日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
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ISSN-L : 0385-7883
43 巻 , 1 号
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原著
  • 宇高 徹総, 山本 澄治, 中村 哲也, 黒川 浩典, 宮谷 克也
    2018 年 43 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    85歳以上超高齢者胃癌と75歳から84歳までの後期高齢者胃癌の臨床病理学的特徴,治療成績を比較検討し,超高齢者胃癌の実態を明らかにした.対象は1999年1月より2013年12月までに当院で経験した85歳以上超高齢者の胃癌手術症例41例と75歳から84歳までの後期高齢者胃癌手術症例280例である.結果は,腫瘍の壁深達度,リンパ節転移,肉眼型分類,組織型,術前併存症の頻度において両群間で有意差は認めなかった.進行度において超高齢者でStage Ⅳの割合が有意に多かった(p=0.039).また,腫瘍の占拠部位において超高齢者でL領域が有意に多かった(p=0.005).胃切除法において超高齢者で有意に切除範囲の少ない手術が多く(p=0.02),郭清度において超高齢者では郭清度が低かった(p<0.001).術後合併症,在院死に関して有意差がなかったが,累積5年生存率において超高齢者が有意に低かった(p=0.049).超高齢者は後期高齢者と同様に安全な手術が可能であった.超高齢者胃癌患者の治療成績の向上には,進行度を正確に評価した上で,治療方針を決定することが重要であると考えられた.

臨床経験
  • 佐藤 修, 藤本 俊郎
    2018 年 43 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    腹腔鏡下子宮筋腫核出術は大出血のリスクのある手術であり,出血減少を目的に様々な方策が講じられている.今回われわれが子宮筋腫核出術対象の2症例に行ったのは,開腹手術と同様に子宮頸部を絞扼し出血を軽減する試みである.前後の子宮広間膜を貫通し,ネラトンカテーテルを通して固定し絞扼した.この状態で筋腫核出を行い縫合まで終了したのち絞扼を解除,カテーテルを抜去した.各症例で手術時間は3時間31分/2時間59分,出血量は200g/171gであった.とくに術中・術後の合併症を認めず術後4日目に退院となった.筋腫の大きさや位置,個数あるいは臓器癒着の有無によってカテーテルによる駆血の難易度,あるいは装着そのものの可否に差はあるが,適応のある症例では他の薬物や侵襲の大きい方法によらず出血量を減少させる可能性があり有用と考えられた.

症例報告
  • 辻尾 元, 柏木 伸一郎, 野土 希実, 大澤 政彦, 平川 弘聖, 大平 雅一
    2018 年 43 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    骨・軟骨化生を伴う乳癌は,病巣内に骨化生や軟骨化生が認められる稀な腫瘍である.化生癌に分類されるため,トリプルネガティブ乳癌が多い.今回,Luminal Aサブタイプを呈した骨・軟骨化生を伴う乳癌の1例を経験した.69歳女性,右乳房腫瘤を主訴に当院紹介受診,右乳房上内側に約2cmの弾性硬の腫瘤を触知した.超音波検査では右乳腺A領域に1.5 cm大の低エコー腫瘤を認め,針生検にて浸潤性乳管癌であった.右乳癌cT1N0M0 Stage Ⅰと術前診断し,手術施行した(乳腺円状部分切除術).センチネルリンパ節に転移を認め,腋窩リンパ節郭清を追加した.線維化が高度であり,レース状の類骨様の基質産生を認め,骨・軟骨化生を伴う乳癌(pT1N1M0 Stage ⅡA)との最終診断に至った.ER強陽性,PgR強陽性,HER2陰性,Ki67 8%であり,Luminal Aサブタイプであった.

  • 榎本 直記, 大野 玲, 熊木 裕一, 入江 宇大, 樋口 京子, 馬場 裕信, 吉野内 聡, 吉田 剛
    2018 年 43 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    患者は53歳女性.胃癌の既往歴があり幽門側胃切徐術を受けている.術後からアルコールを多飲するようになり精神科通院中の2016年5月高濃度のアルコール飲料を摂取したことによる腐食性食道炎を発症し他院にて4カ月間にわたる治療を受けたが下部食道に瘢痕狭窄をきたし,通過障害の治療目的で同年10月に転院となった.内視鏡的拡張術でも効果なく,体力の回復を待ち胸腔鏡下食道亜全摘,残胃全摘,右結腸再建術を行った.術後経過は良好であった.

