日本外科系連合学会誌
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24 巻 , 5 号
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  • 富田 凉一, 藤崎 滋, 丹正 勝久, 柴田 昌彦, 福澤 正洋
    1999 年 24 巻 5 号 p. 677-681
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    80歳以上高齢者開腹手術症例について, 周術期管理と術後合併症を中心に概説をした。対象となる疾患は, 悪性腫瘍では大腸癌や胃癌, 良性疾患では胆石症が多い。そして, 併存疾患 (高血圧, 慢性閉塞性肺疾患, 脳血管疾患など) を有する症例が多いため, 術後合併症や手術直接死亡率 (直死率) が高い。術前評価は生物学的年齢に基づいて行い, 手術リスクは個々の臓器機能によるものではなく, 全身状態というグローバルな指標に依存している。よって, 個々の症例に合わせた柔軟な治療計画をたて, 術後のQOLを考え合わせた外科療法を選択すべきものと考える。
  • 渡邊 晃
    1999 年 24 巻 5 号 p. 682-685
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 戸部 道雄, 近藤 治郎, 井元 清隆, 高梨 吉則, 内田 敬二, 杉山 貢
    1999 年 24 巻 5 号 p. 686-690
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    高齢者での腹部大動脈領域を除いた心大血管緊急手術の問題点を手術成績, 術後合併症, 入院期間から検討した。1998年12月までの5年間の75歳以上の手術例を手術時期で緊急群 (16例) と待期群 (28例) に分け, 比較検討した。手術死亡率は緊急群6.3%, 待期群17.9%であり, 両群間に有意差はなかった。Major complicationの伴発率にも有意差はなかったが, 緊急群では呼吸不全 (25%), 反回神経麻痺 (12.5%) が高率だった。周術期脳血管障害の併発率は両群間に有意差はなかった。平均術後在院日数は, 真性胸部大動脈瘤において緊急群62.4日, 待期群23日と緊急群が有意に長期であった (P<0.05) 。心疾患では両群間に有意差はなかった。緊急群での術後60日以上の長期入院は3例 (18.8%) 認め, 2例は反回神経麻痺を合併した真性胸部大動脈瘤破裂例であった。高齢者の真性胸部大動脈瘤の治療成績の向上は今後の課題である。
  • 小棚木 均, 伊藤 正直, 田中 淳一, 浅沼 義博, 小山 研二
    1999 年 24 巻 5 号 p. 691-695
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    80歳以上の高齢者に対する腹部手術の特徴と問題点を明らかにするため, 当科症例70例を対象に, 疾患や術前のリスク, 手術, 術後合併症, 在院日数などを検討した。その結果, 疾患は大腸癌, 胃癌などの悪性腫瘍が53%であり, 胆石症20%, ヘルニア13%などであった。術前リスクを有する例が64%を占め, 高血圧などの循環器系合併症が最も多く, 次いで, 神経系合併症, 呼吸器系合併症, 糖尿病などであった。手術は, 家族からの拒否や痢呆のため7例で施行されなかったが, 他では標準的手術が行われた。術後合併症を24%に認め, 上腸間膜動脈閉塞症の1例が術死した他, せん妄を5例に, 肺炎や創感染などを5例に認めた。術後在院日数を, 胃癌, 大腸癌, 胆石症, 鼠径ヘルニアについて80歳未満と比較したが有意の差はなかった。80歳以上に対しても標準的手術が可能であるが, 術前リスクを有したり, 術後合併症の発生頻度が高いので, それらに対する適切な対応が必要である。
  • 廣瀬 昌博
    1999 年 24 巻 5 号 p. 696-702
