日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
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25 巻 , 6 号
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  • 竹内 仁司, 田中屋 宏爾, 小長 英二
    2000 年 25 巻 6 号 p. 815-820
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    肝癌患者は肝予備能の低下を認めるため, 手術侵襲の少ない腹腔鏡下手術は良い適応と考えられる。しかし, 腹腔鏡下肝切除術はガス塞栓, 出血, 胆道損傷などの合併症も多いため, 日本内視鏡外科学会の第4回アンケート調査によると1997年12月31日までに72例の報告があるのみである。手技としては容易な外側区域切除あるいは表在性腫瘍の部分切除が行われている。われわれは正確なsurgical marginを確保するためにVATSマーカー針を使用するとともに, 腫瘍周囲の凝固に深部用マイクロ波凝固針を応用した。本法により凝固針の穿刺方向が自由となり凝固深度の調整が容易となったため, 適応範囲を拡げることができた。本術式を施行した9例は, 全例重篤な合併症なく術後回復は極めて良好で, 同一区域内再発は1例も認めていない。今後安全な腹腔鏡下肝切除術手技が確立され, 広く肝癌治療に応用されることが望まれる。
  • 足立 信也, 川本 徹, 高田 泰次, 小池 直人, 榎本 剛史, 篠崎 英司, 轟 健, 深尾 立
    2000 年 25 巻 6 号 p. 821-825
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    胃全摘後の再建術式としてRoux-en-Y法 (R-Y), pouch-en-Y法 (P-Y), pouch間置法 (P-I) のrandomized studyを行った。評価項目は愁訴, 体重, 逆流性食道炎の有無, 血液中VB12濃度, 術後1年目, 3年目の消化管胆道デュアルシンチグラフィー (GHDS) である。その結果, R-Yは胸焼け症状が多く, GHDSで胆汁の逆流が1年後86%, 3年後67%にみられた。食物のつかえ感はpouch群に多く, GHDSによる食物の逆流は1年後P-Y60, P-163%, 3年後P-Y43, P-I50%であった。食物の1時間停滞率が術後3年で減少した症例数はP-Y6例中2例, P-I6例中4例であった。P-Y群の体重減少が最も少なく, P-I群は1年後以降増加を続けている。さらに, 低VB12血症の患者に経口剤として1日量750μgのvitamin B12を投与したところ, 再建術式に関係なく有意な血中濃度の上昇と症状の改善がみられた。
  • 松本 勇太郎, 小田切 範晃
    2000 年 25 巻 6 号 p. 826-830
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    過去21年間に経験した小児急性虫垂炎症例を分析し, 病態の特徴および穿孔の予防に関して検討した。過去21年間に643例の小児急性虫垂炎手術例を経験した。平均年齢9.2±3.3歳, 男児387例, 女児256例であった。穿孔率は37.4%で男児36.4%, 女児39.1%と性差はなかったが, 年齢では低年齢ほど有意に穿孔率が高かった。穿孔率は年代によっても改善は見られなかったので, 最近10年間の症例の詳細な検討を行ったところ, 穿孔に関与または穿孔を示唆する因子としては年齢, 術前有症期間および当科受診前抗生物資投与の有無があげられた。診断確定前の盲目的抗生物質の投与は穿孔の予防には無効であった。
