日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
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ISSN-L : 0385-7883
36 巻 , 4 号
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特別寄稿
  • 田中 勝
    2011 年 36 巻 4 号 p. 583-588
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     早期メラノーマの診断は難しく,肉眼で母斑や老人性色素斑と区別できない.メラノーマの93%はde novoに生じる.メラノーマの診断には,後天性母斑,つまりClark母斑(平坦か扁平隆起),Miescher母斑(半球状,顔に多い),Unna母斑(いぼ状,頭と首に多い),Reed/Spitz母斑(子供に多い)を知ることが重要である.先天性母斑と青色母斑はあまり問題にならない.母斑の典型像と異なればメラノーマを考える.色素細胞病変以外に,脂漏性角化症,基底細胞癌,血管病変も肉眼的には鑑別困難であるが,ダーモスコピーでは鑑別しやすい.ダーモスコピー診断は2段階に分けるとわかりやすい.まずメラノサイト病変かどうかを判断し,続いて非メラノサイト病変を順番に考える.メラノサイト病変の可能性が高ければ,第2段階で色と構造の分布が規則的か不規則かを考え,メラノーマか母斑かを判定する.
原著
  • 今田 慎也, 安井 昌義, 池永 雅一, 宮崎 道彦, 三嶋 秀行, 天野 栄三, 岡田 俊樹, 辻仲 利政
    2011 年 36 巻 4 号 p. 589-593
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     目的:呼気終末二酸化炭素濃度(以下EtCO2)は,血中の二酸化炭素濃度を反映する.腹腔鏡下手術中,気腹に伴う血中二酸化炭素濃度の上昇からEtCO2も上昇する.術中のEtCO2上昇の危険因子としては,皮下気腫・気胸などがある.当院での大腸腹腔鏡手術時の高二酸化炭素血症とEtCO2上昇の術前および術中の危険因子について検討した.方法:2006年6月から2009年3月までの大腸腹腔鏡手術150例において,術中EtCO2が最高値45mmHg以上を示した症例(以下A群)と最高値45mmHg未満であった症例(以下B群)の2群間で,年齢,性別,BMI,術前合併症,術前呼吸機能検査,喫煙歴,手術時間,気腹時間,出血量,皮下気腫について検討した.結果:皮下気腫の発生率でA群とB群間に有意な差を認めた.考察:今回の検討からは,術前因子で高二酸化炭素血症を予測するのは困難であった.
  • Akiko Kogure, Noboru Saito, Koichi Soyama, Makio Kobayashi, Shingo Kam ...
    2011 年 36 巻 4 号 p. 594-599
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    Aims : In this study, we examined whether the integrin β1 subunit, thought to play an important role in colorectal cancer invasion and metastasis, can be used as a prognostic marker for colorectal cancer.
    Patients and Methods : The subjects of this study were 86 patients who underwent surgery for colorectal cancer at this department. We measured preoperative serum integrin β1 levels and conducted a 5 year retrospective postoperative study, examining the relationship between integrin β1 levels and survival curves.
    Results: For patients with postoperative recurrence or metastasis, outcomes were significantly better in those with a preoperative serum integrin β1 level ≥600 ng/mL than those with <600 ng/mL (p=0.0062).
    Conclusions: Even in patients with metastases identified preoperatively, outcomes were favourable if preoperative serum integrin β1 levels were high. These results indicate that integrin β1 shows promise as a prognostic marker in metastatic colorectal cancer.
