日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
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33 巻 , 6 号
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臨床経験
  • Kazuhide MATSUNAGA, Kazunori MORI, Shinichi ASAMURA, Tetsuji NAGATA, N ...
    2008 年 33 巻 6 号 p. 829-836
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
      We evaluated swallowing function in four tongue cancer patients who underwent hemiglossectomy and reconstruction with the pectoralis major myocutaneous flap at 12 months postoperatively . The size of the pectoralis major myocutaneous flap was almost 12 × 5 cm in those four patients. In all patients, the flaps decreased in comparison with the size one month postoperatively. We performed functional evaluation. All patients were capable of oral ingestion. Patients who underwent excision of less than 50% of the radix linguae could consume an approximately normal diet. However, patients who underwent excision of more than 50% of the radix linguae required strict dietary limitations. We evaluated video fluorography findings. None of the patients could hold the test diet in the oral cavity. All patients could shift the residual tongue to the flap side as a compensatory function and the residual tongue could make good contact with the hard palate. There was no aspiration in any patient. Widening of the esophageal entrance during swallowing appeared good in all patients. We suggest that swallowing function in patients who underwent hemiglossectomy and reconstruction with a pectoralis major myocutaneous flap was good approximately at 12 months postoperatively.
  • 小島 泰樹, 松井 隆則, 小島 宏, 藤原 道隆
    2008 年 33 巻 6 号 p. 837-841
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     腹腔鏡補助下胃切除術は保険診療として認められているものの,胃癌治療ガイドラインでは,標準治療ではなく臨床研究と位置づけられている。また,新しい手術手技を導入するのにラーニングカーブは不可避であるが,この時期の患者の不利益を極力減らすべきなのは言うまでもない。当院では腹腔鏡補助下胃切除術の導入にあたり,これらの倫理的問題に対する配慮として,導入方法に関して,院内の倫理審査委員会での承認をうけた。その主な内容とは,(1)初期症例10例においては院外からの内視鏡外科技術認定医の指導をうけること,(2)当院においてはまだ導入期の手術であることと,この方法がガイドラインでは標準治療でなく臨床研究という位置づけであることを患者本人に説明し,患者本人からそれらを記載した文書による同意書の取得を行うこと,の2点であった。導入はスムーズに行われ,初期症例10例とそれに続く15症例との間で,出血量や手術時間に有意な差はみられず,合併症の増加もみられなかった。