  • 富田 涼一, 藤崎 滋, 柴田 昌彦, 丹正 勝久, 福澤 正洋
    2000 年 25 巻 6 号 p. 831-834
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    大腸癌イレウス36例 (男性28例, 女性8例, 46~88歳, 平均66.9歳) に対する術前減圧チューブ法 (イレウス管, 経肛門的減圧チューブ) による消化管減圧効果と術式, 術後合併症を検討した。イレウス管は右側大腸癌, 経肛門的減圧チューブは左側大腸癌の症例の減圧に良い適応であり, 術後合併症の点から減圧成功例では一期的手術, 不成功例では二期的手術が望ましいと考えられた。減圧期間は10日目までを目安とし, 減圧不良例では手術療法を選択すべきと考える。合併症発生率は, 減圧成功群が減圧不成功群より有意に少なかった (p<0.01) 。合併症の種類は, 前者では癒着性イレウス, 後者では創感染が最も多かった。
  • 田尻 達郎, 田中 真司, 水田 祥代
    2000 年 25 巻 6 号 p. 835-840
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    神経芽腫の生物学的特性の検索におけるFISH法の有用性を検討するために神経芽腫30検体に対してN-myc増幅, DNAploidy, 1p欠失に関してサザンプロット (SB), フローサイトメトリー (FCM), FISH法にて解析した。N-myc増幅に関してstage1, 2, 3の原発巣17例全例においてSBでは1コピーを示し, FISH法でも増幅細胞の割合は0%であった。stage 4, 4Sの原発巣8検体と転移巣5検体の解析ではSBで6コピー以上の増幅を示した5検体においてFISH法で増幅細胞が多数存在していた。stage4Sの肝転移巣においてSBでは1コピーであったが, FISH法で増幅細胞が16%認められた。DNA ploidyに関してFCMによるaneuploid14例中FISH法で1番trisomyを示す症例は10例で, 2番短腕trisomyを示したのは11例であった。FCMによるdiploid 6例中1番disomyを示す症例は4例, 1番trisomyを示したのは2例であった。1pの欠失は4例に認め, 4例ともN-myc増幅例で, 1番disomyの症例であった。FISH法は腫瘍内に存在する少数の悪性度の高い細胞の検出に適し, 詳細な染色体数の解析にも有用であると思われた。
  • 織井 崇, 大河内 信宏, 里見 進
    2000 年 25 巻 6 号 p. 841-845
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    生体肝移植は, 移植肝生着率は良好だが, 移植術後のquality of life (QOL) の向上は十分とは言い難い。術後再入院の頻度をみると1症例平均2.78回と多く, ウイルス感染症と胆道系合併症がその最たる原因となっていた。術前肝肺症候群を合併した症例は, 低酸素血症が高度であっても全症例が肝移植術後に正常域まで改善した。術前の成長障害は高度で, 身長の standard deviation scoreは, 平均-1.52であった。約7割の症例で移植後catch up growthが得られたが, 移植時年齢が5歳を超えると得にくい傾向があった。以上より, 生体肝移植によって肝肺症候群合併症例のQOLは十分向上したが, 頻回の再入院や成長障害といった問題は依然残っており, 今以上にQOLを向上させるためには, 胆道系合併症を減少させ, ステロイドの早期中止やより低年齢での肝移植をめざす必要がある。
  • 太田 哲生, Ayman ELNEMR, 易 双勤, 尾山 勝信, 萱原 正都, 北川 裕久, 二宮 致, 伏田 幸夫, 藤村 隆, 西村 ...
