日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
28 巻 , 6 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
  • 鈴木 毅, 山田 博文, 橋本 大定
    2003 年 28 巻 6 号 p. 983-987
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    1997年4月より2003年3月までに当教室で経験した胃原発Gastrointestinal stromal tumor (以下GIST) を臨床病理学的に検討した。年齢は34歳から85歳, 平均58.7歳で, 男性8例, 女性10例であった。免疫組織学的検査では, subtypeはsmooth muscle typeが4例, neural typeが3例, combined typeが1例, uncommitted typeが13例と分類された。潰瘍形成, 核分裂像, 平均腫瘍径などにおいてはsubtype間で統計学的有意差は認めず, CD34陽性率のみneural typeとuncommitted typeとの間に統計学的有意差を認めた (p<0.05) 。転移・再発症例は2例あり, 手術時に転移を認めた症例はuncommitted typeの1例で3カ月後に腫瘍死し, 再発した症例はsmooth muscle typeの1例でチロシンキナーゼ阻害剤であるST1571により縮小し, 術後4年, 再発後2年経過しているが現在も生存中である。
  • 六車 一哉, 仲田 文造, 平川 弘聖
    2003 年 28 巻 6 号 p. 988-990
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    胃癌, 大腸癌および各正常粘膜におけるthymidylate syntase (TS) 量について検討した。胃癌17例, 大腸癌16例の患者から手術により採取した腫瘍組織と正常粘膜組織を検体として用いた。胃癌組織中のTSレベルは, 大腸癌組織中よりも有意に低値であった (P=0.043) 。しかし胃と大腸の正常粘膜組織中のTSレベルに有意差は認められなかった。大腸癌組織中のTSレベルは大腸正常粘膜組織中よりも有意に高かった (P=0.016) が, 一方, 胃癌組織中と胃正常粘膜組織中のTSレベルに有意差はみられなかった。大腸癌で胃癌に比べTS量が高いことは, 背景粘膜におけるTS量とは関連がないことが示唆され, 大腸癌の発生, 進展の過程でTS量が増加することが考えられた。
  • Shinya YAMAMOTO, Takaaki ITO, Taku AIZAWA, Yuhei OHKUBO
    2003 年 28 巻 6 号 p. 991-996
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    To investigate the prognosis and predictive factors of primary metastatic prostate carcinoma (M1CaP) in men younger than 60 years. Methods : From April 1986 to December 1999, 18 patients with M1CaP were enrolled. Cause-specific and progression-free surival rates were estimated using the Kaplan-Meier method and compared with those of patients aged over 60 years with M1CaP in the same time period. Results : The 5-and 10-year cause-specific survival rates were 33.7% and 0%, respectively, in the younger men compared with 57.1% and 41.9%, respectively, in the older age group (p<0.001). In multivariate analysis using Cox's proportional hazards model for cause-specific survival, pretreatment serum PSAwas the only significant predictor (p<0.02). Conclusions : The prognosis of M1CaP in men younger than 60 is worse than for those aged over 60. Therefore, it is necessary to use a combination therapy (e. g. hormonal plus chemotherapy) for these patients.