  • 境 雄大
    2008 年 33 巻 6 号 p. 842-845
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     鈍的外傷による小腸・腸間膜損傷5例について検討した。受傷機転は交通事故4例,転落1例で,損傷部位は小腸単独1例,腸間膜単独2例,小腸・腸間膜損傷2例で,小腸損傷部位は空腸2例,回腸1例,腸間膜の損傷部位は空腸・回腸間膜各2例であった。全例とも来院から入院までの間にCT検査を施行し,初期治療は手術1例,塞栓術1例,保存的治療3例で,最終的に全例に手術を施行した。手術適応の根拠は腹膜刺激症状,血圧低下,CT所見であった。手術までの期間は平均1.2日,出血量は平均1,246gで,輸血は3例に施行した。予後は全例生存しており,入院期間は平均26.2日であった。本症の診断にはCT検査が有用である。本症で保存的治療やIVRを選択した場合には,症状や検査所見に応じて期を逸することなく外科的治療を行うことが肝要である。
  • 森脇 義弘, 岩下 眞之, 豊田 洋, 小菅 宇之, 鈴木 範行, 杉山 貢
    2008 年 33 巻 6 号 p. 846-851
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     【目的】Severe sepsis,septic shockを伴う腹膜炎(重症腹膜炎)緊急手術例に対する集中治療での持続血液濾過透析(CHDF)の位置付け,有用性と限界を考案した。【方法】重症腹膜炎緊急手術例でCHDFを行った13例のPao2/F1o2(P/F)比,base excess(BE)値と乳酸値の推移を検討した。【結果】CHDF導入時の尿量は0.24ml/kg/時であったが,導入後は3.62ml/kg/時の水分投与が可能で,導入前後のP/F比は207から290(P<0.05),K値,BE値と乳酸値は各4.1から3.8mEq/l,-8.8から-7.4mEq/l,3.9から3.5mmol/lへ変化した。死亡率は62%,5例は1週間以降に術後合併症か腫瘍で死亡,3例は周術期早期からBE低値や乳酸値高値が持続しP/F比維持困難で,循環動態も維持困難となり第2病日以内に早期死亡した。【結論】重症腹膜炎手術例でのCHDFは,呼吸循環維持の補助,集学的集中治療の一環として有用であったが,高度の酸素化障害やショック遷延例では無効であった。適応の拡大解釈,早期導入なども検討すべきと思われた。
症例報告
  • 松永 和秀, 朝村 真一, 磯貝 典孝
    2008 年 33 巻 6 号 p. 852-855
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     唇裂術後変形様の外傷性上口唇変形をきたした成人男性1例の治療を経験した。症例は,40歳,男性。飲酒後,自転車乗車中,転倒し,左上口唇の裂挫創をきたし,同日近医に救急搬送され,縫合処置を受けた。その後,瘢痕拘縮を伴う上口唇変形を主訴に,受傷4カ月目当科紹介初診となった。初診時所見は,左赤唇の鼻孔部への挙上偏位,左キューピット弓の消失,左白唇の短縮を認めた。創跡およびその周囲組織の瘢痕拘縮が著明であったため,トラニラスト内服とマイクロポアテープ固定療法の初期治療を行い,受傷6カ月目に手術を施行した。手術は,口唇裂形成術で用いられるCronin法に準じる方法で,口唇形成術を施行した。術後1年目現在,赤唇および白唇の形態は概ね良好である。以上のことから,唇裂術後変形様の外傷性上口唇変形をきたした症例に対し,Cronin法は有用な方法の一つであると考える。
  • 沼尻 敏明, 藤原 貴史, 上中 麻希, 素輪 善弘, 増田 志津, 西野 健一
    2008 年 33 巻 6 号 p. 856-861
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     頭頸部腫瘍切除後の再建手術において,血管柄付遊離組織移植による再建は,移植床血管に放射線照射・瘢痕などの問題があれば,血管吻合後の開存率は低くなる。そこで頸部血管が移植床血管として使用可能であるが,あえてそれらを選択せず,胸部で胸肩峰動静脈に血管吻合を行う遊離空腸移植術を施行したので報告する。
     症例は放射線照射が60Gyを超え,皮膚の硬化・色素沈着を認め,頸部手術既往があるなど頸部の局所条件が劣るため本術式を施行した。
