日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
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ISSN-L : 0385-7883
40 巻 , 4 号
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原著
  • 徳永 行彦, 佐々木 宏和
    2015 年 40 巻 4 号 p. 651-655
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    女性の肛門管前方の痔瘻は低位筋間痔瘻で単純な形態をとることが多いが,女性の肛門前方は括約筋や腱の形成が薄いので,手術において注意が必要である.女性の前方痔瘻に対してseton変法を施行したので,その臨床的有用性について報告する.2010年1月から2012年12月まで,女性の前方痔瘻5例(年齢24~45歳)を経験した.主訴は会陰部痛や肛門痛,排膿であった.一次口は肛門管前方の歯状線にあり,瘻管は前方に伸びていた.内2例では炎症や膿瘍が会陰や外陰部に及んでいた.瘻管を二次口から括約筋まで切除した上で,ゴムバンドを留置・結紮してseton変法を施行した.手術時間は平均14分,入院期間4日であった.痔瘻は治癒し合併症や再発を認めていない.Seton変法は女性の前方痔瘻の術式として有用であると考えられた.
  • Makiko Komori, Keiko Nishiyama, Junko Ichikawa, Mitsuharu Kodaka
    2015 年 40 巻 4 号 p. 656-662
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    Purpose: Recent studies have reported that glycated albumin (GA) levels have can be used to monitor blood glucose control. Because the half-life of albumin is shorter than that of erythrocytes, serum GA levels better reflect shorter-term glycemic control status than glycated hemoglobin (HbA1c). We measured serum GA levels in patients who underwent surgery and analyzed the relations of such levels to preoperative co-morbidity to examine whether serum GA levels are a useful preoperative risk factor. Methods: We studied GA levels, preoperative co-morbidity, laboratory findings, and surgical procedures in adults who underwent surgery. Patients were divided into 2 groups according to whether the GA level was ≥16.5% (GAH group) or <16.5% (GAN group). Results: The study group comprised 1,258 patients. Preoperative co-morbidity of coronary artery disease occurred in 28.4% of the GAH group (n=225) and 6.5% of the GAN group (n=1,033). Preoperative co-morbidity of cerebrovascular disease occurred in 16.0% of the GAH group and 5.1% of the GAN group. There were significantly more of these preoperative co-morbidity (p<0.01) in the GAH group than in the GAN group. Conclusions: The measurement of GA levels can facilitate the early detection of diabetes mellitus in surgical patients and can also contribute to the management of perioperative complications.
臨床経験
  • 登内 晶子
    2015 年 40 巻 4 号 p. 663-667
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    閉鎖孔ヘルニアに対する非観血的整復法の有用性について検討した.方法:自験例と2007年から2013年の閉鎖孔ヘルニア本邦報告例のうち,非観血的整復例47例の治療成績について検討した.結果:整復法について記載のあった182例のうち非観血的整復例は26%を占め,超音波プローベ併用による整復や,用手圧迫による整復が行われ,CTや超音波画像によって腸管嵌頓が整復されたことを確認した.整復例では待機的手術で全身麻酔以外の麻酔法も選択可能であり,さらに鼠径法,腹腔鏡法などの低侵襲な治療法も選択されていた.非観血的整復例では観血的整復例と比較して有意に術後合併症発生率が低下していた.結語:閉鎖孔ヘルニア嵌頓に対する非観血的整復法は,明らかな腸管虚血を疑う所見がない場合に治療の第一選択とすることで,高齢患者に対してより低侵襲な治療法選択となる.
症例報告
  • 山本 淳, 山岸 茂, 原田 真吾, 樅山 将士, 仲野 達, 市川 靖史, 仲野 明
    2015 年 40 巻 4 号 p. 668-672
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,女性.胸部上部食道癌に対しD2郭清を伴う右開胸開腹食道亜全摘,胃管再建が施行された.術後病期はT2,N1,M0,fStage Ⅱであり補助化学療法としてFP療法を2コース施行した.術後11カ月で頸部リンパ節再発を認めたため治療的抗癌剤としてFP療法を再開した.4コース目day7より,構語障害,小脳性運動失調を認め,脳MRIにて白質脳症と診断された.薬剤の中断により数日で症状は軽快しMRI所見でも白質脳症に伴う変化はほぼ消失した.以後レジメンを変更し,神経症状の再発なく現在も化学療法継続中である.薬剤性白質脳症は様々な抗悪性腫瘍薬で発症が報告されており,5-FU,cisplatinも原因薬剤になりえる.白質脳症を発症した場合は早期診断,治療が重要であり,化学療法を再開する際には,レジメン変更を検討する必要があると考えられた.
  • 下田 陽太, 関川 浩司, 高橋 保正, 成田 和広, 太田 竜, 池田 博斉
    2015 年 40 巻 4 号 p. 673-677
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    はじめに:悪性腫瘍の臍転移はSister Mary Josephʼs noduleと言われ予後不良の徴候とされる.今回われわれは腸閉塞の手術時に発見された乳癌によるSister Mary Josephʼs noduleの1例を経験したので報告する.