  • 大西 一朗, 津川 浩一郎, 中村 万理, 清水 康一, 太田 哲生, 三輪 晃一
    2003 年 28 巻 6 号 p. 997-1000
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    小切開法による低侵襲甲状腺手術を甲状腺乳頭癌の症例 : 14例に試み11例に施行しえた。11例の皮膚切開創の平均は4cmであった。術式は患側葉+峡部切除で, 全例気管周囲のリンパ節郭清を行い, 4例でD2a郭清。手術時間は95~195分 (平均137.6分), 出血量は20~120ml (平均49.5ml) で, 術後出血は認められなかった。術後疼痛は軽度であり, 嗄声, 知覚麻痺などの合併症は認められなかった。従来法ヘコンバートした3例は, 被膜浸潤やリンパ節転移を認めた症例で, いずれも襟状小切開を延長し, 前頸筋を剥離脱転してD2b郭清を施行し得た。以上, 甲状腺乳頭癌に対する小切開法は合併症もなく低侵襲であり, 必要に応じて従来法へのコンバートも容易であった。本法は患者のQOLを損なわず, 美容的面からも有用な術式であると考えられた。
  • 角田 ゆう子, 神谷 憲太郎, 清水 幸子, 柏瀬 立尚, 沢田 晃暢, 角田 明良, 草野 満夫
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1001-1004
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    乳癌のホルモン療法ではestrogen receptor (ER) の存在が重要であるが, 従来のEIA法で陰性の症例の中にもホルモン療法が奏効することが報告され, 最近ではIHC法が行われている。今回, 27歳から85歳の原発性乳癌40例を対象として, EIA法とIHC法でERの検討を行った。ER陽性率はEIA法で45% (18/40), IHC法で73% (29/40) だった。両検査法の判定一致率は73% (29/40) だった。判定不一致例では, 組織型でschirrhousが5例と約半数を占めていた。またEIA法でER陽性でIHC法でER陰性の症例はなかった。EIA法では癌細胞のheterogenousな分布の影響をうけやすく, 1個の検体から全体像をとらえることの困難さがあるため, パラフィン包理標本を検体としているIHC法の方が臨床的に有用であると思われた。
  • 今津 浩喜, 落合 正宏, 桜井 洋一, 中村 康子, 庄司 光孝, 永井 吉造, 服部 秀明
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1005-1007
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍症例に対して経皮内視鏡的胃瘻造設術 (percutaneous endoscopic gastrostomy : PEG) を行った症例を対象とし, 有用性と問題点につき検討した。PEG 166施行例中悪性腫瘍患者に施行した15例を対象とした。食欲不振の4例は全例中心静脈栄養から離脱し, 内2例でPEG造設後より食欲改善PEG抜去可能となった。通過障害例は5例で嘔吐を主訴としたが, PEGからの減圧により全例嘔吐消失, 経鼻胃管抜去可能で, 内1例はPEJを追加することにより経管栄養に移行, TS-1での化学療法も行い得た。嚥下障害例は6例で, うち5例で中心静脈栄養から離脱した。これらのうちTS-1の治療にて合併した皮膚筋炎が寛解し嚥下障害が改善した症例と, 放射線治療にて通過障害が改善された2例では経口摂取可能となりPEG抜去しえた。短期合併症は瘻孔周囲炎が2例に認められた以外特になく, 長期予後は14例 (93%) が死亡, 内12例 (86%) が現病死 (腫瘍死), 2例 (14%) が肺炎, 心不全であった。施行後死亡までの平均日数は110日 (5日~315日) でPEG関連死はなかった
  • 保田 尚邦, 中島 修, 草野 智一, 角田 明良, 草野 満夫
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1008-1010
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    自己判断式退院の目標 (体温, 食事, 疼痛, 作業, 清潔, 血液検査の6項目) を付加した大腸癌手術クリニカルパス (CP) におけるドレーン管理の重要性について閉鎖式持続吸引ドレーン導入前後を比較検討した。2002年1月から大腸癌のCPを使用した14例をO群, 7月から閉鎖式持続吸引ドレーンを導入しCPを使用した31例をN群とした。ドレーン抜去日に両群間に差はなかった。両群間にSSI発生率, 負のバリアンス発生率に有意差はなかったが, N群でSSIが負のバリアンスになることは比較的少ない傾向がみられた。清潔の項目を含め6項目の目標達成時期に差はなかった。必要としたドレッシング回数はN群で有意に少なく (p<0.01), 業務軽減および経済効果を認めた。また, ドレーン排液量の記載がドレーンの存在を明確とし, 誤迷入などのリスクマネージメントにもすぐれていると考えられた。ドレーン管理はCPの展開に重要な因子であることが示唆された