     このような症例で胸肩峰動脈を栄養血管として吻合する利点は,瘢痕にうずもれる頸動脈系を利用せず,健全な胸肩峰動脈に,健全な場所で吻合を行うことで,移植床血管の質(流域と局所条件)の改善が可能なことである。欠点は,胸肩峰動静脈は比較的血管径が細いこと,血管茎が短く静脈移植が必要となる場合があり煩雑であることであった。
  • 松橋 延壽, 太和田 昌宏, 富田 弘之, 小倉 真治
    2008 年 33 巻 6 号 p. 862-867
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     症例は82歳,女性。下腹部痛で当院救命センター受診,S状結腸から直腸の虚血性大腸炎と診断し,減圧目的で人工肛門造設術を施行した。術後2日目に突然心電図モニターにてST変化を認めた。その後心原性ショックとなり,心臓カテーテル検査でたこつぼ型心筋症と診断した。大量カテコラミン投与でもショックから離脱困難であったため,IABPを施行し循環動態を安定化することができた。術後11日目にIABPカテーテルを抜去したが,術後20日目に虚血性大腸炎が増悪したため,下行結腸から直腸までの虚血性結腸を切除した。その後敗血症性ショックなども合併し治療に難渋したが,再手術も含む集学的治療で軽快し,術後6カ月で退院した。術後2年以上経過した現在,生存中であり報告する。
  • 伊藤 博道, 淀縄 聡
    2008 年 33 巻 6 号 p. 868-871
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     症例は66歳の男性。感冒性胃腸炎に伴う下痢と嘔吐の直後から左胸痛・側腹部痛が出現したため,救急車で来院し胸腹部X線写真およびCT上,中等量の左胸水・気胸・縦隔気腫を認め,気胸や特発性食道破裂が疑われた。すぐにEmergency Roomで簡易型超音波を用いて左胸水を観察すると食物残渣の心拍動による対流が認められ緊急ドレナージの必要性を確信した。胸腔ドレーンを挿入し,米粒など食残が流出した。特発性食道破裂の左胸腔内穿破と考えられ,発症後4時間,来院後3時間で緊急手術を開始した。左開胸に上腹部正中切開を追加し検索すると下部食道の左壁に1cmの縦方向の穿孔部を認め,縫合閉鎖し,大網で被覆した。術後経過は良好で13病日に経口開始し21病日に退院となった。本疾患は死亡率が依然高く,即日診断が本疾患の救命に重要である。感冒性胃腸炎を契機に発症する本症の存在も念頭におく必要がある。
  • 永野 晃史, 西山 典利, 半羽 宏之, 池田 克実
    2008 年 33 巻 6 号 p. 872-875
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     症例は56歳,男性。糖尿病加療中に胸部X線異常陰影を指摘された。胸部単純X線検査で左下縦隔に5×3cmの腫瘤陰影を認めた。胸部造影CT検査では,左傍胸椎領域(Th8-11)に造影効果を有する腫瘍を認めた。腫瘍内には石灰化,周辺には脂肪組織と思われる低濃度領域を認めた。画像所見より奇形腫または神経原性腫瘍を疑い,縦隔腫瘍摘出術を施行した。病理組織所見ではBリンパ球を主体とするリンパ濾胞がみられ,Castleman病(Hyaline vascular type)と診断した。石灰化を伴う縦隔のCastleman病は術前診断が困難とされており,文献的考察を加えて報告する。
  • 藤原 康朗, 緑川 武正, 八木 秀文, 相田 邦俊, 蒔田 勝見, 坂本 道男, 木村 暢宏
    2008 年 33 巻 6 号 p. 876-879
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     症例は17歳,女性。腹痛,下痢,嘔吐,発熱のため入院。入院時白血球数64,300/μl(好中球桿状型2%,分葉型89%)に増加。腹部全体に圧痛を認め,Blumberg's sign陽性,筋性防御は認めなかった。レントゲン,CT検査上,消化管穿孔,腸閉塞などは認めず,急性胃腸炎と判断して絶食,抗生剤治療を施行した。白血球数は翌日44,800/μl,5日目10,200/μlと軽快,腹痛,下痢も改善し経口摂取可能となった。便培養,血液培養検査は異常なかった。NAPスコアは入院中148と低値であったが2カ月後は278と正常化し慢性骨髄性白血病は否定された。異常な白血球増加の原因は炎症による反応性と考えられた。類白血病は癌,炎症等が原因で白血球数が5万/μl以上になる状態と定義される。文献上,本例の如く類白血病を呈した急性胃腸炎は稀であり,考察を加え報告する。
  • 鈴村 和大, 森川 司朗, 岡田 敏弘, 王 孔志, 黒田 暢一, 平野 公通, 宇山 直樹, 佐竹 真, 藤元 治朗