症例報告
  • 青山 徹, 前原 孝光, 安藤 耕平, 斎藤 志子, 益田 宗孝
    2011 年 36 巻 4 号 p. 600-604
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     症例は76歳,女性.喫煙歴・アスベスト曝露歴はない.2002年から膵嚢胞性疾患で当院外科通院中であった.膵病変に対する術前検査で,胸部異常陰影を指摘され当科紹介受診となった.胸部CT検査で,左S1+2,左S3(区域内に2カ所病変が存在),右S2に計4カ所のすりガラス様陰影(ground glass opacity:GGO)を認めた.CT上各病変の大きさは径19mm,26mm,15mm,18mmで,S1+2の病変はmixed GGOであったが,その他の病変はpure GGOであった.画像上各病変とも肺癌が疑われ,手術で根治切除が可能と判断し二期的手術の方針とした.2009年4月,胸腔鏡下左上大区域切除を施行した.摘出した病変は病理組織検査で肺癌(野口分類type C, type B)と診断された.2009年10月,胸腔鏡下右上葉区域切除術を施行した.病理組織検査上,同病変も肺癌(野口分類type C)と診断された.以上,稀な同時多発肺癌の1切除例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 湯川 寛夫, 利野 靖, 荒井 宏雅, 菅野 伸洋, 山田 六平, 佐藤 勉, 松浦 仁, 大中臣 康子, 大城 久, 井上 聡, 益田 宗 ...
    2011 年 36 巻 4 号 p. 605-611
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     大腸は他臓器に比べ多発癌を合併する頻度が高く,また他臓器癌との重複例も増加傾向である.しかし高次重複癌といわれる4重複癌以上の症例は依然として稀である.
     今回,われわれは前立腺癌,肺小細胞癌,上行結腸癌,直腸癌(同時性2病変)の5多重癌症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は75歳,男性.既往症に前立腺癌および大腿骨転移(ホルモン療法を行いコントロール良好),肺小細胞癌(右上葉切除,術後脳転移に全脳照射,頸部リンパ節転移に化学療法を施行),上行結腸癌(tub1,pSM,pN0).2008年11月CF実施したところ直腸Rbに全周性3型病変,Rsに0-Isp病変を認めた.2009年1月腹会陰式直腸切断術を施行した.病理検査ではRb:3型,tub2-por2,pA,pN2,Rs:0-Ip,tub1,pMであった.その後肺小細胞癌頸部リンパ節転移,直腸癌肝転移が同時期に出現し順次化学療法を行った.
  • 竹村 雅至, 藤原 有史, 森村 圭一朗, 堀 高明
    2011 年 36 巻 4 号 p. 612-616
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     食道は起始が異なる様々な動脈により分割的に支配されているが,各動脈間にも吻合を認め,血流障害を起こすことは稀である.今回,早期食道癌に対して胸部下部食道切除・残存食道胃管吻合後に食道壊死をきたした症例を経験した.症例は62歳・男性.食道胃接合部口側に,早期扁平上皮癌を診断され当院へ手術目的に紹介された.胸腔鏡下に中下縦隔郭清と下部食道切除を行い,腹腔鏡下に食道胃管吻合を行った.術後翌日より呼吸状態の悪化と,CT上再建胃管周囲に空気像を認めた.内視鏡検査を行ったところ,食道胃管吻合から口側8cmにわたり食道壁の黒色変化と,吻合部口側に穿孔を認めた.食道壊死と診断し,食道部分切除および食道外瘻術を行い,6週間後に有茎空腸で再建術を行った.病理組織学的には粘膜上皮の脱落・壊死がみられ,食道壊死と診断された.
  • 田中 公貴, 七戸 俊明, 宮本 正樹, 田中 栄一, 平野 聡, 近藤 哲
    2011 年 36 巻 4 号 p. 617-622
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     患者は65歳,男性.胸焼けを主訴に精査を行い食道癌の診断を得た.既往歴に慢性閉塞性肺障害,胸部大動脈瘤破裂に対する胸部大動脈置換術と術後の左反回神経麻痺がある.術前2週間の呼吸リハビリの後,胸腔鏡下食道切除術を施行した.術後軽度の肺炎を認めたが,術後46日目に退院となった.慢性閉塞性肺障害合併患者に対する手術においては,術前より呼吸理学療法の施行や鏡視下手術による呼吸筋の温存が術後呼吸器合併症を低下させるとの報告があり,本症例でも術前から呼吸理学療法を施行し,鏡視下手術を併用することで呼吸器合併症を最小限に周術期を乗り切ることができた.また,胸部大動脈瘤術後のため鏡視下手術操作に困難が予想されたが,右胸腔・縦隔内に癒着はなく,通常と同様の食道切除が可能であった.