  • 青山 翔太, 宮﨑 正二郎, 成田 徹, 平野 あづさ
    2018 年 43 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    横隔膜ヘルニアは経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)後遅発合併症の一つであり,嵌頓などで重症化する報告が散見される.症例は60歳台男性.主訴は便秘,腹痛および発熱.前医にて多発肝細胞癌(HCC)に対し,RFAを計20回受けた.来院時CTにて右横隔膜の一部欠損および胸腔内への結腸の脱出を認め,腸管拡張および腸液貯留を認めたため,横隔膜ヘルニア嵌頓の診断にて緊急手術施行となった.ヘルニア門は3.5×2.5cmであり,横行結腸と大網が脱出し,ヘルニア門に癒着していた.癒着剝離およびヘルニア門の一部切開を行い,用手的に横行結腸と大網を還納した.腸管の血流不全は認めなかった.ヘルニア門は縫合閉鎖の後,Composite Meshで補強した.RFA施行後横隔膜ヘルニアは嵌頓症状をきたすことがあり,予後不良症例を認めるため,機を逸することがない様に手術的治療を施行する必要があると考えられる.

  • Daisuke Yagi, Yoshikazu Takinami, Motoki Sugano, Yasuaki Hattori
    2018 年 43 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    The patient was an 81-year-old man who was found to have a giant hiatal hernia during detailed examination for hepatic dysfunction. Computed tomography showed prolapse of the entire stomach, head of the pancreas, and transverse colon, and part of the small bowel into the mediastinum, and magnetic resonance cholangiopancreatography showed bile duct displacement and dilatation. The patient underwent elective laparoscopic surgery for repair of the esophageal hiatal hernia. Suture closure of the hernial orifice, mesh reinforcement, and a Nissen fundoplication were performed. The postoperative clinical course has been favorable and no recurrence has occurred during the 1-year postoperative period.

  • 石山 廣志朗, 野村 尚, 福島 紀雅, 飯澤 肇
    2018 年 43 巻 1 号 p. 36-41
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は65歳男性.食道癌に対して食道亜全摘術・後縦隔経路胃管再建施行.術後3年目の上部消化管内視鏡検査で胃管下部に0-Ⅱa+Ⅱc病変を指摘され生検で高分化型腺癌の診断.cT1(SM)N0M0,cStage ⅠAの診断でESD施行したが,病変中心部は筋層浸潤が疑われESD断念となった.腫瘍は下縦隔に位置し画像上リンパ節腫大もなく,術式は口側胃管血流を考慮し右胃大網動脈の血流を温存した幽門側胃切除術・R-Y再建施行.術後合併症なく第14病日退院となった.後縦隔再建胃管癌の手術は侵襲性が高く,術後合併症も高率である.よって定期検査で早期発見することが肝要と思われる.

  • 山本 隆嗣, 宮崎 徹, 金田 和久, 渡辺 千絵, 大河 昌人, 田中 肖吾, 上西 崇弘, 田中 宏, 大野 耕一, 若狭 研一
    2018 年 43 巻 1 号 p. 42-49
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は84才女性で,早期胃癌(粘膜層限局低分化型腺癌,リンパ節転移/脈管侵襲なし)に対し腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行した.術1年後のサーベイランスで他臓器に再発を認めていなかったが,左頸部に弾性軟の1cm大の皮下腫瘤が触知され,次第に頭頸胸部皮膚にも同様の腫瘤が多発した.生検で低分化型腺癌が診断され,胃癌と同様の病理形態を指摘された.免疫組織学的に胃癌・皮膚病変ともにAE1/AE3・cytokeratin 7陽性,cytokeratin 20陰性で早期胃癌の再発皮膚転移と診断された.他臓器に転移はなく,S-1を投与したところ,皮膚転移は消褪していった.しかし,抗癌剤投与後2カ月後,腹膜播種によると思われるイレウスを発症し,術15カ月後に死亡した.早期胃癌の皮膚転移の報告は内外でも稀で5例のみが報告されているが,皮膚転移前後に他臓器にも転移をきたして予後は不良である.早期胃癌であっても進行胃癌同様に問診や体表診察を含めた丁寧な経過観察サーベイランスを行い,再発に対しての迅速な治療・対応が必要であると考えられた.