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    愛媛県中山間地域の1施設である町立野村病院 (以下, 当院) において最近9年間 (1989~1997年) に経験された70歳以上の高齢者における全身麻酔下腹部緊急手術施行例の臨床的特徴や問題点を分析・検討した。対象症例は同期間における全身麻酔下手術症例320例の内, 検討可能な症例は55例で年齢・性別・診断・術式・転帰などにつき調査し, 以下の点が明らかとなった。(1) 原因疾患は, 従来の報告同様, イレウス, 虫垂炎, 消化管穿孔, 胆道感染症が多い。(2) 基礎疾患は, 高血圧症や心疾患が高率に認められた。(3) 予後を決定するのは, 悪性疾患や下部消化管破裂など重篤な病態である。当院のような中山間地域の施設では, その性格上常時, 高齢者緊急手術に対応できる体制を整備しておく必要がある。また, 予防医学的見地から行政サービスによって大腸癌検診受診の増加をはかることが重要であると考えられた。
  • 佐藤 浩一, 前川 武男, 矢吹 清隆, 玉崎 良久, 天野 高行, 富田 夏実
    1999 年 24 巻 5 号 p. 703-709
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    当科で経験した大腸穿孔49例を, 80歳以上の高齢者群11例および80歳未満の38例に分け検討した。高齢者群は, 術前併存疾患を高率に有し, 術前ショック・白血球減少 (3,000/mm3以下) の発現頻度が高率で, 発症から手術までの時間が長く, 重篤な術後合併症が多く, 予後は極めて不良であることがわかった。これらの高齢者群に対する治療法として, 術直後のエンドトキシン吸着 (PMX) 療法および経腸栄養療法非施行例は, 7例中3例が術後MOFやDICに陥り死亡した。一方, PMX療法および経腸栄養療法を施行した4例は, 術後3例が肺炎を併発したものの死亡例はみられなかった。以上により, 高齢者大腸穿孔に対して術直後のPMX療法および経腸栄養療法は有効であり, 術後の生存率が向上する可能性が示唆された。
  • 山村 卓也, 小笹 貴夫, 須田 直史, 松崎 弘明, 磯貝 晶子, 足立 幸博, 木村 正之
    1999 年 24 巻 5 号 p. 710-714
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    80歳以上の高齢者大腸癌症例36例を対象として臨床病理学的所見, 合併症, 予後などから高齢者大腸癌の治療戦略を分析検討した。臨床的には高齢者では合併疾患を有する頻度が高く, 血中リンパ球数が少なかった。病理組織学的事項については高齢者とコントロールの間に差はみられなかった。リンパ節郭清については高齢者ではD3の頻度がコントロールと比べ低かったが, 根治度に差はみられなかった。しかし術後合併症の発生率は高齢者では44%でコントロールと比べ高く, 最も多いものは術後せん妄や見当識障害などの精神障害であった。高齢者の5年生存率は53.5%でコントロールと比べ差はみられなかったが, curCの予後は極めて不良であった。以上から高齢者大腸癌の治療戦略はQOLを重視した治療を優先し, 術後合併症を起こさないように努め, リンパ節郭清はD2を原則とすべきである。非治癒切除例についてはQOLを損なわないような治療を考慮すべきである。
  • 梅木 雅彦, 松田 昌三, 栗栖 茂, 八田 健, 小山 隆司, 喜多 泰文, 木花 鋭一, 西尾 渉, 柴田 正樹
    1999 年 24 巻 5 号 p. 715-719
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    老年人口比率23.9%と高齢化の著しい人口16万淡路島の中核医療施設である兵庫県立淡路病院外科で過去14年間に経験した80歳以上高齢者大腸癌手術症例161例について検討した。80歳以上高齢者は症例全体の15.9%をも占め, その24.4%をstage IVが占めるなど進行癌が多く, さらにイレウスや穿孔といった緊急例も32.9%と若年者に比べ高率にみられた。手術成績は術後入院のまま死亡した症例が4.3%で, 70歳未満の0.5%, 70歳代の1.4%に比べ高率であった。しかし, 死亡7例を検討すると7例中3例が重篤緊急例で, 2例は多発肝転移例, 残る2例のうち1例は思いがけず肺梗塞で失ったものであるなど, 高齢者の末期的ともいえる症例に対してもQOLの向上と救命のため手術がなされた結果といえた。遠隔成績は, 手術死亡, 他病死を含む5年生存率で70歳未満の67.2%, 70歳代の64.3%に対し80歳以上高齢者では45.0%と有意に低率であった。しかし, stage IVが24.4%を占めるなど進行症例が多いことをも考慮すると80歳以上といえども手術を行えば約半数に5年生存が得られるという結果は満足すべきものと考えられた。