  • 山奥 公一朗, 國崎 主税, 佐藤 勉, 大島 貴, 藤井 正一, 野澤 昭典, 湯川 寛夫, 利野 靖, 益田 宗孝, 今田 敏夫
    2011 年 36 巻 4 号 p. 623-629
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     症例は70歳,女性.2006年1月に胃体部小彎に大きさ25mmの粘膜下腫瘍様の病変を指摘された.経過観察中に,中心部に陥凹形成が認められたが,計4回施行された生検では,何れも極性の乱れと腺管形態の不整を認めるものの,細胞異型は軽度で,確定診断は困難であった.2008年2月当院紹介され,生検でGroup IVであることと肉眼的所見から胃癌を強く疑い,2008年3月に腹腔鏡補助下幽門側胃切除術を施行した.病理学的には,高分化型管状腺癌で,病巣の主座は粘膜下に存在し,腫瘍周囲には異所性胃腺を認めた.さらに,異所性胃腺の一部には,高度の異型を有する部分を認め,胃粘膜下層の異所性胃腺から発生し,粘膜下腫瘍様形態をとった胃癌と診断した.粘膜下腫瘍様形態を呈する胃癌は本邦では183例検索しえた.これらを臨床および臨床病理組織学的に集計し,文献的考察を加えた.
  • 高見 一弘, 阿部 友哉, 井伊 貴幸, 青木 泰孝, 神賀 貴大, 富永 剛
    2011 年 36 巻 4 号 p. 630-634
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     症例は59歳,男性.胃癌に対し胃全摘・脾合併切除術(D2)施行した.病理組織学的に中分化型腺癌でpT1(SM),pN0,pStage IAであった.術後1カ月頃からトランスアミナーゼの上昇を認め低栄養性脂肪肝による肝機能障害として経過観察していたが,術後8カ月頃から腫瘍マーカーCEA,CA19-9の上昇を認め,その後SPan-1,DUPAN-2の上昇も判明した.消化管精査やPET-CTなどを行うも胃癌の再発や膵胆道系の悪性疾患は否定的であった.化学療法も検討されたが厳重な経過観察の方針となった.術後21カ月より肝機能の軽快と上記腫瘍マーカーの減少を認め,術後26カ月の現在においても胃癌の再発や新たな悪性疾患の出現は認められていない.今回,胃癌術後に肝機能障害との関連が疑われた腫瘍マーカーCEA,CA19-9,SPan-1,DUPAN-2の偽陽性の症例を経験したので考察を加えて報告する.
  • 田島 雄介, 石橋 敬一郎, 芳賀 紀裕, 石畝 亨, 横山 洋三, 隈元 謙介, 宮崎 達也, 石田 秀行
    2011 年 36 巻 4 号 p. 635-640
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     高齢者若年性ポリポーシス(JP)の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は77歳,男性.頻回の嘔吐を主訴に前医受診.上部消化管内視鏡検査で胃前庭部を中心に密生したポリープを認めたため,当科紹介となった.胃ポリープの生検では腺窩上皮の過形成と間質の浮腫を認めた.下部消化管内視鏡検査では,有茎性ポリープを下行結腸とS状結腸に認めたため,内視鏡的摘除を行った.組織学的所見では表層上皮の剥脱,腺管の嚢胞状拡張,間質の浮腫を認めた.以上よりJPと診断した.1カ月の保存的治療を行うも幽門狭窄様症状と低蛋白血症が改善しなかったため,幽門側胃切除術を施行した.術後速やかに低蛋白血症は改善した.1990年から2010年までに胃切除術また胃全摘術が行われたJPの報告例(会議録除く)は,自験例を含め18例(胃癌合併11例)であった.低蛋白血症を14例に認め,11例が術後速やかな改善を認めていた.
