日本外科系連合学会誌
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Original Article
  • Takehito Yamamoto, Yoichiro Uchida, Hiroaki Terajima
    2018 年 43 巻 5 号 p. 783-788
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    Background: Peripherally inserted central catheters (PICCs) are a better alternative to conventional central venous catheters (CVCs). However, PICCs are not widely used in several countries, including Japan, because of the difficulties involved in ultrasound-guided venipuncture and catheter placement under X-ray guidance.

    Methods: Patients in whom indwelling PICCs were inserted by the standardized method developed in our department between 2015 and 2016 were enrolled. We analyzed the rate of successful placement of PICCs and the frequency/nature of complications associated with their placement. In all the patients enrolled in the present study, a 4-Fr single-lumen Groshong® catheter had been placed in the upper arm above the antecubital fossa. These catheters were inserted under ultrasound guidance and evaluated by X-ray.

    Results: Successful placement was accomplished in 107 (92.2%) of the 116 attempts made to place a PICC. These 107 patients comprised 62 men and 45 women, with a mean age of 68±13 years. The major vessel of insertion was the basilic vein (97 patients; 91%). The median procedure time was 32 minutes (9-149 minutes). Complications included blood stream infection in three (2.8%) patients, phlebitis in three (2.8%) patients, and thrombotic line occlusion in two (1.9%) patients. The median indwelling period was 20 days (13-30 days).

    Conclusion: We consider that placement of PICCs is uncomplicated, based on the short procedure time and relatively low rate of complications. Placement of PICCs using a standardized method should be widely adopted as a feasible alternative to CVC placement.

臨床経験
  • 村上 昌裕, 清水 潤三, 古賀 睦人, 古川 陽菜, 川端 良平, 能浦 真吾, 長谷川 順一
    2018 年 43 巻 5 号 p. 789-793
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    (目的)術後の嘔気・嘔吐(postoperative nausea and vomiting,以下PONV)は全身麻酔患者の約30%に出現し,術後疼痛とともに術後のQOLを左右する重要なものである.今回,腹腔鏡下胆囊摘出術後のPONVについて検討した.

    (方法)2011年4月から2016年9月までに,当院で腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した710例において,PONVを認めた症例を検討し,そのリスク因子について後方視的に検討した.

    (結果)PONVを認めたのは256例(36.0%)であり,リスク因子として女性,若年,喫煙歴なし,飲酒歴なし,開腹歴ありが挙げられた.多変量解析では女性,65歳未満,開腹歴ありが有意な因子であった.

    (結論)腹腔鏡下胆囊摘出術におけるPONVは若い女性に多く,正確なリスク層別化とその予防対策を含めた対応が必要と考える.

  • 西村 泰司, 野崎 哲夫, 渡辺 晃秀, 森川 泰如, 李 哲洙, 栗田 晋, 阿部 裕行, 木村 剛, 近藤 幸尋
    2018 年 43 巻 5 号 p. 794-799
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    【目的】膀胱タンポナーデもしくは多量の凝血が膀胱内にある高齢者の肉眼的血尿では出血性膀胱炎の頻度が高いが,その際に膀胱腫瘍との鑑別にパワードプラ超音波検査で血流の有無をみることが有用か否かを明らかにすることを目的とした.

    方法】肉眼的血尿があり,膀胱超音波検査で膀胱腫瘍も否定できない膀胱内占拠性病変がある患者21名(年齢51~97歳,平均年齢79.0歳,女性11名,男性10名)を対象としパワードプラ超音波検査を施行した.

    【結果】膀胱内占拠性病変に対するパワードプラ超音波検査を施行した21例のうち血流を認めなかったのは出血性膀胱炎の19例および腎癌の1例で,膀胱癌の1例では周囲組織にはない血流シグナルを認めた.以上より全例において膀胱腫瘍の有無をパワードプラで鑑別できた.また出血性膀胱炎は90.5%と高頻度であった.