    2000 年 25 巻 6 号 p. 846-850
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    膵癌細胞における免疫回避能を知る目的で, 進行膵癌45例 (stage IIIが5例, stage IVaが19例, stage IVbが21例) の切除膵を用いて, FAS-ligandの発現頻度ならびにアポトーシス細胞の出現程度を免疫染色を行って評価し, FAS-ligand発現程度と予後との関連について検討した。FAS-ligandの発現は45例中37例 (82%) と高率であり, FAS-ligand発現膵癌細胞周囲にはsingle strandDNA染色で核が可染するリンパ球細胞が多数観察された。また, FAS-ligand発現陰性群では陽性群に比べ, 有意に生存期間の延長が認められた。さらに, FAS-ligandは癌剥離面での癌遺残の有無を示す“histologic margin”とともに, 予後規定因子としてきわめて重要であることが判明した。以上の成績より, 膵癌細胞の多くはFAS-ligandを発現して免疫回避している可能性が示唆された。さらに, FAS-ligandは膵癌の予後規定因子としても重要であることが示唆された。
  • 岸本 幸一, 小野寺 昭一, 清田 浩, 古田 希, 五十嵐 宏, 吉野 恭正, 大石 幸彦
    2000 年 25 巻 6 号 p. 851-854
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    経腹的根治的左腎摘出における網嚢からと, 下行結腸外側切開併用による到達法の有用性について検討した。到達法 : 体位は仰臥位。肋骨弓下横切開にて開腹する。大網の横行結腸付着部で切開し網嚢に入り, 膵尾部下面で横行結腸間膜前葉を横に切開する。ついで下行結腸の外側を切開し後腹膜腔に入り, 網嚢と下行結腸の外側から結腸脾靭帯を切断する。膵尾部, 脾臓を上方に, 結腸を下方へ授動する。その後左腎茎を処置し腎を摘出する。対象はpTlb (18例), pT3a (3例), pT3b (2例), pT4 (1例) 1)であった。平均出血量460ml, 平均手術時間が234分, 摘出重量が494gであった。下行結腸外側またはトライツ靭帯を切開して, 後腹膜腔に入る到達法と比してし, 腎茎, 膵尾部, 脾のオリエンテーションが容易で, 出血量の減少と, 手術時間の短縮をみた。
  • Yoshitaka HASHIMOTO, Go KIMURA, Shuichi OSAWA, Narumi TSUBOI, Masao AK ...
    2000 年 25 巻 6 号 p. 855-858
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    We determine prognostic factors for renal cell carcinoma using the revised 1999 General Rule for Clinical and Pathological Studies on Renal Cell Carcinoma. The records of 176 patients undergoing partial and redical nephrectomy at our hospital between 1989 and 1998 were reviewed. Renal cell carcinoma grade and clinical stage were evaluated using the 1997 TNM criteria, respectively. Kaplan-Meier survival curves were used to determine 5-year cancer specific survival for all patients groups. Univariate analysis using log rank sum tests was performed to evaluate the prognostic factors of tumor grade, clinical stage, and tumor diameter. We found that renal cell carcinoma with small diameter had no advanced