日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
30 巻, 6 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
  • 櫻井 健一, 榎本 克久, 天野 定雄, 松尾 定憲, 北島 晃, 根岸 七雄
    2005 年 30 巻 6 号 p. 821-824
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    乳管内乳頭腫に対する乳管内視鏡の意義について検討した。分泌物の細胞診と乳管内視鏡下洗浄細胞診結果を比較したところ25%に相違がみられた。乳管内視鏡下に全切除を施行できた症例は12.5%, 部分切除を施行した症例は56.3%, 乳管内視鏡下に洗浄細胞診のみを施行した症例は31.3%であった。組織診や細胞診の結果から, 全身麻酔下に乳管区分切除術を施行した症例は3.1%であった。全切除, 部分切除を施行した症例のうち, 主乳管または第1次分枝に腫瘍が存在した症例は72.7%, 第2次分枝以降では36.3%であった。全切除, 部分切除を施行した症例のうち, 乳頭異常分泌が改善した症例は90.9%であり, 経過観察中に分泌が再燃した症例は9.0%であった。局所麻酔による日帰り検査ができること, 低侵襲で十分な量の病理検体が得られること, 異常分泌の症状が改善すること, 経過観察中に繰り返し再検, 再切除が可能であることから, 乳管内乳頭腫に対して有用な方法であると考えられた。
  • 長江 逸郎, 土田 明彦, 田辺 好英, 高橋 総司, 湊 進太朗, 小柳 泰久, 青木 達哉
    2005 年 30 巻 6 号 p. 825-830
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    当科では1986年~1991年の間に治療した15歳以下の小児急性虫垂炎の臨床的特徴を拾い上げ, (1) 明確な右下腹部の自発痛陽性 (2) 体温37.5度以下 (3) 白血球数10,000/mm3未満 (4) McBurney圧痛点陽性, の条件を満たす場合はカタル性虫垂炎の可能性が高いとし保存的治療の対象と設定した。さらに, 超音波検査を併用することにより, 保存的治療の対象を白血球数10,000/mm3以上, Blumberg徴候陽性の条件でも保存的治療の適応であるかどうかを判断する試みを行ってきた。これらの診断は初診医 (主に研修医) にその所見を所定の記載用紙に記載することを義務づけることとした。1986年~1991年 (前期) 基準設定以前に当科で扱った小児急性虫垂炎症例は150例であり, 1991年~2004年 (後期) では264例の症例を対象とした。対象をカタル性, 蜂窩織炎性, 壊疽性虫垂炎に分けて検討を行ったところ, 前期手術症例136例のうち57例 (41.9%) はカタル性以下であったのに対し, 後期手術症例では197例中27例 (13.7%) と減少した。これは, 保存的基準設定さらにUSによる診断効果が得られたことが判断される。
  • 神山 博彦, 鵜瀞 条, 石戸 保典, 柳沼 行宏, 笠巻 伸二, 坂本 一博, 進藤 孝之, 丹羽 眞一郎, 鎌野 俊紀
    2005 年 30 巻 6 号 p. 831-835
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    (目的) 大腸癌の臓器転移は大腸癌の予後規定因子として重要である。大腸癌臓器転移にかかわる遺伝子を抽出するため, CGH法を用いて大腸癌原発巣に生じたゲノムコピー異常を網羅的に解析した。 (対象および方法) 当科で2003年4月から2004年12月に手術を施行した大腸癌症例43例 (非臓器転移30例, 同時性肝転移8例, 同時性肝および肺転移5例) 。手術で得られた大腸癌原発巣の新鮮凍結切片から, microdissectionにより腫瘍細胞のDNAを抽出し, CGH法で解析した。解析結果を臓器転移群と非臓器転移群とで比較検討した。 (結果) 大腸癌の同時性臓器転移群における3q13.3, 5p12, 14q24のゲノムコピーの増加が非臓器転移群に比べ, 有意に多く認められた。 (結語) 3q13.3, 5p12, 14q24のゲノムコピーの増加が大腸癌の臓器転移に関与している可能性が示唆された。
