日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
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39 巻, 4 号
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総説
  • 保谷 芳行, 矢部 三男, 渡部 篤史, 平林 剛, 佐藤 修二, 岡本 友好, 小村 伸朗, 矢永 勝彦
    2014 年 39 巻 4 号 p. 627-633
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    食道癌切除後の乳糜胸は,比較的稀な合併症であるが,確立された治療法がなく,管理に難渋することが多い.従って,適切な管理ができない場合には死亡することも稀ではない.乳糜胸の一般的な原因は,手術操作による胸管損傷であるので,胸管結紮が最も確実な方法と考えられる.しかし,不必要な再手術は避けるべきであり,症例ごとに病態を把握して,適切な治療を選択することが必要である.食道癌術後の乳糜胸治療として,保存的療法,胸膜癒着療法,リピオドールを用いたリンパ管造影,放射線照射,胸膜腹膜シャント術,インターベンショナル,開胸手術,胸腔鏡下手術などが行われているが,胸管損傷の部位,程度,胸管の走行,乳糜胸水の量,患者の病態や全身状態などを考慮し,適切な治療を適切な順序で行う必要があると考える.
原著
  • 田島 雄介, 石橋 敬一郎, 幡野 哲, 天野 邦彦, 傍島 潤, 岡田 典倫, 隈元 謙介, 石田 秀行
    2014 年 39 巻 4 号 p. 634-640
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    わが国の実地臨床において,大腸切除時の腹腔ドレーン非留置の妥当性・安全性については十分な検討がされていない.2010年6月以降,腹腔ドレーンを原則的に非留置の方針で行った待機的結腸癌根治術連続50例を対象に,ドレーン非留置の妥当性とドレーン留置が必要な症例の絞り込みについて後方視的に検討した.ドレーン留置の理由は術野汚染(1例)と出血に対するインフォメーション(4例)であったが,これらの5例に術後合併症は発生しなかった.実際にドレーンを留置しなかった45例(非留置群)と2010年5月以前にドレーンをルーチンに留置していた45例(対照群)の間で,縫合不全(0% vs. 2.2%,p=0.14),切開創感染(4.4% vs. 4.4%,p>0.99),臓器/腔感染(0% vs. 2.2%,p=0.14)の発生頻度や術後最高体温,白血球数,CRP値の推移に有意差を認めなかった.待機的結腸癌根治手術ではドレーン非留置の原則は妥当であるが,ドレーン留置が必要な症例を絞り込むには,さらなる検討を要する.
  • 浅井 浩司, 渡邉 学, 草地 信也, 松清 大, 斉藤 智明, 榎本 俊行, 中村 陽一, 斉田 芳久, 長尾 二郎
    2014 年 39 巻 4 号 p. 641-650
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    【目的】今回,ガイドラインの改訂(以下,旧ガイドライン,新ガイドライン)を考慮した急性胆囊炎手術症例の術後合併症の解析を行ったので報告する.【方法】急性胆囊炎手術施行255例を対象とした.【結果】術後合併症は全体で8.2%に認められ,重症度別では旧ガイドラインに準じると軽症0%,中等症7.7%,重症14.6%であり,新ガイドラインに準じると軽症3.4%,中等症11.7%,重症50%であった.合併症発生に関して,ガイドラインに関与する因子は多変量解析で有意差を認めなかったが,ガイドラインで規定されていない年齢と出血量で有意差を認めた.術後合併症の予測値は年齢72歳,出血量90gであった.【結語】新ガイドラインの重症度分類はより炎症が高度で合併症が多い結果となった.ガイドラインで規定されていない年齢,出血量は合併症を予測する有意なパラメーターとなる可能性が示唆された.
  • 松本 光司, 越智 寛幸, 小貫 麻美子, 八木 洋也, 中尾 砂理, 櫻井 学, 川崎 彰子, 中村 優子, 岡崎 有香, 佐藤 豊実
    2014 年 39 巻 4 号 p. 651-656
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    【目的】当院において2012年8月より先進医療の承認を得て行っている腹腔鏡下子宮体がん根治手術の現状を報告する.
    【方法】「術前組織診で類内膜腺癌G1/G2」,「MRIで筋層浸潤<1/3」,「画像検査で子宮外病変がない」という3つの条件を満たす早期子宮体がん症例20例を対象とした.腹腔鏡下子宮全摘術+両側付属器摘出術に加え,骨盤リンパ節は内・外腸骨節(#403・#411)や閉鎖節(#410) を中心に郭清した.
    【成績】2013年9月までに20例に本術式を行った.平均すると,患者年齢50.3歳,手術時間224±46分,出血量193±213ml,摘出リンパ節数21.4個,術後在院日数は5.3日であった.全例で腹腔鏡下に無輸血で手術を完遂し,重篤な合併症はみられなかった.