malignancy or clinical disease stage, and that malignancy and clinical stage advance with increase in tumor diameter, with resultant decrease in survival rate. We think that it is important to detect renal tumor while its diameter is small, through widespread use of examination by imaging in health check.
  • 石田 秀之, 古河 洋, 龍田 眞行, 桝谷 誠三, 池田 正孝, 今村 博司, 清水 潤三, 橋本 和彦, 太田 英夫, 江角 晃治, 川 ...
    2000 年 25 巻 6 号 p. 859-862
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    大腸の良性疾患 (虫垂炎を除く) が原因で腹膜炎をきたし当院で手術を施行した11症例の治療成績と問題点を検討した。右側結腸3例の原因は憩室炎で, 腹膜炎は限局していた。ドレナージ術が基本術式と思われた。治療成績は良好で生存中である。左側結腸8例の原因は憩室炎4例, 特発性1例, 不明3例であった。限局性腹膜炎4例では治療成績は良好で生存中である。切除が基本術式と思われた。汎発性腹膜炎4例ではうち2例が死亡した。人工肛門造設術が基本術式と思われた。汎発性腹膜炎症例の早期診断は現在でも困難で, 高齢者の場合周術期管理が, また基礎疾患を有する症例ではその制御の可否が生死に直結すると思われた。
  • 進藤 久和, 木田 晴海, 新海 清人, 本庄 誠司, 柴田 良仁, 古川 克郎
    2000 年 25 巻 6 号 p. 863-866
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    癌浸潤を疑い隣接臓器合併切除を行った直腸癌16例について, とくに術前の画像診断の有用性について検討した。組織学的深達度si (ai) は6例 (37.5%) で, 癌浸潤を認めた臓器は, 膀胱2例, 前立腺3例, 膣1例であった。術前に隣接臓器浸潤を診断したのは7例で, うち5例に病理学的に癌浸潤が認められた。根治度Aが得られたのは10例で, うち4例は深達度si (ai) であったが, これらは4例とも術前の画像診断で隣接臓器浸潤を指摘されており, 適切に隣接臓器の合併切除が行われた。また, 遺残がみられた3例は, いずれも局所再発, 遠隔転移で12~17カ月で死亡した。隣接臓器浸潤といえども治癒切除を行うことで治療成績の向上に寄与すると考えられ, その上で, 術前に総合的に画像診断を行い, 隣接臓器を検索しておくことは重要であると考えられた。
  • 森脇 義弘, 松田 悟郎, 軽部 義久, 内田 敬二, 山本 俊郎, 杉山 貢
    2000 年 25 巻 6 号 p. 867-872
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    重症discending necrotizing mediastinitisの1例を経験したので報告する。症例は, 61歳, 男性。誘因のない右頸部痛, 発熱, 咽頭痛, 経口摂取困難, 呼吸困難で, 近医を経て第5病日当センターへ転院となった。頸部, 右顔面, 右腋窩から右上肢にかけて浮腫著明で, 頸部側面X線で後咽頭腔開大, 胸部X線で縦隔陰影開大, 頸胸部CTで中下咽頭後壁の腫大, 縦隔浮腫, 右内頸, 腋窩静脈の閉塞を認めた。耳鼻科に併診したが, 外科的排膿は困難で, 抗生剤による全身管理, 経過観察を推薦された。しかし, 所見が悪化したため, 入院第2病日に耳鼻科でマイクロ用剪刀で咽頭後壁小切開施行。右気管支と上大静脈の圧排に対し当科で第4病日に右前側方開胸, 縦隔ドレナージ, 耳鼻科で咽頭後壁再ドレナージを施行, 気管切開術と右頸部開放ドレナージは第14病日に施行した。初期治療時から耳鼻科など複数科の連携が重要だが, 深頸部や縦隔のドレナージの時期を逸しないようにすべきと思われた。
  • 二村 直樹, 林 勝知, 小久保 光治, 阪本 研一, 安村 幹央, 広瀬 一, 下川 邦泰
    2000 年 25 巻 6 号 p. 873-877