  • 光星 翔太, 浅香 晋一, 今泉 理枝, 伊藤 嘉智, 小池 太郎, 吉松 和彦
    2018 年 43 巻 1 号 p. 50-55
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は85歳,女性.下腹部痛を主訴に近医受診,小腸捻転の診断で当院救急搬送となった.腹部造影CTで右下腹部に4.8×3cm大の不整形腫瘤が存在し,上腸間膜動静脈を中心に腸間膜の動静脈が螺旋を描くwhirl signを認めた.小腸腫瘍による小腸軸捻転の診断で緊急手術となった.開腹すると,Treitz靭帯より60cm肛門側の空腸に,壁外に発育する4.5cm大の腫瘍が存在し,上腸間膜動静脈を回転軸として時計回りに720度捻転していた.虚血所見は認めず,捻転を解除し,腫瘍を含め約5cmの小腸部分切除術を施行した.病理組織学的検査の結果,c-kit強陽性,CD34,SMA弱陽性,S-100,desmin陰性,核分裂像は2/50High Power Fields(HPFs)でlow grade malignancyの小腸GISTと診断した.小腸GISTが,小腸軸捻転に関与したと考えられる稀な症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.

  • 浦川 真哉, 鄭 充善, 赤松 大樹
    2018 年 43 巻 1 号 p. 56-61
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    患者は22歳,男性.Crohn病に対して内服加療中であった.下血を主訴に受診し,Hb5.8と貧血を認めた.CT検査や内視鏡検査では,出血源を認めなかった.小腸出血疑いでダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)を行ったが,回腸の輪状狭窄のため肛門からの観察は不可能であった.以上,既往歴からCrohn病に伴う小腸出血の疑いと診断とした.繰り返す下血のため,手術の方針となった.

    単孔式腹腔鏡下手術で開始した.右下腹部に腹壁と癒着したMeckel憩室を認め,憩室の口側腸管は高度に屈曲していた.Crohn病に伴う小腸出血を否定出来ず,術中DBEで全小腸を観察した.その際に臍部切開創から小腸を体外に出し,DBEを術者が用手的に誘導することで観察時間の短縮を図った.Meckel憩室以外の出血源を認めず,憩室を含む小腸切除を行った.

    術中経口DBE併用は,出血部位の診断と必要最小限の小腸切除を可能とした.また単孔式腹腔鏡下手術は最小限の創部での治療を可能とし,低侵襲手術につながると考えられた.

  • 光星 翔太, 伊藤 嘉智, 木下 淳, 今泉 理枝, 小池 太郎, 吉松 和彦
    2018 年 43 巻 1 号 p. 62-66
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    症例1は54歳,男性.貧血精査で腹部造影CTにてTreitz靭帯から空腸にかけて濃染する全周性の壁肥厚を認めた.上部消化管内視鏡検査で空腸に2型病変認め,原発性空腸癌と診断し手術を施行した.腫瘍はTreitz靭帯から約5cm肛門側にあり,リンパ節郭清を伴う小腸部分切除術を施行した.病理組織学的にSS,N1,ly1,v1,M0,fStage Ⅲaで補助化学療法施行した.症例2は89歳,男性.嘔気嘔吐を主訴に近医受診.上部消化管内視鏡検査で空腸に狭窄を認め,生検で中分化腺癌の診断,原発性空腸癌と診断し手術を施行した.腫瘍はTreitz靭帯から約5cm肛門側にあり,リンパ節郭清を伴う小腸部分切除術を施行した.病理組織学的にSS,N1,ly2,v1,M0,fStage Ⅲaであったが高齢で経過観察のみとした.原発性小腸癌は稀な疾患で,特異的な臨床症状に乏しいため早期診断は困難である.今回,術前診断可能で根治切除した空腸癌の2例を経験したので文献的考察を加え報告する.