    症例:74歳,女性.65歳時に右乳癌の診断で右乳房切除術,腋窩郭清を施行された.腹痛を主訴に当院受診され精査の結果小腸狭窄による腸閉塞の診断のもと手術を施行した.術中多数の腹膜播種結節を認め,また臍部腫瘤,小腸腫瘤を認めた.臍腫瘤摘出術,小腸部分切除術を施行した.病理組織診断は乳癌の臍転移,小腸播種であった.本人,家族と相談の上BSC(best supportive care)にて経過をみる方針とし,初診より168日目に永眠した.
    結語:SMJNは稀な病態であるものの,日常診療において臍部の変化があった場合には常に念頭に置く必要がある.
  • 伊藤 充矢, 河内 麻里子, 大谷 彰一郎, 高田 晋一, 檜垣 健二
    2015 年 40 巻 4 号 p. 678-682
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は41歳,女性.約3年前に左乳房腫瘤を主訴に近医受診.約2cm大の囊胞性腫瘤を認め,細胞診を施行したが,明らかな悪性所見なく経過観察となった.当科受診5カ月前より,腫瘤は急速に増大し,皮膚潰瘍を形成したため,近医再診.再度細胞診を施行し,悪性の診断にて当科紹介となった.初診時,左乳房A領域に潰瘍を伴った手拳大の腫瘤を認め,PET-CTにて左肺S6に径4cm大の空洞形成を伴った肺腫瘤を認めた.確定診断目的に乳房腫瘤に対し針生検を施行し,肺腫瘤に対してはCTガイド下針生検を施行した.病理検査にて肺転移を伴う乳腺紡錘細胞癌と診断されたが,急速に肺転移巣は増悪し,針生検より35日目に永眠された.今回われわれは,極めて急速に進行した乳腺紡錘細胞癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
  • Jun Okadome, Jin Okazaki, Eisuke Kawakubo, Ryoichi Kyuragi, Kenich Hom ...
    2015 年 40 巻 4 号 p. 683-686
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    Median arcuate ligament syndrome (MALS) is a rare cause of abdominal pain and weight loss, which is likely caused by compression of either the celiac artery (CA) or plexus by the median arcuate ligament. A case of MALS in a 25-year-old female with severe postprandial pain and weight loss is herein described. An imaging study demonstrated the abnormal “stealing” of the blood flow from the superior mesenteric artery (SMA) circulation through the pancreaticoduodenal arcade to the hepatic circulation, which was corrected by laparoscopic dissection of the MAL followed by percutaneous transluminal angioplasty (PTA) of the CA.
  • 宮内 善広, 蓮田 憲夫, 腰塚 浩三, 高野 邦夫
    2015 年 40 巻 4 号 p. 687-692
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    胸骨の部分合併切除を要した原発性肺扁平上皮癌の2手術例を提示する.【症例1】44歳男性.右前胸壁の有痛性腫瘤を契機に肺癌と診断された.術前化学放射線療法を施行し,右肺上葉切除および胸鎖関節を含む胸骨の頭側右側の1/4を合併切除し,ePTFEシートにて再建を行った.【症例2】間質性腎炎にて通院中の71歳女性.左前胸部痛を主訴に肺癌と診断された.左肺上葉切除と胸骨の頭側左側1/4の合併切除および無名静脈合併切除再建を行いePTFEシートにて再建を行った.【考察】1例を原病死にて失ったものの,両症例ともに運動障害や呼吸障害は認めることなく経過した.胸骨の部分合併切除を要する肺癌手術症例は少ないが,症例や術式を選択して施行することにより,術後ADLの温存と予後の改善に寄与する可能性があると考えられた.
  • 園田 洋史, 南村 圭亮, 遠藤 裕平, 入江 彰一, 平田 泰, 小林 隆, 真船 健一
    2015 年 40 巻 4 号 p. 693-698
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は80歳の女性.腹部違和感,貧血の精査目的に上部消化管内視鏡検査を施行.ECJから15cmにいたるlong segmentバレット食道および胸部中部食道に1型病変を認め,低分化型腺癌と診断された.また下部消化管内視鏡検査で横行結腸に全周性の2型進行癌を指摘された.遠隔転移はなく,食道亜全摘術2領域郭清,右半結腸切除(D2郭清)を施行した.術後経過は良好で35PODに退院となった.病理診断はバレット食道腺癌Mt-1 T1N0M0-Stage Ⅰ,横行結腸癌T-2 T3(SS)N0M0-Stage ⅡでR0切除が可能であった.本邦でのlong segmentバレット食道の有病率は0.4%と低く,また食道癌の重複癌としての大腸癌は5%と報告されている.今回われわれは,long segmentバレット食道に腺癌を発症し,横行結腸癌を重複した極めて稀な一切除症例を経験したので報告する.