  • 瀧田 尚仁, 北島 政幸, 北村 大介, 前多 力, 山本 哲朗, 坂本 一博, 落合 匠, 鎌野 俊紀
    2005 年 30 巻 6 号 p. 836-840
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    Orotate phosphoribosyl transferase (OPRT) 酵素活性とフッ化ピリミジン系抗癌剤 (5-FU) の効果には正の相関があると報告されている。今回われわれは大腸癌において, OPRT酵素活性とOPRTの翻訳領域に存在するSNPから, 5-FU効果予測の可能性を検討した。対象は2003年12月~2004年7月の期間に, 当科にて外科的切除が行われた大腸癌35例。正常部, 腫瘍部のOPRT活性値 (nmol/min/mg) をradioassay法にて測定し, 末梢血のSNPはinvader法にて解析した。SNPは638G/C, 1050T/A, 1336A/Gの三種類を用い, OPRT酵素活性との関連性を検討した。OPRT酵素活性は正常部に比べ腫瘍部で有意に高かった。三種類のSNPにおいて, OPRT酵素活性に有意差は認められなかった。OPRT酵素活性と今回の三種類のSNPとの間に関連性は認められず, これらの今回検討したSNPから5-FU効果を予測することは困難であると考えられた。
  • 特に被嚢性腹膜硬化症の病態
    野中 英臣, 奥澤 淳司, 笠巻 伸二, 坂本 一博, 井尾 浩章, 福井 光峰, 濱田 千江子, 富野 康日己, 鎌野 俊紀
    2005 年 30 巻 6 号 p. 841-846
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    目的 : 腹膜透析に伴う腹膜の変化を腹腔鏡を用いて肉眼的に観察, 検討した。さらに被嚢性腹膜硬化症 (encapsulating peritoneal sclerosis, 以下EPS) の病態について臨床病理学的に検討した。対象 : 1996年から2005年までに腹腔鏡下に腹膜透析カテーテル抜去を施行した32例を対象とした。方法 : 腹膜透析カテーテルを抜去時に観察した腹腔鏡所見をもとに, 臨床病理学的所見と腹膜病理所見について検討した。結果 : 腹腔鏡所見でEPSと診断されたのは32例中4例 (12.5%) であった (EPS群) 。EPS群とNEPS群 (EPSと診断されなかった28例) の間に腹膜透析歴, 腹部CT検査で腸管漿膜の石灰化, 腹腔鏡所見で腸管の肥厚・癒着, 腹膜病理所見で硝子化に有意な差が認められた。結語 : 腹腔鏡を用いることは腹膜透析による腹膜の変化を肉眼的に確認することができ, EPSの病態検討に有用であった。
  • 櫻井 健一, 天野 定雄, 榎本 克久, 鈴木 昌義, 松尾 定憲, 北島 晃, 根岸 七雄, 根本 則道
    2005 年 30 巻 6 号 p. 847-850
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    乳腺invasive micropapillary carcinoma (IMPC) は, 乳癌取扱い規約において独立した組織型ではないが, リンパ節転移の頻度が高く, 生物学的悪性度の高い癌として近年注目されている。症例は68歳女性。乳検診にて左乳房腫瘤を指摘され, 当科紹介受診となった。超音波検査では, 左乳房AE領域に15×11mm, 辺縁不整, 内部不均一で微細なechogenic spotを伴う腫瘤を認め, 同側腋窩リンパ節の腫大も認めた。マンモグラフィーでは分枝状の微細石灰化を区域性に認め, Category Vであり, 穿刺吸引細胞診ではClass Vの診断であった。手術は胸筋温存乳房切除術+腋窩リンパ節郭清術 (Bt+Ax) を施行。病理組織診断はIMPCであり, リンパ節転移 (14/14) を認めた。ER (-), PgR (+), HER2 score0であった。現在, 術後の補助化学療法 (CEF) を施行中し, 経過観察中である。