    2008 年 33 巻 6 号 p. 880-883
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     症例は60歳,女性。平成17年に胃粘膜下腫瘍を指摘されていたが,放置していた。平成19年6月に心窩部不快感が出現したため,胃内視鏡検査を施行したところ,潰瘍は認めないものの腫瘍は約3cm大に増大していた。腹部造影CTでは境界明瞭な約3cm大の腫瘍を認め,超音波内視鏡においては内部が均一のhyperechoic massを認めた。胃脂肪腫と診断したが増大傾向があり胃脂肪肉腫などの悪性腫瘍の可能性も否定できないため,手術施行することとした。手術は腹腔鏡補助下幽門側胃切除術を施行し,Billroth-I法で再建した。切除標本は黄色調,弾性軟の腫瘍であった。病理組織検査にて胃脂肪腫と診断した。術後経過は順調で,術後第13病日に退院した。胃脂肪腫は胃良性腫瘍の0.6~4.8%と比較的稀な腫瘍である。胃脂肪腫に対して腹腔鏡補助下にて切除した1例を経験したので報告する。
  • 林 直輝, 大東 誠司, 柵瀬 信太郎, 小野寺 久
    2008 年 33 巻 6 号 p. 884-888
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     原発巣切除とともにTS-1投与を行い,5年以上の長期無再発生存を認める腹膜転移陽性胃癌の1例を経験した。症例は56歳の女性で,心窩部不快感,食欲低下,2カ月間で4kgの体重減少を主訴に受診した。上部消化管内視鏡検査で胃前庭部から体下部のType 3'進行胃癌と診断した。強い腹部症状と進行性の貧血の改善のために,手術施行となった。術前にTS-1(100mg/body/day)を2週間投与した。開腹所見では術前CT通り,大網に多数の播種巣,リンパ節転移を認めた。手術は胃亜全摘術,D2リンパ節郭清を施行した。病理組織学的所見ではmucinous adenocarcinoma pT3 pN2 H0 pP1 CY1;pStage IVであった。化学療法は術後1年間TS-1(100mg/body/Day)を4週2休で9コース施行した。現在,術後5年3カ月を経過したが,画像上転移,再発を疑う所見や腫瘍マーカーの上昇は認めない。
  • 幡野 哲, 宮崎 達也, 横山 勝, 石橋 敬一郎, 松木 盛行, 加藤 真吾, 藤野 幸夫, 望月 智行, 石田 秀行
    2008 年 33 巻 6 号 p. 889-892
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     CTでおおよその出血部位を同定し,動脈塞栓術で止血した後,ダブルバルーン内視鏡で診断・経過観察を行った回腸NSAIDs(non-steroidal antiinflammatory drugs)潰瘍の1例を報告する。症例は76歳,女性。下腹部痛に対し処方されたNSAIDsのloxoprofenとdiclofenacを2週間内服して黒色便を認め,前医に入院した。上部消化管内視鏡検査に著変なく,下部消化管内視鏡検査では全大腸およびバウヒン弁の口側30cmまでの回腸に異常なく,その口側から凝血塊の流出を認めた。小腸出血が疑われ,精査・加療目的で当院に紹介され入院した。腹部CT検査では小腸内に造影剤の漏出がみられた。続いて行った血管造影検査で回腸動脈末梢から造影剤の漏出を認め,コイルによる動脈塞栓術を行い止血した。その3日後,ダブルバルーン内視鏡検査で回腸末端から45~55cmの間に多発する円形の潰瘍を認めた。NSAIDs内服を中止し,その後再出血はなく,塞栓術後11日目に退院した。3カ月後に再検した小腸内視鏡検査では異常所見を認めていない。
  • 杉村 啓二郎, 水野 均, 位藤 俊一, 水島 恒和, 宇田津 有子, 友國 晃, 楠本 英則, 中川 朋, 岸本 朋也, 伊豆蔵 正明
    2008 年 33 巻 6 号 p. 893-897
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     症例は57歳,男性。腹痛,頻尿を主訴に近医を受診し,骨盤内巨大腫瘤を指摘されて当科に紹介となった。触診上ほぼ下腹部全体を占める可動性やや不良な腫瘤を触知した。腫瘍マーカーは正常値であった。CT上,回盲部から骨盤腔に広がる13.5×6.5cm大の巨大な腫瘍性病変を認め,充実性成分と嚢胞性成分が混在していた。下部消化管内視鏡では盲腸に5型の腫瘍を認め,生検では高分化型腺癌であった。CT, MRI, DIP,膀胱鏡でS状結腸と膀胱頂部への浸潤が疑われた。以上より盲腸癌,虫垂癌,虫垂粘液嚢胞腺癌を鑑別診断に考え,それらによるS状結腸・膀胱浸潤と診断し,結腸右半切除術,S状結腸切除術,膀胱部分切除術を施行した。病理組織学的には壁外発育を主体とした盲腸癌と診断した。S状結腸浸潤を認めたが,膀胱への浸潤はなかった。壁外発育型大腸癌は稀で,過去の本邦報告例34例とあわせて臨床病理学的特徴を検討した。
