症例は73歳の男性。1993年7月8日下部胆管癌の診断で全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術 (pylorus-preserving pancreatoduodenectomy ; 以下, PPPD) IIA再建を施行した。病理組織学的検査の結果は中分化型管状腺癌でaf, INFβ, n0, ly1, v0, ginf0, panc0, d0, hw0, dw0, ew0であった。その後再発を認めず経過は良好であったが, 2000年10月の上部消化管内視鏡検査で, 胃体部小彎に広範なIIc型早期胃癌を認め, 生検の結果は腺癌であった。11月14日胃全摘出術 (J pouch Roux-Y再建) を施行した。病理診断は高分化型管状腺癌で深達度m, INFα, n0, ly0, v0, aw (-), ow (-) であった。PPPD術後の長期生存が期待できる症例では, 残胃に新たな異時性重複癌が発生する症例もあり, 温存臓器に対する定期的な癌検診が必要であると考えられた。
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