    【結語】膀胱タンポナーデもしくは多量の凝血が膀胱内にある高齢者の肉眼的血尿では膀胱腫瘍を念頭に入れなければならないが,頻度的には出血性膀胱炎がほとんどであった.また症例が21例と少ないためさらに症例を増やしての検討が必要だが,今回の出血性膀胱炎では全例で膀胱内占拠性病変に対するパワードプラが陰性で膀胱腫瘍との鑑別に有用と考えられた.

  • 小貫 麻美子, 松本 光司
    2018 年 43 巻 5 号 p. 800-805
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    <目的>当院にて初期子宮頸癌を対象にロボット支援下手術を導入した.その有効性と安全性について検討する.

    <方法>FIGO Stage ⅠA1-ⅡB期の子宮頸癌患者をロボット支援下手術の候補とした.重症な合併症がなく医師からの説明を受け文書にて同意が得られた患者を対象とした.術者・助手・看護師らと“da Vinci チーム”を結成しメンバーを固定し繰り返し打ち合わせを行った.

    <結果>ⅠA2-ⅠB期8名に対してロボット支援下広汎子宮全摘術を,ⅠA1期2名に対して準広汎子宮全摘術を施行した.術中合併症は重篤なものはなく輸血を要する症例もなかった.広汎子宮全摘術での平均手術時間は453分,平均出血量は190ml,郭清リンパ節数は平均29個だった.摘出標本にて骨盤リンパ節転移陽性,傍腟結合織陽性,深間質浸潤などを認めた4名には術後補助照射を行った.

    <結語>初期子宮頸癌に対するロボット支援下手術の有用性と安全性を確認した.より正確な評価にはさらなる症例の蓄積が必要である

症例報告
  • 塚本 忠司, 洲鎌 芳美, 栂野 真吾, 枝川 永二郎, 貝崎 亮二, 堀 高明, 高塚 聡
    2018 年 43 巻 5 号 p. 806-811
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は69歳,女性.肝細胞癌の術前に胸腹部単純X線検査および腹部CT検査にて胸腔内結石像を認め,術後のCT検査より胸腔内結石と診断し,15年前の胸部X線像との比較をした1例を経験した.胸腔内結石は比較的稀なもので,診断がつかずに摘出術が行われていることが多い.しかしながら症状を呈することなく増大傾向も少ないと考えられるため,本疾患を念頭においた画像診断を行い,不要な摘出術をさけるべきである.

  • 安田 淳吾, 鈴木 裕, 矢永 勝彦
    2018 年 43 巻 5 号 p. 812-816
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    α-fetoprotein(AFP)産生胃癌は肝転移,リンパ節転移を起こし易く,一般的に予後が悪いとされる.また,術後補助化学療法も確立されていない.

    今回われわれはAFP産生進行胃癌に対し,術後S-1の長期内服により5年間再発を認めない1例を経験したので報告する.

    症例は75歳男性.貧血精査の上部消化管内視鏡で胃癌を指摘され,胃角,前庭部胃癌に対し,2008年5月に幽門側胃切除術+Roux-en-Y再建術を施行.病理はML,Less,type5,55×40mm,pT3,ly1,v2,pN0pStage ⅡA 組織学的に肝細胞癌類似の構造を示しており,免疫組織染色でα-fetoprotein(AFP)強陽性があり,AFP産生胃癌と診断.術後補助化学療法としてS-1の内服加療を開始した.術後3年経過し再発なくS-1を終了とした.

    その後外来で経過観察したが術後5年間再発所見を認めていない.