  • 境 雄大
    2008 年 33 巻 6 号 p. 898-902
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     症例は52歳,女性。血便の精査でS状結腸癌と診断された。頸部に異常所見はなかった。S状結腸切除術が行われ,組織型は中分化型管状腺癌で,病期はSS, N0, H0, P0, M0, StageIIであった。術後に腸閉塞を来したが,保存的治療で改善し,術後25病日に退院した。手術の約2カ月後から頸部腫脹を自覚し,術後87病日の受診時に無痛性の頸部腫脹がみられた。血圧,脈拍,体温に異常はなく,血液検査で炎症反応はみられなかった。甲状腺ホルモンは遊離T3 7.15pg/ml,遊離T4 2.22ng/dl,甲状腺刺激ホルモン0.005IU/ml未満,TSH受容体抗体は正常範囲内であった。無痛性甲状腺炎による甲状腺中毒症と診断された。経過観察とし,発症から3カ月後に甲状腺機能は正常化した。術後の甲状腺中毒症は甲状腺機能亢進による甲状腺クリーゼが多い。無痛性甲状腺炎は臨床症状に乏しいため,術後甲状腺腫にも十分に留意し,本疾患も念頭において診療にあたることが肝要である。
  • Keisuke UEHARA, Seiichiro YAMAMOTO, Shin FUJITA, Takayuki AKASU, Hirok ...
    2008 年 33 巻 6 号 p. 903-907
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
      Abscess formation is one of the most common complications of colorectal cancer. The presence of abscesses and accompanying fibrosis sometimes makes it difficult to correctly diagnose the extent of tumor invasion, thereby affecting the choice of surgical procedure. We report the case of a 57–year–old male with locally advanced rectosigmoid cancer complicated by widespread scrotal and perineal abscesses. The patient was treated by total pelvic exenteration, total emasculation, and combined partial resection of the ileum to achieve en bloc excision of the tumor and all of the scrotal and perineal abscess cavities. Histological examination of the surgical specimen revealed cancer cells floating in the abscess cavity of the ileal mesentery but not in the scrotal and perineal abscess cavities. Colorectal cancer patients with widespread abscess formation sometimes require extended surgery to achieve microscopically complete resection, because it is impossible to reliably discriminate between cancerous tissue and the surrounding inflammation accompanyed by fibrosis pre– or intra–operatively. Although extended surgery is necessarily followed by impaired quality of life, it is the most promising treatment available in terms of a cure.