  • 西村 元一, 二宮 致, 北川 裕久, 伏田 幸夫, 藤村 隆, 萱原 正都, 清水 康一, 太田 哲生, 三輪 晃一
    1999 年 24 巻 5 号 p. 720-724
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    過去16年間の大腸癌手術症例525例を80歳以上の大腸癌35例 (A群), 70歳以上79歳以下の141例 (B群) および70歳未満の349例 (C群) の3群に分け検討を行った。A群では85%の症例で術前に何らかの併存疾患を有しており, PSも不良であったが, 術後合併症発生率および在院日数は他の2群と比較して差は認められなかった。またA群とB, C群では術式およびリンパ節郭清範囲も若干差を認めたが, 根治性には差を認めなかった。またA群の死亡例では有意に他病死の症例が多く認められた。以上より, 80歳以上の高齢者においても原則としては系統的なリンパ節郭清を伴った根治術を行うべきと考えられるが, 手術に伴う合併症や手術自体の障害によるQOLの問題, および患者の予後を規定する臓器障害や疾患の有無を考慮に入れ, 症例に適した術式を選択すべきと考えられた。80歳以上の大腸癌35症例について80歳未満の症例と比較検討し以下の結論を得た。1. 高齢者では85%の症例で術前に何らかの併存疾患を有していたが, 術後合併症発生率および在院日数は70歳代, 70歳未満と比較して差は認められなかった。2. 高齢者群の術式は直腸切断術など人工肛門を造設する例が多く, リンパ節郭清範囲も手控えられた傾向を認めたが, 根治性には差を認めなかった。3. 死因としては高齢者群では他の2群と比較して他病死例を多く認めた。以上より, 80歳以上の高齢者においても原則としてはリンパ節郭清を伴った根治術を行うべきと考えられるが, 手術に伴う合併症や手術自体の障害によるQOLの問題, および患者の予後を規定する臓器障害や疾患の有無を考慮に入れ, 症例に適した術式を選択すべきと考えられた。
  • 木下 壽文, 今山 裕康
    1999 年 24 巻 5 号 p. 725-729
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    80歳以上の高齢者の肝胆膵手術症例76例の手術成績を検討した。良性は49例で, 胆石症46例, 急性胆嚢炎, 肝嚢胞,肝膿瘍の各1例であった。悪性は27例で, 胆道癌12例, 膵臓癌9例, 肝細胞癌6例であった。術前併存疾患保有率は53.9%で, 呼吸器疾患や循環器疾患が多くみられた。高齢者の術前併存疾患は1つではなく2~3つを有していた。良性の術式は胆管切開切石術が25例と最も多く, 悪性は姑息的手術が多かったが, 膵頭十二指腸切除術, 肝切除術を各2例に行った。術後合併症は28.9%で, 創感染が最も多く, 手術侵襲の大きな術式に重篤な合併症はみられなかった。高齢者手術では術後早期の社会および家族への復帰が最も大切であり, 術後のQOLを十分に考慮した適切な手術適応と術式の選択を行う必要がある。
  • 松田 昌三, 畠山 理, 岡田 直己, 高田 昌彦, 中島 幸一, 山崎 良定, 梅木 雅彦, 高塚 二郎
    1999 年 24 巻 5 号 p. 730-735
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    術後譫妄は高齢者に多くみられ, 高齢者に特有ともいえる合併症であり, とりわけ救急手術の際には待期手術に比しその出現率は極めて高く, 且つその譫妄も重症化し易い。そして症例が一旦この譫妄に陥ると治療に対する協力が得られなくなり, 満足な術後管理がなし得なくなってしまう。その結果ただでさえ予備力が失われた高齢者の救急手術症例においては悲惨な結果につながり易い。そのため術後譫妄は, 高齢者救急手術後管理において, 今後強調されるべきポイントといえるので, これら譫妄の誘因と対策を中心に考察を加えて報告する。
  • 堀井 有尚, 天野 定雄, 桜井 健一, 西尾 知, 森 健一郎, 秦 怜志, 福澤 正洋
    1999 年 24 巻 5 号 p. 736-742
