日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
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ISSN-L : 0385-7883
36 巻 , 6 号
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特別寄稿
原著
  • 石井 要, 森 和弘
    2011 年 36 巻 6 号 p. 908-912
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     【目的】切除不能進行胃癌症例に対する胃空腸吻合術について検討した.【方法】当科で幽門狭窄を伴う切除不能進行胃癌に対して胃空腸吻合術を施行した23例を対象とし,術前後の食事摂取状況,食事内容,栄養評価などを行った.男性15名,女性8名,平均年齢は72歳,初発胃癌が20例,残胃の癌が3例であった.【結果】術後に経口摂取が可能となったのは,脳梗塞を発症した1例を除いた22例(96%)で,全例で5分粥以上の摂取が可能であった.また,19例(83%)で一旦は退院が可能となった.転帰は全例死亡しており,術後平均生存期間は232日であった.【考察】本手術により経口摂取可能となる症例を多く認めた.幽門狭窄を伴う切除不能進行胃癌に対して,本手術は経口摂取を目的とした場合には,症状緩和,QOLの改善や維持に有用な治療の一つと考えられる.今後はさらに症例を蓄積し,その適応などに関して検討が必要と思われる.
  • 佐藤 美信, 前田 耕太郎, 小出 欣和, 野呂 智仁, 本多 克行, 塩田 規帆, 松岡 伸司, 遠山 邦宏
    2011 年 36 巻 6 号 p. 913-919
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     【目的】結腸MP癌(MP)の特徴と適切なリンパ節郭清範囲を明らかにする.
    【対象と方法】D3郭清を施行し,組織学的にMPと診断された結腸癌84例を対象に,左半MP71例(左MP)と右半MP13例(右MP)を臨床的に比較し,さらにMPをSS癌(SS)180例と臨床病理学的に比較検討した.
    【結果】根治度A手術の施行率,リンパ節転移率,2群または3群の所属リンパ節(遠隔リンパ節)への転移率,再発率,5年生存率は左MPと右MPで差を認めなかった.根治度Aの手術が施行されたMP(80例)のリンパ節転移率は23.8%で,SS(167例)の33.5%に比し低率の傾向にあったが,遠隔所属リンパ節への転移率は7.5%でSSの7.8%と差を認めず,遠隔リンパ節転移例における再発率はMPで33.3%,SSで15.4%と差を認めなかった.MPの根治度A手術症例における5年生存率は93.2%で,SSの85.5%と差を認めなかった.
    【結語】結腸MPはSSと遠隔リンパ節への転移率,再発率,予後に差がなく,SSと同様な郭清が必要と考えられた.
症例報告
  • 松橋 延壽, 舘 正仁, 櫻谷 卓司, 田島 ジェシー雄, 前田 健一, 田中 千弘, 西科 琢雄, 長尾 成敏, 河合 雅彦, 國枝 克行
    2011 年 36 巻 6 号 p. 920-924
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     症例は40歳,男性.既往歴は特記すべきことなし.抜歯後1カ月を経過し,咽頭痛,顎下部痛のため当院耳鼻咽喉科を受診した.開口1横指程度であり,上咽頭から中咽頭にかけての腫脹が強く,扁桃周囲膿瘍,上顎洞炎および頸部蜂窩織炎と診断し耳鼻科咽喉科に入院となった.しかし同日夜間より呼吸困難症状が出現し緊急気管切開を行ったが,さらに呼吸状態は悪化した.Acute respiratory distress syndrome(ARDS)に類似した状態となり,救命救急センターに紹介となった.P/F比も100以下となり,酸素化維持に困難を極めたため両側に胸腔ドレーンを挿入した.大量の黒色様の壊死した排液を合計2L以上認めた.その後徐々に酸素化が改善したため,さらに咽頭後隙,後縦隔内,両側顎下部からドレナージ術を施行し,同部位から持続洗浄を行った.入院期間は嚥下訓練など含めて約3カ月を要したが,15カ月経過した現在は社会復帰している.開胸術を行わず,頸部アプローチによる咽頭後隙および後縦隔ドレナージ経路を作り,膿瘍を段階的に除去することが可能となり,軽快した症例を経験したためアプローチ法を踏まえて報告する.