    【結論】根治性と安全性において,腹腔鏡下手術でも早期子宮体がんに対する治療として十分なクオリティを保つことができると考えられた.今後は,長期的予後の解析が必要である.
  • Akira Umemura, Takayuki Suto, Akira Sasaki, Shingo Mitomo, Hiroyuki Ni ...
    2014 年 39 巻 4 号 p. 657-661
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    Both polypropylene with expanded-polytetrafluoroethylene (PP-ePTFE) and polyester composite (PCO) are commonly used for laparoscopic incisional hernia repair (LIHR). The aim of this study was to compare the outcomes of PP-ePTFE with PCO in LIHR. Between June 2011 and June 2013, 40 patients underwent LIHR, which included 14 patients of PP-ePTFE repair and 26 patients of PCO repair. We selected 14 every patients to serve as PP-ePTFE group and PCO group for this study. The patients underwent PP-ePTFE repair were case-matched for demographics with 14 patients who underwent PCO repair and demographic and operative outcomes were compared. No significant differences were observed in the mean operating time (78.5 vs. 78.8min, p=0.890), mesh fixation time (16.9 vs. 17.3ml, p=0.872), blood loss (2.7 vs. 4.5ml, p=0.064) and length of hospital stay (4.9 vs. 4.5 days, p=0.526). Although 2 patients developed seroma in the PP-ePTFE group, no significant difference was observed in the rate of morbidities (14.2 vs. 0%, p=0.463). The mean follow-up period of the PP-ePTFE group was significantly shorter than the PCO group (9.6 vs. 15.4 months, p=0.049). Our study demonstrated no significant association between type of prosthetic mesh used and short-term outcome or overall postoperative complication.
  • Yusuke Takahashi, Hayato Omori, Seijiro Yoshifuku, Noriaki Otagiri, Ko ...
    2014 年 39 巻 4 号 p. 662-667
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    [Purpose] The usefulness of elective surgery after noninvasive manual reduction has been reported for cases of obturator hernia, but there is no consensus regarding indication of manual reduction. Therefore, we examined obturator hernia cases that we experienced in our hospital and evaluated the indication of manual reduction. [Materials and Methods] Thirty-three patients who underwent emergent surgery in the period from January 2003 to May 2013 were divided into a non bowel resection group (group A) and bowel resection group (group B). [Results] The average CRP level in group A was significantly lower than that in group B. The duration of symptoms in group A was significantly shorter than that in group B. The ratio of cases in which the contrast effect of the strangulated intestine on enhanced CT was maintained was higher in group A than in group B. [Conclusion] Noninvasive manual reduction and elective surgery should be considered in the case in which the contrast effect of the strangulated intestine has been maintained within 24 hours after onset and in which CRP level is less than 1.0mg/dl.
臨床経験
  • 中山 真緒, 吉松 和彦, 横溝 肇, 矢野 有紀, 碓井 健文, 山口 健太郎, 塩澤 俊一, 島川 武, 勝部 隆男, 成高 義彦
    2014 年 39 巻 4 号 p. 668-672
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    【目的】腹腔鏡補助下大腸切除術時の創感染予防を目的に真皮縫合+ダーマボンド塗布による創閉鎖を施行しているのでその創感染の発生状況につき報告する.
    【対象・方法】2013年4月までに上記閉創法で閉創した腹腔鏡補助下大腸切除術63例を対象とした.予防策として1)小開腹創はwound retractorにて創縁保護2)腸管開放時の小孔を開けたドレープによる皮膚汚染予防3)小開腹創は二層に吸収糸で結節縫合(正中創は一括縫合)4)注射気圧による創洗浄5)吸収糸による真皮縫合6)表皮はダーマボンド塗布を施行した.
    【結果】対象症例の年齢中央値は69(17~88)歳,男性37例,女性26例.病変部位は盲腸から下行結腸:28,S状結腸・直腸S状部:27,直腸:8例.リスクインデックスは-1:42,0:19,1:2例であった.創感染は1例1.6%に認めた.
    【結語】現在の閉創法は創感染の発生状況から有用と考えられた.
症例報告
  • 木村 愛彦, 遠藤 和彦
    2014 年 39 巻 4 号 p. 673-679
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    混合型乳腺扁平上皮癌に対し,胸筋温存乳房切除術を施行した.10カ月後に胸骨傍リンパ節から胸壁外に突出する腫瘤として再発し,放射線治療が奏効した.以後Docetaxel,Bisphosphonate,Low dose FP療法,S-1療法などを行ったが骨,肺,リンパ節,腎転移のため癌死した.放射線治療,S-1は,前後でCEAは上昇している一方,SCCが著明に減少しており扁平上皮癌成分に有効であったと考えられる.放射線治療はリンパ節転移に,またS-1は肺転移と一部のリンパ節転移に対して有効であった.以上より腺癌と扁平上皮癌成分とは異なった治療感受性と再発形式を示す可能性が示唆された.