  • 青木 信彦, 天野 定雄, 増田 英樹, 根岸 七雄
    2005 年 30 巻 6 号 p. 851-855
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は48歳, 女性。約3カ月前より右乳房腫瘤 (AC) を自覚して来院した。触診上4×4cmの境界ほぼ明瞭な可動性良好の固い腫瘤を認めた。マンモグラフィ, CTでは境界ほぼ明瞭 (一部不整) な腫瘤であったが, 乳房超音波検査では辺縁不整, 内部不均一, 後方echo減弱著明であった。穿刺吸引細胞診ではclass IIであったが, 画像上悪性を否定できないため, 全身麻酔下に腫瘤摘出術を施行した。術中迅速病理診断は顆粒細胞腫であった。乳腺に発生する顆粒細胞腫は比較的稀な腫瘍であるが, 臨床像が乳癌と類似しており, 誤診しやすいので, 顆粒細胞腫を念頭においた鑑別診断が重要である。今回われわれは乳腺に発生した顆粒細胞腫を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
  • 松永 和秀, 磯貝 典孝, 朝村 真一, 今野 元博, 塩崎 均, 上石 弘
    2005 年 30 巻 6 号 p. 856-861
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は63歳, 主訴は頸部瘻孔による摂食・嚥下障害.近医にて食道癌のため, 右開胸開腹食道亜全摘・有茎右結腸再建術を施行。術後, 頸部瘻孔が出現し, 2回の瘻孔閉鎖術を施行するも瘻孔閉鎖が困難であった。そこで当科にて, 大胸筋皮弁による瘻孔閉鎖術を施行するも, 術後7日目胸部皮膚に瘻孔が再発した。術後の嚥下造影所見では, 食道・回腸 (結腸) 吻合相当部から胸部皮膚に開口した瘻孔が認められた。そのため再度, 離開部の再縫合術を施行したが, 術後12日目胸部に針孔程度の瘻孔が再発した。嚥下造影所見では, 瘻孔路は縮小するも, 同様に食道・回腸 (結腸) 吻合相当部から胸部皮膚に開口した瘻孔が認められた。大胸筋皮弁による頸部食道再建後の瘻孔形成率は高いとされている。皮弁皮膚と腸粘膜との縫合部の瘻孔治癒不全の要因と一つとして, 嚥下圧 (空嚥下圧) の関与が示唆されたが, 今後適切な瘻孔閉鎖術の方法を確立していくことが必要であると考える。
  • 倉本 正文, 蓮尾 友伸, 石原 光二郎, 池嶋 聡, 岩槻 政晃, 島田 信也
    2005 年 30 巻 6 号 p. 862-866
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    今回われわれは術後多発肝転移再発に対してimatinib mesylate (STI571) が著効した胃GISTの1例を経験したので報告する。症例は71歳女性。大腸ポリープ切除後の定期検査目的で来院され, その際に左上腹部に大きさ約9cmの腫瘤を指摘された。諸精査にて胃粘膜下腫瘍と診断し, 平成12年7月5日, 胃部分切除術施行した。病理学的検索にてc-kit陽性で, 胃GISTと診断された。術後3年後に多発肝転移再発を認めたため, imatinib mesylate内服療法 (400mg/day) 開始した。投与2カ月後には転移巣は著明に縮小した。3カ月後には顔面, 四肢に浮腫を認めたため, 300mg/dayに減量した。24カ月経過した現在も効果は継続しており, 外来通院加療中である。
  • 新井 賢一郎, 加瀬 肇, 菊池 誠, 鷲沢 尚宏, 斉藤 直康, 谷島 聡, 伊東 俊秀, 金子 奉暁, 小林 一雄, 長谷川 千花子
    2005 年 30 巻 6 号 p. 867-872