  • 谷口 仁章, 三宅 泰裕, 山中 千尋, 森本 芳和
    2018 年 43 巻 5 号 p. 817-822
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は70歳代,女性.下血を主訴に受診し,高度の貧血を認めた.CTは胃前庭部で壁外に突出し,横行結腸間膜への浸潤を示す腫瘍病変を描出した.内視鏡検査では,易出血性で潰瘍を伴った脆弱な腫瘍病変を認め,生検結果は低分化型腺癌であった.進行胃癌と診断し,幽門側胃切除術を施行した.切除標本では,腫瘍は55×45×40mm大で前庭部後壁に主座をおき,表面は脆弱であった.腫瘍内部に一部出血を伴った柔らかい組織を含み,胃粘膜下層より発生した腫瘍病変と診断した.HE染色結果は腫瘍内に拡張した血管が豊富に存在し,好酸性の細胞質と円形の小さな核をもった均一の腫瘍細胞が集簇していた.免疫染色結果は平滑筋αアクチンが陽性であり,胃Glomus腫瘍と診断した.リンパ節転移は認めていないものの,腫瘍細胞は高度異型性を伴っており,また腫瘍が固有筋層に浸潤していることから,悪性を強く疑った.胃Glomus腫瘍は良性と考えられており,悪性を示唆する症例は稀と考えられる.本邦報告例を含めて文献的考察を加えて報告する.

  • 大住 渉, 藤岡 大也, 西口 完二, 川崎 浩資, 重里 親太朗, 豊田 昌夫, 内山 和久
    2018 年 43 巻 5 号 p. 823-831
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は48歳女性.15年前より急性膵炎に対し数回の入院歴がある.心窩部痛,腹部膨満感を主訴に当院を受診した.X-Pおよび血液検査データにて腸閉塞と急性膵炎と診断した.腹部CT上十二指腸下行脚で腸重積所見を認め,腸重積による消化管閉塞に対する減圧と膵炎の治療を行った.腸重積は保存的に自然解除されたが,上部消化管造影および内視鏡にて十二指腸下行脚管腔内に憩室を認めた.憩室による十二指腸狭窄部を先頭に腸重積を引き起こし,その機械的刺激によって膵炎をきたしていたと考えられた.十二指腸管腔の狭小化と腸重積再発予防を考慮し手術を行った.腸回転異常を併存していたのでLadd靭帯の切離と虫垂切除,および十二指腸憩室切除を行った.術後経過良好で第14病日退院となった.病理組織にて管腔内型十二指腸憩室と診断した.管腔内型十二指腸憩室の1例を経験したので文献学的考察を加えて報告する.

  • 金子 直征, 石居 健太郎
    2018 年 43 巻 5 号 p. 832-837
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は21歳,男性.腹痛にて当院を受診し,CT検査にて盲腸周囲の内ヘルニアを疑い緊急手術を施行したが,腹腔鏡所見では回盲部型の腸重積と診断した.回腸の牽引で腸重積は整復できたが,鉗子の触感で盲腸内にやわらかい腫瘤を疑い,術後に精査を行う予定にして手術を終了した.術後の下部内視鏡検査では盲腸に粘膜下腫瘍様の隆起を認めたが,ボーリング生検では浮腫性変化のみで腫瘍性変化は認めず,特発性腸重積と診断した.腸重積は小児では大半が特発性であるが,成人では約9割に器質的病変が存在し,特発性は稀である.今回われわれは腹腔鏡下に整復を行い,術後検査にて特発性腸重積と診断した1例を経験したので報告する.

  • 前田 文, 大木 岳志, 小川 真平, 井上 雄志, 山本 智子, 山本 雅一
    2018 年 43 巻 5 号 p. 838-844
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は73歳女性.主訴は腹痛.2週間前に腹痛が出現.近医を受診したが改善せず当院を受診し精査目的で入院となった.腹部は軽度膨満し左上腹部に圧痛があった.腹部超音波検査で腸管陥入像を,CT検査では左上腹部の空腸内腔に突出する腫瘤性病変を認め口側腸管は拡張していた.小腸腫瘍による腸重積,亜腸閉塞と診断,腹痛が増強したため単孔式腹腔鏡下小腸部分切除術を施行した.腹腔内を観察するとトライツ靭帯から約80cmに拡張した空腸,重積した腸管を認めた.重積腸管を体外へ誘導,用手的に解除した後に小腸を部分切除した.切除標本で40×35×25mmの弾性硬の隆起性腫瘍を認めた.病理組織学的にInflammatory Fibroid Polyp(以下,IFP)と診断された.術後経過は良好で術後第5病日に退院した.

