日本外科系連合学会誌
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32 巻, 6 号
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原著
  • 権田 剛, 石橋 敬一郎, 横山 勝, 中田 博, 石田 秀行
    2007 年 32 巻 6 号 p. 833-838
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    現行の大腸癌取扱い規約第7版では, 下部直腸癌 (以下Rb癌) で固有筋層を越えて浸潤するものはAと表記され, 浸潤距離を測定して記載することが望ましいとされている。本稿ではRb癌の壁外浸潤距離と予後との関係を検討し, その臨床的意義を検証した。対象は根治度Aの手術を施行したRb癌で深達度pT3症例のうち, 壁外浸潤距離が測定可能であった26例である。壁外浸潤距離の測定法は第64回大腸癌研究会の募集要項に準じた。壁外浸潤距離3mm未満の症例 (n=18) は3mm以上の症例 (n=8) より無再発生存率が有意に良好であった。この壁外浸潤距離と他の臨床病理学的因子との関係はとくにみられず, さらに他の臨床病理学的因子は予後に関連しなかった。以上より, Rb癌T3症例における壁外浸潤距離は, 独立した予後規定因子となる可能性が示唆された。
臨床経験
  • 田中 公貴, 田本 英司, 中久保 善敬, 奥芝 知郎, 川村 健
    2007 年 32 巻 6 号 p. 839-841
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下虫垂切除術は術後疼痛軽減, 入院期間短縮, 創感染低下などで利点を持つ術式として報告されており, 当院で同術式を導入したので, 開腹虫垂切除と比較検討した。方法 : 2006年1月までの3年間に虫垂炎の診断で手術した開腹切除36例, 腹腔鏡下切除29例を手術時間, ドレーン抜去時期, 創感染, 鎮痛剤使用数, 術後在院日数について比較検討した。統計学的解析にはt検定とχ2検定を用い, p<0.05を有意差ありとした。結果 : 創感染で有意差を認め, ドレーン抜去時期で有意な傾向を認めた。共に腹腔鏡下手術が有用な結果となった。考察 : 腹腔鏡下手術は開腹手術に比べ, 腹腔内の十分な洗浄と, 創部への膿汁付着を予防できる点から創感染の減少とドレーンの早期抜去につながった可能性が考えられる。結語 : 腹腔鏡下虫垂切除術は開腹手術に比べ有用な術式であるといえた。
  • 童 仁, 明石 諭, 瓜園 泰之, 中島 祥介
    2007 年 32 巻 6 号 p. 842-846
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    2000年から2005年までに経験した腹部刺創症例16例について検討した。男性12例, 女性4例であり, 年齢は24歳から90歳にわたり, 平均年齢は57.5歳であった。損傷形態では, 腹膜非穿通4例, 腹膜穿通12例であった。刺創部位は, 左上腹部に多かった。自傷が13例, 他傷が3例で, 自傷例のうち6例がうつ病であった。凶器は果物ナイフによるものが13例と多く, 凶器が残存していたのは3例であった。腹部刺創は日常的に遭遇する疾患ではなく, 診断治療の判断に迷うことがある。精神疾患を有する患者が増加している現在, 腹部刺創患者も増加すると考えられる。適切な治療で良好な予後を期待できるため, 全身状態と補助的診断法をあわせて適切な治療を進めていくことが重要である。
症例
  • 松永 和秀, 朝村 真一, 橋本 隆宏, 徳井 琢, 砂山 真紀, 磯貝 典孝
    2007 年 32 巻 6 号 p. 847-851
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    13歳の高度眼球運動障害を伴う眼窩内側壁骨折を治療し良好な結果を得た。受傷7日目他院耳鼻科にて鼻内法で整復を試みるも眼球運動の改善が得られなかったため, 受傷27日目当科にて観血的整復術を施行した。CTで, 篩骨洞内に眼窩内組織と内直筋が嵌入している所見が認められたため, 手術の工夫として, 眼窩内側からアプローチし, 眼窩を構成している上顎骨・涙骨の骨切り術を施行した。骨の再建は下顎骨を用いた。術後のCT所見では移植骨を基準にして, 正常な位置に眼窩内組織が構築されていた。術後経時的に眼球運動が改善し, 術後7カ月目には, 健側と同様の眼球運動域まで改善した。以上のことから, 小児の眼窩内側壁骨折で, 受傷からおよそ1カ月経過しても, 高度眼球運動障害を認める場合は, 骨切りを併用した観血的整復術も一つの方法であることが示唆された。
  • 合川 公康
    2007 年 32 巻 6 号 p. 852-856