  • 西田 保則, 笹原 孝太郎, 岸本 浩史, 吉福 清二郎
    2014 年 39 巻 4 号 p. 680-684
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は89歳の女性,腸閉塞にて紹介となり,イレウス管を挿入して経過観察中であった.腸閉塞は軽快傾向であったが,治療開始後12日目に突然腹痛が増強した.腹部CTにて,上腸間膜動脈は閉塞し,広範な腸管壊死が疑われた.上腸間膜動脈閉塞症の診断で緊急手術を施行し,壊死腸管の切除を行った.病理組織所見にて,上腸間膜動脈の血栓閉塞と,標本内全ての中小動脈壁にフィブリノイド壊死を伴う破壊像と炎症細胞浸潤を認めた.血液検査にてCRP,MPO-ANCA陽性であり,活動性の血管炎が考えられた.術後,腸管運動の減弱は認めたが,高齢,ADLを考慮し,ステロイド治療は行わなかった.血管炎が上腸間膜動脈閉塞症の原因となることは非常に稀である.今回,腸閉塞,上腸間膜動脈閉塞症を発症したANCA関連血管炎の1例を経験した.
  • 菅 淳, 加藤 智栄, 小野田 雅彦, 古谷 彰, 河野 和明, 濱野 公一
    2014 年 39 巻 4 号 p. 685-690
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    68歳男性.胃癌手術目的で当院入院.上部消化管内視鏡検査並びに生検で,胃体下部,小彎から後壁にかけて,3型の中分化腺癌と診断された.術前CTでは明らかな他臓器への転移はなかった.幽門側胃切除を施行した.術中所見で左胃静脈内の腫瘍塞栓を疑った.術中超音波検査で,左胃静脈内の腫瘍塞栓は,門脈本幹内に一部露出していたが,門脈壁へ明らかな浸潤はなかった.そのため腫瘍塞栓摘出術を追加した.原発巣,リンパ節,腫瘍塞栓の組織所見は稀な型の胃肝様腺癌の像であった.術後補助化学療法施行.術後3年3カ月現在再発・転移なく経過良好である.
  • 木村 洋平
    2014 年 39 巻 4 号 p. 691-696
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    (症例)73歳女性.排便時出血を主訴に当科を受診した.下部消化管内視鏡検査で盲腸に粘膜下腫瘍様形態を呈した腫瘍を認め,生検でadenocarcinoma(por1)と診断された.低分化型大腸癌の診断で結腸切除術を行ったところ,病理組織学的所見で以前手術を施行した胃癌の組織と形態学的に一致しており,胃癌からの大腸転移と診断した.(臨床的・病理学的検討)胃癌大腸転移症例報告を検討したところ,低分化腺癌や印環細胞癌の割合が高く,異時性の場合,胃癌術後からの発症時期は平均54.6カ月で,大腸転移巣切除後の死亡例では平均生存期間は15.3カ月で予後不良であった.(結論)大腸腫瘍において低分化腺癌,または印環細胞癌を認めた場合には転移性大腸癌も念頭に精査を進める必要があると思われた.また,胃癌の組織型が低分化腺癌や印環細胞癌の場合には上部消化管のみならず,下部消化管への転移も考慮し,定期的な術後下部消化管精査が必要と思われた.
  • 羽藤 慎二, 浅野 博昭, 伊野 英男, 内藤 稔
    2014 年 39 巻 4 号 p. 697-702
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    早期胃癌に対し,内視鏡的粘膜下層剝離術(以下,ESD)は,機能温存,低侵襲の利点から広く行われているが,合併症として穿孔が挙げられる.また,消化器外科領域において手術侵襲軽減のため腹腔鏡下手術が広く施行されるようになってきている.今回われわれは,胃ESD後に合併した穿孔性腹膜炎に対し,腹腔鏡下手術を施行し,良好な経過をたどった1例を経験したので報告する.
    症例は80歳の男性.胃体上中部の早期胃癌に対してESDが施行された.ESD時に穿孔しクリップにて閉鎖したが,16時間後に汎発性腹膜炎を合併し,緊急手術を行った.腹腔鏡下に縫合閉鎖による穿孔部の修復術およびドレナージ術を施行し,術後は良好に経過した.胃ESD後の穿孔性腹膜炎に対する腹腔鏡下修復術は,有用な治療選択肢の一つと考えられた.