  • 畑 泰司, 池田 正孝, 山本 浩文, 池永 雅一, 大植 雅之, 関本 貢嗣, 左近 賢人, 門田 守人
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1011-1016
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は31歳, 男性。30歳時にfamilial polyposis coliと診断され, 大腸全摘出術を施行した。術後11ヵ月目のCTで腹腔内に巨大なデスモイドを認め, 摘出術を施行。術後3日目に体動を契機に軽度の呼吸苦が出現。4日目にはさらに呼吸苦が強くなり, 肺血流シンチとMDCTにて急性肺塞栓症と診断された。ただちに抗凝固療法を開始し, 合併症を認めることなく臨床症状は軽快した。また, 治療開始後12日目の肺血流シンチにおいても肺血流欠損部位の改善を認めた。本症例では術前の巨大腫瘍による下大静脈系の圧排, 骨盤内の腫瘍摘出操作が下肢静脈血栓症の原因となり術後の肺塞栓症になったと考えられた。今後このような下大静脈系を広範囲にわたり圧迫している腫瘍摘出術の際は術後急性肺塞栓症の発生を念頭に置いた周術期管理が必要と考えられた。
  • 桑原 公亀, 石田 秀行, 横山 勝, 都築 信太郎, 大澤 智徳, 中田 博, 橋本 大定
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1017-1019
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    右傍十二指腸ヘルニアは比較的稀な疾患である。イレウス・腹膜炎などで緊急手術を受けた時に診断されることが多い。今回, CTが術前診断に有効であった右傍十二指腸ヘルニアの1例を経験したので報告する。症例は, 31歳, 男性。突然の上・下腹部痛を主訴に近医を受診し, 腸閉塞と診断され当科を紹介された。受診時右上腹部に硬い腫瘤を触れた。腹部CTでは, 上腸間膜動脈の右方に巨大な嚢状構造と, その中に大部分の空・回腸および腸間膜を認め, 嚢状構造物の外側に腹水を認めた。以上より右傍十二指腸ヘルニアによる絞扼性イレウスを疑い, 緊急手術を施行した。開腹所見はTreitz靱帯の右下方に径10cmのヘルニア門 (mesentericoparietal fossa) を有する右傍十二指腸ヘルニアで, 空・回腸のほぼ全長が嵌入し, ヘルニア嚢内で小腸が360度捻転した絞扼性イレウであった。本疾患の診断に腹部CTは有用であり, 術前の画像診断で本症が疑われた場合, 迅速な外科的処置が必要である。
  • 今北 正道, 能勢 勝義, 三嶋 康裕, 岸本 圭互, 坂上 均, 八幡 朋子
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1020-1023
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は56歳, 男性。主訴は心窩部痛。平成2年に胃癌にて幽門側胃切除術 (Billroth I法再建) を施行されている。上部消化管内視鏡検査にて十二指腸のVater乳頭対側にIIc病変を認め, その口側にI sp型病変2カ所を認めた。生検所見はいずれも高分化型腺癌であった。全ての病変に対して内視鏡的粘膜切除術 (EMR) を施行した。多発性早期十二指腸癌の報告は極めて稀である。今回, 胃切除後の多発性早期十二指腸癌に対してEMRを施行した症例を経験したので報告する。
  • 水島 恒和, 井上 善文, 伊藤 壽記, 打越 史洋, 松田 暉
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1024-1028
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は33歳, 男性。平成元年クローン病と診断され, Mesalazineの内服とElemental Dietによる栄養療法を行いフォローアップされていた。平成13年腹部膨満が出現し, 大腸内視鏡検査で狭窄病変を指摘された。消化管造影検査では回腸終末部, 結腸近位部の2カ所に狭窄病変を認めた。また小腸は腹部右側に偏位, 上行結腸は腹部正中を上行しており腸回転異常症と診断した。手術は腸回転異常症に対する処置が必要となる可能性も考慮し腹腔鏡補助下に行った。腹腔内を検索したところ, 明らかなLadd靱帯は認めず, 病変部はほとんど固定されていなかった。5cmの小開腹を行い, 病変部を腹腔外に引き出した。体外で全腸管を検索した後, 回盲部切除, 結腸部分切除を行った。腸回転異常症を伴ったクローン病症例の報告は本例で2例目であり, 自験例においては術前画像検査による正確な診断, 腹腔鏡によるアプローチが有用であった。
  • 関野 考史, 杉本 琢哉, 三鴨 肇, 堀谷 喜公
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1029-1033