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    壁深達度T2の胃癌組織52例を用いて癌の増殖, 転移機構に関与していると考られている血管内皮増殖因子 (VEGF), その受容体である (Flk-1, Flt-4) の免疫組織化学的な発現と, 腫瘍血管密度及び臨床病理学的背景因子との関連性を検討した。VEGF, Flk-1, Flt-4の発現は, リンパ管浸潤, 静脈浸潤, リンパ節転移陽性症例に明らかに高く認められ, 組織学的進行度が高度な症例に高く認められたVEGF及びFlk-1, Flt-4の発現は, 胃癌のリンパ行性転移を反映する1つの指標となりうることが示唆された。
  • 高山 陽, 難波 美津雄
    1999 年 24 巻 5 号 p. 743-749
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    大腸癌の浸潤・転移過程における関与が注目されているMMP9と, その活性因子uPAおよび抑制因子TIMP1に関して, 同時性肝転移10症例を含む大腸癌手術症例40例を対象に, その癌部 (T) と非癌部 (N) 組織におけるmRNAの発現をRT-PCR (reverse transcription-polymerase chain reaction) 法を用いて検索し, 臨床病理学的因子との関連を検討した。MMP9とuPAの発現は, 非癌部よりも癌部において有意に高く, かつ両者の発現には有意の関連を認め, 肝転移陽性例においては共に高い発現傾向を示した。また癌部MMP9陽性例は陰性例に比べ予後不良の傾向を示した。さらに, 半定量化による検討では, MMP9とuPAが癌部において非癌部以上の発現量 (T>N) を示す割合の方が高かった。以上より, uPA, MMP9, TIMP1mRNAは, その発現状況により肝転移と予後に関与することが示唆された。
  • 難波 美津雄, 高山 陽, 藤田 昌紀, 下田 渉, 柴野 成幸, 橋本 龍二, 椿 昌裕, 砂川 正勝
    1999 年 24 巻 5 号 p. 750-754
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    治癒切除結腸癌221例を対象にリンパ節転移の部位と程度, 再発形式, 予後などを検討し合理的な切除法について考察した。転移はn0152 (72.4%), n132 (15.2%), n220 (9.5%), n36 (2.9%) で深達度mp以上にみられ, 占居部位による差はなかった。n2以上の転移部位はn2では考結腸n1, n2と中間リンパ節n2に認められた。n3は旁結腸n1, n2, 中間リンパ節n2, 主幹動脈根部n3で, 旁結腸n3に転移はなかった。転移と郭清度はn<Dは94.1%, n=Dは5.9%で, 再発率は各々18.8%, 23.1%でn=Dに高いが有意差はなかった。また, 転移度別の再発率はn017%, n123.5%, n227.3%, n316.7%と有意差はなかった。主な再発形式は血行性6.8%, 腹膜5%, 血行性+腹膜2.3%などであり, リンパ系の転移は2.3%のみでリンパ節転移度と郭清度との関連は認めなかった。従って, 切除範囲は主幹動脈に沿う郭清を充分に行い, 腸管軸方向はD2の範囲で良い可能性が示唆された。
  • 村野 明彦, 勝又 健次, 尾形 高士, 永川 祐一, 森脇 良太, 山下 晋矢, 山本 啓一郎, 青木 達哉, 小柳 泰久
    1999 年 24 巻 5 号 p. 755-760
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    高齢者大腸癌を定義するためにD2, D3郭清を行った65歳以上の大腸癌症例の臨床病理学的因子, 術前後合併症, 予後を検討した。初回待期手術症例で65歳以上のD2以上の郭清を行った大腸癌患者92例を対象とし, A群 (65-74歳;n=59), B群 (75-87歳;n=33) を検討した。臨床病理学的に StageIVと根治度C症例は各々A群 (8.5%, 8.2%) に比べB群 (33.3%, 24.2%) で有意に多く, 術前合併症は%VCが80%未満, 24時間Ccrが70ml/dl未満の症例は各々B群 (24.1%, 88.5%) でA群 (1.7%, 37.5%) に比べ有意に多かった。術後合併症は, 不穏がB群 (36.4%) でA群 (8.5%) に比べ有意に多いが縫合不全等に差はなかった。5年生存率は両群間の根治度A症例で差がなく, 術中出血量, 手術時間, 平均術後在院期間, 平均離床期間も各群間で有意差は無かった。以上, D2, D3郭清をした65歳以上の治癒切除症例で両群間の5年生存率に有意差が無いため, 高齢者に治癒切除を行うべきであり, また, 75歳以上を高齢者とするのが妥当と思われた。