  • 矢野 佳子, 近藤 三隆, 竹内 典之, 永田 剛史
    2014 年 39 巻 4 号 p. 703-711
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は50歳男性.心窩部痛,嘔吐にて受診したが,来院直後に意識消失,血圧低下を認めショック状態となった.来院時,腹部膨満,ならびに腹部全体に圧痛と筋性防御を認めた.腹部CT検査で血性腹水ならびに膵頭十二指腸周囲に巨大な血腫と造影剤の血管外漏出を認め,3D-CTで16mm大の前下膵十二指腸動脈瘤を認めた.輸液負荷後も循環不安定でショックよりの離脱が困難にて緊急開腹術を行った.開腹時,腹腔内,後腹膜に大量の血液の貯留を認めた.膵鉤部下縁で動脈性出血を認め下膵十二指腸動脈瘤破裂と診断し,動脈瘤を縫縮し止血した.術後少量の出血が続き血管造影を施行するも活動性の出血は認めず,再出血予防のため下膵動脈に経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)を追加した.膵十二指腸動脈瘤は稀な疾患で,破裂症例は予後不良である.今回手術ならびにTAEにより救命した1例を経験したので,自験例を含めた本邦報告103例を検討した.
  • 森谷 宏光, 片田 夏也, 金澤 秀紀, 坂本 友見子, 金田 悟郎, 渡邊 昌彦
    2014 年 39 巻 4 号 p. 712-717
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    十二指腸上行部上壁GISTに対する腹腔鏡下十二指腸局所切除術の1例を報告する.患者は46歳の女性.全身倦怠感を主訴に近医を受診した.精査にて十二指腸上行部に5cm大の粘膜下腫瘍を認め,超音波内視鏡下穿刺生検(EUS-FNA)で,紡錘形細胞の束状増生と,c-Kit(+),CD34(+),α-SMA(-),S-100(-)の所見よりGISTと診断した.手術は腹腔鏡下に十二指腸上行部を授動し,腫瘍を含む十二指腸の全層局所切除を行い,腸管欠損部は仮縫合後に自動縫合器で閉鎖を行った.術後合併症はなく,術後第8病日に退院となった.病理検査では6cm大の中リスクのGISTと診断された.現在,術後3年6カ月経過し無再発生存中である.十二指腸上行部に生じたGISTに対する腹腔鏡下十二指腸局所切除術は,選択肢となりうる術式であるが,適応を慎重に検討することと,腹腔鏡の手技に慣れた術者が慎重に手術操作を行うことが必要であると考えられた.
  • 垣内 慶彦, 児島 亨, 仁熊 健文, 三村 哲重
    2014 年 39 巻 4 号 p. 718-722
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は81歳女性.幼少期より内臓逆位と診断されていた.肺炎にて入院した際に貧血を認め,上部消化管内視鏡検査を施行したところ十二指腸癌と診断し手術を行った.術式は膵頭十二指腸切除,ⅡA-1再建を行った.手術時間は8時間34分,出血量は160mlであった.手術に際し,CTの逆位イメージを作成するなど術前に十分な画像評価などを行っていたため,手術は安全かつスムーズに行うことができた.術後経過は良好で合併症もなく術後23日目に退院となった.内臓逆位症では脈管の変異が通常よりも頻度が高いことが報告されていることに加え,胆膵十二指腸領域の手術では重要な脈管が密接しているので画像検査などによる術前の解剖の把握が極めて重要である.
  • 渡辺 隆文, 粕谷 和彦, 桒原 寛, 内村 智生, 加藤 文昭, 鶴井 茂, 勝又 健次, 土田 明彦
    2014 年 39 巻 4 号 p. 723-727
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,男性.2013年1月下旬より下腹部痛が出現,近医にて1週間消炎剤,抗生剤の内服治療を施行していたが,改善がないため当院受診となった.来院時,WBC 12,300/µl,CRP 9.81 mg/dlと高値,CTにて虫垂腫大を認め急性虫垂炎と診断した.抗生剤の投与を行ったが,翌日の血液生化学所見はWBC 12,200/µl,CRP 12.52mg/dlと改善を認めず,腹痛も増悪したため虫垂切除術を施行した.病理組織検査にて杯細胞型カルチノイド,切除断端陽性と診断された.初回手術28日後に開腹したところ,後腹膜に播種と思われる結節を多数認めた.同結節の切除および回盲部切除術(D2郭清)を施行した.病理組織診断は杯細胞型カルチノイド,SE,N3,H0,P2,M0,Stage Ⅳであった.術後FOLFOX+bevacizumabによる化学療法を施行中である.虫垂杯細胞カルチノイドは内分泌細胞と粘液産生性の腺がん細胞に類似した組織学的特徴を有する稀な疾患であり,進行例ではリンパ節転移,腹膜播種をきたし予後不良である.本症例は初回手術より術後8カ月が経過した現在,肺,肝転移はなく,腹膜播種の増悪所見は認めていない.