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    高齢化社会を迎え, 大腸癌によりイレウスを生じる高齢寝たきり患者も増えると思われる。症例1は寝たきりで発語のない74歳の男性である。CT, 超音波検査で上行結腸癌によるイレウスを疑い, イレウス管を挿入した。術前から肺炎が存在した。右半結腸切除を施行したが, 術後嚥下困難となり内視鏡的胃瘻造設術 (PEG) を行った。症例2は寝たきりで発語のない81歳の女性である。CT, 超音波検査で盲腸上行結腸癌によるイレウスと診断し, 右半結腸切除施行。術後経口摂取できずPEGを行った。2例ともに胃瘻からの経管栄養は良好であった。診断にはCT, 超音波検査が有用であった。右側結腸癌によるイレウスはイレウス管により減圧可能であり, 高齢寝たきり患者であっても比較的安全に腸管吻合が可能である。家族への十分なinformed consentと注意深い周術期管理を前提に, 高齢寝たきり患者においてもイレウスを生じた右側結腸癌は手術適応になりうると考える。
  • 竹内 幾也, 石田 秀行, 猪熊 滋久, 山田 博文, 橋本 大定
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1034-1039
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下大腸癌切除後のport site recurrenceが注目されているが, その比較対照となる, 従来の開腹手術後の腹壁再発について検討した報告はきわめて少ない。今回, 当科における大腸癌開腹手術後の腹壁再発についてretrospectiveに検討した。1986年から1999年の間に当科で開腹下に根治度AあるいはBの切除を受け, 2年間以上経過観察し得た大腸腺癌577例のうち, 腹壁再発が確認されたのは3例 (0.52%) であった。これらの病期はDukes' C2例, Dukes' D1例で, 組織学的壁深達度はss (ただしp2) se, si各1例であり, いずれも手術時に遊離癌細胞が腹腔内に存在した可能性が示唆された。腹壁再発を疑うまでの期間は平均16カ月 (14カ月, 6カ月, 29カ月) で, いずれも再発巣の切除が行われたが, その後5~50カ月後に全例腫瘍死した。一方, 深達度mpまでの127例あるいはstage II以下の323例には1例の腹壁再発も認めなかった。
  • Tsunehiko MARUYAMA, Fumito IMAMURA, Masataka FUKUE, Hiroyuki AOYAGI, M ...
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1040-1043
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    Stercoral perforation of the colon is a direct result of ischemic pressure necrosis by a stercoraceous mass. We present a case of the stercoral perforation of the rectum combining recto-vaginal and recto-cutaneous fistulae. A 79-year-old woman was admitted to hospital for pain and swelling of the perineal region. The patient was diagnosed as having a rectal perforation forming a recto-vaginal fistula and a recto-cutaneous fistula. In the primary procedure, sigmoid colon impacted with feces was transected and a colostomy was formed. After closing the abdominal wall, the necrotic perineal region was debrided. The second operation was carried out 1 month after the first one. The remnants of the rectum and anus were excised, and the perforated portion of the vaginal posterior wall was sewed up from the outside. It appeared effective to divide the operation into two distant phases.
  • 石田 秀之, 龍田 眞行, 古河 洋, 今村 博司, 中山 貴寛, 清水 潤三, 武元 浩新, 岸健 太郎, 加藤 仁, 山本 和義, 藤島 ...