  • 神谷 浩二, 神谷 尚子, 豊岡 晃輔, 塩路 康信
    2011 年 36 巻 6 号 p. 925-929
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     人間ドックで発見され,術前に肺癌との鑑別診断が困難であった肺放線菌症の1例を経験した.患者は57歳の男性.人間ドックの胸部単純X線検査で右肺野に異常陰影を指摘され,当院を受診した.胸部単純X線像で右肺野に浸潤影を認め,胸部CT検査では右肺中葉に約30mmの腫瘤性病変を認めた.経気管支肺生検および擦過細胞診からは確定診断に至らなかったが,画像所見より肺癌と術前診断し,右中葉切除術を施行した.術後の病理組織学的検査にて放線菌の菌塊を認め,肺放線菌症と確定診断した.肺放線菌症は臨床症状や画像所見から肺癌との鑑別が困難で,本症例では外科的切除が診断,治療の両面から有用であった.
  • 富原 英生, 本告 正明, 岸 健太郎, 藤原 義之, 矢野 雅彦, 竹中 明美, 吉澤 秀憲, 冨田 裕彦, 石川 治
    2011 年 36 巻 6 号 p. 930-936
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     症例は61歳,男性.食道癌に対し,化学療法後に食道亜全摘,胃管再建術を施行.術翌日に敗血症性ショックに陥り,感染源を検索したところ胃管先端部に壊死がみつかったため,これが原因と考え,同日胃管壊死部切除術を行った.しかし状態は改善せず,術後4日目より急性腎不全となり,また両側側胸腹部に発赤,水疱が出現した.その後,再手術時に採取した腹水よりAeromonas hydrophila(以下A.H.と略記)が検出されA.H.による敗血症と診断した.再手術時よりA.H.に対し感受性のある抗菌薬を使用していたが効果はなく皮膚病変も増悪し,壊死性筋膜炎となり,術後16日目に死亡した.消化器外科術後に,急激な経過をたどる敗血症性ショックや壊死性筋膜炎を認めた場合にはA.H.感染症を念頭に置くことが重要である.
  • 谷口 清章, 笹川 剛, 武市 智志, 山田 卓司, 鈴木 仁呂衣, 喜多村 陽一, 山本 雅一
    2011 年 36 巻 6 号 p. 937-941
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     胃全摘Billroth-II法(B-II)再建後の高度逆流性食道炎に対し,輸入脚を部分切除しRoux-Y再建に変更することで食道炎を治癒せしめた1例を報告する.
     症例は73歳,男性.2005年9月,幽門側胃切除B-I再建後の残胃の癌に対し,他院にて残胃全摘B-II再建がなされた.術直後より高度逆流性食道炎が発生し,保存的治療で改善なく,2008年11月当科に紹介された.上部消化管造影検査では,造影剤は食道へ容易に逆流し,輸出脚と輸入脚の間をBraun吻合を介して循環していた.輸出脚の食道空腸吻合,Braun吻合間の距離が約40cmと長かったため,輸入脚のBraun吻合口側直上と食道空腸吻合間を切除し,Roux-Y再建に変更し食道炎の著明な改善を得た.
  • 伊藤 元博, 大下 裕夫, 波頭 経明, 山田 誠, 足立 尊仁, 松井 康司, 森川 あけみ, 松井 聡, 田島 ジェシー雄, 操 佑樹
    2011 年 36 巻 6 号 p. 942-946
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     患者は68歳,男性.腰部脊柱管狭窄症にて近医に通院中であった.10日前より続く腰背部痛を主訴に救急外来を受診した.腹部CTにて腹腔内遊離ガス像と腹水を認めた.CT撮影直後より血圧低下し,塩酸ドパミン投与を開始.腹部は膨隆し,腹部全体に腹膜刺激症状を認めた.血液検査にて高K血症を認め,グルコン酸カルシウム注射を施行後,直ちに手術を施行した.開腹すると十二指腸球部前壁を主体とする2/3周性で50×35mm大の巨大潰瘍穿孔と膿性腹水を2,300ml認めた.術中ノルエピネフリン0.3μg/kg/minにて血圧を保てる状態であったため,十二指腸単純閉鎖術,大網被覆術,空腸瘻造設術,腹腔ドレナージ術を施行した.術後はICUにて人工呼吸器管理下にCHDFを施行し,その後徐々に全身状態良好となった.術前に敗血症性ショック,高K血症を呈した巨大十二指腸潰瘍穿孔の1例を経験し,集中治療にて救命できたので報告する.