  • 鈴村 和大, 黒田 暢一, 飯室 勇二, 岡田 敏弘, 小坂 久, 宇多 優吾, 末岡 英明, 岡本 共弘, 栗本 亜美, 藤元 治朗
    2011 年 36 巻 4 号 p. 641-644
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     症例は88歳の男性で,黄疸を自覚し近医を受診.精査にて十二指腸乳頭部癌と診断され,当科紹介入院.幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検査では乳頭腺癌の診断であった.術後3年を経過した現在,無再発生存中である.本症例は,われわれが検索しえた限りでは十二指腸乳頭部癌に対する最高齢の幽門輪温存膵頭十二指腸切除術施行例であった.超高齢者に対しては低侵襲な手術を考慮すべきであるが,耐術性と根治性を十分考慮した上で適応があれば,例え超高齢者であっても幽門輪温存膵頭十二指腸切除術は選択されるべき術式と考えられた.
  • Akira Umemura, Akira Sasaki, Jun Nakajima, Hiroyuki Nitta, Go Wakabaya ...
    2011 年 36 巻 4 号 p. 645-648
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    We performed intraoperative endoscopic sphincterotomy (EST) using rendezvous technique (RT) during laparoscopic cholecystectomy (LC). The case was a 62–year–old woman visited our clinic for the complaints of abdominal pain and vomiting. She was admitted based on a diagnosis of acute cholangitis and secondary acalculous cholecystitis caused by cholestasis. Since hepatic function impairment and exacerbation of inflammatory findings was getting worse the day after admission, she was judged to have moderate acute cholangitis unresponsive to initial treatment and endoscopic retrograde cholangiopancreatography (ERCP) was performed. The presence of peripapillary duodenal diverticula made it difficult to employ a selective approach to the CBD even after a total of two implementations of ERCP. Then we performed LC and intraoperative EST using RT in order to perform endoscopic biliary drainage and cholecystectomy simultaneously. RT is a well–established procedure as a single–stage therapy using an antegrade approach for the treatment of choledocholithiasis, and is able to reduce the incidences of complications. Since RT has some disadvantages such as requiring special operating room equipments and numerous specialists, it is therefore necessary to examine the usefulness of RT in combination with LC as a single–stage surgical treatment for choledocholithiasis.
  • 原田 知明, 中谷 守一
    2011 年 36 巻 4 号 p. 649-653
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     症例は101歳,女性.腹部膨満を指摘され,当院受診.腹部全体に膨満を認めたが圧痛,腹膜刺激症状は認めなかった.腹部X線所見で両側横隔膜下に著しいfree airを認めた.腹部CTにてはfree airの他に腸管の気腫像を認めた.腸管嚢胞様気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis:PCI)を疑い,酸素投与(5l/min.マスク)を開始したところ,次第に腹部膨満は軽快し,入院18日目のCTにてfree air,腸管気腫像は消失した.検索範囲内で本邦最高齢のPCIが疑われた1例を経験したので,若干の文献的考察を付加して報告する.