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, 比較的稀であるGastrointestinal stromal tumor (以下GIST) と早期胃癌の同時合併例を経験したので文献的検索を加え報告する。症例は57歳, 男性。定期健康診断の胃透視で粘膜下腫瘍を疑われ当院を受診し, 上部消化管内視鏡で胃体中上部の粘膜下腫瘍と, 胃体下部に高分化腺癌 (IIc) を診断した。切除術を行い, それぞれuncommitted typeで中間悪性度群に相当するGISTと, Stage I Aの早期胃癌であった。本邦の報告を参照し臨床病理学的な検討を加えたところ, 胃癌合併GISTは単発の胃GISTに比べ高齢の男性に多い傾向があったが, それ以外の因子では特徴的なものはなかった。胃GISTと胃癌の合併における関連性は未だ不明であり, 今後の症例の蓄積と検討が必要である。また, GISTの診療にあたり, 特に高齢者, 男性の場合は胃癌合併を念頭に置き, 慎重に検索すべきである。
  • 西科 琢雄, 上西 宏, 若原 正幸, 佐藤 元一, 棚橋 利行
    2007 年 32 巻 6 号 p. 857-861
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    比較的稀な十二指腸原発GISTの2例を経験したので報告する。症例1 : 77歳, 男性。黒色便を主訴に入院。上部内視鏡検査にて十二指腸上行部に4cm大の腫瘍を認めた。腹部CT, MRI, 血管造影検査所見よりGISTの術前診断にて十二指腸空腸部分切除術を施行した。術中所見では腹膜播種や肝転移を認めなかった。病理組織学的にはc-kit, CD34ともに陽性でki-67Labeling index : 20%, MI : 40/50HPF, 最大腫瘍径 : 55mmで高リスクの十二指腸原発GISTと診断された。症例2 : 37歳, 女性。吐血を主訴に入院。緊急上部内視鏡検査にて十二指腸球部に潰瘍と露出血管を伴う2cm大の腫瘍を認めた。GISTの術前診断にて幽門側胃切除術を施行した。病理組織学的にはc-kit, CD34ともに陽性でki-67LIは5%未満, 最大径35mmで低リスクの十二指腸原発GISTと診断された。
  • 木下 淳, 猪瀬 悟史, 服部 俊弘, 服部 晃典, 横溝 肇, 吉松 和彦, 勝部 隆男, 成高 義彦, 小川 健治
    2007 年 32 巻 6 号 p. 862-865
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は26歳, 男性。腹痛と嘔吐で緊急入院した。腹部CTおよび注腸検査で回腸結腸型腸重積症と診断し, 開腹手術を施行した。開腹時, 回腸末端部から上行結腸にかけて約20cmの腸重積を認め, この重積部から口側の回腸は約20cmにわたり浮腫状であった。正常部との境界付近の回腸に, 脂肪織を伴って全層性に腸管内に内翻する拇指頭大の腫瘤を認めた。重積の整復を試みたが不可能で, 浮腫状回腸約20cmを含む回盲部切除術を施行した。肉眼所見は回腸回腸結腸型の腸重積で, 上行結腸内に重積した回腸は壊死に陥っていたが腫瘤性病変はなかった。また, 回腸末端から約60cm口側に, 手術時, 腸重積の原因と考えた腸管内腔に突出する5×4×2cmの病変を認め, 内翻したMeckel憩室と診断した。成人腸重積の原因疾患は腫瘍性疾患がほとんどで, 本症例のように内翻したMeckel憩室は稀であり, 若干の文献的考察を加えて報告する。
  • 中川 国利, 村上 泰介, 遠藤 公人, 鈴木 幸正
    2007 年 32 巻 6 号 p. 866-870
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    最近経験した虫垂粘液嚢腫4例に対して, 腹腔鏡下手術を施行した。年齢は平均68.5歳で, 全例が男性であった。腹部超音波検査や腹部CT検査により, 虫垂粘液嚢腫と全例で術前診断した。腹腔鏡下に観察すると, 虫垂は棍棒状に腫大し, 2例では虫垂が盲腸に重積し, 1例では虫垂に憩室を認めた。虫垂根部に腫大を認めない1例では単なる虫垂切除術を, 虫垂根部まで腫大した2例では自動縫合器で虫垂根部を含めた盲腸を部分切除した。なお, 盲腸底部に虫垂が重積していた1例では, 下腹部正中を小切開して盲腸を部分切除した。組織学的には粘液嚢胞腺腫3例および粘膜過形成1例であった。また1例では杯細胞カルチノイドを併存したが, 高齢を考慮して追加切除はしなかった。術後1年5カ月が経過したが, 再発は認めていない。良悪性の術前・術中診断が困難な虫垂粘液嚢腫に対して症例に応じた腹腔鏡下手術を行い, 切除標本の病理結果から追加手術を検討することにより, 過大な手術侵襲を避けることができた。
  • 竹林 正孝, 若月 俊郎, 谷田 理
    2007 年 32 巻 6 号 p. 871-875
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は54歳, 女性。35歳からITPに罹患。他院の検診で便潜血反応陽性となり, 大腸内視鏡検査が施行され横行結腸癌と診断された。当科紹介され入院となった。入院後, 血小板が3.4×104/μlまで減少していたため術前免疫グロブリン大量療法を行うこととし, 免疫グロブリン20g/日を5日間投与した。4日目以降に血小板は上昇したが, 発熱性好中球減少症をきたし手術は延期した。自然経過をみたが, 14日目には血小板17.2万/μl, 白血球5,000/μlと回復したため16日目に横行結腸切除術および摘脾術を施行した。術後経過は良好で術後15日目に退院した。ITP患者における術前の免疫グロブリン大量療法での好中球減少症の発生率は0.1%未満とされており, 極めて稀な副作用である。本例のように副作用発生時の手術の時期については専門医との検討が不可欠である。