  • 丹羽 浩一郎, 本庄 薫平, 宗像 慎也, 高橋 里奈, 石山 隼, 五藤 倫敏, 福永 哲, 梶山 美明, 川崎 誠治, 坂本 一博
    2018 年 43 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は60歳の女性で,嘔吐と上腹部痛を自覚して近医を受診し,イレウスの診断で当院に紹介となった.来院時,上腹部に軽度の自発痛を認めたが,反跳痛は認められなかった.腹部造影CT検査では骨盤腔の小腸に浮腫を認めるのみであったため,補液と抗生剤による保存的加療を行った.翌日腹痛が増強し反跳痛も出現したため,再度腹部造影CT検査を施行した.骨盤腔に小腸のclosed loopと腹水を認め,絞扼性イレウスの診断で腹腔鏡下手術を施行した.ダグラス窩に血性腹水がみられ,大網がS状結腸間膜に癒着して索状になり,その索状物とS状結腸間膜により形成された間隙に小腸が陥入し絞扼されていた.大網を切離して絞扼を解除したが,腸管の血流が回復しないため小腸部分切除を施行した.開腹歴のない大網による絞扼性イレウスは稀である.今回,われわれは開腹歴のない大網による絞扼性イレウスに対し腹腔鏡下手術を施行した症例を経験したので報告する.

  • 大楽 勝司, 春木 孝一郎, 堤 純, 高山 澄夫, 柴 浩明, 矢永 勝彦
    2018 年 43 巻 1 号 p. 72-76
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は69歳男性.下腹部痛を主訴に外来受診.腹部CTで小腸腫瘍による腸重積症と診断.イレウス管による減圧を行い待期的手術としていたが,入院後腹痛増悪,血圧低下認め,汎発性腹膜炎の診断で緊急手術となった.術中所見で回腸末端より50cmの小腸が腸管内の腫瘤を先進部として重積し,穿孔を伴っていた.小腸部分切除を施行,さらに回腸末端5cmにも腫瘤を触れたため回盲部切除を追加した.切除検体では腸重積の原因となった球状腫瘤の他,2型腫瘍,粘膜下腫瘍の3病変を認めた.術後創感染を認めたが,術後15日目に軽快退院した.病理結果では3病変全てがDiffuse large B cell lymphomaの診断であり,穿孔部には腫瘍細胞を認めず,圧排による血流障害が穿孔の原因と考えられた.術後PET-CTで悪性リンパ腫の残存病変を認め,R-CHOP療法を施行している.今回,腸重積による穿孔性腹膜炎を呈した回腸悪性リンパ腫の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.

  • 淺岡 礼人, 渡辺 一輝
    2018 年 43 巻 1 号 p. 77-83
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    イレウスを呈する消化管疾患は悪性腫瘍から良性疾患まで多岐にわたるため,治療方針の決定に術前診断が重要である.特に回腸子宮内膜症のような良性疾患でイレウスを初発症状とする場合,術前診断が困難である反面,手術の低侵襲化が求められる.通常,イレウス時の緊急画像診断としてCTや消化管造影が施行され,MRIが行われることは少ない.しかし,回腸を含む腸管子宮内膜症のMRIでは,脂肪抑制T1強調画像で点状の高信号域,T2強調画像で強い低信号という特徴を有す.このため,閉経前の女性のイレウスに遭遇した時,イレウス管挿入前のMRIにより回腸子宮内膜症の術前診断が可能となり,治療の低侵襲化も期待できる.

    今回,われわれはイレウスを初発症状とした40歳代の女性2人に回腸子宮内膜症を疑い,MRIを施行した.MRIによる回腸子宮内膜症の術前診断の下,腹腔鏡手術によるイレウス解除術を選択し良好な経過を得たので報告する.

  • 辻村 直人, 武元 浩新, 吉田 恭太郎, 大島 聡
    2018 年 43 巻 1 号 p. 84-87
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は30歳代女性.既往歴に特記事項はない.上腹部痛・食思不振・38℃台の発熱を主訴に近医を受診した.血液検査で著明な炎症反応を指摘されたため,当院を受診した.来院時,間欠的な腹痛は持続していたものの腹部は平坦・軟で筋性防御や腹膜刺激症状は認められなかった.腹部造影CTで,終末回腸の造影効果を伴う壁肥厚および口側小腸の拡張を指摘された.小腸イレウスと診断し,イレウス管留置による腸管減圧後に手術を施行した.回腸末端から口側8cmに腫瘤を認めたため同部位を含む小腸部分切除術を施行した.経過は良好で術後10日目に退院した.病理組織診断は小腸子宮内膜症であった.腸管子宮内膜症はS状結腸や直腸に多いとされるが,小腸子宮内膜症は比較的稀であるため文献的考察を加えて報告した.