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    肺と胃に腺癌を認め, 胃病変の粘膜下腫瘍様の形態から肺癌胃転移と考えられる1例を経験した。症例は50歳の女性。主訴は左大腿部痛。1998年1月, 左大腿部に小児頭大の腫瘤を認め, 整形外科に入院した。左大腿部腫瘤の生検が行われ, 低分化腺癌と診断された。転移性腫瘍と診断され, 原発巣の検索が行われた。精査の結果, 肺, 胃および副腎に病変を指摘された。胃の病変は中心に潰瘍をともなうなだらかな隆起でbull's eye signであった。2期的に胃と右副腎, 右肺と左大腿の病変をそれぞれ切除した。病理組織検査では4病変はいずれも低分化腺癌で同様の組織像であった。胃の病変は粘膜下腫瘍様の形態であった。肺癌の胃, 右副腎, 左大腿軟部組織転移と診断した。術後に化学療法としてシスプラチン60mg/m2, ビンデシン2mg/m2を1クール投与した。2回目の手術から約11カ月後に再発で死亡した。
  • 山田 貴, 頼木 領, 渡辺 明彦, 仲川 昌之, 佐道 三郎, 楠本 祥子, 玉置 英俊
    2000 年 25 巻 6 号 p. 878-881
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    術前に診断し, 腹腔鏡にて切除した胃粘膜下異所腺由来の腺腫を経験したので報告する。症例は63歳の男性。心窩部痛を主訴に来院し内視鏡にて胃体中部に約3cm大の腫瘤を認め, 胃粘膜下腫瘍と診断された。内視鏡下生検にて正常粘膜下層に腺組織を認め, 異所性の迷入腺管と診断された。超音波内視鏡では第3層に連続する比較的高エコーの腫瘤像を認め, その内部に無エコーな部分が散見された。孤立性の胃粘膜下異所腺と診断し, 腹腔鏡下胃部分切除を施行した。切除標本は粘膜下の小さな嚢胞を伴う白色充実性腫瘤で, 病理組織診では正常粘膜下層に管状構造からなる腺管の異常増殖がみられ, 胃粘膜下異所腺由来の腺腫と診断した。
  • 広瀬 和郎, 玉木 雅人, 千田 勝紀, 廣野 靖夫, 飯田 敦, 片山 寛次, 山口 明夫
    2000 年 25 巻 6 号 p. 882-886
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は49歳男性で, 心窩部痛と体重減少を主訴に入院し, 幽門狭窄を伴う前庭部の3型進行胃癌と診断された。血清CEAは32ng/mlと高値を示した。手術時には原発巣は膵頭部に浸潤し, 腹腔動脈・大動脈周囲に多発性のリンパ節転移を認め, 姑息的な幽門側切除術が行われた。術後早期より静脈内化学療法 (tegafur, 400mg/日×21日;mitomycin C, 8mg/日, 1-2回/週, 計12回), UFT内服 (200-400mg/日) に加えOK-432 (1-2K.E./日, 計18回) の皮内投与を継続した。術後6カ月でCEA値は正常化し, 腹腔動脈・大動脈周囲に遺残したリンパ節転移巣は腹部CTで検出不能となった。この間, 血清immunosuppressive acidic protein (IAP) は正常値を維持した。以後, 患者に癌の再発所見を認めず, 術後7年5カ月, 気管支喘息に基づく慢性呼吸不全で死亡した。本症例は, 減量手術後の化学療法の奏効例であるが, 併用された免疫療法が患者の免疫能低下を防ぎ, 長期生存に寄与した可能性が示唆された。
  • 篠原 健太郎, 国崎 主税, 黒沢 治樹, 嶋田 紘
    2000 年 25 巻 6 号 p. 887-891
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は69歳の女性で, 平成元年9月7日多発性早期胃癌 (M, post, Gre, IIc, 20×15mm, sm, sig, ly2, v2, INFβ;M, Gre, IIc, 20×20mm, sm, por1, ly2, v2, INFβ) の診断で幽門側胃切除術を施行され, 以後経過良好であった。平成9年5月21日, 全身の出血斑が出現し, 近医での骨髄穿刺で印環細胞を認め, 全身検索で他臓器に癌を認めなかったため, 早期胃癌による骨髄癌症と診断され, 当科に転院した。転院後FLEP療法 (5Fu-Leucovorin-Etoposide-Cisplatin) を開始し一旦改善したが, 治療開始104日目に硬膜下血腫で死亡した。病理解剖による組織学的検索では全身臓器への印環細胞の浸潤を認めた。本邦での文献報告では早期胃癌骨髄癌症は自験例が26例目で, 原発巣が未分化型, 陥凹型, リンパ節転移陽性例に多かった。同時性が20例と多く, 全身化学療法にも拘らず, 平均生存期間は4.6カ月と短かった。危険因子のある早期胃癌では, 厳重な経過観察が必要である。
