIA(staple:3列)またはGIA(staple:2列),吻合部位として腸間膜対側または腸間膜側と同対側の中間,の組み合わせで実験した。ENDOGIAを用いた場合の方がGIAに比べて有意に出血は少なく,ENDOGIA使用群の中でも腸間で切離吻合を行った場合の方が腸間膜寄りの場合より有意に出血が軽度であった。臨床では同一症例において吻合器種による出血程度の違いを検討した。切離吻合は腸間膜対側とした。2症例ともENDOGIAを使用した部位からはまったく出血がみられなかったのに対し,GIAを用いた部位では明らかな出血がみられ数針の縫合止血を要した。空腸pouch作製に際し,stapleが3列の吻合器を用い,空腸を切離吻合する部位を正確に腸間膜対側にすることは,出血の防止と作製時間の短縮をもたらし,有用な手技と考えられる。
  • 鈴鹿 伊智雄, 塩田 邦彦, 清水 信義
    1998 年 23 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    側方郭清を施行した腫瘍占居部位がRa以下の初発単発直腸癌211例を対象に, 側方転移陽性直腸癌の治療成績と側方郭清の適応決定の問題点について検討した。側方転移は38例 (18.0%) に認められ, 分化度が低く壁深達度がse/a2以上の症例に有意に多く認められ, 累積5年生存率は24.9%であった。側方転移例のうち根治度Aが得られたのは22例で7例が無再発生存中である。無再発例は高分化腺癌で壁深達度がss/a1以下の症例に有意に多く認められ, 再発例の81.8%に遠隔転移を認めた。側方郭清は排尿障害および性機能障害のため側方転移危険因子を適応とする傾向にあるが, 明らかに側方郭清が効果的であった無再発例はその適応外の症例であった。従って現時点では側方郭清はRa以下のMP以上の全症例にすべきである。そして術前放射線療法+Total Mesorectal Excisionの予後と側方郭清の予後の比較により, 側方郭清の意義は決定されるものと思われる。
  • 長尾 二郎, 炭山 嘉伸, 本庄 達哉, 神馬 由宏, 斉田 芳久, 草地 信也, 柁原 宏久, 高瀬 真, 青柳 健, 崔 勝隆, 奥村 ...
    1998 年 23 巻 1 号 p. 44-50
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    最近10年間の教室における消化器外科領域の術後縫合不全に起因した再手術症例15例について, 背景因子として年齢・性別・原疾患・術前合併症を, 初回手術術式として術式・悪性疾患では郭清範囲を, 術後経過として縫合不全発症時期・診断法・他の合併症の有無を, 再手術術式として手術時期・術式を, 予後として術後合併症の有無・転機などについて臨床的に検討した。原疾患は大腸癌が10例と多く, 胃癌3例, 食道癌1例, ヘルニア嵌頓1例であった。縫合不全の発生率, 再手術率は食道癌で4.48%, 1.49%, 胃癌で2.13%, 0.40%, 大腸癌で2.18%, 1.46%であった。術前合併症は2症例に見られたが, 他の症例には直接縫合不全につながると思われる術前合併症は認められなかった。初回手術としては術式拡大郭清手術が4例に施行され, 緊急手術が2例であったが, 手術侵襲が縫合不全の誘引とは考えられなかった。縫合不全発症時期が術後2日以内の症例が6例みられ, 早期に再手術が施行された。一方発症が4日以降の症例では, 保存的治療を試みたが, ドレナージの不備, 全身状態の悪化などで再手術を施行しており, 5例に再手術時に腹腔内膿瘍の合併が見られた。再手術術式は大腸癌の10例では2例のみ再吻合術が施行されたが, 他の8例に対しては人工肛門造設術が選択され, 予後は良好であった。ドレナージ術を優先した食道癌, 胃癌症例は良好に経過したが, 再吻合術を施行した胃癌, ヘルニア嵌頓症例は術後DIC・MOFにより死亡した。重症例においてはドレナージを基本としたより安全な手術術式の選択が必要と考えられた。