  • 湊屋 剛, 西村 元一, 安居 利晃, 宮下 知治, 伏田 幸夫, 藤村 隆, 橋本 哲夫, 清水 康一, 米村 豊, 三輪 晃一
    1999 年 24 巻 5 号 p. 761-765
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    近年, 社会の高齢化とともに高齢者腹部緊急手術症例が増加している。今回われわれは当科における高齢者腹部緊急手術症例の臨床的特徴について検討を行った。過去10年間の当科における75歳以上腹部緊急手術症例53例を対象とした。原疾患ではイレウス (18例), 虫垂炎 (8例), 消化管穿孔 (7例) を多く認めた。併存基礎疾患は高血圧, 循環器疾患が最も多く, 次いで呼吸器疾患, 糖尿病の順であった。術後合併症では呼吸不全や肺炎などの呼吸器疾患が最も多く, 次いで創部感染, せん妄状態の順であった。死亡8症例 (15%) の原疾患は消化管穿孔が最も多く, 1例を除いて術前Physical Statusは3以上で, 直接死因は感染に起因したMOFが多かった。また, 術前ショック合併例の50%が死亡しており, 周術期管理におけるショック治療および感染症対策が重要であると考えられた。
  • 塩路 康信, 満 純孝, 西沢 秀治, 森田 辰男, 村石 修, 徳江 章彦
    1999 年 24 巻 5 号 p. 766-772
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    膀胱全摘除術を行った膀胱癌84例中, 尿路変向に尿管S状結腸吻合術を行った15例 (男性13例, 女性2例) を対象として, 尿管S状結腸吻合の長期成績を検討した。吻合方法は刺創吻合7例, 直接吻合6例, 粘膜下吻合2例であった。尿管S状結腸吻合の累積10年有効率は71%, 20年有効率は30%と段階的に減少したが, 癌特異的累積10年生存率は56%, 20年生存率は52%と10年以後横ばいで両者は15年を境に逆転していた。吻合破綻症例は6例で, 全例慢性腎不全を来していた。その原因は逆流によるものが4例, 狭窄によるものが1例, 不明が1例であった。術後15年以上の吻合有効症例は15例中4例で, 観察期間中の合併症は腎盂腎炎2例, 尿管結石1例, S状結腸癌1例であった。近年あまり施行されない術式だが, 晩期合併症を考えた定期的な経過観察が必要である。また吻合18年後に発生したS状結腸癌症例を経験したので, 併せて報告した。
  • 久徳 茂雄, 安井 浩司, 辻田 美樹, 小川 豊, 井上 俊哉, 辻 裕之
    1999 年 24 巻 5 号 p. 773-776
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    頭蓋底・頭頸部外科における悪性腫瘍切除がより広範囲, 積極的に行われるようになったが, 顔面硬組織の再構築は第一選択と考え, flying buttress法を考案するに至った。上顎癌の拡大上頸眼窩一塊切除後のこれまでの眼窩下縁・頬骨隆起部の再建は長期経過観察から, 人工物や遊離骨移植よりは有血行組織による硬組織によるものが良く, これにより残存する骨切除断端である対側前頭鼻骨部と頬骨弓部を渡す梁構造 (flying buttress) をつくることにより, 良好な顔面形態を再建することが可能と考える。われわれは本法を側頭筋を茎とする頭蓋骨外板, 肋軟骨付き下茎腹直筋皮弁のいずれかを用い, 1996年2月から今日までに本法を8例に応用した。現在, 平均術後観察期間18ヵ月であるが, いずれのflying buttressもその容積・支持性を保っている。また筋体の萎縮はある程度認めるも硬組織支持により下垂は見られない.義眼床の再建は最近は遊離植皮を用いるようになった。
  • 小林 利彦, 川辺 昭浩, 数井 暉久
    1999 年 24 巻 5 号 p. 777-781