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は76歳の女性。2カ月ほど前より増大する腹部腫瘤を自覚したため近医受診。原発性卵巣腫瘍を疑われ当院婦人科に入院。下腹部やや左側に15cm大の可動性のある, 弾性軟で痛みのない腫瘤を触知。腹部CTにて, 下腹部に100×150mm大の内部が低吸収, 一部隔壁を伴った巨大な嚢胞性腫瘤を認めた。また, 胃壁の肥厚を認めたため, 上部消化管内視鏡検査を施行したところ, 胃体中部から前庭部にかけての全周性の4型胃癌を認めた。左卵巣腫瘍摘出術および胃全摘術を行った。摘出卵巣は3000gであった。当初, 病理学的に左卵巣はfibrosarcomaが疑われたが, 免疫染色を追加施行し, 胃癌左卵巣転移いわゆるKrukenberg腫瘍と判明した。胃癌の卵巣転移はしばしばみられるが, 今回われわれは, 胃癌の転移としては比較的稀な巨大卵巣腫瘍にて発見された進行胃癌の1例を経験したので報告する。
  • 宮原 孝治, 二宮 基樹, 高田 晋一, 目黒 俊成
    2005 年 30 巻 6 号 p. 873-877
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    大動脈周囲リンパ節転移を伴う高度進行胃癌に対して化学療法中, 急激に意識障害をきたし死亡し, 病理解剖により癌性髄膜炎と診断された例を経験したので報告する。症例は56歳, 男性。cT3 (SE) N3 H0 P0 M0 cStage IVの高度進行胃癌であり, 5-FUとPaclitaxelによる併用化学療法により治療していた。2コース目, day8より発語障害と平衡感覚障害が出現し, day18より意識障害をきたしday21に死亡するという進行性の中枢神経障害を伴いつつ急激に増悪する臨床経過をたどった。病理解剖の結果, 癌性髄膜炎の所見が認められ, これが本症例の急激増悪と死亡の原因と考えられた。胃癌による癌性髄膜炎は稀な病態であるが非常に急激な経過をたどり死亡する例が多い。新規抗癌剤の登場により化学療法が有効な治療選択となり高度進行胃癌でも長期生存が増加してきている現在, 本病態は今後増加していく可能性が高く考慮すべきと考えられた。
  • 細田 桂
    2005 年 30 巻 6 号 p. 878-881
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は35歳男性。平成16年8月26日早朝, 腹痛, 嘔吐にて当院救急外来を受診した。来院時バイタルサインに異常はなかったが, 腹膜刺激症状を認めた。血液検査所見ではWBC15100, CRP15.2と炎症反応を認めた。腹部CT所見では小腸の拡張, 液面形成を認め, 少量の腹水を認めたが, 閉塞機転はわからなかった。絞扼性イレウスを否定できず同日手術を行った。開腹すると, 混濁した漿液性の腹水を認めた。回盲弁より約90cmの回腸に, 硬結, 発赤と膿様白苔を認め内腔の狭窄を認めたため, 回腸部分切除術を施行した。腸管を開くと腸管壁内に侵入した生きたアニサキス虫体を認めた。術後食事内容を詳細に聞くと, 鱒の生卵を食していたことが判明した。小腸アニサキス症は比較的稀で, 術前診断に難渋する。イレウスを伴う急性腹症の診断に際しては, 本症も鑑別診断に加え, 臨床症状に応じて, 外科的治療も考慮した適切な対処が必要である。
  • 畠山 純一, 猪俣 斉, 佐藤 暢人
    2005 年 30 巻 6 号 p. 882-884
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    MRSA感染症は, 1980年代後半より急激に増加し, 中でもMRSA腸炎による死亡例が全国で多発した。現在では抗生剤使用の見直しにより減少しているが, 日和見感染の主役として重要な起因菌である。症例は78歳男性, 2000年11月に直腸癌にてMiles手術施行, 2003年4月上旬よりイレウスを発症し, 入院後10日目に癒着剥離術および小腸切除術を施行した。術後4日目より発熱, 腹部膨満, 胃ゾンデおよびストマからの多量の白色排液流出を認めた。排液培養にてMRSAが同定されたためVMCの投与を開始した。また, 多量の排液による脱水症状を予防するため大量輸液による循環動態の安定を図った。発熱, 多量の排液は徐々に消失し, 術後19日目には下痢も消失し, 軽快した。