  • 青木 一浩, 今井 政人, 菅家 大介, 熊野 秀俊, 田中 真伸, 小森 俊昭, 砂川 正勝
    2015 年 40 巻 4 号 p. 699-704
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は60歳代,男性.意識障害,タール便を主訴にpre-shock状態で当院に搬送された.緊急内視鏡検査で胃角部に出血性潰瘍を伴う5cmの粘膜下腫瘍(SMT),近傍に2cmのⅡc病変を認め,穹窿部にも2cmのSMTを認めた.腹部CTでも同様に胃角部,穹窿部に腫瘤性病変を認めた.胃GISTおよび早期胃癌の診断で待機的に開腹手術を施行した.術中,胃角部に胃壁内,穹窿部に胃壁外の腫瘍を認め,腹膜播種,肝転移は認めなかった.穹窿部の腫瘤が転移との鑑別が難しく胃全摘,D2廓清,脾合併切除,胆囊摘出,Roux-Y再建術を施行した.病理免疫組織学的診断においてSMTは2病変ともにKIT,CD34が陽性のGISTであった.胃癌はpor+sig,深達度はsm2であった.胃GISTと胃癌の併存は0.29%と報告されており,稀である.本症例は消化管出血が先行した多発胃GISTと胃癌合併症例で考察を加えて報告する.
  • 久保 博一, 大島 貴, 國崎 主税, 大田 貢由, 福島 忠男, 遠藤 格
    2015 年 40 巻 4 号 p. 705-711
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は66歳の男性.3年前より腹部膨満を自覚していたが,症状が増悪し当院を受診した.腹部CT検査にて長径250mmの巨大な腫瘍を認め,胃との連続性を認めたため超音波内視鏡下吸引穿刺生検法を施行し,gastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断した.腫瘍は巨大で膵臓,横行結腸など周囲臓器への浸潤が疑われ,さらに手術操作による破裂も危惧されたため,イマチニブを先行投与する方針とした.イマチニブ投与6カ月後の評価にて腫瘍の著明な縮小を認め,画像診断にて根治切除可能と判断したことから切除を施行した.腫瘍は胃前壁に広範に存在し,横行結腸間膜に浸潤を認めたが,分節胃切除術,横行結腸合併切除術にて根治切除しえた.術後イマチニブによる補助化学療法を施行し,術後1年6カ月経過した現在まで再発を認めていない.
  • 臼田 敦子, 山口 健太郎, 島崎 朝子, 宮木 陽, 村山 実, 浅香 晋一, 島川 武, 勝部 隆男, 成高 義彦, 藤林 真理子
    2015 年 40 巻 4 号 p. 712-718
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.2007年9月,胃癌の診断で,幽門側胃切除術,D2郭清を施行した.病理組織学的には,tub(mod),pSE,N1,H0,P0,CY1,fStage Ⅳであり,TS-1による化学療法を1年間施行した.手術から1年4カ月後に,腫瘍マーカー値の上昇および腹部CT検査で横行結腸近傍に結節性病変を認めたため,腹膜播種再発と診断し化学療法を再開した.その後,結節性病変は不明瞭となったが,腫瘍マーカー値は増減を繰り返したため,レジメンを適宜変更しつつ化学療法を継続した.2012年1月,腸閉塞を発症し入院.CT画像にて横行結腸癌による大腸癌イレウスと診断し,横行結腸部分切除術+D1郭清を施行した.病理組織学的には,tub,pSE,N0で,免疫染色ではCK7+,CK20-,CdX2-,HER2+であり,前回の胃癌切除標本と同様と診断され,胃癌の大腸転移と診断した.
  • Hayato Abe, Shintaro Yamazaki, Kiyoko Takane, Yousuke Nakashima, Nao Y ...
    2015 年 40 巻 4 号 p. 719-722
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    An 85-year-old man presenting with jaundice and a right upper abdominal mass was admitted. He had a history of distal gastrectomy with Billroth-Ⅱ reconstruction for gastric cancer. Computed tomography revealed a locally advanced tumor in the head of the pancreas, which invaded the third portion of the duodenum. Marked dilatation of the stump of the duodenum and intrahepatic hepatic bile duct were confirmed. Percutaneous transhepatic biliary and duodenal drainage were immediately performed via the papilla of Vater to treat acute cholangitis and prevent impending rupture of the duodenum. After the improvement of cholangitis, a duodenal metallic stent 22mm in width was placed in the stenotic site (length, 40mm) of the duodenum via the route used for percutaneous transhepatic biliary drainage. The malignant stenosis and jaundice improved, without complications. Oral intake was begun the day after stenting, and the stent remained patent during the patient's life.