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    旧胃癌取扱い規約によるD2郭清が施行された胃癌切除症例458例の長期成績を検討した。予後追跡は99.6%で完遂され, 生存213例, 死亡243例, 消息不明2例という結果であった。死亡原因として在院死亡は6例 (1.3%) 存在し, 胃癌死症例 (142例) の約4割は術後1年以内に死亡していた。他病死例 (48例) の内訳は肺炎, 脳血管障害, 心不全等であり, 術後1年以内の他病死例には手術関連死亡が含まれている可能性があった。重複癌の発症は48例 (うち13例死亡) で認められたが, 当科では肺癌の頻度が高い割に予後良好な傾向にあった。全症例の5年生存率は58.9%, 10年生存率は49.8%であったが, 早期癌の術後短期の生存曲線に他病死例が強く影響しており, 今後手術適応をより詳細に検討していく必要性が感じられた。結論として, 新しい取扱い規約下でも従来のD2郭清を基本とし, 適宜郭清範囲の拡大・縮小を考慮していく姿勢が重要と思われた。
  • 加藤 健, 浅沼 義博, 佐藤 勤, 田中 淳一, 古屋 智規, 安藤 秀明, 安井 應紀, 黒川 敏昭, 小山 研二
    1999 年 24 巻 5 号 p. 782-786
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    肝胆道系手術後に生じた仮性動脈瘤からの出血に対し肝動脈塞栓術を施行した5例を検討した。症例1は胃十二指腸動脈根部に生じた仮性動脈瘤に対し総肝動脈および固有肝動脈を塞栓した。症例2は左肝動脈仮性動脈瘤に対し左肝動脈を塞栓, 右肝動脈仮性動脈瘤に対し手術的に右肝動脈を結紮した。症例3は左右肝動脈分岐部に生じた仮性動脈瘤に対し固有肝動脈を塞栓した。症例4は胃十二指腸動脈根部に生じた仮性動脈瘤に対し総肝動脈および固有肝動脈を塞栓した。症例5は総肝動脈に生じた仮性動脈瘤に対し総肝動脈および固有肝動脈を塞栓した。症例1, 2, 3は塞栓後に肝不全, 肝膿瘍を併発し死亡した。症例4, 5には塞栓後, 上腸間膜動脈からProstaglandin E1 (以下PGE1) の持続動注を行い, 良好な結果を得た。肝胆道系術後の肝動脈瘤破裂症例で肝動脈塞栓を余儀なくされた場合, 上腸間膜動脈内PGE1持続動注療法は有用な治療法と考えられる。
  • 青木 達哉, 粕谷 和彦, 永川 裕一, 土田 明彦, 小柳 〓久
    1999 年 24 巻 5 号 p. 787-791
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    臨床の場では膵小嚢胞を契機に小膵癌が発見されることがある。最近, 著者らは小嚢胞を合併する上皮内癌2例を経験し, 主膵管の変化と嚢胞の両者の位置関係と周辺上皮の性状について検討した。症例1 (75歳・女性) 。上皮内癌は貯留嚢胞の乳頭側の近接膵管に存在した。癌部主膵管にはERP像では変化はなかった。症例2 (72歳・男性) 。上皮内癌は主膵管狭窄部および貯留嚢胞の乳頭側の近接膵管に存在し, 嚢胞内上皮に一部進展した。狭窄と嚢胞は随伴性膵炎による主膵管壁の増殖に起因した。ERPでは癌部を同定し得なかった。2症例とも癌および周囲膵管上皮の粘液産生には乏しかったが, 2次的に貯留嚢胞を生じた。膵癌はたとえ膵管上皮内に限局していても尾側膵管への影響があり, 貯留嚢胞・狭窄を生じうる。また貯留嚢胞・狭窄がみられたときは, 常にその主膵管乳頭側に病変の主座があることを考慮するべきと考えられた。
  • 上田 順彦, 小西 一朗
    1999 年 24 巻 5 号 p. 792-796
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    非定型的な臨床経過を示した上腸間膜動脈閉塞症の1例を報告した。症例は83歳, 男性。80歳時より麻痺性イレウスと上腸間膜動脈閉塞症の疑いにて保存的治療を受けていた。今回腹痛を主訴に入院したが, 3日目より腹膜刺激症状を認めた。腹部血管造影では上腸間膜動脈は第1~3空腸動脈枝を分岐した後に完全閉塞し, 下腸間膜動脈から辺縁動脈を介して回腸の一部まで描出された。上腸間膜動脈閉塞による腸管虚血と診断し手術した。Treitz靱帯より45cmの部位から回腸末端30cmを残して虚血腸管を切除し, 端側吻合するとともに断端は腸痩とした。切除標本では口側端寄りは粘膜面に胆汁が帯状に付着していた。この部は粘膜下層表層部まで壊死に陥っており, 壊死部は好中球が層状に集簇し, 胆汁に対する二次的な炎症反応と考えられた。また器質化の早期の変化を受けた血栓が, 動脈硬化のない空腸枝を狭窄しており, 塞栓から二次的に血栓が形成されたと考えられた。