  • 原田 郁, 森 隆太郎, 簾田 康一郎, 長谷川 誠司, 江口 和哉, 仲野 明
    2011 年 36 巻 6 号 p. 947-953
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     症例は75歳,男性.2004年11月,膀胱癌に対し膀胱全摘術を施行.2008年2月,後腹膜リンパ節に再発し,化学療法を目的に入院した.食思不振に対し行った上部消化管内視鏡検査で十二指腸狭窄と原発性十二指腸癌の合併を疑われ,狭窄解除を目的に手術を行った.開腹所見では十二指腸下行部に硬い腫瘤を触知し,胃空腸吻合術とともに大彎の腫大したリンパ節を生検した.病理組織学的検査で移行上皮癌のリンパ節転移も否定できなかったため,再度免疫組織学的に検討すると,十二指腸生検時の標本は移行上皮癌で,さらに,リンパ管内のみに腫瘍細胞を認めることから,膀胱癌後腹膜リンパ節再発,リンパ行性十二指腸転移と最終診断した.転移性十二指腸腫瘍,膀胱癌消化管転移ともに極めて稀な病態であり,文献的考察を加え報告した.
  • Shutaro Ozawa, Masami Yamada, Mineo Hanawa, Isamu Koyama
    2011 年 36 巻 6 号 p. 954-957
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    A 41–year–old man presented with general fatigue, tarry stool and epigastralgia. Hematological examination data showed an anemia (Hb 9.3g/dl). No abnormalities were found on upper gastrointestinal endoscopy and colonoscopy. Therefore patient was received a video capsule endoscopy. A stenosis with reddish and edematous mucosal changes was recognized at the upper jejunum. Furthermore, double–balloon enteroscopy was added to this patient. Pathological studies of the biopsy specimens diagnosed a primary small intestinal adenocarcinoma. Computed tomography showed the regional lymph node metastasis without distant metastasis. The patient was received a radical operation. Primary small intestinal adenocarcinoma is a rare malignancy ; most cases cannot be detected on routine gastrointestinal endoscopy due to their location. Therefore, it is often that diagnosis is late. Our experience suggests that double–balloon enteroscopy and video capsule endoscopy are useful for diagnosing small intestinal adenocarcinoma.
  • Minoru Fujisawa, Toshiaki Kitabatake, Kuniaki Kojima
    2011 年 36 巻 6 号 p. 958-960
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    A 45–year–old woman was admitted to a local hospital because of abdominal pain, but the symptom did not resolve. Therefore, she was admitted to our hospital the next day. On admission, she had abdominal pain with muscular defense and abdominal distension. Since plain abdominal CT showed ascites and the “whirl sign”, emergency surgery was performed. At laparotomy, 300 ml of blood–tinged ascitic fluid was found. Since the right hemicolon, including a mobile cecum, was found to be twisted 360 degrees counterclockwise around the mesentery and necrotized, right hemicolectomy was performed.
  • Takahiro Umemoto, Kazuaki Yokomizo, Gaku Kigawa, Hiroshi Nemoto, Kenji ...
    2011 年 36 巻 6 号 p. 961-964
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    A 20–year–old woman presented at the emergency department with acute right lower abdominal pain. Physical and laboratory examinations indicated acute appendicitis with periappendiceal infiltrate, and the patient underwent appendectomy. However, histological examination of the appendectomy specimen revealed carcinoid tumor with acute inflammation. Therefore, the patient underwent laparoscopic radical ileocecal resection with lymph node dissection two months after the appendectomy. Pathological examination of the resected specimen did not show any tumor in the ileocecal region, but massive metastases in 2 of 35 analyzed lymph nodes were observed.