  • 石川 隆壽, 高橋 典彦, 柴崎 晋, 本間 重紀, 川村 秀樹, 武冨 紹信
    2014 年 39 巻 4 号 p. 728-733
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    特発性間質性肺炎(Idiopathic Interstitial Pneumonia:IIP)は一旦急性増悪をきたすとその予後は極めて不良である.症例は47歳の女性で,労作時呼吸困難にて精査し間質性肺炎と診断された.その際貧血に対する精査で盲腸癌および肝転移を認めた.間質性肺炎に対してステロイドを投与し,肺病変の増悪がないことを確認した.IIPの合併において急性増悪する危険因子である化学療法は困難であるため手術を選択した.長時間手術によりIIPの急性増悪の可能性も考慮し二期的手術を施行する方針とし,腹腔鏡補助下回盲部切除を先行して施行し,その後腹腔鏡補助下肝外側区切除および肝部分切除を施行した.IIP合併大腸癌の報告例は少なく,手術適応,治療方針,周術期管理に難渋する症例であった.今回IIP合併の同時性大腸癌肝転移に対して二期的腹腔鏡手術により安全に治療しえた1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
  • 川﨑 淳司, 安藤 幸滋, 沖 英次, 佐伯 浩司, 木村 和恵, 大賀 丈史, 楠本 哲也, 藤 也寸志, 森田 勝, 前原 喜彦
    2014 年 39 巻 4 号 p. 734-738
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    45歳,男性.近医で直腸癌の診断を受け当科紹介となった.腹部CTで肝S6に2.5cm大の転移を認め,原発巣の膀胱への直接浸潤も認めた.骨盤内臓全摘術の適応と考えたが,患者が望まず,横行結腸人工肛門造設の後に化学療法を施行した.XELOX療法を開始したが3コース施行後に腫瘍マーカーの増大を認め,Irinotecan+S-1+cetuximab(IRIS+C-mab)療法に変更した.同化学療法を4コース施行したところ原発巣および肝転移巣は著明に縮小したため切除可能と判断した.膀胱は温存した上,Hartmann術および肝部分切除術を施行しR0の手術が可能であった.術前IRIS+C-mab療法は,膀胱浸潤を認める進行直腸癌において膀胱温存のための集学的治療の一つとして有用であると考えられた.
  • 鈴村 和大, 末岡 英明, 近藤 祐一, 飯室 勇二, 黒田 暢一, 平野 公通, 岡田 敏弘, 麻野 泰包, 中正 恵二, 藤元 治朗
    2014 年 39 巻 4 号 p. 739-742
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は71歳の男性で,6年前に直腸癌に対して低位前方切除術を施行.1年2カ月前に胃癌に対してEMR施行後の経過観察中に肝腫瘍を指摘されたため,精査加療目的で当院入院となった.造影CT検査で肝S2に辺縁不整で内部不均一に造影される約3.5cm大の腫瘍性病変を認めた.消化管精査では明らかな異常所見を認めなかったため,肝内胆管癌と診断し肝外側区域切除,リンパ節郭清,および下大静脈側壁の一部を合併切除した.病理組織学的検査で肝腫瘍は腺扁平上皮癌と診断された.術後は特変なく経過し退院となるも,手術から11カ月後に肺転移が出現し術後17カ月で死亡した.肝原発の腺扁平上皮癌は比較的稀である.今回われわれは異時性の三重複癌を呈した肝原発の腺扁平上皮癌の1切除例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 髙橋 一広, 大城 幸雄
    2014 年 39 巻 4 号 p. 743-750
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    肝門部胆管癌術後に発症した皮膚症状を伴わないToxic Shock Syndrome(以下,TSSと略記)の1例を報告する.69歳男性で,肝門部胆管癌と閉塞性黄疸で紹介された.PTBDによる減黄後,肝門部胆管切除術,拡大肝右葉切除,尾状葉合併切除術を施行した.第4病日に大量膿性腹水認め,全身状態が悪化した.血液と腹水培養からMRSAが検出され,MRSA腹腔内感染と診断された.集学的治療を行うも,肝梗塞を併発し第13病日に死亡した.MRSA菌株解析によりTSS toxin-1(以下,TSST-1と略記)産生株と判明した.本例は典型的な皮膚症状がなかったものの,皮膚症状以外でTSS診断基準を満たし,TSST-1産生MRSAが起因菌であったため,TSSと診断した.過大侵襲を伴う手術の場合,TSSは治療の遅れにより致命的な転帰となりうる.早期診断と抗MRSA薬と免疫グロブリンによる治療が必須である.