  • 冨室 哲也, 香山 仁志, 船井 貞往, 康 謙三
    1999 年 24 巻 5 号 p. 797-801
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は上腹部痛を主訴に肝腫瘍が発見された22歳の女性である。肝炎ウイルス・慢性肝疾患の合併はなく, Fibrolamellar carcinoma (FLC) を含めた原発性肝癌の診断で手術を施行した。外側区の6cmの単発性腫瘍に対し肝左葉切除を行い, T2, N0, M0, Hr2, TW (-) : 組織診断fibrolamellar carcinomaの治癒切除であったが, 術後90日に両側多発性肺転移が認められた。本邦では通常型肝細胞癌の発生頻度が欧米より高いにもかかわらずFLCの報告は14例にとどまっている。FLCの予後は, 通常型肝細胞癌にくらべ良好であるとされてきたが, 大部分が進行癌で, 肝内転移やリンパ行性・血行性転移が高率に認められ予後不良であるとの報告も少なくない。したがって, 若年者にみられる慢性肝疾患非合併肝腫瘍にはFLCを念頭においた鑑別診断と, 外科治療に際しては系統的肝切除と肝門部リンパ節郭清が最低限必要である。
  • 上西 宏, 松橋 延壽, 日比 俊也, 河合 雅彦, 山森 積雄, 古市 信明, 三沢 恵一, 大橋 広文
    1999 年 24 巻 5 号 p. 802-805
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    膵頭十二指腸切除術 (以下PD) 後に発症したセレン欠乏症を経験した。症例は26歳男性。1990年 (19歳時) に外傷性膵十二指腸損傷に対し他病院にてPDを受け, その後当科へ紹介された。術後の吸収障害による脂肪便を認めたが, 膵酵素剤の投与によって改善した。96年 (25歳時) 夏頃より下肢の筋肉痛と頭髪の脱色性変化を認めたため, 翌年1月13日精査加療の目的で入院した。血中セレン濃度の著明な低下に対し院内調剤したセレン製剤の投与を行ったところ, 速やかに下肢の筋肉痛が改善し, 12月頃には血中セレン濃度, 頭髪色もほぼ正常化した。
  • 山本 隆嗣, 広橋 一裕, 塚本 忠司, 葛城 邦浩, 橋本 幸恵, 田中 宏, 久保 正二, 木下 博明
    1999 年 24 巻 5 号 p. 806-809
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    転移性肝癌に対し施行した経皮的マイクロウェーブ凝固壊死療法 (percutaneous microwave coagulation therapy : PMCT) 後に皮膚-肝-十二指腸瘻を発症した1例を経験した。症例は42歳, 女性。二年前にS状結腸癌肝転移のためS状結腸切除, 肝動脈内リザーバー留置術をうけていた。肝動脈の狭窄のためリザーバーを抜去し, 肝再発に対しPMCT/開腹下MCTを数回に渉り施行されていた。1999年3月PMCT施行後, 皮膚痩からの胆汁漏が出現した。胆汁漏は持続していたがPMCT20日後に突然の腹痛ともに胆汁漏は消失し, 肝十二指腸瘻が発見された。胆汁は十二指腸よりドレナージされており, PMCT後61日目に軽快退院となった。経動脈的な治療や上腹部手術の既往のある症例は胆管壁への血流障害を潜在的に有している症例があり, そういった症例の肝腫瘍に対してPMCTを行う際, 血流障害に伴う胆管の再性能低下が胆管壊死を惹起させる可能性がある。胆汁漏の発生や手術による腹腔内の臓器癒着に起因した他臓器の熱傷害等に留意し, 既往歴や前治療を十分に検討しMCTの施行領域と施行法の決定を慎重に行わなければいけない。
  • 岩崎 榮
    1999 年 24 巻 5 号 p. 810
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 篠崎 正博
    1999 年 24 巻 5 号 p. 811
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
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