    小腸IFPは比較的稀な疾患だが成人腸閉塞の原因として鑑別にあげるべきであると考えられた.また小腸腫瘍は腹腔鏡手術の良い適応である.本症例は腸重積の状態であったが安全に手術可能だった.

  • 沢田 尭史, 本間 重紀, 吉田 雅, 柴崎 晋, 川村 秀樹, 若山 顕治, 柿坂 達彦, 横尾 英樹, 神山 俊哉, 小松 嘉人, 結城 ...
    2018 年 43 巻 5 号 p. 845-854
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    AFP産生大腸癌は稀な上に高率に肝転移を伴う予後不良な疾患であり標準的な治療戦略は確立していない.今回われわれは,同時性多発肝転移を伴ったAFP産生大腸癌に対し,原発巣切除後にXELOX+bevacizumab療法が奏効し,R0切除をしえた1例を経験したので報告する.症例は65歳男性で,食欲不振で近医を受診した.腹部ultrasonography(以下,US)にて肝腫瘍を指摘され,精査加療目的に当科紹介となった.血清AFPが1,636ng/mLと異常高値を認め,下部消化管内視鏡検査,腹部CT検査にて横行結腸癌同時性多発肝転移と診断した.狭窄が高度であったため大腸切除を先行させる方針とし,腹腔鏡下横行結腸切除を施行した.術後XELOX+bevacizumab療法を計8コース施行後にR0切除が可能と判断し肝右葉切除術を施行した.肝切除後19カ月後に肝S4に再発を認めたが肝S4部分切除を施行し,初回術後40カ月現在,外来にて経過観察中である.

  • 横溝 和晃, 長屋 昌樹, 水谷 政之, 八田 一葉, 清水 一起, 菊一 雅弘, 嘉悦 勉
    2018 年 43 巻 5 号 p. 855-861
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は74歳,男性.直腸癌(RS-Ra,Type1,tub1,pT3,pN2,H0,P0,M0,Stage Ⅲb)に対し腹腔鏡下直腸切除術を施行した.術後補助化学療法を4カ月施行したが副作用により中断した.術後1年半頃よりCEAの上昇(5.6ng/ml)を認めたがCT検査では転移,再発は認めなかった.術後3年目のCT検査およびFluorodeoxyglucose positron emission tomography(FDG-PET)検査で上直腸動脈の結紮に用いた血管クリップの近傍に,辺縁整な2cm大の孤立性の腫瘤を認めた.腹腔鏡手術を選択し,初回の手術の影響で腹壁に小腸の強固な癒着を認めたが剝離後,再発部位を切除しえた.病理組織学的検査で中分化型腺癌を認め,直腸癌による腹膜への再発と診断した.直腸癌による孤立性の腹膜への再発は極めて稀で,摘出術式の選択も含め文献的考察を加えて報告する.

  • 和田 由大, 萩原 英之, 宮前 拓, 鎌田 順道
    2018 年 43 巻 5 号 p. 862-868
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は24歳女性.右下腹部痛を主訴に当院を受診した.腹部超音波検査で回盲部にtarget signを認め,腹部造影CT検査で回腸末端が盲腸内に先進している所見を認めた.下部消化管内視鏡検査では腸重積の原因となる明らかな腫瘍性病変は認めず,特発性腸重積と診断したが,内視鏡的整復は不可能であった.翌日の腹部単純CT検査でも改善は認めず,腹腔鏡補助下にて整復を行った.整復後の先進部は硬く,腫瘍様に触れたため,回盲部切除を施行した.病理学的所見でも器質的疾患は認めず,特発性腸重積の診断であった.