    This case evidences that carcinoid tumor of the appendix can easily be missed without histological examination. Routine careful pathological examination of appendectomy specimens is warranted because further surgery and chemotherapy may be necessary.
  • 小久保 健太郎, 林 昌俊, 飯田 豊, 栃井 航也, 藤田 修平, 井本 盛允, 片桐 義文
    2011 年 36 巻 6 号 p. 965-970
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     症例は73歳,男性.2カ月ほど前より右季肋部痛および体重減少が出現し当院を受診した.右季肋部に腫瘤を触知し,上部消化管内視鏡検査で胃前庭部後壁に膿汁の流出を認めた.腹部CT検査にて右上腹部に虫垂および腫瘍を認め,下部消化管内視鏡検査で盲腸癌と診断した.空腸が上腸間膜動脈の腹側を通過していたことより腸回転異常症のため盲腸癌が胃に穿通したものと判断し手術を施行した.開腹するとTreitz靱帯は無形成で十二指腸下行脚が後腹膜に固定されていなかった.十二指腸の背側に上腸間膜動脈が位置し,上腸間膜動脈の背側に横行結腸が位置していた.回盲部は十二指腸の右側に存在おり,reversed rotation typeの腸回転異常症であった.腫瘍は胃前庭部・胆嚢に浸潤しており幽門側胃切除,結腸右半切除術を施行した.成人腸回転異常症の中でも逆回転したreversed rotationは比較的稀である.Reversed rotationに併存した盲腸癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 今川 敦夫, 和田 範子, 豊田 翔, 山本 昌明, 市川 剛, 小川 雅生, 出村 公一, 山崎 圭一, 川崎 誠康, 亀山 雅男
    2011 年 36 巻 6 号 p. 971-975
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     症例は72歳,女性.1カ月前からの下血を主訴に当院を受診した.大腸内視鏡検査所見にて肛門縁から4cm口側,12時方向の直腸に18mm大の黒色有茎性腫瘍を認め,生検にて悪性黒色腫と診断した.広範リンパ節郭清を伴う腹会陰式直腸切断術(APR)を施行した.病理組織学的検査所見は悪性黒色腫,pSM,pN2,ly1,v1,pPM0,pDM0,pRM0であった.術後補助化学療法としてdacarbazine(DTIC),nimustine(ACNU),vincristine(VCR)によるDAV療法を施行した.術後3カ月の腹部CTでは異常所見は認めなかったが,術後6カ月の腹部CTで肝再発を認めた.DTIC,ACNU,cisplatin(CDDP),tamoxifen(TAM)によるDAC-Tam療法に変更したが,術後1年1カ月で死亡した.直腸肛門部悪性黒色腫は悪性度が高く,深達度SMの早期腫瘍であっても急速な転帰をきたすことがあり,術式選択が非常に困難である.
  • 佐竹 昌也, 吉松 和彦, 横溝 肇, 大澤 岳史, 松本 敦夫, 大谷 泰介, 中山 真緒, 勝部 隆男, 成高 義彦, 小川 健治
    2011 年 36 巻 6 号 p. 976-980
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     症例は46歳,女性.下腹部痛を主訴に近医で腹部超音波検査を施行,卵巣腫瘍と診断され当院婦人科に紹介された.MRI検査でS状結腸腸間膜由来の腫瘍が疑われ,当科紹介となった.腹部CT検査で子宮の左側に淡く造影される腫瘍を認めた.腹部MRI検査でも同部位に淡い低信号を呈する腫瘍を認めた.S状結腸もしくは腸間膜由来の間葉系腫瘍の診断で手術を行った.手術所見では,S状結腸に壁外性に発育する腫瘍を認め,S状結腸楔状切除術にて腫瘍を摘出した.病理組織学的には紡錘形細胞が束をなして増殖し,免疫組織染色ではCD117,CD34,S100β陰性,h-caldesmon陽性で,管外型のS状結腸平滑筋腫と診断した.管外型平滑筋腫の部位診断には,CT,MRI検査による腫瘍血管の同定が有用であるが,術前に平滑筋腫と正診することは不可能であった.