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1044-1047
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    〔はじめに〕肛門扁平上皮癌に対し, 本邦では外科的治療を行うことが多い。一方, 欧米のガイドラインでは放射線, 化学療法が第一選択とされている。〔症例〕46歳, 女性。排便時肛門部痛を主訴に来院した。歯状線を中心に右前壁, 1/4を占める2型腫瘍あり。生検で中分化型扁平上皮癌。画像上, 遠隔転移およびリンパ節転移はなく, T3N0M0, StageIIと診断した。1997年9月より, 放射線治療 (外照射;30Gy/15分割, 組織内照射;30Gy/5分割) と化学療法 (5-FU;1,250mg×4日, MMC;20mg) を施行したところ, 視触診および画像で腫瘍は消失しており, 著効と判定した。2003年7月現在, 無再発生存中。〔考察〕肛門部扁平上皮癌に対し本邦でももっと積極的に放射線, 化学療法を施行すべきで, 外科的治療は癌遺残や再発癌に限るべきと思われた。
  • 井上 敬一郎, 土田 明彦, 池田 隆久, 遠藤 光史, 小澤 隆, 斎藤 準, 北村 慶一, 井上 周昭, 青木 達哉
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1048-1053
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は73歳, 女性。鈍的外傷にて右肋骨骨折, 肝破裂の診断にて当院入院。腹部CT検査にて, 肝嚢胞破裂を認めた。8Frピッグテールカテーテルを用い腹腔内貯留液の穿刺ドレナージを行い, 穿刺液の量, 末血および生化学検査から, 腹腔内出血量が少量であり胆汁漏のないことを確認した。この結果より保存的加療が可能であると判断し, ピッグテールカテーテルによるドレナージのみを行い, 3日後にドレナージチューブを抜去した。本邦における肝嚢胞破裂の23例のうち保存的加療が選択されたのは自験例を含め7例のみであり, 大半の症例で外科手術が選択されていたが, 今回行った腹腔穿刺液の解析は, 保存的治療を行う上での補助診断として有用であると考えられた。
  • 鈴木 修司, 原田 信比古, 鈴木 衛
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1054-1058
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    肝切除後1年8カ月後に孤立性にリンパ節転移を来した肝細胞癌症例を経験したので報告する。症例は57歳, 女性。1984年脾腫にて脾臓摘出術施行され, C型肝硬変にて経過観察されていた。2000年4月肝細胞癌認め, S3部分切除施行した。組織は高分化から中分化型肝細胞癌であった。その後2001年11月のCT検査にて膵体部上縁に42×30mm大の腫瘍を認め, 入院となった。入院時若干の肝障害と貧血を認め, AFPは正常であった。MRCP検査では管造影検査でも動脈相で左胃動脈より濃染される腫瘤であった。以上より非機能膵腫瘤との鑑別を要したが, 肝細胞癌の孤立性リンパ節転移と診断し, 2001年12月21日腫瘤摘出術施行した。摘出した腫瘤の病理検査では高分化型肝細胞癌であり, 転移と考えられた。術後経過良好で退院し, 2年6カ月たった現在でも再発は認めていない。
  • 河合 雅彦, 森川 あけみ, 森光 華澄, 早川 雅弘, 山森 積雄
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1059-1063
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は80歳, 女性。主訴は上腹部痛。30年前より胆石を指摘されていたが放置。2000年12月8日上腹部痛にて当院受診。CT・USにて胆石症とpneumobiliaを認め入院。ERCPにて内胆汁瘻は確認できず, 注腸造影にて横行結腸から胆嚢へ向かう瘻孔が造影され胆嚢結腸瘻と診断された。手術は横行結腸の瘻孔部は楔状切除し胆嚢を全層切除した。病理組織学的所見は一部に黄色肉芽腫様変化を伴う慢性胆嚢炎の所見であった。術後経過良好にて第19病日全治退院した。特発性内胆汁瘻の中でも胆嚢結腸瘻は比較的稀な疾患であり, 成因として胆石・悪性腫瘍・胆嚢炎が上げられるが, 本例では以前より胆石症を指摘されており組織学的に胆嚢に悪性所見がなかったことより胆嚢結石症に起因し手術時には結石は排出されていたと思われた。ERCPなどの直接胆道造影で診断できない場合, 胆嚢結腸瘻を疑って下部消化管の検索を行うべきと考えられた。