  • 加藤 俊二, 恩田 昌彦, 徳永 昭, 吉行 俊郎, 松倉 則夫, 田尻 孝, 山下 精彦
    1998 年 23 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    C型肝炎の血清診断が可能になってから9年を経過した現在, C型肝炎抗体陽性症例の手術は増加している。C型肝炎抗体陽性が手術後の肝障害発生の危険因子として関与しているか否か, また輸血歴, 飲酒歴の有無麻酔法での差異, 術後使用した抗生物質, 蛋白分解酵素阻害剤や高カロリー輔液等の影響を205例の胃癌手術症例で検討した。C型肝炎抗体陽性は22例 (11%) で, C型肝炎抗体陽性例の術前GOT, GPT値の平均値は, 陰性例より有無に高値を示した (P<0.01) が, 術後GOT, GPT値の最大値の平均は, 両群間で有意差はなかった。麻酔法や, 使用した抗生物質, 蛋白分解酵素阻害剤の種類と術後肝障害発生には相関は認められなかった。胃癌術後の高度肝障害の発生は, 輸血歴あり (P=0.05), 飲酒歴あり (P=0.06), IVH症例 (P=0.06) で多く見られるとともに, 胃全摘術後やステージIII, IV症例に有意に多く (P<0.01), 胃の切除範囲や胃癌の進行程度が術後肝障害発生に, より重要であることが明らかとなった。
  • 高木 純人, 金子 弘真, 光丸 哲吉, 石井 貴士, 田村 晃, 大塚 由一郎, 本田 善子, 吉野 正晃, 柴 忠明
    1998 年 23 巻 1 号 p. 57-63
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下肝切除における炭酸ガス気腹法の安全性を検討するために, 肝静脈系の血行動態に注目し実験的検討を行った。ブタを全麻下に気腹しトラカールを3本穿刺したのち, 上大静脈, および肝静脈にカテーテルを留置した。ここで気腹群と気腹+肝切除群を作成し, それぞれ以下の検討を行った。まず気腹圧を徐々に増加させたときの肝静脈の形態的変化を腹腔鏡用超音波で観察し, 中心静脈圧および肝静脈血中炭酸ガス濃度を経時的に測定した。気腹+肝切除群の肝静脈血中炭酸ガス濃度は, 気腹群にくらべ有意に増加した。さらに腹腔鏡用超音波検査では, 両群ともに前値にくらべ有意な肝静脈径の拡張が確認されたが, 肝静脈の内部エコー輝度の上昇は気腹+肝切除群にのみ確認された。中心静脈圧は両群とも前値にくらべ有意な増加を示した。炭酸ガス気腹下の腹腔鏡下肝切除は, 炭酸ガス塞栓症を引き起こす可能性があるため, 腹壁つり上げ法による視野展開が必要である。
  • 今岡 真義, 佐々木 洋, 中野 博史, 古河 洋, 石川 治, 甲 利幸, 亀山 雅男
    1998 年 23 巻 1 号 p. 64-68
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    大阪府立成人病センター外科における肝細胞癌根治耐術490例を対象として, 残肝再発に対する再肝切除の遠隔成績を他治療と比較し, 同時に再発時の進行度との関係について検討した。 (成績) 再発は490例中288例 (59%) で, 231例 (80%) が残肝再発であった。残肝再発に対する再肝切除の再発後3, 5年生存率は89%, 75%であり, PEIT, TAEより優れていた。再発後生存に寄与する因子を, プロトロンビン時間≧90%, 肝内腫瘍個数3個以内に揃えた条件下に於いても, 再肝切除の再発後3, 5年生存率は87%, 79%で, PEIT, TAEより優れていた。再肝切除の無再発生存率は3, 5年が34%, 17%と不良で, 再発時stage II, IIIでの再発後5年無再発例はなかった。以上から, 肝内再発に対する再肝切除は積極的に選択されるべき優れた治療であるが, 選択適応基準を早急に確立させる必要がある。