  • 伊藤 正朗, 加瀬 肇, 下山 修, 松本 浩, 三浦 康之, 岡田 嶺
    2011 年 36 巻 6 号 p. 981-986
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     症例は56歳,男性.左頸部腫瘤を主訴に受診した.既往歴に慢性B型肝炎および肝細胞癌があり,半年前近医で肝動脈塞栓療法を施行された.診察上,左鎖骨上窩に小指頭大の弾性硬の腫瘤を数個触知した.局所麻酔下にリンパ節を1個切除し肝細胞癌の転移と診断されたため,全身麻酔下に左頸部郭清を行った.術後他院にて残存肝腫瘍に対してラジオ波焼灼療法を行った.術後1年目に右頸部腫瘤を触知し,CTおよびPET検査にて右鎖骨上窩から縦隔と胸骨傍リンパ節再発,肝S6は残存腫瘍と診断され,右頸部リンパ節および右開胸下縦隔,胸骨傍リンパ節郭清を行った.病理診断は,肝細胞癌リンパ行性転移と診断された.その後肝動脈化学塞栓療法およびソラフェニブによる化学療法を行ったが,原発巣の増大を認め術後1年7カ月後に肝不全で死亡した.肝内病変がコントロールされていない症例のリンパ節郭清および肝外病変の手術は慎重に選択すべきと思われる.
  • 鈴木 文武, 三澤 健之, 後町 武志, 脇山 茂樹, 矢永 勝彦
    2011 年 36 巻 6 号 p. 987-991
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     症例は50歳代,女性.主訴は上腹部の膨隆と腹部膨満感.2008年4月腹部CT検査で肝嚢胞を指摘された.2010年4月頃より上記主訴が増強し,肝嚢胞の増大を認めたため,加療目的で当科紹介受診となった.腹部超音波およびCT検査にて最大径10cmの肝嚢胞と胆嚢内の石灰化結石を認めた.これらに対して単孔式腹腔鏡下手術(以下単孔式)で肝嚢胞開窓術と胆嚢摘出術を同時に施行した.手術時間は開窓術75分,胆嚢摘出術72分,計147分であった.術中出血量は少量で合併症もなく,術後経過も良好であり術後3日目に退院した.単孔式で開窓術と胆嚢摘出術を同時に施行した症例は少なく,文献的考察を加えて報告する.
  • 鈴村 和大, 飯室 勇二, 平野 公通, 麻野 泰包, 中井 紀博, 藤元 治朗
    2011 年 36 巻 6 号 p. 992-997
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     症例は64歳,男性.約5年前にC型慢性肝炎を指摘されるも放置.全身倦怠感が出現したため近医を受診し,精査にて肝腫瘍を指摘されたため当院紹介となった.腹部超音波検査にて肝S5からS8にかけて存在する腫瘍と肝S7に存在する腫瘍を認めた.造影CTでは両腫瘍ともに,動脈相にて早期濃染を受け,平衡相でwash outされた.HCCの診断にて肝前区域切除および肝S7部分切除術を施行した.病理組織学的検査結果は肝S5からS8にかけて存在する腫瘍は胆管細胞癌であり,肝S7に存在する腫瘍は肝細胞癌であった.肝細胞癌と胆管細胞癌の両者が同一肝臓内の異なる部位に同時に存在する,いわゆる重複癌は稀な疾患である.われわれはその1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 本間 陽一郎, 木全 政晴, 江河 勇樹, 大月 寛郎
    2011 年 36 巻 6 号 p. 998-1003
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     症例は66歳,女性.主訴は1カ月前より心窩部痛.上部内視鏡で,胃内に残渣を多量に認め,幽門狭窄部からの生検で,中分化腺癌を認めた.腹部造影CTで幽門前庭部の肥厚,胃周囲のリンパ節腫脹を認めた.術前診断,胃癌(幽門前庭部,全周性,3型),T4a(SE)N1,stage IIIBとし,手術を行った.術中所見:肝床部に,十二指腸球部,大網が巻き込まれ,胆嚢癌と診断した.胆嚢床切除,幽門側胃切除,胆管合併切除を行った.胆管空腸吻合,Roux-en-Y再建と,残胃はBillrothII法で行った.切除標本では,胃幽門部粘膜に発赤,総胆管粘膜は正常であった.胆嚢癌s-Stage IVB S3(胃)Hinf2 Binf1 N2とした.十二指腸に直接浸潤し,粘膜下に胃幽門に浸潤する胆嚢癌手術症例を経験した.本症例は術前画像で萎縮胆嚢が指摘されていた.萎縮胆嚢である場合,胆嚢癌の可能性も考慮する必要がある.