  • 中川 国利
    2000 年 25 巻 6 号 p. 892-895
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    妊娠時に診断された胃癌症例4例を経験したので, 報告する。症例はいずれも30歳代で, 心窩部痛や嘔気・嘔吐を主訴として来院した。通常の妊娠悪阻と異なり症状が続くため, 上部消化管内視鏡検査を施行して胃癌と診断した。左鎖骨上窩リンパ節に転移を認めた1例を除く3例では開腹したが, 胃周囲臓器への直接浸潤や腹膜播種性転移を認めたため, 単に胃空腸吻合術や試験開腹術に終った。術後に癌化学療法を積極的に行ったが, いずれも1年以内に死亡した。なお術前に2例で人工妊娠中絶を, また誘発分娩および帝王切開を各1例で施行した。妊婦では胃癌の診断が遅れて進行癌で発見される例が大多数であり, 予後は不良である。したがって妊婦ではより積極的に上部消化管内視鏡検査を行い, 早期診断に努める必要がある。また治療は基本的には母体の生命を第一に考えて行うが, 妊娠時期や癌の進行度などを考慮して, 外科的および産科的処置を行う必要がある。
  • 藤井 義郎, 小尾 芳郎, 鬼頭 文彦, 福島 恒男, 中村 宣生
    2000 年 25 巻 6 号 p. 896-900
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    患者は58歳の男性で, 幼少時よりRecklinghausen病と思われる多発性皮膚腫瘤を認めていた。心窩部痛を主訴に胃内視鏡検査で早期多発胃癌と診断され, 胃全摘術を施行した。手術中, 多発性小腸腫瘍がみつかり合併切除した。病理組織学的には, 胃病変は高分化腺癌と腺腫が混在し, 小腸病変はstromal tumor with skeinoid fibersであった。同腫瘍は1991年, MinK-W.が提唱したもので, 神経原性である可能性が指摘されている間質性腫瘍である。skeinoid fibersとは腫瘍細胞間の球状好酸性小体で, 電顕的には糸玉状のcollagen類似線維としてみえるものである。本症例はRecklinghausen病患者で, 腺腫と早期胃癌が混在し, また小腸腫瘍の診断について興味ある症例と思われたので報告する。
  • 阪本 研一, 広瀬 一, 林 勝知, 安村 幹央, 仁田 豊生, 二村 直樹, 下川 邦泰
    2000 年 25 巻 6 号 p. 901-905
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    人工弁置換術後の大動脈炎症候群患者に発症した進行大腸癌の1例に対して手術を施行した。症例は51歳, 女性。46歳時に大動脈炎症候群, 大動脈弁閉鎖不全症と診断され大動脈弁置換術を施行された。以後, ワーファリン経口投与による抗凝固療法とステロイド経口投与を施行されていた。今回, 横行結腸癌, 転移性卵巣腫瘍と診断され, 横行結腸, 片側附属器切除術を施行した。手術4日前にワーファリン内服を中止しヘパリンをACT値150~160秒を目標に持続投与した。また, 手術当日より静注投与によるステロイド補充を行った。術後7日目の経口摂取開始後, ワーファリン, ステロイドの内服を再開した。手術は結紮操作を多用し確実な止血操作に配慮することで出血量約100mlで, 出血, 塞栓症, 感染症などの術後合併症を認めなかった。
  • 布目 雅稔, 野浪 敏明, 大輪 芳裕, 有川 卓, 伊藤 暢宏, 鈴村 和義, 金光 泰石, 成瀬 隆吉
    2000 年 25 巻 6 号 p. 906-909