  • 境 雄大
    2007 年 32 巻 6 号 p. 876-880
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    患者は82歳の女性。数日間持続する下腹部痛を主訴に当科に入院した。CTで直腸壁肥厚とS状結腸近傍で腸管外への糞便の漏出を認め大腸癌の穿孔と診断, 緊急手術を行った。直腸癌口側の穿孔で大網に播種性病変も認め, 穿孔部の閉鎖と人工肛門造設術を行い, 術後に左鎖骨下静脈から中心静脈カテーテルを留置した。術後第43病日のCTで偶然, 上大静脈血栓を指摘され, 線溶療法を行ったが腫瘍からの出血で断念した。術後第51病日のCTで左内頸静脈に血栓を認めたが第121病日に退院, 第267病日に癌死したが, 経過を通じて血栓による症状はなかった。上半身深部静脈血栓症は下肢と比較して稀な疾患である。大腸癌に合併した本症の本邦報告例はStage IVの進行癌が多く, 血栓による症状, 肺梗塞の有無やリスク, 原疾患の予後, 出血傾向などを慎重に評価し, 治療方針を決定すべきと思われる。
  • 渡辺 康則, 石田 秀之, 中西 克之, 三吉 範克, 藤田 正一郎, 中口 和則, 甲 利幸
    2007 年 32 巻 6 号 p. 881-884
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は75歳, 男性。血尿を主訴として当院泌尿器科を受診した。膀胱鏡で膀胱癌と診断し, 経尿道的膀胱切除術を施行した。2カ月後の膀胱鏡で膀胱癌の再発を認めた。膀胱全摘術の予定でMRI検査を施行したところ, 拡散強調画像で膀胱のほかに大腸に高信号を認めた。大腸内視鏡検査で直腸S状部癌と診断され, 外科紹介となった。MRI拡散強調画像は近年, 体幹部にも臨床応用されるようになり, 様々な悪性腫瘍の検出に有用と期待されている。今回の症例は膀胱癌の術前検査として行われたMRIの拡散強調画像により偶然に直腸S状部癌が発見されたもので, その有用性を示唆する1例と考えられる。
  • 遠藤 公人, 中川 国利, 鈴木 幸正
    2007 年 32 巻 6 号 p. 885-889
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は56歳の女性で, 1年7カ月前に近医で上部消化管造影検査を受けた。腹部単純X線写真で骨盤内にX線不透過性の異物を認めたため, 当院を紹介された。腹部CT検査では直腸内異物も否定できなかったが, 下部消化管内視鏡検査で直腸内に異物を認めなかった。そこで医原性異物や腹腔内鼠などを疑い, 全身麻酔下に腹腔鏡下検査を施行した。腹腔鏡下に観察すると腹腔内には異物はなく, X線透視下の金属製鉗子による検索で直腸内異物と診断した。肛門を拡張後, 4 × 3 cm大のバリウム便塊を経肛門的に摘出した。上部消化管造影検査に用いられるバリウムは, 稀ながら便塊を形成して直腸内に長期間残存することがある。骨盤内にX線不透過性の異物を認めた場合にはバリウム便塊の可能性があり, 便塊を摘出する必要がある。
  • 小林 健一
    2007 年 32 巻 6 号 p. 890-894
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は67歳の男性で, 平成17年9月から便通異常を認め, 近医を受診した。腹部CT, 超音波検査で大腸癌を疑われ, 当院に紹介された。精査で96×61×76mm大の嚢胞成分を伴った直腸GISTを疑い, 12月にHartmann手術, 小腸部分切除を施行した。手術所見では, 開腹時に腫瘍はすでに破裂し腹膜播種を認め, 小腸と強固に癒着していた。病理組織学的検査では, KIT陽性, CD34陽性, α-SMA弱陽性, S-100蛋白陰性, 細胞分裂像数も50HPFにつき5~10認められ, 小腸への浸潤および腹膜播種を伴うGISTと診断された。以上, 術前に直腸GISTを疑い手術を施行し, 開腹時に腫瘍破裂を認めた直腸の嚢胞成分を伴ったGISTの1例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する。
  • 五十畑 則之, 渡辺 修, 清水 忠夫, 平野 明, 木下 淳, 道本 薫, 小川 健治
    2007 年 32 巻 6 号 p. 895-898