  • 星野 光典, 石井 博, 大山 祥, 大堀 真毅, 小池 礼子, 村井 紀元, 中村 明央, 草野 満夫, 鈴木 博, 新井 一成
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1064-1069
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    選択的カルシウム動注負荷後肝静脈採血法 (Calcium arterial stimulation and venous sampling以下ASVS法) にて局在診断し, 術中および術後にかけて血糖と血中インスリン濃度 (以下IRI) を経時的に測定し切除完全を確認した小インスリノーマの1例を経験した。症例は82歳, 女性。意識障害を主訴に来院し, 腹部dynamic CTおよび血管造影にて膵尾部に約10mmの腫瘤が認められた。ASVS法では脾動脈遠位でインスリン値の上昇を認め, 膵尾部に局在するインスリノーマと診断し, 脾摘膵尾部切除術を施行し切除後, 速やかに血糖およびIRIの低下を確認した。インスリノーマはASVS法の普及により局在診断が可能となったが, 多発や異所性発生することも念頭におき, 術中エコーによる精査と経時的な血糖, 血中インスリン濃度を測定し, 腫瘍の完全切除を確認することが肝要と考え報告した。
  • 小野田 恵一郎, 山田 恭司, 花井 彰, 野田 真一郎, 芦川 和広, 櫻井 丈, 山村 卓也, 山口 晋
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1070-1074
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    腰ヘルニアは解剖学的抵抗減弱部として知られる腰三角から発生する比較的稀な疾患である。今回われわれは特発性上腰ヘルニアの1例を経験したので, 本邦報告例の集計による検討を加え報告する。症例は78歳, 女性。左腰背部違和感を主訴として受診した。左腰背部に立位にて膨隆する, 易還納性の径約3cmの腫瘤を認めた。CT, MRI検査で上腰ヘルニアと診断し, 平成15年2月24日手術を行った。ヘルニア直上からのアプローチにより, 第12肋骨下縁・内腹斜筋後縁・仙棘筋前縁で形成されたヘルニア門を認めた。修復はメッシュプラグ法で行った。術後順調に経過し, 現在まで再発を認めていない。腰ヘルニアの原因としては先天性, 特発性, 外傷性があるが, 最近では高齢者の特発性腰ヘルニアが増加している。高齢化社会に伴い今後本症例が増加すると考えられ, 腰背部の諸症状を主訴とする場合, 本疾患を念頭に入れる必要があると考えられる。
  • 横山 勝, 石田 秀行, 都築 信太郎, 林 洋一, 橋本 大定
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1075-1079
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    Intensive careにより救命しえたが, その後急速な転帰をとった上行結腸癌・後腹膜穿通による壊死性筋膜炎の稀な1例を経験したので報告する。症例は, 73歳の女性。右下腹部痛, 右大腿痛を主訴に他院を受診した。CTで上行結腸にmass lesionを, 右腸骨筋前面と右大腿浅筋膜前面の遊離ガス像を認めたため, 当科紹介入院。入院時には右大腿から下腿に及ぶ腫脹・色調変化・捻髪音と, 血圧低下が認められた。上行結腸癌・後腹膜穿通による壊死性筋膜炎の診断で緊急手術 (結腸右半切除術, 右下肢切開排膿, 壊死組織除去) を行った。術後, ポリミキシン固定化カラムによるエンドトキシン吸着療法や持続的血液濾過透析を含むintensive careにより救命しえたが, 術後3カ月で局所再発, 肝転移を認め, その3カ月に肝転移の進展による肝不全で死亡した。壊死性筋膜炎は予後不良な疾患である。その原因として, 稀ではあるが, 結腸癌が原因となり得ることを念頭におき, 速やかに診断・治療を行うことが必要である。
  • 西村 泰司, 本田 了
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1080-1081
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 安達 洋祐
    2003 年 28 巻 6 号 p. 1082-1083
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
feedback
Top