  • 首藤 太一, 広橋 一裕, 久保 正二, 田中 宏, 塚本 忠司, 半羽 宏之, 三上 慎一, 山本 隆嗣, 池辺 孝, 木下 博明
    1998 年 23 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    [対象] 過去7年間の肝切除266例中, 同時性多発肝癌と確診した48例を対象に, 副病巣に対する術式別に, 主病巣との一括切除 (A群 : 24例), 兼部分切除 (B群;11例), 兼マイクロ波焼灼/エタノール注入 (C群;14例) の3群に分け, 臨床病理像, 遠隔成績を比較した。 [方法] 年齢, 性, 肝機能検査値には3群間で差がなかった。主病巣径はA群で有意に大きく, 16例 (67%) に2区域切除が施行されたが, B, C群では縮小手術が選択された。病理学的に転移発生はA群20例 (83%), B群で9例 (82%) であったが, C群では3例 (23%) にすぎなかった。無再発生存率は3群間で差がなく, 累積3生率はB, C群で良好であったが, 5生率では差がなかった。 [結語] 多発肝癌といえども, 手術適応の拡大によって予後の向上が期待される。また転移性多発肝癌に対する一括切除の意義も再認識する必要があると思われた。
  • 菊池 啓, 宗圓 聰, 田中 清介
    1998 年 23 巻 1 号 p. 75-80
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    1995~96年度に近畿大学医学部整形外科で177例 (14~84歳, 入院時Hb値7.1~16.4g/dl) に術前貯血式自己血輸血を行った。111例にエリスロポエチン (EPO) 併用を行い, 173例で目標貯血量の80%以上を確保できた。EPO投与方法は入院時Hb値が10.9g/dl以下では静脈内投与, 入院時Hb値が11~13g/dlでは皮下投与とした。同種血輸血は13例で行われ, その理由は総出血量増加による貧血が8例, 術後バイタル低下が3例, 術前貧血が改善されず術後貧血を呈した2例であった。余剰廃棄自己血は4例であった。EPO使用による単位Hb回復率は静脈内投与5.9%, 皮下投与4.3%であった。術中低血圧麻酔を併用した人工股関節置換術10例では, 総出血量の低下を示し, すべて向種血輸血を回避できた。貯血期間中副作用は認めず, 高齢者や貧血患者を含めた過去2年間の当教室の自己血輸血/全輸血は約80%を示した。
  • 小野寺 久, 前谷 俊三, 韓 秀〓, 河本 和幸, Tun Aung, 坂本 忠弘, 今村 正之, 白神 豪太郎, 森 健次郎, 古谷 栄 ...
    1998 年 23 巻 1 号 p. 81-87
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    手術の際の出血量を減少させ輸血を回避する目的で, 状態予測制御法を用いたコンピュータによる自動血圧制御システムを開発した。動物実験でその安全性と安定性を確認した上で, さらに薬剤の個体差を補正する同定機能とフェイルセイフ機能を備えたファジィ推論による上位判断機能を追加し, 17例の手術患者に低血圧制御を行った。骨盤内臓全摘術で検討してみると, 血圧制御により出血量は有意に減少し, 手術時間も短縮した。これは, 安定した低血圧制御により術野からの出血量が減少し, 複雑な手術操作も容易かつ正確に遂行できるためと思われた。肝機能, 腎機能, 循環機能を経時的に測定したが, 低血圧による悪影響は認められなかった。本システムは, 拡大手術時の出血量を減少させて輸血を回避し, その副作用を予防できることから, 無輸血手術をめざす上で有用であると考えられた。
  • 吉見 富洋, 井上 真也, 朝戸 裕二, 小野 久之, 小島 正幸, 黒木 義浩, 渡辺 睦弥, 大塚 弘毅, 保科 克行, 根本 一成, ...