  • 白鳥 史明, 谷島 聡, 名波 竜規, 鈴木 隆, 大嶋 陽幸, 前田 徹也, 山崎 有浩, 鷲澤 尚宏, 島田 英昭, 金子 弘真
    2011 年 36 巻 4 号 p. 654-657
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     筆者らは,高侵襲手術である食道癌手術は全例に空腸瘻を造設し,早期経腸栄養を行っている.今回,その空腸瘻に起因する術後イレウスの2例を経験した.【症例1】61歳,男性.2004年6月,胸腔鏡下食道亜全摘胸腔内胃管吻合を行い,Treitz靭帯から40cm肛側に空腸瘻を造設した.術後第43病日に腹痛が出現,保存的療法では改善がみられず,第55病日に開腹手術を施行した.原因は腹壁固定部を中心とする空腸の捻転であった.【症例2】56歳,男性.2009年6月,胸腔鏡下食道亜全摘後縦隔経路胃管再建を行い,Treitz靭帯から30cm肛側の空腸に空腸瘻を造設した.術後第76病日に腹痛が出現し,第80病日に開腹手術を施行した.原因は腹壁固定部を軸とする空腸の捻転であった.2例とも腹壁との固定部を解除し手術を終えた.【考察】空腸瘻造設の際,Treitz靭帯から腹壁固定部までの距離を確保し,腸管を腹壁に「線」で固定することで,この空腸瘻に起因するイレウスは予防可能と考えられた.
  • 湯川 寛夫, 利野 靖, 菅野 伸洋, 佐藤 勉, 山田 六平, 松浦 仁, 山本 健嗣, 足立 広幸, 大中臣 康子, 益田 宗孝
    2011 年 36 巻 4 号 p. 658-664
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     症例は49歳,男性.既往歴,虫垂炎(保存的).検診で便潜血陽性を指摘され,大腸内視鏡で盲腸に粘膜下腫瘍様隆起を認めた.注腸検査で盲腸から上行結腸に腸重積を認めた.送気にて軽快したが,盲腸に壁外圧排像を認めた.CTでは盲腸から連続する嚢胞性腫瘤として,腹部超音波検査では壁の厚い類円形腫瘤とこれに連続する内腔が低エコーで管腔構造物として描出された.腫瘍マーカーは正常であった.虫垂粘液嚢胞腺腫と診断し2009年12月腹腔鏡補助下盲腸部分切除術を行った.経過は順調で術後5日目に退院となった.切除した虫垂は棍棒状(147×30×30mm)で淡黄白色調の粘液を内包し組織学的に粘液嚢胞腺腫と確診された.若干の文献的考察を加え報告する.
  • Keiichiro Ishibashi, Norimichi Okada, Kensuke Kumamoto, Tomonori Ohsaw ...
    2011 年 36 巻 4 号 p. 665-669
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    Surgical approaches for an appendiceal mucocele remain controversial, since caution needs to be exercised during surgery to avoid inadvertent rupture of the lesion, which may cause pseudomyxoma peritonei if the lesion is neoplastic. We report a case of mucinous cystadenoma of the vermiform appendix treated successfully by single–incision laparoscopic surgery (SILS). A 71–year–old woman was admitted for the treatment of a cystic mass in the right iliac fossa. Abdominal computed tomography revealed a well–encapsulated cystic mass measuring 30 mm in diameter, adjacent to the cecum. SILS ileocecal resection with lateral–to–medial mobilization and extracorporeal anastomosis was performed via a 3.5–cm–long transumbilical incision. The operative time was 145 minutes and the blood loss was about 10 mL. There were no intra– or postoperative complications. The histological diagnosis was mucinous cystadenoma. SILS seems to be a useful option for minimally invasive treatment of appendiceal mucocele, however, as mentioned above, care is needed to prevent complications.