  • 長尾 美津男
    2014 年 39 巻 4 号 p. 751-755
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    黄色肉芽腫性胆囊炎(xanthogranulomatous cholecystitis:以下XGCと略記)は,胆囊炎の一亜型であるが,多彩な画像所見を呈するため胆囊癌との鑑別がしばしば困難である.症例は77歳,男性.心窩部痛を主訴に来院.腹部エコー,CTにて胆囊結石と胆囊壁の限局性肥厚および肝床部への浸潤像が認められ,胆囊癌が疑われた.鑑別診断として胆囊炎も考えられたが,CA19-9の上昇,FDG-PETで胆囊への集積も認められたため,胆囊癌と診断し肝床部切除を伴う胆囊摘出術を施行した.術後病理組織学的検査ではXGCであり,悪性所見は認めなかった.XGCでは,CA19-9高値やFDG-PET陽性を呈することがあり,胆囊癌との鑑別診断上,この点に十分留意する必要がある.
  • 和泉 雄彦, 今井 健一郎, 樋口 亮太, 谷澤 武久, 中川 了輔, 山本 雅一
    2014 年 39 巻 4 号 p. 756-760
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.閉塞性黄疸を発症し近医を受診し,CTにて肝内胆管拡張を指摘された.精査にてBismuth Ⅲaの肝門部胆管癌と診断された.既往に陳旧性心筋梗塞があり,冠動脈造影では#1,#7,#13に100%狭窄の所見を認める重症3枝病変であった.心機能はNYHA分類Ⅰ度,左室駆出率は45%であった.ヘパリン投与後,術中循環補助として大動脈内バルーンパンピングを行い,肝右葉尾状葉兼肝外胆道切除術を施行した.周術期の循環動態は安定していた.病理では胆囊管を主座とする胆囊癌であった.合併症なく術後16日目で退院となった.
  • 大畑 和則, 上西 崇弘, 宮崎 徹, 倉島 夕紀子, 渡辺 千絵, 大河 昌人, 田中 肖吾, 大野 耕一, 山本 隆嗣, 久保 正二
    2014 年 39 巻 4 号 p. 761-766
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性.腹痛を主訴に来院した.腹部単純X線写真では著明な腸管ガス像が認められた.腹部造影CTにおいて,膵尾部に約6cm大の造影効果の乏しい腫瘤性病変が結腸脾彎曲部を巻き込むように存在し,同腫瘤より口側腸管は高度に拡張していた.下部消化管内視鏡検査では,結腸脾彎曲部に浸潤する病変が認められ,生検により管状腺癌と診断した.以上より横行結腸に直接浸潤を伴う膵尾部癌による腸閉塞と診断して開腹した.術中所見では,膵尾部に約6cm大の硬結がみられ,周囲臓器への直接浸潤が認められたため,多臓器合併切除を伴う根治切除術を施行した.病理組織学検査では,膵尾部原発の高分化型管状腺癌と診断された.術後はS-1による術後補助化学療法を行ったが,術11カ月後に癌死した.腸閉塞を契機に発見される膵癌は比較的稀ではあるが,膵尾部は結腸脾彎曲部と解剖学的に近接しており,腸閉塞の原因として膵尾部癌も念頭に置くべきである.腸閉塞をきたすような局所進行膵癌の予後は一般的に極めて不良であるため,重篤な術後合併症の危険を伴う進行膵癌に対する拡大手術の適応決定は慎重に行うべきと考えられた.
  • 村上 昌裕, 清水 潤三, 廣田 昌紀, 池永 雅一, 三方 彰喜, 長谷川 順一
    2014 年 39 巻 4 号 p. 767-770
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は72歳男性,2006年に横行結腸癌に対して結腸右半切除術を施行後,2012年8月に肝転移疑いで手術を施行した.全身麻酔下に右J字切開で開腹し,予定通り肝S7部分切除および胆囊摘出術を施行,肝切除終了後に生食滴下式の電気メスでソフト凝固(VIO 300D/EIP2,ERBE社)を用いて副腎前面の止血を行っていたところ,動脈圧モニターで収縮期血圧が200mmHgを超える異常高血圧と頻脈をきたした.直ちに止血処置を中断すると血圧は低下し,麻酔覚醒も問題なく行えた.術後に副腎ホルモンなどを測定したがすべて正常で,腹部CTや123I-MIBGシンチグラムで副腎腫瘍などは確認できなかった.その後の経過は良好で現在血圧は安定しており,自覚症状も認めず無再発生存中である.今回,肝切除の術中にソフト凝固による副腎止血操作により,異常高血圧を認めた症例を経験したので報告する.