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は59歳, 女性。左乳癌の診断で, 1998年12月左乳房温存術を施行, 術後補助療法としてCMFを6サイクル行った。2年半後肝転移が出現しCAFを4サイクル施行, その後パクリタキセルを週1回投与しPRと判定した。その後腫瘍のコントロールは良好であったが, 2年4カ月後PDとなった。ドセタキセル, 続いてカペシタビンを投与したが無効で肝転移は増悪, CA15-3は300U/mlと著明に上昇, 全身倦怠感, ふらつき, 肝機能障害が出現し入院した。CT上肝転移は多発性で, 五次化学療法としてビノレルビンを投与した。1コースで臨床症状は著明に改善し, 肝機能もほぼ正常化して退院した。4コース終了後のCTで肝転移は著明に縮小しPRと判定, CA15-3も41.7U/mlまで低下した。有害事象はGrade 3の白血球減少, 好中球減少を認めたが, 退院後も外来で同治療の継続が可能であった。TTPは242日とかなり長期で五次化学療法としては良好な成績であった。
  • 栄 政之, 上西 崇弘, 金田 和久, 田中 肖吾, 山本 隆嗣, 大野 耕一, 久保 正二
    2007 年 32 巻 6 号 p. 899-903
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は68歳, 女性。既往として脳梗塞があり, リハビリ通院中であった。平成16年8月, 腹痛, 嘔吐が増悪し意識障害が出現したため救急搬送された。腹部CT検査で小腸内異物と, それより口側の腸管拡張が認められた。腸閉塞と診断しイレウス管を挿入したところ, 回腸に約3.5cm大の腫瘤像が認められ, 閉塞機転となっていた。8日後のCT検査で腸管内異物の位置移動が認められた。以上より, 胆石イレウスと診断して開腹したが, 術中循環動態が不安定でイレウス解除術 (胆石除去) のみを施行した。術後に総胆管結石による胆管炎が発症したため, 内視鏡的に結石を除去した。術後約3年の現在, リハビリに励んでいる。胆石イレウスに対する治療では患者の全身状態が許せばイレウス解除術に胆道根治術を追加することが望ましいが, 患者の全身状態に合わせた治療法の選択が重要であると考えられた。
  • Koichi SATO, Takeo MAEKAWA, Hiroshi MAEKAWA, Mutsumi SAKURADA, Hirofum ...
    2007 年 32 巻 6 号 p. 904-908
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    A 78-year-old woman was admitted to our hospital because of abdominal pain, nausea, and vomiting. A plain abdominal X-ray showed both gas and a niveau in the small intestine. The symptoms and the niveau improved in response to conservative therapy, but the symptoms of intestinal obstruction recurred after she consumed a meal. Based on the symptoms and X-ray findings, the patient was diagnosed with intestinal obstruction of unknown etiology, and was operated. Intraoperatively, a tumor was palpated in the jejunum 50 cm distal to the ligament of Treitz. The tumor had invaded the entire thickness of the wall and was exposed beyond the serosa. The proximal bowel was extremely dilated, and partial jejunectomy was performed to relieve the obstruction. Gross examination of the specimen revealed a yellowish-brown protruding tumor, measuring 3×2 cm. The tumor was covered with intact mucosa and resembled a submucosal tumor. Histopathological examination showed that the tumor was developed from an aberrant pancreas composed of ducts, acini, and smooth muscle tissue. The tumor was located in the submucosa of the jejunum. The tumor consisted of moderately differentiated adenocarcinoma and was in contact with the aberrant pancreas. On the basis of these findings, the tumor was diagnosed as cancer of heterotopic pancreas in the jejunum.