  • 遠藤 公人, 中川 国利, 小林 照忠
    2008 年 33 巻 6 号 p. 908-911
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     比較的稀な疾患である脾過誤腫の1例を経験したので報告する。症例は45歳の女性で,健診時の上部消化管造影検査で,胃に壁外性圧排像を認めた。精査を目的に当院を紹介された。腹部超音波検査やCT検査では,脾門部に6.0×4.5×4.0cm大の腫瘤を認めた。腫瘤は境界明瞭,辺縁平滑で,内部は不均一であった。脾動脈造影検査では,腫瘤および腫瘍被膜は軽度濃染した。以上から脾腫瘍と術前診断し,悪性疾患も否定できないため手術を施行した。腫瘤は脾門部に存在し膵臓と接していたため,膵尾部を含めて脾臓摘出術を施行した。病理組織検査では赤脾髄型の脾過誤腫と診断した。脾過誤腫は特異な臨床症状はなく,健診などを契機に偶然に診断されることが多い。また組織型が多様性なため,画像検査では特異な所見に乏しいとされている。したがって術前診断は困難であり,悪性疾患との鑑別診断ができないために脾臓摘出術が行われることが多い。
  • 中川 国利, 藪内 伸一, 小林 照忠, 遠藤 公人, 鈴木 幸正
    2008 年 33 巻 6 号 p. 912-915
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     腹腔鏡下胆嚢摘出時の落下結石による腹腔内膿瘍症例に対して,腹腔鏡下に結石摘出とドレナージを施行したので報告する。症例は67歳の女性で,胆嚢結石症にて腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。術中にビリルビンカルシウム石を腹腔内に散石したため,可及的に回収した。また胆嚢胆汁からは細菌を検出した。術後経過は良好であったが,手術3年3カ月後に軽い右上腹部痛が生じたため入院した。種々の画像検査で右横隔膜下に境界明瞭な嚢胞性腫瘤を認めたため,落下結石による腹腔内膿瘍と術前診断した。先端が可動式の腹腔鏡を用い,膿瘍腔内の結石を摘出すると共にドレナージを行った。術後に創感染などの偶発症はなく,早期の社会復帰が可能であった。胆嚢摘出の際には落下結石の回収に努めると共に,遺残結石が危惧された場合には慎重に経過観察する必要がある。また落下結石による腹腔内膿瘍に対しては,腹腔鏡下の結石除去とドレナージが有用である。
  • 渡瀬 誠, 森 琢児, 小川 淳宏, 浅井 哲, 錦織 英知, 廣岡 紀文, 柳 英雄, 小川 稔, 金城 信雄, 門脇 隆敏, 山田 毅, ...
    2008 年 33 巻 6 号 p. 916-919
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     今回われわれは,腹壁瘢痕ヘルニアに対してProlene Hernia System®(Ethicon社)1)2)と癒着防止シートであるSeprafilm®(Genzyme社)3)4)を併用した手術症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する。症例は89歳,女性。総胆管結石症術後に腹壁瘢痕ヘルニアを認めたため,ヘルニア門の大きさ,形を考慮しProlene Hernia Systemと癒着防止シートであるSeprafilmを併用しヘルニア根治術を施行した。術後感染もなく両者の併用は安全に使用でき5年経過後も再発なく順調に経過している。
  • 上原 悠也, 櫻井 丈, 野田 顕義, 片桐 秀元, 牧角 良二, 小林 慎二郎, 須田 直史, 宮島 伸宜, 大坪 毅人
    2008 年 33 巻 6 号 p. 920-922
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
     症例は80歳,女性,血便を主訴に他院を受診。直腸癌と診断され,当科に紹介となり,直腸Rbの早期癌に対して腹腔鏡下直腸低位前方切除術を施行した。術後第5病日に嘔気・嘔吐・腹痛が出現し,腹部CTからポートサイトヘルニアと診断され,同日緊急手術を施行した。術後,創感染を認めたが概ね良好に経過し,第22病日に退院した。
     ポートサイトヘルニアは予防しうる合併症の1つであり,視触診や画像検査で診断は比較的容易であるが,診断が遅れれば腸管壊死などをきたす可能性があり,術後の合併症の1つとして念頭において手術に臨むべきであると考えられた。
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