  • 斉藤 光徳, 日向 道子, 青野 哲也
    2011 年 36 巻 4 号 p. 670-674
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     症例は61歳,男性.1カ月前からの腹痛,腹部膨満感を主訴に当院受診し入院となった.腹部CT検査でS状結腸に腫瘤性病変を認め,その口側腸管が著明に拡張していた.注腸検査では腫瘤による狭窄所見を認めた.下部消化管内視鏡は試みたが狭窄により内腔の観察が出来なかった.胃および小腸の拡張は認めなかったためイレウス管による減圧は行わず,絶食と点滴による保存的治療を行った.しかし,その後も腹部所見の改善なく保存的治療は困難と判断し,S状結腸切除術を施行した.術中所見ではS状結腸の腫瘤が硬結として触知されたが,切除標本では悪性所見は認められず,憩室の慢性炎症による線維性肥厚であった.イレウス症状で発症し切除された結腸憩室症は稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 天野 新也, 藤井 正一, 佐藤 勉, 五代 天偉, 大島 貴, 國崎 主税, 野澤 昭典, 利野 靖, 益田 宗孝, 今田 敏夫
    2011 年 36 巻 4 号 p. 675-680
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     60歳,女性.血便を主訴に近医にて大腸内視鏡検査を施行され,下部直腸および肛門管に可動性良好な隆起性病変を認めた.生検でmalignant melanomaと診断され,当院を受診.肉眼型はType 0-Isp,注腸検査で角状変形をきたしていたことより,深達度はSMと判断し,RbP,cT1(SM),cN0,cStageIと診断した.cT1(SM)の診断で,肛門の温存は可能と判断し,腹腔鏡補助下括約筋間切除術,回腸人工肛門造設術,中枢D3郭清を行った.組織型はmalignant melanomaでpTis(M),pN0(0/11),pStage 0であった.肛門側断端は28mmで充分に距離を確保したため,皮膚悪性腫瘍ガイドラインの悪性黒色腫の治療方針(Tis,T1a)に則り,補助化学療法は施行せずに外来follow upの方針とした.術後17カ月現在,無再発生存中である.
  • 加藤 孝章, 片桐 聡, 有泉 俊一, 小寺 由人, 高橋 豊, 岡野 雄介, 高崎 淳, 北川 光一, 山本 雅一
    2011 年 36 巻 4 号 p. 681-686
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     症例は71歳,男性.2007年11月,上腹部痛を主訴に近医を受診した.超音波検査で肝腫瘍を指摘され,当院受診となった.単純CTで後区域中心に9cmの低吸収域を認め,造影早期相では内部の造影効果は乏しく,辺縁のみ造影され,後期相では低吸収域であった.右門脈枝に腫瘍栓を認め,腫瘍は右腎臓まで浸潤していた.腫瘍マーカーは正常範囲内で肝炎ウイルスマーカーはHCV抗体陽性であった.肝内胆管癌の診断にて同年12月,肝右葉切除,右副腎,右腎合併切除術を施行した.肉眼所見は白色で硬い被膜のない9.0×7.2cmの腫瘍であった.病理組織学的所見は紡錘形細胞の増殖を認め,免疫染色ではMUC-1陽性,EMA陽性,vimentin陽性,Hep-1陰性であった.以上より肉腫様変化を伴った肝内胆管癌と診断した.本邦報告例は稀であり,文献的考察を加え報告する.
  • 名波 竜規, 田村 晃, 白坂 健太郎, 鈴木 隆, 大嶋 陽幸, 金澤 真作, 土屋 勝, 大塚 由一郎, 島田 英昭, 金子 弘真
    2011 年 36 巻 4 号 p. 687-692
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     今回われわれは術前に左側胆嚢と診断し腹腔鏡下に摘出した1例を経験したので報告する.症例は63歳,男性.心窩部痛を主訴に外来を受診.血液検査では著明な炎症所見と肝胆道系酵素の上昇を認め,腹部CT検査にて胆嚢炎と総胆管結石と診断し入院となった.入院後に施行した腹部超音波検査,腹部CT検査,磁気共鳴膵胆管造影検査(MRCP),内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査(ERCP)で胆嚢の壁肥厚,総胆管の結石像を認めるとともに,左側胆嚢と門脈の走行異常も確認された.まず内視鏡下に総胆管結石を摘出し,その後腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.手術は通常当院で施行している4つのポート位置で開始したが,手術操作に支障をきたしたため左季肋部にポートを追加した.胆嚢炎のためcalot三角の展開が不明瞭で,順行性に肝床部の剥離を先行して胆嚢を摘出した.腹腔鏡下に左側胆嚢を摘出する際には解剖学的な偏位を十分に把握し,ポートの位置など手術操作を工夫することで安全に施行しえると考えられた.