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    肝門部胆管癌に対する, 肝切除を伴わない肝門部胆管切除術は, 肝門部胆管切離や胆管空腸吻合の際, 視野の展開に苦慮することがある。われわれはCantlie線で肝を切離して肝門部を大きく展開し充分な視野の下に胆管切離, 胆管空腸吻合を行った症例を経験したので報告する。症例は71歳, 女性。肝門部胆管癌で左肝管B4分岐部, 前区域胆管B5, B8分岐部, 後区域胆管分岐部まで癌浸潤が疑われ, 拡大肝右葉切除が必要と考えられた。手術は十二指腸側総胆管の切離断端で癌陽性であったため拡大肝葉切除を行わず姑息的切除に切り替え, 肝門部胆管切除の方針とした。Cantlie線の尾側約1/3を肝門部方向へ肝を切離し, 肝内各胆管枝の充分な視野を得た。B2/3, B4分岐部, B5, B8分岐部, 後区域枝でそれぞれ胆管を切離した。胆道再建は左1カ所, 右2カ所で胆管空腸吻合を行った。本症例ではCantlie線切離による視野の確保下に姑息的に肝門部胆管切除を行ったが, 本法にて充分な術野が得られ, 手術を安全・容易に施行することができた。
  • 若原 正幸, 種村 廣巳, 大下 裕夫
    2000 年 25 巻 6 号 p. 910-914
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は66歳, 女性。胆石症のため約半年ごとに腹部超音波検査にてfollow up中, 右季肋部痛と発熱をきたし入院となった。腹部CT検査, 超音波検査にて胆嚢腫瘍を認めた。胆嚢癌の術前診断にて開腹したところ, 腫瘍は肝臓のS5と十二指腸へ直腸浸潤しており, 拡大右葉切除と膵頭十二指腸切除を施行した。病理組織は, 胞体に乏しく大小不同の円形~類円形の核を持つ未分化な小型腫瘍細胞が充実性に増殖しており, small cell carcinoma, med., si, hinf1, ly3, v2, pn1, n4 (+) と診断された。Grimelius染色陽性, NSE陽性であった。術後早期に肺転移をきたし, 97病日に死亡した。胆嚢原発の小細胞癌は稀な疾患であり, またその生物学的悪性度は極めて高く, 早期発見, 早期外科的切除が望まれる。
  • 高山 純一, 高見 博, 池田 佳史, 佐々木 裕三, 菅 重尚, 新見 正則, 稲田 英一, 亀山 香織
    2000 年 25 巻 6 号 p. 915-918
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    巨大な両側の遺伝性副腎褐色細胞腫に対して, 副腎皮質温存両側副腎摘出術を施行した。症例は30歳の女性で高血圧を指摘されていたが, 動悸が出現し来院した。諸検査にて副腎褐色細胞腫と甲状腺髄様癌を合併した多発性内分泌腫瘍症2A型と診断された。CT検査で右副腎8×7cm, 左副腎6×5cmの腫瘍を認めた。開腹下にて両側副腎摘出術を行い, 正常な右副腎皮質をin situに温存した。病理診断は良性の副腎褐色細胞腫であった。術後, 副腎皮質ホルモン投与から完全離脱し, 血中コルチゾール値も正常範囲内にあった。副腎皮質ホルモンの内服の必要性や急性副腎不全の危険性を考えると, 副腎皮質温存両側副腎摘出術は有用な術式と考えられた。
  • 白倉 立也, 金子 弘真, 吉野 正晃, 田村 晃, 土屋 勝, 柴 忠明, 今村 正成
    2000 年 25 巻 6 号 p. 919-922
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    咳漱を契機に発症した特発性腹直筋血腫の1例を経験したので報告する。症例は63歳, 重度肥満の女性。既往歴は, 高血圧, 心房細動, 気管支喘息。感冒による咳漱を契機として突然左上腹部痛出現。腹部超音波, CTにて左腹直筋血腫と診断。腫瘤は徐々に増大し, 鎮痛剤にても痺痛改善認められず, 保存的療法は困難と判断し, 全身麻酔下に手術施行した。左腹直筋断裂および腹直筋血腫を認め, 血腫除去, 止血術施行した。術後経過は良好であった。非外傷性特発性腹直筋血腫は比較的稀な疾患で, 咳漱を契機に発症することが多い。しかし, 急激な発症と強い腹痛のため, 急性腹症, 腹腔内疾患との鑑別に難渋し, 開腹術に至る例も散見される。不必要な開腹手術を避ける上で, 本疾患も念頭におくべきであると考えられる。
  • 斎藤 達也
    2000 年 25 巻 6 号 p. 923-924
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 小林 紘一
    2000 年 25 巻 6 号 p. 925
    発行日: 2000/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
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