  • Hiroshi Matsukiyo, Manabu Watanabe, Koji Asai, Tomoaki Saito, Hajime K ...
    2011 年 36 巻 6 号 p. 1004-1008
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    We report a case initially diagnosed as infected pancreatic pseudocyst after acute pancreatitis and treated by repeated endoscopic drainage, in which the final diagnosis was mucinous cystadenocarcinoma.
    A 60–year–old woman was admitted to our hospital's gastroenterology department after developing acute pancreatitis and what seemed to be recurrent infected pseudocyst of the pancreatic tail. This was treated by endoscopic transpapillary drainage. However, because the cyst enlarged on imaging and serum carbohydrate antigen 19–9 level increased, we decided to treat the case surgically. Postoperative pathological examination revealed mucinous cystadenocarcinoma with direct invasion of the spleen and transverse colon.
  • 根本 寛子, 菅野 伸洋, 山田 六平, 山奥 公一朗, 藤川 寛人, 稲垣 大輔, 佐藤 勉, 湯川 寛夫, 利野 靖, 益田 宗孝
    2011 年 36 巻 6 号 p. 1009-1014
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     われわれは,稀である腎盂癌小腸転移の1例を経験した.症例は63歳,男性.58歳時,左腎盂癌に対し,手術と術後補助化学療法を行った.術後4年目に,左副腎と傍大動脈リンパ節に転移をきたし,化学療法を行いSDが得られていた.術後5年目,イレウスのため入院となり,精査の結果,小腸に狭窄を認めた.生検結果は低分化腺癌であり,原発性小腸癌の診断にて,手術を施行した.切除した小腸狭窄部と5年前に切除した腎盂癌の組織を比較すると,ともに未分化腺癌様であり,免疫染色の結果も類似していたため,小腸狭窄部は最終的に腎盂癌小腸転移と診断された.腎盂癌小腸転移の報告は,本症例が初である.
  • 原田 知明, 森内 孝喜, 原田 繁
    2011 年 36 巻 6 号 p. 1015-1019
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     2010年11月,便秘の治療目的にてグリセリン浣腸約50mlを施行された.直後に強い肛門部痛を認め,約1時間後に肉眼的血尿(ワインカラー),陰嚢の腫大,発赤が出現し,当院受診,当初はグリセリン浣腸の微小な肛門粘膜損傷部からの吸収によるアナフィラキシーショックの可能性を疑い,ステロイド治療を施行した.第2病日には肉眼的血尿は消失し,第6病日に退院となった.第9病日頃より肛門会陰部皮膚潰瘍が出現したが,保存的治療により第45病日頃に消失した.第79病日の大腸内視鏡にてanal verge直口側に潰瘍瘢痕を認めた.グリセリン浣腸による血尿について,若干の文献的考察を付加して報告する.
  • 山奥 公一朗, 佐伯 博行, 片山 雄介, 菅沼 伸康, 樋口 晃生, 藤澤 順, 松川 博史, 湯川 寛夫, 利野 靖, 益田 宗孝
    2011 年 36 巻 6 号 p. 1020-1026
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     症例は82歳,男性.体重減少を主訴に近医を受診し,横行結腸癌の診断を受け,平成21年8月に当科を紹介受診した.術前精査で腸間膜静脈硬化症の所見を認めた.