  • 新見 行人, 渡辺 明彦, 石川 博文, 山本 克彦, 大山 孝雄, 山田 高嗣
    2005 年 30 巻 6 号 p. 885-889
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は49歳男性。腹満感を愁訴に当院受診した。腹部単純X線検査でNivea像あり, 腸閉塞の診断で当科紹介された。腹部CT検査では上行結腸に腫瘤を伴った同心円状の層状構造を認め腸重積と診断した。大腸内視鏡検査で, 粘膜下腫瘍を先進部とした回腸がBauhin弁から上行結腸に重積していた。内視鏡的整復は不能であったため緊急手術を施行した。重積腸管をHutchinsonの手技により整復すると, 回腸末端より10cmに漿膜浸潤を有する径3cmの粘膜下腫瘍を認め, 所属リンパ節を含め回腸部分切除を行った。病理診断は悪性リンパ腫 (diffuselargecell type, B細胞性) であった。術後補助化学療法施行後, 現在再発徴候を認めず経過観察中である。今回, 比較的稀な悪性リンパ腫による成人腸重積症を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する。
  • 金丸 洋, 石塚 直樹, 堀江 良彰
    2005 年 30 巻 6 号 p. 890-893
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は24歳男性。18歳時に傍腹直筋切開による虫垂切除術を受けた。術後3カ月に1回程度, 創部が腫脹し疼痛があった。最近になり臍部が腫脹し疼痛を伴うため来院した。臍部を切開したところ排膿を認め, 難治性であった。超音波検査・瘻孔造影では右腹直筋の背側を走行し, 膀と虫垂切除創を結ぶ瘻孔を認めた。虫垂切除後の創感染が内側臍ヒダを通り臍部に進展したと考えられた。検索し得た範囲でこのような症例は自験例を含め3例しかなく稀と思われる。文献的考察を加え報告する。
  • 藤崎 滋, 高階 幹, 富田 涼一, 高山 忠利
    2005 年 30 巻 6 号 p. 894-897
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は41歳女性。臍下部痛の精査加療目的に緊急入院となった。入院後症状は軽快せず, CRPは経時的に上昇した。注腸検査にて腸回転異常 (non-rotation) を認め, 盲腸に陰影欠損像がみられ, 虫垂は造影されなかった。腸回転異常, 虫垂炎と診断し, 入院後4日目に手術施行, 臍下部の小切開下に虫垂切除・腹膜炎ドレナージを施行した。術後12日目に軽快退院した。腹部急性疾患の診断において稀であるが腸回転異常症の併存の可能性を念頭におく必要があると考えられた。
  • 五井 孝憲, 小畑 真介, 井上 剛志, 片山 寛次, 山口 明夫
    2005 年 30 巻 6 号 p. 898-902
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例1は80歳, 男性。血便を主訴に来院した。精査にて直腸癌と診断し, 腹会陰式直腸切断術 (D3) を施行した。最終診断は直腸癌 (RbRaP), 3型, 9×4cm, a2, Circ, n4 (+) (左292), H1, P0, M (-), Stage IVであった。術後は化学療法を施行したが, 抵抗性を示し, 術後4カ月で癌死した。症例2は48歳, 男性。血便を主訴に来院し, 精査にて直腸癌と診断し, 低位前方切除術 (D3) を施行した。最終診断は直腸癌 (RaRb), 2型, 4.5×3.5cm, se, Circ, n2 (+) (252), H0, P0, M (-), Stage IIIbであった。術後化学療法はleucovorin+5-FU全身投与を行った。22カ月経過した現在, 再発は確認されていない。以上, 当科で経験した直腸印環細胞癌2症例について若干の文献的考察を含め報告する。