  • 中村 優子, 松本 光司, 越智 寛幸, 小貫 麻美子, 八木 洋也, 中尾 砂理, 櫻井 学, 川崎 彰子, 岡崎 有香, 佐藤 豊実
    2014 年 39 巻 4 号 p. 771-774
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    46,XY純型性腺異形成などの低形成性腺は悪性腫瘍を高率に合併するため,予防的な性腺摘除が推奨される.腹腔鏡下手術は低侵襲手術として推奨されるが,悪性腫瘍が存在した場合にはポート再発や術中被膜破綻のリスクが高くなる.今回われわれは,腹腔鏡を用いて予防的性腺摘除を行ったところ性腺芽腫が発見された46,XY純型性腺異形成の症例を経験したので報告する.患者は出生時より女児として育てられ,14歳時に月経未発来のため来院した.精査の結果,46,XY純型性腺異形成と診断し,16歳時に予防的腹腔鏡下性腺摘除術を施行した.術前のMRIや術中所見では明らかな腫瘍形成はみられなかったが,組織学的に両側性腺に被膜外進展を伴う性腺芽腫を認めた.性腺芽腫の20~30%は顕微鏡レベルの微小な腫瘍として診断されることから,予防的性腺摘除を腹腔鏡下に行う場合には術前の評価および手術操作に細心の注意が必要であると考えられた.
  • 近 範泰, 隈元 謙介, 傍島 潤, 石橋 敬一郎, 芳賀 紀裕, 松本 春信, 佐藤 紀, 柿本 應貴, 岡村 孝, 石田 秀行
    2014 年 39 巻 4 号 p. 775-781
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は50歳の男性で,健診にて肝機能異常を指摘され,精査目的に施行された腹部超音波検査で後腹膜腫瘍が認められた.自覚症状は認められず,腹部造影CT検査にて十二指腸水平脚背側,腹部大動脈,下大静脈間に58mm大の造影効果を伴った腫瘍を認めた.また,血管造影で腹部大動脈から腫瘍への流入血管を認めた.褐色細胞腫を疑い施行されたMIBGシンチグラフィーで,腫瘍に一致して強い集積を認め,血中ノルアドレナリンも高値(778pg/ml)であったことから,異所性褐色細胞腫の診断にて腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は被膜を有していたが,下大静脈,腹部大動脈と密に癒着しており,下大静脈壁を一部合併切除した.腫瘍摘出時に血圧の変動は認められなかった.腫瘍は充実性であり,病理組織学的に褐色細胞腫と診断された.
    術後1年6カ月経過しているが,再発の兆候は認められていない.
  • 向坂 英樹, 加藤 健志, 賀川 義規, 桂 宜輝, 竹野 淳, 中平 伸, 谷口 博一, 武田 裕, 田村 茂行
    2014 年 39 巻 4 号 p. 782-786
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    後腹膜脂肪腫は稀な疾患である.これまで,開腹による摘出術が行われてきた.一方,腹腔鏡手術では拡大視効果により精緻な手術が可能である.症例は82歳男性で,便秘と腹痛の精査のため行ったCTにて直腸前方の骨盤内後腹膜腔に精囊や前立腺と接する60×55mmのlow density な腫瘤を指摘され,脂肪腫が疑われた.悪性腫瘍の可能性も否定できないため,腹腔鏡下に摘出術を行った.病理組織学的診断は脂肪腫であった.骨盤内後腹膜脂肪腫に対する腹腔鏡下摘出術は本症例がはじめてであったが,本術式は様々な臓器や脈管が近接して存在する骨盤内深部で腫瘍摘出を低侵襲に行える有用な手段であると考えられた.