  • 神山 博彦, 牧野 有里香, 野原 茂男, 杉山 祐之, 三浦 弘善, 行方 浩二, 津村 秀憲, 松本 文夫
    2015 年 40 巻 4 号 p. 723-727
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は62歳の女性で,2日前から腹痛が出現し徐々に増悪した.腹部CT検査で十二指腸周囲の後腹膜気腫と膿瘍を認め,上部消化管内視鏡検査で傍乳頭十二指腸憩室からの排膿を認めたため,十二指腸憩室炎の穿孔と診断し,緊急手術を施行した.十二指腸を授動したが穿孔部は判然とせず,直接的な縫合閉鎖は困難と考えたためドレーンを留置して手術を終了した.術後,炎症反応は陰性化したがドレーンから少量の排膿が続いた.瘻孔造影検査で十二指腸憩室内に陰影欠損を認め,上部消化管内視鏡検査で憩室内に腸石を認めた.内視鏡的に摘出できなかったため,手術で腸石を摘出し憩室を縫縮した.腸石は真性腸石であった.文献上本邦に十二指腸憩室穿孔は89例あり,28例に腸石を伴っていた.真性腸石はX線透過性であることが多く,自験例のように見過ごされることがあるため,十二指腸憩室に対する手術では腸石の有無を必ず確認すべきである.
  • 前田 慎太郎, 奥野 厚志, 若林 康夫, 椎名 伸充, 越川 尚男
    2015 年 40 巻 4 号 p. 728-735
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は78歳女性で,小腸gastro intestinal stromal tumor(以下GISTと略記)の診断による腸管切除の1年後,局所再発にて2度目の切除術を受けた.以後はimatinib mesylateの服薬を行っていたが,初回手術から4年後に再び局所再発を認めた.本人の希望で内服治療で経過中,再発巣の増大と肝転移をきたし当科紹介となった.初回手術より7年目に,空腸・十二指腸および肝S7の部分切除術による根治手術を施行した.遺伝子解析の結果と,内服が術前不定期であったことでimatinib mesylateを再開とした.しかし,その3カ月後に胸椎転移が確認され,bisphosphonateを追加した.その1カ月後の画像検査で骨転移巣の増悪はなく,併用内服が有効と判断された.GISTの術後経過観察にあたり,長期経過症例では稀とされる骨転移も考慮する必要がある.
  • 松尾 彰宣, 久米 修一, 田中 洋平, 内野 良仁, 馬場 秀夫, 有馬 信之
    2015 年 40 巻 4 号 p. 736-741
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    患者は67歳,女性.婦人科検診時に下腹部に腫瘤を指摘された.血清CA125値の上昇ならびに画像検査にて骨盤内に約20cmの腫瘤を認めた.上下部消化管内視鏡検査で腫瘍性病変を認めず,術前診断としては卵巣腫瘍で矛盾がないことから婦人科にて開腹手術が施行された.開腹時トライツ靱帯から約20cmの空腸腸間膜側にダンベル型の囊胞性腫瘍を認め,くびれ部で半周性に小腸が取り巻いており,小腸GISTもしくは腸間膜腫瘍の診断のもと,同部を含む小腸部分切除術を施行した.
    切除標本の病理組織学的検査にて,腫瘍は紡錘形細胞が束状に錯走する配列を呈し,空腸の固有筋層との連続性を有しており,免疫染色ではKIT陽性であった.以上より管外発育型の空腸GISTと診断した.術前診断が卵巣腫瘍で,術中術後に小腸GISTと診断された本邦報告は自験例を含め13例あり,比較的稀であると思われたため若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 岩崎 謙一, 森谷 雅人, 宮田 祐樹, 水村 泰夫, 和田 敏史, 土田 明彦
    2015 年 40 巻 4 号 p. 742-746
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は90歳代,女性.総胆管結石に対し内視鏡的乳頭切開術の施行歴あり.巨大な総胆管結石を認めていたが,高齢,認知症を考慮し截石せず保存的に経過観察とされていた.今回腹痛,発熱で当院入院となった.入院時腹部CT検査で,巨大な総胆管結石の嵌頓を認めた.保存的に加療したが,腹満出現したため再度腹部CT検査施行したところ総胆管結石は小腸内に存在しイレウスを呈していた.胆石イレウスの診断で,イレウス管を挿入した.イレウス管挿入後7日目の画像および臨床所見に改善を認めず手術の方針となった.術当日に胆石の位置確認目的に腹部CT検査を施行したところ,イレウスは改善し胆石は直腸内に認められ手術は中止となった.胆石イレウスは高齢者に発症することが多く,合併症を有し全身状態が不良なこともあり手術時期決定は困難である.今回,術当日に画像診断で観血的治療が回避できた高齢者の胆石イレウスの1例を経験したので報告する.