  • 金森 浩平, 小川 淳宏, 清水 将来, 廣岡 紀文, 城田 哲哉, 小川 稔, 渡瀬 誠, 丹羽 英記
    2018 年 43 巻 1 号 p. 88-92
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は55歳男性.某年3月上旬より腹痛あり,前医を受診した.急性虫垂炎の疑いで抗生剤内服治療施行するも症状改善しないため同年4月8日当院受診となった.単純CTで小腸の重積を認め,イレウスを呈していた.造影CTで造影効果を伴う腫瘍性病変を認め,周囲には腫大したリンパ節を認めた.腸重積は解除されていたが,小腸腫瘍による腸重積が腹痛の原因であったと考えられ,同日腹腔鏡下回腸切除術およびリンパ節郭清術を施行した.病理検査で神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor,NET),G1と診断した.リンパ節転移を伴っていた.

    小腸NETは消化管NETの中でも比較的稀であり,症状として通過障害による腹痛をきたすことが多いとされるが,腸重積に至る症例は少ない.

    腸重積を契機とし,リンパ節転移を伴う小腸NETの診断に至った症例を経験したので報告する.

  • 福井 康裕, 福岡 達成, 前田 清, 永原 央, 渋谷 雅常, 中尾 重富, 松谷 慎治, 平川 弘聖, 大平 雅一
    2018 年 43 巻 1 号 p. 93-101
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    症例1は40歳男性.CEA高値で精査の結果,虫垂の囊胞性腫瘤を指摘され当科紹介.腹部CT検査で最大径85mm大に腫大した虫垂を認め,虫垂粘液囊腫と診断し,回盲部切除術+D2郭清を施行した.病理組織診断でLow-grade appendiceal mucinous neoplasm(LAMN)と診断された.症例2は81歳女性.下部消化管内視鏡検査で虫垂入口部に全周性隆起性病変を指摘され,生検にて広基性鋸歯状腺腫/ポリープを疑われたため,当科紹介.腹腔鏡下回盲部切除術+D2郭清を行い,病理組織診断でLAMNと診断された.LAMNは原則的に外科的切除が考慮されるが,切除範囲など明確な基準はない.また,術前診断も困難で,今回の2症例は潜在的に悪性であることを考慮し,回盲部切除術+D2郭清を行った.今後症例の蓄積・検討が必要と考える.

  • 三原 良明, 松下 公治, 平岡 優, 岡本 史樹, 福田 千文, 八岡 利昌, 池田 豊秀, 内村 智生, 木田 孝志
    2018 年 43 巻 1 号 p. 102-108
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    患者は75歳男性.既往歴はパーキンソン症候群.虫垂切除術.2016年3月に貧血を指摘され,原因精査にて腹壁浸潤を伴う盲腸癌と診断.術前化学療法として4月よりmFOLFOX6を合計4回施行し腫瘍縮小後,同年6月腹腔鏡補助下回盲部切除術,腹壁合併切除術施行し,右大腿筋膜張筋弁を用いて腹壁再建した.術後経過は良好で,合併症を認めることなく退院となった.

    本症例では腹部正中に大きな切開創を残すことなく,浸潤部を詳細に観察し,腹壁欠損範囲を最小限に留めることができた.腹壁再建を要す腹壁浸潤盲腸癌では,腹腔鏡補助下手術が整容性の維持および術後疼痛緩和の上で有効と考えられた.