  • 古川 賢英, 堤 純, 高山 澄夫, 益子 博, 柴 浩明, 矢永 勝彦
    2014 年 39 巻 4 号 p. 787-790
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は42歳男性,手術歴なし.腹痛を主訴に他院受診し,イレウスの診断にて当院紹介となった.注腸後にイレウス管造影を行い,S状結腸近傍に小腸の狭窄像を認めた.このため,S状結腸間膜内ヘルニアを最も疑い,手術を施行した.腹腔鏡下で手術開始し,S状結腸間膜内に嵌入した小腸を認めたが,腹腔鏡下での整復が困難であったため,小開腹にてヘルニアを整復した.腸管血流は良好であり,ヘルニア門を縫合閉鎖し,手術を終了した.術後経過は良好で術後第9病日に軽快退院した.S状結腸間膜内ヘルニアは稀な疾患であり,今回,イレウス管造影,注腸造影が術前診断に有用であったS状結腸間膜内ヘルニアの1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
  • 小川 憲人
    2014 年 39 巻 4 号 p. 791-798
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は80歳男性.経口摂取直後の嘔吐と上腹部痛を主訴に当院を受診した.CTで胃前庭部が食道裂孔から縦隔内に脱出し,胃は逆α型に捻転していた.傍食道型食道裂孔ヘルニアに続発した間膜軸性の胃軸捻転症と診断した.嵌頓部での絞扼の所見はなく,保存的治療を行い待機的手術の方針としたが,経過中に自然に胃の捻転が解除されたため,手術は行わずに退院となった.退院後9日目に再度嘔吐が出現し,当院を受診.精査し胃軸捻症の再発を認めたため,開腹手術を施行した.術中所見では傍食道型食道裂孔ヘルニアへの胃前庭部の嵌頓による間膜軸性の胃軸捻転症を認めた.胃は容易に整復でき,直径4cmのヘルニア門を直接縫縮で閉鎖した.術後経過は良好で再捻転や食道裂孔ヘルニアの再発,逆流症状は認めていない.胃軸捻転症は保存的治療でいったん捻転が解除されても,再度捻転する可能性があり,手術による治療が望ましいと考えられた.
  • 小杉 千弘, 幸田 圭史, 田中 邦哉, 鈴木 正人, 山崎 将人, 首藤 潔彦, 松尾 憲一, 平野 敦史, 有光 秀仁, 白神 梨沙
    2014 年 39 巻 4 号 p. 799-803
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    術前診断により腹腔鏡手術が可能であった子宮広間膜裂孔ヘルニアの1例を報告する.症例は50代,女性.平成24年8月に腹部痛,嘔吐が出現し近医受診し,腸閉塞の診断で当院紹介受診.CTで子宮広間膜裂孔ヘルニアの診断となり入院した.絞扼性腸閉塞の所見を認めなかったため,待機的手術の予定としイレウス管を留置.3日後に3ポートでの腹腔鏡下手術を施行した.子宮左側広間膜に4cmの異常裂孔を認め,小腸が嵌入していた.裂孔を1cm切開し拡張させ,約40cmの嵌頓小腸を引き出すことができ,腹腔鏡下手術で完遂可能であった.子宮広間膜裂孔ヘルニアは稀な疾患であり,術前診断が困難な場合がある.しかしCTを用いた術前の確定診断ができ,イレウス管による腹腔鏡手術時の視野確保が得られた場合には,待機的腹腔鏡下手術が可能であることが示された.
  • Yusuke Takahashi, Hayato Omori, Seijiro Yoshifuku, Noriaki Otagiri, Ko ...
    2014 年 39 巻 4 号 p. 804-807
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    A Müllerian cyst arising in the posterior mediastinum was initially reported by Hattori in 2005. We report a 47-year-old woman with a Müllerian cyst in the posterior mediastinum, so-called Hattoriʼs cyst. A mediastinal mass was detected by chest X-ray. She exhibited no clinical symptoms associated with the mass. MRI revealed a cystic lesion between Th4/5. Preoperative diagnosis was a bronchogenic cyst. The lesion was resected thoracoscopically, and histologic and immunohistochemical stainings showed a cyst with ciliated epithelium that was positive for estrogen and progesterone receptors. The resected cyst was pathologically diagnosed as Müllerian cyst (Hattoriʼs cyst). Hattoriʼs cyst should be included in the differential diagnosis of posterior mediastinal cysts.
  • 今井 健晴, 須原 貴志, 古田 智彦
    2014 年 39 巻 4 号 p. 808-813
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,救急外来にて稀な血液疾患である後天性血友病の1例を経験したので報告する.症例は75歳の男性で,3週間前から特に誘引なく四肢の皮下出血が出現し,徐々に増悪した.左股関節痛も出現したため,当科外来を受診した.受診時,四肢と背部に皮下出血があり,特に左前腕に著明な腫脹と皮下出血を認めた.左股関節に軽度の圧痛を認め,血液検査では貧血と活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長だけ認めた.全身の打撲傷と診断し,同日は経過観察とした.しかし,翌日に左股関節痛が悪化し歩行困難となったため,当院の救急外来を受診した.再受診時には前腕の腫脹の増強と左股関節の圧痛の増強を認めたが,血液検査では貧血の進行とやはりAPTTの延長だけ認めた.CTで著明な後腹膜血腫を認めたため,血液疾患を疑って高次病院の血液内科へ救急搬送した.同院で後天性血友病と診断され治療された.現在,当院内科に通院中である.
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