  • 山村 喜之, 梅本 一史, 鈴木 友啓, 加藤 航平, 武藤 潤, 中西 喜嗣, 吉岡 達也, 村川 力彦, 大竹 節之, 大野 耕一
    2015 年 40 巻 4 号 p. 747-752
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は69歳女性.多発筋炎のため当院神経内科通院中でプレドニン10mg内服していた.腹痛にて当院救急外来受診しCTでfree airを認めた.上部消化管穿孔を疑い審査腹腔鏡を施行した.腹腔内を観察したところ,回腸に穿孔部を認め,その肛門側10cmに壁の発赤を認めた.発赤部位も含めて20cmの回腸を切除した.切除標本では穿孔部と発赤部位で全周性の輪状潰瘍を認めステロイドに起因した潰瘍が疑われた.病理組織学的には明らかな巨細胞性核内封入体は認められなかったが,サイトメガロウイルス(CMV)免疫染色で潰瘍部に一致して多数の陽性細胞が検出され,CMV感染に起因した小腸穿孔と診断された.
    CMV感染による消化管穿孔は稀であり,背景として免疫不全患者に発症するため,その予後は不良である.
    今回われわれはサイトメガロウイルス腸炎による小腸穿孔の1例を経験したので報告する.
  • 髙橋 亜紗子, 斉田 芳久, 榎本 俊行, 髙林 一浩, 長尾 さやか, 渡邊 良平, 横内 幸, 中村 陽一, 草地 信也, 長尾 二郎
    2015 年 40 巻 4 号 p. 753-757
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    Meckel憩室による腸閉塞に対して,減圧後に腹腔鏡下手術が有用であった1例を経験した.症例は40歳代,男性.心窩部痛,嘔吐を主訴に救急搬送された.心窩部に圧痛を認めたが,腹膜刺激症状は認めなかった.腹部単純X線と造影CT検査にて腸閉塞と診断し,イレウス管を挿入した.イレウス管挿入5日後より腸管の減圧が得られたが,イレウス管造影にて回腸末端付近に狭窄を認めたため,挿入7日目に腹腔鏡下に手術を行った.術中所見では,回腸末端から50cm口側に長径60mmのMeckel憩室を認め,そこを中心に腸管同士が癒着をしていた.癒着を剝離してMeckel憩室を根部で切離し,癒着していた回腸も部分切離した.術後経過は良好で再発は認めていない.症状を伴う成人Meckel憩室は比較的稀であり,術前に確定診断をつけるのは難しい.しかし原因不明の腸閉塞に対しても腹腔鏡下手術は安全であり有用だと考えられる.
  • 太田 嶺人, 佐藤 耕一郎, 阿部 隆之, 武藤 亮, 山口 正明
    2015 年 40 巻 4 号 p. 758-763
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は60歳女性.近医で施行された腹部超音波検査で肝腫瘍を指摘され,精査目的で当院紹介となった.腹部CTで多発肝腫瘍の他,上行結腸の壁肥厚と近傍のリンパ節腫脹を認め,上行結腸癌の多発肝転移と診断した.下部消化管内視鏡検査では盲腸の粘膜隆起性病変に加え,進行S状結腸癌を認めた.以上より,S状結腸癌切除と回盲部腫瘍の術中精査のため開腹手術となった.術中所見で回腸末端部に腫瘤を認め回盲部切除術,およびS状結腸切除術を施行した.病理診断は,S状結腸は低分化型腺癌,回盲部腫瘍はNeuroendcrine tumor(以下,NET)の診断であった.術後の生化学検査でセロトニン高値であり,肝転移はNETが原発と考えられた.退院後は他院にてラジオ波焼灼療法を施行し,現在は,結腸癌術後および,NETに対して化学療法中である.NETの同時性重複癌症例の報告は少なく,若干の文献学的考察を加え報告する.
  • 筋師 健, 山田 貴允, 山本 裕司
    2015 年 40 巻 4 号 p. 764-768
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は22歳男性で,虫垂炎術後イレウスのため長期入院となった.治療経過中に高熱が出現し,血液培養でCandida kruseiが検出され,イレウスに伴うbacterial translocation(以下,BTと略記)から菌血症を発症したものと考え,抗真菌薬の投与を開始した.また,眼底検査で真菌性眼内炎の診断に至り,長期的な抗真菌薬の投与を要した.基礎疾患のない若年成人において,イレウスから真菌性眼内炎を呈した症例は報告を見ない.真菌性眼内炎は治療に遅れが生じると不可逆的な視力障害を呈する病態である.イレウスの経過中に高熱を呈した場合,菌血症から本症を発症することを念頭に置き早期から眼底検査などの眼科的介入が肝要と考えられた.
  • 宮城 良浩, 金城 達也, 佐村 博範, 伊禮 靖苗, 西巻 正
    2015 年 40 巻 4 号 p. 769-774
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は59歳女性で,貧血精査目的に施行した大腸内視鏡検査で虫垂開口部から盲腸内腔に突出する径10mmの隆起性病変を認めた.生検ではGroup3であったがCT検査では腫瘤径20mmであったため,粘膜内癌併存の可能性を考慮し腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.病理組織検査で高分化型腺癌,粘膜内癌であり,追加切除は施行しなかった.術後5年経過し,無再発生存中である.