  • 原 明弘, 酒向 晃弘, 村井 伸, 前野 竜平, 箱田 浩之, 大片 慎也, 平 哲郎, 稲垣 勇紀, 丸山 岳人
    2018 年 43 巻 1 号 p. 109-116
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    横行結腸と直腸の二重癌に対し腹腔鏡下結腸部分切除術と低位前方切除術を行ったところ,吻合部間再建腸管全体の虚血性変化による高度狭窄を呈した症例を経験したため報告する.症例は82歳,男性.糖尿病の既往あり.術後早期より高度の下痢と腹痛をきたした.造影CT上,再建腸管に高度虚血を疑う所見があり,保存的療法を行うも最終的に再建腸管全体の狭窄をきたした.虚血をおこした原因は,高齢と糖尿病による動脈硬化や,再建腸管に用いた部位が元来血流に乏しい領域であることに加えて,術中の腹腔鏡操作や郭清範囲の影響も考えられた.大腸切除再建操作では,血流に注意するだけでなくその患者の動脈硬化や基礎疾患・全身状態,術前腸管の状態,温存する動静脈のバランスなどを注意すべきであり,術中もリスクに応じた郭清範囲決定や血管損傷や腸管損傷を常に意識した愛護的操作が必要となる.

  • 髙橋 真治, 呉屋 朝幸
    2018 年 43 巻 1 号 p. 117-121
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    患者は70歳代,男性.心房細動による心原性脳梗塞症に対し,脳神経外科でリバーロキサバンによる抗凝固療法を受けていた.突然の嘔吐・腹痛・下血を発症し,翌日の造影CTで上腸間膜動脈閉塞,腸管虚血,肝内門脈ガス血症を認めた.腸管壁の造影性は低下し腸管浮腫も呈していたが,上腸間膜動脈造影で塞栓は不完全で末梢側血流は比較的良好に残存していた.また,ショック症状や腹膜刺激症状は認めなかった.以上から,上腸間膜動脈の不完全閉塞による虚血性腸炎,およびそれに起因した肝内門脈ガス血症と診断し保存的治療を選択した.翌日以降の複数回にわたる再検造影CTで肝内門脈ガス像は消失し,腸管壁の造影性や腸管浮腫像も改善し,発症後21日目に再転科した.上腸間膜動脈閉塞による虚血性腸炎に起因した門脈ガス血症を認めた場合,限定された条件下では保存的治療を完遂出来る可能性があると考えられた.

  • 関 博章, 石井 賢二郎, 安井 信隆, 坂田 道生, 嶋田 昌彦, 松本 秀年
    2018 年 43 巻 1 号 p. 122-128
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は41歳,男性.2012年7月に検診の腹部超音波検査で肝S5に9mmの腫瘤を指摘され,腹部CTを行い,肝血管腫として経過観察されていた.2年後の検診の腹部超音波検査で増大したため,CTとMRIを施行した.腫瘍径は15mmに増大していたが,画像診断では良性の可能性が高いと診断された.その後,3カ月から6カ月毎にMRIで厳重に経過観察されたが,形状や大きさに変化を認めなかった.しかし初診から3年後のMRIで腫瘍径がわずかに増大していたため,治療方針決定のために経皮経肝超音波ガイド下針生検を施行した.病理組織学的には脈管腔を伴った腫瘍細胞が散在し,内腔に赤血球が含まれ,免疫染色ではCD34が腫瘍細胞に陽性,D2-40が一部の腫瘍細胞に陽性で,類上皮血管内皮腫と診断された.肝S5亜区域切除を施行した.類上皮血管内皮腫は画像のみでは診断困難のため,早期に生検による組織診断を行うことが重要である.

  • 小笠原 弘之, 原 康之, 川岸 直樹
    2018 年 43 巻 1 号 p. 129-134
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は53歳,男性.2003年に肝S5およびS6に最大径11cmと5cmの肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma:HCC)を指摘された.右葉切除を目指したが,肝硬変に伴う肝機能低下のため,門脈塞栓術を施行するも残肝が足りず,腫瘍核出術を施行した.病期分類はT3N0M0,Stage Ⅲであった.その後,再発を繰り返したが,肝切除を計7回,肝動脈化学塞栓療法(transcatheter arterial chemo- embolization:TACE)を計9回行うことにより,12年間の長期生存を得られた.

    再発を繰り返すHCCであっても,肝切除,TACEなどを組み合わせた集学的治療によって,長期生存につながる可能性がある.