    1998 年 23 巻 1 号 p. 88-94
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    1992年6月より癌告知を積極的に進めてきた。当初, 家族の承諾を得られた患者にのみ告知したが, 1995年4月よりは, 患者本人に外来初診時に告知希望の有無を問うアンケート (初診時アンケート) を実施しその結果に基づいて告知した。告知率は, 当初約30%であったが, 1994年春頃よりほぼ100%になった。1992年6月より1996年3月までの告知総数764人中アンケート配布時点において生存中で, アンケート実施可能な患者590人中584人 (99%) に配布し, 531人 (90.9%) より回収した。その結果, 91.3%の患者が「真実を告げられて良かった」と回答し, これは年齢, 性別, 癌の進行度によらず同様であった。また初診時アンケート実施前には「癌ではないと嘘をついて欲しかった」と回答した患者が少数存在したが, 実施後には存在しなかった。
  • 岩田 浩嗣, 白澤 友裕, 西田 匡伸, 井上 雅博, 瀬野 久和, 吉方 りえ, 坂東 行洋, 梁井 皎
    1998 年 23 巻 1 号 p. 95-100
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    開胸手術後の合併症として生じた創〓開・瘻孔に対する再建法として手術侵襲の少ない順に (1) 保存療法, (2) 縫縮術, (3) 植皮術, (4) 皮弁・筋皮弁による再建, (5) マイクロサージャリーによる再建が考えられる。それら再建法の選択にあたっては死腔の大きさ, 潰瘍の大きさ, 深さ, 部位, 感染の有無, 下部組織 (特に骨組織) との関係などによって術式を順次検討する。今回われわれは開胸手術後に生じた創〓開・瘻孔の3症例を経験し, 単純縫縮術による閉創, 広背筋皮弁移植術による閉創, 大胸筋皮弁移植術による閉創により, 良好な結果を得たので報告する。
  • 上田 順彦, 小西 一朗
    1998 年 23 巻 1 号 p. 101-105
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    肝内結石症の治療上の問題点を明らかにすることを目的に, 肝内結石症24例を肝内胆管の狭窄の有無により分類し治療成績を検討した。S0症例は18例でこのうち16例は肝外胆石の積み上がったものか移入したものであった。18例中術中完全切石は10例で胆管結石と同様の術式で対処でき予後も良好であった。不完全切石は8例でこのうち左枝2次分枝と右枝3次分枝の2例の遺残結石はPostoperative cholangioscopy (POC) でも完全切石は不可能であった。S1またはS2症例は6例で全例狭窄部より末梢の区域や片葉に結石が限局しており, 3例は肝切除で良好な成績が得られた。不完全切石は3例でこのうち右枝3次分枝の2例の遺残結石はPOCでも完全切石は不可能であった。肝内胆管への切石ルートは胆管空腸端側吻合の空腸瘻を利用するのが有効であるが, 切石ルートに関係なく胆道鏡が到達できない枝もあるため, 術前十分な診断により治療方針を決定する必要がある。
  • 堀口 明彦, 宮川 秀一, 花井 恒一, 水野 謙司, 石原 慎, 庭本 直達, 伊藤 昌広, 岩瀬 祐司, 佐藤 禎, 山本 晴大, 永田 ...
    1998 年 23 巻 1 号 p. 106-108
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    機能温存を目的とした十二指腸温存膵頭切除術を施行する際には, 術後合併症を回避するため, 膵頭部の動脈を温存することが重要である。そこで120例の腹部血管造影をもとに血行温存法の確立を目的に膵頭前後面アーケイドの血行支配について検討した。前上膵十二指腸動脈 (以下ASPD) と後上膵十二指腸動脈 (以下PSPD) の比較では, ASPDが優位であるものは38%, 同等であるものは49%, PSPDが優位なものは13%であった。前下膵十二指腸動脈 (以下, AIPD) と後下膵十二指腸動脈 (以下PIPD) の比較では, AIPDが優位であるものは14%, 同等であるものは69%, PIPDが優位なものは16%であった。以上より, 前面アーケイドを犠牲にした場合に十二指腸の阻血をきたし, また, 胆管の血行温存には後面アーケイドを極力温存することが, 術後早期の合併症を予防するうえできわめて大切である。
  • 小林 利彦, 木村 泰三, 数井 暉久
    1998 年 23 巻 1 号 p. 109-112