  • 伊藤 一成, 三室 晶弘, 立花 慎吾, 林田 康治, 須田 健, 片柳 創, 高木 融, 土田 明彦, 青木 達哉
    2011 年 36 巻 4 号 p. 693-696
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     脾膿瘍は稀な疾患である.症例は66歳,男性.悪寒,動悸を主訴に来院した.39.8度の高熱と腹部全体に圧痛,筋性防御を認めた.血液学的検査では貧血と炎症の所見があり,腹部CTでは腹水の貯留と脾臓の裂傷がみられた.また胃壁は肥厚しており胃原発の悪性疾患を疑う所見を認めた.汎発性腹膜炎または脾臓破裂による腹腔内出血を疑い緊急手術を施行した.開腹所見は脾膿瘍による脾破裂による汎発性腹膜炎を呈していた.また,胃体部大彎を中心とした腫瘍性病変が触知され,この腫瘍と脾臓と膵臓は一塊となっていた.胃癌もしくは胃悪性リンパ腫が疑われ胃全摘,D1郭清,膵脾合併切除,Roux-Y再建施行した.病理所見から胃癌の脾臓浸潤と穿通が確認された.今回われわれは胃癌の脾臓浸潤による穿通のため脾膿瘍を合併し,膿瘍穿破による汎発性腹膜炎を発症した1例を経験したので報告する.
  • 小泉 貴弘, 大石 俊明, 龍野 玄樹
    2011 年 36 巻 4 号 p. 697-701
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     巨大な後腹膜嚢胞性リンパ管腫の1切除例を経験した.症例は38歳の男性で右腹部の膨隆を主訴に来院した.腹部超音波検査で右腹部に巨大な嚢胞性腫瘤を認めた.腹部CT検査では腫瘤は下大静脈,十二指腸,膵臓,右側結腸などの圧排を認めた.有症状,確定診断もつかないことより手術を施行した.切除標本は18×14×7cmの嚢胞で内腔面には結節などは認めなかった.病理学的にリンパ管腫と診断された.リンパ管腫は小児に多く,成人での報告は少ない.特に後腹膜リンパ管腫は発生率が0.25%とリンパ管腫の中でも少ない疾患である.良性疾患ではあるが,特に有症状例は手術適応とされている.再発例や後腹膜海綿状リンパ管腫では悪性化例の報告もあり,対処に注意を要する疾患である.
  • 廣岡 紀文, 森 琢児, 田中 亮, 山口 拓也, 城田 哲哉, 小川 稔, 小川 淳宏, 門脇 隆敏, 渡瀬 誠, 刀山 五郎, 丹羽 英 ...
    2011 年 36 巻 4 号 p. 702-706
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     大網裂孔ヘルニアは稀な疾患であり,特徴的な臨床所見を呈しないため術前診断が困難である.近年,画像診断の進歩により術前に診断しえた報告も増えている.今回われわれはmultidetector CT(以下MD-CT)により大網裂孔ヘルニアと術前診断し緊急手術を施行した症例を経験したので報告する.症例は30歳の男性,嘔吐,右下腹痛を主訴に来院した.右下腹部に圧痛あるが,反跳痛や筋性防御は認めなかった.MD-CTによって再構築した画像所見では横行結腸より腹側に脱出した拡張腸管とヘルニア門,腸間膜の収束像を認めた.大網裂孔ヘルニアを疑い同日緊急手術を行った.手術は腹腔鏡下に開始し循環不全に陥った腸管を同定し,臍上部より4cmの切開創から大網に生じた直径約3cmのヘルニア門に約30cmに渡る小腸が嵌頓していることを確認した.ヘルニア門を切開し開大すると血流の改善を認めたため,腸管切除は不要と判断し手術を終了した.患者は術後12日目に軽快退院した.