    It is extremely rare for aberrant pancreatic cancer to be located in the jejunum. Six cases of heterotopic pancreatic cancer in the jejumum have been reported in the literature, and our case appears to be the seventh.
  • 岡澤 美佳, 光田 信明, 位藤 俊一, 水野 均, 水島 恒和, 宇田津 有子, 楠本 英則, 中川 朋, 岩瀬 和裕, 伊豆蔵 正明
    2007 年 32 巻 6 号 p. 909-913
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は48歳, 女性。平成14年, 当院産婦人科にて子宮筋腫のため子宮全摘 (下腹部正中切開) を施行し, 術後6カ月目の検診時に恥骨と上部右側の手術瘢痕部皮下に有痛性腫瘤を認め当科紹介となった。この腫瘤は1カ月に1回程度の周期で増大・縮小を繰り返していた。臨床症状および画像所見より腹壁子宮内膜症の可能性が高いと判断した。自験例は48歳であり閉経が近いため, 保存的に経過観察した。発症後4年が経過した時点で腫瘤は縮小し, 症状は消失したため腹壁子宮内膜症と診断した。本邦での腹壁子宮内膜症の報告例はいずれも摘出標本の病理組織診断後に報告されたものであり, 保存的治療後の長期経過をみた報告は見当たらない。本症は良性疾患で, かつreproductive ageに限局した疾患である可能性が高いと考えられ, 本症の取り扱いに関して若干の文献的考察を行ったので報告する。
  • 山田 正樹, 丹羽 浩一郎, 高橋 玄, 石戸 保典, 新村 光司, 五藤 倫敏, 奥澤 淳司, 冨木 裕一, 坂本 一博
    2007 年 32 巻 6 号 p. 914-917
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は80歳, 女性。上行結腸癌腹壁浸潤の診断で平成18年5月9日右半結腸切除術を施行した。術後第12病日に急性胆嚢炎を併発し経皮経肝胆嚢ドレナージ術を施行し, 同時に右大腿静脈よりIVH (intravenous hyperalimentation) カテーテルを挿入した。胆嚢炎の症状は軽快したが, 第23病日に右下腹部痛が出現, 翌日39℃台の発熱とともに右下腹部に著明に肥厚した腫瘤を触知した。CT検査では肥厚した腹直筋内にIVHカテーテルを認めた。右大腿静脈より挿入したカテーテルが下腹壁静脈に迷入して生じた腹直筋膿瘍と診断し, 同日緊急手術を行った。カテーテルを抜去し, 右腹直筋直上を切開したところ浮腫状に変性した腹直筋と膿瘍を認めドレナージ術を施行した。IVHカテーテルによる稀な腹直筋膿瘍の1例を経験した。挿入後のX線検査で, 念入りに位置確認を行うことが重要である。
  • 童 仁, 明石 諭
    2007 年 32 巻 6 号 p. 918-921
    発行日: 2007/12/30
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    今回われわれは診断に腹部CTが有用であった, 高齢者の大網裂孔ヘルニア嵌頓の1例を経験したので報告する。症例は91歳, 女性。既往歴, 家族歴に特記事項はない。持続する腹痛, 嘔吐で近医受診し, 絞扼性イレウスが疑われ, 当センター搬送となった。腹部造影CTで上行結腸の腹側に小腸の拡張像, 腸間膜の収束像を認め, また腸管壁の造影遅延がみられたため, 内ヘルニア嵌頓による絞扼性イレウスと診断し, 緊急手術施行した。大網に直径約2cmの裂孔を認め, 約190cmにわたり小腸が嵌頓し壊死に陥っていた。手術既往のないイレウス症例においては内ヘルニアを考慮すべきであるが, 中でも大網裂孔ヘルニアは極めて稀であり, 術前診断が困難である。原因不明のイレウスの場合には本疾患も念頭におき, 診断治療にあたらなければならない。
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