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    過去の手術症例を再検討して, 術中出血が600g未満と思われる術式はT&Sとし, 600g以上と思われる術式にはMSBOSに基づいた, 自己血貯血を基本とする輸血準備を行った。これまでにT&S症例は46例あり, 術中輸血は3例 (6.7%) で必要となったが, いまだトラブルは生じていない。自己血輸血症例は47例であり, 平均貯血量は629ml, 術中出血は平均907gであった。自己血の使用状況はMAP82.8%, FFP93.4%であり, 26例 (55.3%) で同種血輸血の追加が回避できた。本方式の導入によってC/T比は著明に低下したが, 血液製剤の有効利用という面では, 同種FFPの安易な使用があり反省すべき点も多いと思われた。なお, T&Sや自己血輸血の導入は, 医師およびパラメディカルに対する啓蒙の面でも有効と考えられた。
  • 国枝 克行, 石原 和浩, 山口 和也, 加藤 元久, 杉山 保幸, 佐治 重豊
    1998 年 23 巻 1 号 p. 113-116
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    臍転移で発見された4型胃癌の1例を経験したので報告する。症例は53歳の女性で主訴は臍部の有痛性硬結である。1987年1月に当院皮膚科を受診し, 生検にて腺癌の臍転移と診断された。原発巣の精査が行われ胃体中部の4型胃癌が発見されたため, 手術目的で当科に転科した。入院時全身状態は良好であったが, 臍部に皮下硬結 (2.5×3.0cm) を触知し, Schnitzler転移が認められた。開復すると腹膜転移を伴う4型胃癌が認められ, 臍の硬結の部位に一致して8mm大の腹膜播種巣が認められたが, 組織学的に連続性は証明できなかった。減量手術の目的で幽門側胃亜全摘術と臍転移巣の切除を施行し, 術後CDDP, MMCによる化学療法を施行したが, 術後133日目に死亡した。
  • 小西 一朗, 上田 順彦
    1998 年 23 巻 1 号 p. 117-120
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    小腸原発の良性腫瘍はまれな疾患で, その中では平滑筋腫 (以下, 本症) が最も多い。今回, 本症では極めてまれな大腸の下血によりショック状態となり緊急手術が施行された症例で, その診断に小腸二重造影が有用であった1例を経験し報告した。症例は54歳女性で, 下血と貧血を主訴に来院した。上部・下部消化管検査, 腹部血管造影では出血点の診断はできず, この間下血を繰り返し貧血が高度となり輸血が行われた。腹部CT検査にて小腸病変が疑われたため小腸二重造影を行ったところ, Treitz靱帯から60cm肛側に径4cmの腫瘤像が認められた。出血の原因は小腸腫瘍であると考え手術を予定していたところ, 突然大量の下血がありショック状態となったため緊急手術が施行された。手術は腫瘍を含む空腸部分切除術が施行され, 術中迅速病理診断術後病理診断にて本症と診断された。出血は空腸粘膜に露出した潰瘍部分からのものであった。
  • 高木 宏己, 今西 幸雄, 吉田 年宏
    1998 年 23 巻 1 号 p. 121-124
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は76歳の男性。下腹部痛, 腹部膨満感, 下血にて当院に入院した。胃, 大腸内視鏡検査にて異常は指摘できなかった。そしてその後腸閉塞症状が強くなり, 保存的治療にて改善しなくなり, 開腹手術を施行した。手術所見で回腸末端より35cm口側に狭窄を認め, 17cmの小腸切除を施行した。切除標本にて病変は多発したUl-IIの浅い潰瘍であり, 臨床経過, 検査結果, 切除標本の肉眼的, 病理検査所見より非特異性多発性小腸潰瘍症と診断した。同疾患は完全に確立された疾患単位ではないが, 病理学的には潰瘍も炎症も粘膜層, 粘膜下層に限局し, 腸閉塞, 穿孔はきたさないとされる。本症例は粘膜下層までの浅い潰瘍でありながら限られた範囲に多発し, 粘膜下層に幅の広い強い繊維化を伴ったために腸閉塞をきたしたものと思われた。又下血, 腸閉塞にて上部消化管, 大腸に異常を認めない場合, 本疾患も考慮すべきと思われた。
  • 村國 均, 柴 忠明, 小澤 哲郎, 山口 宗之, 蛭田 啓之, 亀田 典章
    1998 年 23 巻 1 号 p. 125-129