    原発性虫垂癌は比較的稀な疾患であり,特異的症状に乏しく,早期診断が困難であることが多い.早期虫垂癌では急性虫垂炎の術前診断で虫垂切除術が行われ,病理組織検査で早期癌と診断される症例が大半を占める.術前または術後に診断された早期虫垂癌では原発巣の切除範囲,リンパ節郭清範囲および追加切除の必要性が問題となることがある.今回,われわれは大腸内視鏡検査で虫垂腫瘍を指摘され,腹腔鏡下手術にて根治切除しえた早期虫垂癌症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 中谷 晃典, 北島 政幸, 大久保 悟志, 岸根 健二, 佐藤 剛, 内藤 滋俊, 吉野 耕平, 渡部 智雄, 落合 匠, 西村 和彦
    2015 年 40 巻 4 号 p. 775-780
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は100歳,女性.便潜血陽性にて近医を受診.腹部CT検査にて,横行結腸付近に腫瘍性病変が疑われ当科紹介となった.当院の腹部CT冠状断では,上行結腸から肝彎曲部に全周性の壁肥厚を認め,口側腸管が軽度拡張していたが,肝転移や腹水は認められなかった.肥厚部が肛門側腸管に陥入し,腸重積が疑われた.下部消化管内視鏡検査では,残渣のため腫瘍まで到達できなかった.以上より腸重積を伴った右側結腸癌も疑い腹腔鏡下に手術を施行した.術中所見では,回腸末端と重積された上行結腸が観察され,腸管壁は肥厚し挙上に難渋したが,腹腔鏡下に結腸右半切除を施行しえた.切除標本では盲腸のⅠ型腫瘍が上行結腸に重積していたが,腸管壊死は認められなかった.成人腸重積症の多くは緊急にて開腹手術となる症例が多いが,今回待機的かつ腹腔鏡下手術を施行しえた超高齢症例を経験したので報告する.
  • 高橋 真治, 金村 秀, 佐々木 秀雄, 中山 弘道, 呉屋 朝幸
    2015 年 40 巻 4 号 p. 781-785
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    大腸憩室穿通は大腸憩室穿孔と異なり,必ずしも外科的治療を行わずとも保存的治療で治癒が可能である.今回われわれは①汎発性腹膜炎所見を呈していない,②血行動態が安定している,③腸管内容物(便塊,便汁)の腸管外への逸脱所見がない,④膿瘍を形成していない,⑤症状に合わせて短期間に複数回画像診断や血液検査を行い,炎症の増悪傾向がないことが確認できる,という条件を満たしている大腸憩室穿通2症例に対して抗菌薬による保存的治療を行い良好な臨床経過を得た.適応を限定すれば大腸憩室穿通は保存的治療が可能であると考えられた.
  • 井上 悠介, 橋本 敏章, 北島 正親, 藤田 文彦, 伊藤 裕司, 古井 純一郎, 江口 晋
    2015 年 40 巻 4 号 p. 786-790
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は61歳の男性で,動脈硬化性疾患を有し,S状結腸癌に対し上直腸動脈温存S状結腸切除が行われた.術後10カ月目頃より下腹部痛,粘血便およびテネスムスを認め,虚血性腸炎と診断された.保存的治療では改善せず腹会陰式直腸切断術を施行した.上直腸動脈温存,下腸間膜静脈処理による相対的な静脈血流増加および慢性に進行する腸間膜の線維化による辺縁動静脈の狭窄や閉塞により,直腸壁内の微小循環の不均衡を引き起こしたことが遅発性の虚血性腸炎を発症したと原因と考えられた.郭清を要する消化管手術において,下腸間膜動脈を温存する場合には極力,下腸間膜静脈を温存する必要があると思われた.
  • 下山 ライ, 磯貝 尚子, 河内 順, 荻野 秀光, 渡部 和巨
    2015 年 40 巻 4 号 p. 791-795
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    進行・再発結腸直腸癌に対するベバシズマブ併用化学療法施行中に後腹膜血腫をきたした1例を経験したので報告する.症例は60歳女性.下血を主訴に当院受診し諸検査にてT3N2M1 Stage Ⅳ直腸癌と診断された.XELOX+ベバシズマブによる化学療法を3コース施行後,低位前方切除術を行い,その後再度XELOX+ベバシズマブ療法を開始した.4コース目投与後8日目に頭痛と左側腹部痛を認め,CTにて左後腹膜血腫と診断された.入院の上保存的に加療し投与後15日目に退院となった.ベバシズマブ併用化学療法による合併症として重篤な出血は国内で0.6~1.4%,海外で3~6%と報告されているが,後腹膜血腫の報告はなく海外も含めて本症例が初報告例となる.出血の程度により重篤となりえるため留意すべき合併症と考えられる.