  • 四方 裕夫, 斉藤 人志, 高島 茂樹, 松原 純一
    2005 年 30 巻 6 号 p. 903-906
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は74歳女性。糖尿病を合併し, 近医にて慢性腎不全に対し血液透析が導入された。さらに洞不全症候群と診断され当院循環器内科にペースメーカーの植え込み目的で入院となった。大量の胸水を認めたが利尿剤などの内科的加療に対して抵抗性であった。これに対して他科で胸腔ドレナージチューブが挿入されたが, 排出不良であったために, さらに低位での挿入が行われた。ドレナージチューブからの出血をみて経ドレナージチューブ造影を行ったところ脾静脈・門脈が造影された。これをもって脾損傷と判断し緊急脾摘術を施行し事なきを得た。ドレナージチューブからの造影が緊急事態の掌握に有用であった1例を経験したので報告する。
  • 谷島 聡, 菊池 誠, 加瀬 肇, 金子 弘真, 寺本 龍生
    2005 年 30 巻 6 号 p. 907-910
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    われわれは早期の画像診断, 血栓溶解療法を行えたにもかかわらず, 入院中に消化管穿孔にて再発した上腸間膜動脈血栓症の1例を経験したので報告する。症例は59歳男性。イレウスの疑いにて当院紹介受診した。腹部CT上にて上腸間膜動脈血栓症が疑われたため緊急腹部血管造影を施行した。上腸間膜動脈造影にて右結腸動脈分岐部の血栓による不完全閉塞を認めた。ウロキナーゼ60万単位動注し, 血栓吸引, バルーン拡張術を施行, 血流の再開を認めた。その後経過良好であったが28病日より腹痛出現。32病日にレントゲン上freeairを認め, 穿孔性腹膜炎の診断にて緊急手術となった。Treitz靱帯より20cmの部位から約1mの広範囲壊死と穿孔を認めた。広範小腸切除術, 小腸瘻, 粘液瘻造設術を施行。術後, 敗血症を併発し開腹手術後4病日に死亡した。経カテーテル的治療後は再発を常に留意して早期の診断と慎重な経過観察が重要と考え, 若干の文献的考察を加え報告する。
  • 岡山 順司, 北東 大督, 丸山 博司
    2005 年 30 巻 6 号 p. 911-915
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は38歳女性。34歳時に胃癌Stage IV (se, n2, P0, H0, M0, CY1) で胃全摘術を施行。病理所見では低分化型腺癌 (por) with印環細胞癌 (sig) であった。手術時の腹腔内抗癌剤投与および術後化学療法を施行した。胃癌術後約3年目に血便出現し, 大腸内視鏡検査で直腸に隆起性病変を指摘された。生検ではsigであり, 骨盤腹膜再発と診断し, 化学療法を行った。術後4年目に便秘, 腹部膨満感出現し入院。腹部CT検査でダグラス窩に腫瘤を認めたため, 直腸切断術, 子宮摘出術, 膣合併切除術を施行した。病理所見でダグラス窩腹膜再発巣は, por with sigであった。胃癌術後の腹膜再発に対する治療として, 根治手術が期待出来ない症例が大多数を占めるため, 再手術となる症例は限られる。今回, 胃癌術後4年目に限局性骨盤腹膜再発を認め, 手術を施行しえた症例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する。
  • 安田 秀喜, 杉本 真樹
    2005 年 30 巻 6 号 p. 916-919
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 金子 弘真
    2005 年 30 巻 6 号 p. 920-921
    発行日: 2005/12/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
feedback
Top