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    49歳の女性。検診で尿潜血陽性のためおこなった腹部超音波検査 (US) で肝腫瘍を指摘され精査入院した。US, CT, 肝シンチグラムおよびMRIでは3cm大のhypervascular tumorと診断した。質的診断のため血管造影の際にCO2 microbubblesを肝動脈から動注するCO2動注US angiogramを行った。注入後の早期像でCO2microbubblesは腫瘍の中心から全体に拡散して次第に車軸状を呈し, 肝限局性結節性過形成 (FNH) を疑いインフォームドコンセントの結果, 肝左葉切除をおこなった。術後経過は良好である。肝腫瘍の質的診断には超音波カラードプラー法, Dynamic CTなどがある。CO2動注US angiogramは動脈内に留置したカテーテルからCO2microbubblesを注入する必要があるがリアルタイムに腫瘍内の血行動態を判定可能であり通常の血管造影やUSなどでは診断できない小さな腫瘍や原発性肝癌との鑑別に際して極めて有用な検査法である。
  • 吾妻 司, 吉川 達也, 新井田 達雄, 高崎 健
    1998 年 23 巻 1 号 p. 130-134
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    胆管非拡張型膵・胆管合流異常の診断は容易ではない。今回, われわれは胆嚢の特徴的なUS所見から, 合流異常の存在を推測し得た1例を経験した。症例は29歳, 女性。心窩部痛や背部痛を訴え当院内科を受診した。諸検査を施行したが原因は不明であり, 投薬のみで経過観察となった。その後も症状が持続したため2年7カ月後に当科を受診した。USを施行したところ, 胆嚢壁はび慢性に肥厚して2層構造を呈し, 外側層に比べてエコーレベルの低い内側層が主に肥厚していた。胆嚢壁のこのような所見から, 胆管拡張はなかったが膵・胆管合流異常を強く疑った。直ちにERCPを施行したところ, 合流異常が証明された。諸検査で胆道癌の併存は否定されたので, 腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。術後経過は順調で8日目に退院となった。先に述べた特徴的所見を手がかりとすることで, USによる胆管非拡張型膵・胆管合流異常の効率の良いスクリーニングが可能になると考えられた。
  • 山内 希美, 田辺 博, 可知 宏隆
    1998 年 23 巻 1 号 p. 135-141
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    副腎腺腫によるCushing症候群の2例に対し, 腹腔鏡下副腎摘出術を施行したので報告する。症例1 : 27歳, 女性。主訴 : 肥満, 高血圧。原因不明の体重増加, 月経遅延があり, 精査のため入院となった。中心性肥満。満月様顔貌を認めた。血中コルチゾール (F), ACTHの日内リズムが消失し, デキサメサゾン抑制試験ではFは抑制されず, 尿中コルチゾー一ルは高値であった。画像診断にて左副腎に径32mmの腫瘤影を認めた。症例2 : 65歳女性。主訴 : 全身倦怠感高血圧。全身倦怠感あり当院を受診した。F, ACTHの日内リズムが消失し, デキサメサゾン抑制試験ではFは抑制されなかった。画像診断にて左副腎に径23mmの腫瘤影を認めた。両者とも副腎腺腫によるCushing症候群と診断し, 腹腔鏡下副腎摘出術を施行した。病理組織所見では副腎皮質腺腫であった。副腎腺腫にもとずくCushing症候群に対する腹腔鏡下副腎摘出術は低侵襲で, 優れた術式と考えられる。
  • 森 和弘, 竹山 茂, 原武 譲二
    1998 年 23 巻 1 号 p. 142-146
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    悪性線維性組織球腫 (以下, MFH) 様の脱分化型再発を来した腹壁原発の脂肪肉腫の1例を経験したので報告する。症例は, 70歳, 男性。4年前に, 右側腹壁の脂肪腫で摘出術を受けている。前回の手術創直下に, 再び腫瘤の増大を認め当科外来を受診した。右側腹部に直径15cm大の弾性硬の腫瘤瘤を触知した。腹部超音波検査およびCT検査では, 多臓器への浸潤を認めなかった。脂肪肉腫の再発を疑い, 摘出術を施行した。病理組織学的検索では, 異型を伴う紡錘形細胞が増殖するMFH様の構造を認めた。S-100蛋白が一部に陽性であった。臨床経過および組織学的所見より, 脱分化を来した脂肪肉腫の再発であると診断した。自験例は, その後も局所再発を繰り返し, 5年1カ月で死亡した。
  • 奥山 明彦
    1998 年 23 巻 1 号 p. 147
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 小柳 仁
    1998 年 23 巻 1 号 p. 148
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
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