  • 鈴村 和大, 末岡 英明, 飯室 勇二, 平野 公通, 岡田 敏弘, 麻野 泰包, 渡邊 隆弘, 塚本 吉胤, 廣田 誠一, 藤元 治朗
    2015 年 40 巻 4 号 p. 796-801
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    劇症型溶血性連鎖球菌(溶連菌)感染症(Streptococcal toxic shock-like syndrome:TSLS)は急速にショックから多臓器不全にいたる極めて予後不良な疾患である.TSLSは主としてA群溶連菌によって引き起こされるが,それ以外の菌種によるTSLS様の報告例もみられる.今回われわれはG群溶連菌によるTSLS様の症状を呈した症例を経験したので報告する.
    症例は72歳の女性で,平成18年に慢性糸球体腎炎からの腎不全にて血液透析を導入.平成25年9月に中下部胆管癌に対して幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行.その後外来経過観察中に黒色便を認めたため当院入院.吻合部潰瘍の診断でPPIにて加療中,突然の意識レベル低下を認め,血液検査上DICおよび敗血症であると考えられた.ICU入室にて抗生剤およびγ-グロブリン製剤の投与,さらに持続的血液濾過透析およびエンドトキシン吸着を行うも急速に全身状態が悪化し,翌日に死亡した.後日,血液よりG群溶連菌であるStreptococcus dysgalactiaeが検出された.
  • 村川 正明, 青山 徹, 片山 雄介, 澤崎 翔, 金澤 周, 樋口 晃生, 山本 直人, 大島 貴, 吉川 貴己, 利野 靖, 塩澤 学, ...
    2015 年 40 巻 4 号 p. 802-806
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    傍大動脈リンパ節転移(以下,#16リンパ節転移)を伴う進行膵癌の予後は極めて不良である.今回,#16リンパ節転移を伴う進行膵癌に対して集学的治療を行い,長期予後を得た症例を経験したので報告する.症例は56歳男性で,膵腫瘤を主訴に当院に来院した.精査の結果,#16リンパ節転移を伴う膵体尾部癌と診断した.手術および術後補助化学療法の治療方針として,膵体尾部切除・脾・左副腎・横行結腸間膜合併切除を施行し,#16リンパ節は肉眼的に腫大しているリンパ節を摘出した.術後Grade 1の膵液瘻を認めるも,保存的に軽快し,術後22日目に退院となった.術後補助化学療法としてgemcitabine投与,再発後はgemicitabineおよびS-1による化学療法を行い4年3カ月の長期生存を得た.S-1など有効な補助療法の登場により,#16リンパ節転移陽性膵癌でも集学的治療を行うことにより長期生存が得られる可能性が示唆された.
  • 石戸 保典, 佐藤 雅彦, 渡部 英, 根上 直樹, 斎藤 徹也, 岡田 治彦, 山田 正樹, 高橋 由佳
    2015 年 40 巻 4 号 p. 807-811
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.2009年5月に膵尾部癌の診断で膵体尾部脾切除術を施行した.術後はTS-1による補助化学療法を行っていたが,同年11月にCA19-9の上昇を認めた.2010年1月よりgemcitabine(GEM)に変更したが,6月のCT検査で局所再発を認めた.他臓器に転移を疑う所見はなく,2011年2月から4月に局所再発巣に対し陽子線療法を行った.同年7月に便汁の嘔吐が出現したため,上部消化管内視鏡検査を施行,胃結腸瘻を認めたため入院となった.陽子線療法後の胃結腸瘻と診断し,同年9月に上行結腸に人工肛門を造設した.人工肛門造設後は便汁の嘔吐はなくなり,胃結腸瘻は閉鎖したと考えられた.2012年1月に行った上部消化管内視鏡検査では, 閉鎖した瘻孔の瘢痕部から行った生検で膵臓癌の再発を認め,GEMによる化学療法を継続した.
  • 鈴村 和大, 岡田 敏弘, 近藤 祐一, 末岡 英明, 宇山 直樹, 飯室 勇二, 平野 公通, 鳥井 郁子, 辻村 亨, 藤元 治朗
    2015 年 40 巻 4 号 p. 812-816
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は26歳の女性で,近医で膵体部腫瘍を指摘されたため精査加療目的にて当科入院となった.腹部CTでは造影効果に乏しい境界明瞭な腫瘍を膵体部に認め,MRIでは腫瘍はT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号であった.膵体部のsolid pseudopapillary neoplasmの診断にて脾温存膵体尾部切除術を施行した.術後経過は良好で,第12病日に退院となった.本疾患に対しての腹腔鏡下脾温存膵体尾部切除術は低侵襲であり,有用な術式と考えられた.