     平成21年9月に右半結腸切除術を施行された.腫瘍は横行結腸肝彎に存在し,肉眼的に腫瘍周囲は暗青色調の浮腫状粘膜を呈していた.病理組織学的にも腸間膜静脈硬化症に合致するもので,横行結腸癌に合併した腸間膜静脈硬化症と診断した.
     腸間膜静脈硬化症は静脈硬化に伴う虚血性腸炎で,1991年に小山ら1)により初めて報告された.病理組織学的には腸間膜静脈の著明な線維性肥厚と石灰化,血管周囲への膠原線維の著明な沈着を特徴とする.稀な症例で現在のところ,アジアとりわけ日本からの報告例がある程度である.人種特異性が示唆されるが,成因や治療法,長期予後に関して良くわかっていない.癌の合併に関しては現状ではいわゆるcolitis cancerとは異なり,偶発的なものと考えられている.われわれの症例を含めて3例の癌の合併例が報告されている.成因,予後に関して明らかにするために,今後より多くの症例の蓄積,研究が待たれる.
     悪性腫瘍を合併した腸間膜静脈硬化症の1例を経験したので若干の文献的考察を含めて報告する.
  • 鈴村 和大, 飯室 勇二, 大橋 浩一郎, 平野 公通, 麻野 泰包, 吉田 康彦, 裵 正寛, 中井 紀博, 矢田 章人, ...
    2011 年 36 巻 6 号 p. 1027-1030
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     症例は37歳の女性,右下腹部腫瘤にて当院紹介となった.右下腹部に径15cm大の可動性のない弾性硬の腫瘤を触知した.腹部超音波検査では比較的境界明瞭で内部不均一な腫瘤を認め,腹部CTでは充実性で内部均一な腫瘤として描出された.腹壁由来の腫瘤と診断し手術を施行,腫瘤より約1cmのsurgical marginをとって腫瘤摘出を行った.腹壁欠損部は自家大腿筋膜で再建した.病理組織学的診断はデスモイド腫瘍であった.術後約4年の現在,明らかな再発は認めていない.腹壁デスモイド腫瘍は比較的稀な疾患であり,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 中崎 隆行, 濱崎 景子, 佐野 功
    2011 年 36 巻 6 号 p. 1031-1035
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     症例は32歳,男性.横行結腸癌に対する根治切除後5年3カ月で臍周囲の腫瘤が出現し,当院皮膚科受診.生検でmetastatic carcinomaと診断され,当科に紹介された.腹部CT検査では,臍部と骨盤内左側に腫瘤がみられた.PET-CT検査では,臍部と骨盤内左側の腫瘤にFDGの集積がみられた.大腸癌の臍転移,左内腸骨血管周囲のリンパ節転移または腹膜播種の診断で手術を施行した.手術は,臍部を含む腹壁切除,骨盤内左側の腫瘤摘出を行った.病理組織所見では,両病変とも粘液産生を伴って異型細胞の増殖がみられ,以前の大腸癌の組織像と類似しており,大腸癌の転移と診断した.転移経路としては,臍部腫瘤,骨盤内左側の腫瘤ともに腹膜播種と考えられた.内臓悪性腫瘍の臍転移は Sister Mary Joseph's noduleといわれ,比較的稀である.今回,大腸癌術後5年3カ月で出現した臍転移の1例を経験したので報告した.
  • 佐藤 雄生, 高坂 佳宏
    2011 年 36 巻 6 号 p. 1036-1040
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
     症例は40歳,女性.虫垂炎の手術歴があり,20代の頃より月経困難を自覚していたが,子宮内膜症と診断されたことはなかった.食後の腹痛と腹満感を主訴に当院を受診.CTにて癒着性小腸閉塞と診断し入院加療としたものの,保存的治療により改善せず,手術の方針となった.骨盤内で回腸が癒着・屈曲し,狭窄を呈していたため,小腸部分切除を施行した.切除標本の病理組織学的検査にて腸管子宮内膜症と診断した.腸管子宮内膜症は画像診断で特徴的な所見が得られず術前診断は困難である.術前診断が困難である女性の腸閉塞症例では腸管子宮内膜症も念頭に置くことが肝要であると考えられた.
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