  • 小林 大悟, 一川 貴洋, 田邊 裕, 増渕 麻里子, 出口 智宙, 高瀬 恒信, 矢口 豊久
    2018 年 43 巻 1 号 p. 135-140
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は81歳女性.右上腹部痛を主訴に救急搬送された.採血上,軽度炎症反応上昇を認めた.超音波検査では,胆囊は腫大していたが胆囊管は途絶していた.また,胆囊頸部に結石は認めず.造影CT検査では,胆囊壁肥厚を伴う胆囊腫大を認めたが胆囊頸部~胆囊管は指摘できなかった.胆囊体部は尾側へ偏位しており遊走胆囊の所見で胆囊壁の軽度造影不良を認めた.以上より胆囊捻転症を疑い緊急腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した.胆囊はGrossⅠ型の遊走胆囊で反時計回りに360度捻転していた.剝離面積が少なかったため,手術操作は比較的容易であった.術後経過は良好で3日目に退院した.今回われわれは,胆囊捻転症と術前診断し緊急腹腔鏡下胆囊摘出術を安全に施行し良好な予後が得られた症例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.

  • 高橋 優太, 大田 耕司, 棚田 稔, 高畑 浩之
    2018 年 43 巻 1 号 p. 141-147
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は52歳,女性.咳嗽を主訴に前医を受診し胸部CTにて,膵頭部に腫瘤を認め精査加療目的に当院紹介となった.腹部造影CTでは腫瘍は早期相から強く造影された.膵神経内分泌腫瘍を疑い,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本では膵頭部に3.6cm大の境界明瞭な腫瘍が認められた.病理組織学的検査では血管の周囲に淡明または弱酸性の胞体を持つ上皮様細胞の増殖を認め,免疫染色では,HMB-45,Melan-Aが陽性,S-100が陰性であり,膵臓原発Perivascular epithelioid cell tumor(PEComa)と診断された.膵臓原発PEComaは比較的予後良好な腫瘍であるが,悪性の経過をたどるものも存在する.本症例では,腫瘍は核分裂数,MIB-1標識率ともに低く,悪性度は低いと考えられる.現在術後31カ月再発なく経過している.非常に稀な膵臓原発PEComaの1例を経験したため文献的考察を加え報告する.

  • 石川 慎太郎, 東 幸宏, 小路 毅, 山崎 將典, 丸尾 啓敏
    2018 年 43 巻 1 号 p. 148-153
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は60歳代男性.右下腹部痛と右鼠径部膨隆を主訴に,救急外来を受診した.嵌頓を伴う右鼠径ヘルニアを認め,用手還納不可能であった.血算,血液生化学検査で炎症反応の上昇を認め,腹部造影CTでは大網が層状渦巻き構造を示し,その一部がヘルニア内容として右鼠径管から脱出していた.右鼠径ヘルニアに起因した大網捻転症と診断し,緊急手術を施行した.術中所見で,大網は時計方向に540度回転し,末梢側が壊死していた.壊死した大網を切除し,ヘルニア修復術を行った.大網捻転症は特徴的なCT所見を示す比較的稀な疾患である.右鼠径ヘルニアに起因する続発性大網捻転症の1例経験した.過去の本邦報告38例とあわせて検討したため報告する.

  • 堀岡 宏平, 藤本 崇聡, 中本 充洋, 山内 潤身, 荻野 利達, 中島 洋, 北原 光太郎, 中村 賢二, 八谷 泰孝, 福山 時彦
    2018 年 43 巻 1 号 p. 154-158
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル フリー

    患者は40歳代,男性.12年前に右鼠径ヘルニアに対してMesh-Plug法によるヘルニア修復術を施行されていた.1カ月前から右鼠径部痛を自覚し当科を受診した.CT,MRIで虫垂炎による遅発性メッシュ感染・腹壁膿瘍が疑われ,腹腔鏡下に手術を施行した.虫垂はヘルニアメッシュへ固着し,周囲に膿瘍を形成していた.虫垂とメッシュを摘出し,ドレーンを膿瘍腔経由で腹腔内に挿入した.術後18日目に退院し,術後3カ月が経過したが感染やヘルニアの再発は認めていない.虫垂炎による遅発性メッシュ感染に対する腹腔鏡下手術は安全かつ有用な術式であると考えられた.

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