  • 鈴村 和大, 飯室 勇二, 栗本 亜美, 平野 公通, 岡田 敏弘, 麻野 泰包, 鳥井 郁子, 辻村 亨, 藤元 治朗
    2015 年 40 巻 4 号 p. 817-821
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は32歳の女性で,上腹部痛を主訴に近医受診.脾囊胞を指摘され加療目的に当院入院となった.腹部CT検査で脾臓に境界明瞭で内部均一な,8cm大の囊胞を認めた.また血液検査ではCA19-9は50.5U/mlと上昇を認めたが,画像上は他に悪性所見を認めなかった.以上よりCA19-9産生脾囊胞と診断し,腹腔鏡下天蓋切除術を施行した.囊胞内容は茶褐色で,内容液中のCA19-9は2,168,500U/mlと高値であった.病理組織学的検査で真性脾囊胞と診断した.術後は血清CA19-9が45.9U/mlと低下した.術後は特変なく経過し,第8病日に退院.術後3カ月の現在,再発は認めていない.比較的稀なCA19-9産生脾囊胞に対し腹腔鏡下天蓋切除術を施行した1例を経験したので報告する.
  • 近藤 宏佳, 山口 茂樹, 原 聖佳, 森田 洋平, 鈴木 麻未, 田代 浄, 石井 利昌, 小山 勇
    2015 年 40 巻 4 号 p. 822-827
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は66歳女性.直腸癌に対し腹腔鏡下低位前方切除術,回腸人工肛門造設術を行った.病理組織学的診断はRa,type2,45×55mm,tub2,pT3,ly1,v0,pN1(3/18),cM0,Stage Ⅲaであった.術後補助化学療法施行後に回腸人工肛門を閉鎖した.初回手術後1年目に大動脈周囲および回盲部腸間膜内の2か所に腫瘤を認め,直腸癌再発が否定できず開腹生検を施行しデスモイドと診断された.外科的完全切除を勧めるも本人拒否が続きスリンダク300mg/日内服を開始した.しかし腫瘍は増大し,開腹生検から4カ月後に手術を施行した.腫瘍は生検結果と同様デスモイドと診断された.現在,術後1年無再発経過観察中である.家族性大腸腺腫症を伴わない腹腔内デスモイド腫瘍の報告は散見されるが腹腔鏡術後発生の報告は少なく,かつ多発例は非常に稀であり,文献的考察を加え報告する.
  • 天野 新也, 佐藤 勉, 利野 靖, 内山 護, 渥美 陽介, 山内 美帆子, 藤川 善子, 長谷川 慎一, 玉川 洋, 山本 直人, 大島 ...
    2015 年 40 巻 4 号 p. 828-832
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,女性.2007年胃MALTリンパ腫(Stage IE)の診断でヘリコバクター・ピロリ除菌後,当院内科で経過観察されていた.2011年7月のフォローアップの腹部造影CTで後腹膜に最大径15mmの境界明瞭の軽度造影効果の伴う結節像を認め,2011年12月には26mmと増大を認めため,同月当科紹介となった.腹部造影CTでは腫瘍は左尿管に接しているが明らかな浸潤は認めず,左卵巣動脈より栄養されていると考えられた.PET-CTでは同部位へのSUVmax=2.3の淡い集積を認めた.以上の所見より後腹膜腫瘍と診断し,2012年3月腹腔鏡下腫瘍切除術を施行した.5ポートで手術は施行し,後腹膜を切開すると腫瘍は尿管の外側に確認できた.腫瘍は被膜を有しており,栄養血管は頭側,尾側にそれぞれ1本ずつ伸びる血管を認め,いずれもクリッピングを行い切離した.腫瘍径は46×26×24mmで割面は灰白色で充実性であり,病理組織学的所見で平滑筋肉腫と診断された.後腹膜腫瘍は悪性腫瘍の頻度が高く,術前診断は困難な場合が多い.腹腔鏡下手術は後腹膜腫瘍の診断および治療に有用なものと考えられた.
  • 福島 大造, 佐藤 耕一郎, 武藤 亮, 阿部 隆之, 山口 正明
    2015 年 40 巻 4 号 p. 833-839
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル フリー
    症例は86歳男性.2011年に後腹膜脱分化脂肪肉腫で根治手術を施行されていた.切除後2年のフォローCTで左肺に転移が疑われる肺腫瘍を認め,左肺部分切除を施行されたが病理組織学的所見は肺孤在性線維性腫瘍と診断された.後腹膜腫瘍切除後2年6カ月のフォローCTで左腰背部に腫瘤性病変を認め,約1年後増大傾向もあるため外科的切除を行った.病理組織学的所見では後腹膜脱分化型脂肪肉腫の転移であると診断された.転移巣切除後6カ月間再発を認めない.後腹膜脂肪肉腫の遠隔転移巣に対する外科的切除についての報告例は少ないが,症例によっては長期生存が望める可能性がある.若干の文献的考察を加えて報告する.
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