  • 金子 奉暁, 島田 長人, 本田 喜子, 甲田 貴丸, 白坂 健太郎, 三浦 康之, 今村 茂樹, 大島 陽幸, 瓜田 純久, 金子 弘真
    2011 年 36 巻 4 号 p. 707-712
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     腹壁瘢痕ヘルニアの合併症として,腹壁が破裂し腸管が脱出した症例に対しcomponents separation法(CS法)により一期的に修復した1例を経験したので報告する.症例は86歳の男性,下腹部正中創に横軸長約10cmの腹壁瘢痕ヘルニアを認めていたが,高齢で併存疾患が多いため,手術は行わず経過観察していた.しかし,起床時に腸管の脱出に気付き救急車で来院した.腹部は膨隆し,下腹部正中創腹壁瘢痕ヘルニア部の腹壁が破裂し,腸管が約20cm脱出しており,緊急で腹壁閉鎖術を行った.術式はCS法を用い,皮膚の閉鎖のみでなく,ヘルニア根治術を含む一期的手術を施行した.本症例のような術後感染症が危惧される場合は,原則として人工材料は使用できない.自己組織による修復術の一つであるCS法は手技も比較的簡便で比較的大きなヘルニア門でも修復が可能で,さらに汚染手術にも対応できる有用な術式と考えられた.
  • 吉田 良, 高田 秀穂, 權 雅憲
    2011 年 36 巻 4 号 p. 713-717
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     患者は78歳の女性.主訴は胸腹部痛および悪心,嘔吐.約5年前に胸部レントゲン検査を受けた際に,縦隔の異常を指摘されたが放置していた.約2年前から胸腹部痛や嘔吐が出現するようになり,近医で経過観察されていた.3カ月前から頻回に胸腹部痛や嘔吐を認めるようになり,3カ月で2キロの体重減少をきたした.そのため,胸腹部CT検査を施行したところ,Morgagni孔ヘルニアと診断され,手術目的に紹介となった.手術は,腹腔鏡下にComposix Mesh®と吸収型ステプラー(Absorba Tack®)を用いてヘルニア門を修復した.ヘルニア内容は横行結腸と大網であった.手術時間は35分で,術直後より自覚症状は消失した.術後6病日に軽快退院した.術後6カ月の胸腹部CT検査で再発は認められなかった.腹腔鏡下にComposix Mesh®を用いてMorgagni孔ヘルニアの修復を行い,良好な結果が得られた.本術式は低侵襲で整容性に優れ,術後患者のQOLの向上に寄与できると考えられた.
  • 五十畑 則之, 成高 義彦, 浅香 晋一, 山口 健太郎, 宮木 陽, 臼田 敦子, 久原 浩太郎, 島川 武, 勝部 隆男, 小川 健治
    2011 年 36 巻 4 号 p. 718-722
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
     症例は66歳,女性.2009年に子宮頸癌の手術既往.2010年2月腹痛を主訴に婦人科入院,イレウスの診断で当科転科.イレウス管による保存的治療で改善がみられず手術を行った.その際,右内頸静脈から中心静脈(CV)カテーテルを挿入した.術後も麻痺性イレウスのため絶食が続いた.第22病日に悪寒を伴う39度の高熱が出現しCVカテーテルを抜去,カテーテル先端からMRSAが検出された.その7日後に腰痛が出現,次第に歩行困難となり,下肢の筋力低下もみられ,腰部MRIで両側腸腰筋膿瘍と腰椎L1-3に硬膜外膿瘍を認めた.前者はCT下ドレナージ,後者は椎間板掻爬,膿瘍ドレナージ術を施行し軽快した.膿瘍,椎間板ともにMRSAが検出された.自験例は長期間絶食でcompromised hostの状態にあり,CVカテーテルから感染したMRSAが腰椎椎間板に血行性感染し,その後硬膜外膿瘍,両側腸腰筋膿瘍をきたしたと推測される.
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