    成人の特発性腸重積は稀であり,術前に診断がつかないことが多い.今回われわれは,術前に特発性腸重積と診断し,腹腔鏡手術により,整復,切除を施行しえたので,若干の文献学的考察を加えて報告する.

  • 吉田 有佑, 森川 達也, 半澤 俊哉, 藤本 卓也, 甲斐 恭平
    2018 年 43 巻 5 号 p. 869-873
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    虫垂子宮内膜症は稀少部位子宮内膜症の一つで虫垂粘液囊腫の所見を呈することがある.今回,虫垂子宮内膜症を合併した虫垂粘液性囊胞腺腫を経験した.症例は43歳,女性.下腹部痛の精査で虫垂腫瘍を指摘され,当院に紹介となり単孔式腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した.病理組織学的検査の結果,虫垂粘液性囊胞腺腫および虫垂子宮内膜症の診断に至った.いずれの疾患も虫垂腫瘍の鑑別に挙げ,特に30~40歳代の女性の場合,二つの疾患を合併している可能性があることも考慮しておくべきである.

  • 五味 卓, 笹原 孝太郎
    2018 年 43 巻 5 号 p. 874-878
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は60歳女性.S状結腸癌に対し腹腔鏡下S状結腸切除術を施行し,以後外来でフォローされていた.術後11カ月の腹部CTにて虫垂径11mm大の腫大を認め,さらに4カ月後の腹部CTで虫垂径17mmと増大傾向を認めたためPET-CT検査を施行した.虫垂にSUVmax11.4とFDG集積と周囲のリンパ節への集積を認めた.虫垂悪性腫瘍を否定できず,腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した.術後診断は黄色肉芽腫性虫垂炎で,腫瘍性病変は認めなかった.黄色肉芽腫は慢性化膿性炎症の一特殊型であり胆囊や腎臓に好発し,虫垂では本邦でも報告例は少ない.虫垂癌との鑑別が困難で,腹腔鏡下手術を施行した黄色肉芽腫性虫垂炎の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.

  • 土谷 祐樹, 茂木 俊介, 市川 亮介, 水越 幸輔, 杉本 起一, 神山 博彦, 高橋 玄, 小島 豊, 冨木 裕一, 坂本 一博
    2018 年 43 巻 5 号 p. 879-884
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は40代の男性で,1週間続く発熱,下腹部痛,腹部膨満感を主訴に来院した.下腹部に圧痛がみられたが,腹膜刺激症状は認められなかった.腹部造影CT検査で,盲腸に接する140×80mm大の膿瘍を骨盤内に認めた.膿瘍形成性虫垂炎の診断で,入院後抗菌薬投与を開始した.夜間になり肛門から排膿を認めた.注腸造影検査では移動盲腸を認め,直腸と虫垂の間に瘻孔が疑われた.2週間後の造影CT検査では,膿瘍の著明な縮小が認められた.膿瘍形成性虫垂炎による虫垂直腸瘻の診断で第20病日に手術を施行した.盲腸と直腸の間に膿瘍があり,虫垂は膿瘍腔と一塊になっていた.回盲部切除術を行い,直腸の瘻孔部は縫合閉鎖した.術後経過は良好であった.自験例は,移動盲腸に生じた虫垂炎による膿瘍が直腸S状部に穿破し,自然排膿したと診断した.骨盤内膿瘍の鑑別として,移動盲腸に発症した急性虫垂炎の可能性も考慮する必要があると考えられた.

  • 深作 慶友, 相山 健, 宇根 良衛
    2018 年 43 巻 5 号 p. 885-891
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は60歳,女性.便秘を主訴に当院内科を受診し,下部消化管内視鏡検査で直腸Rbに粘膜下腫瘍を指摘された.内視鏡的に腫瘍生検を施行したが確定診断に至らず,CT・MRIの画像診断でも腫瘍の診断が困難であった.診断的治療目的に当科紹介され,経肛門的腫瘍切除を施行した.病理組織学検査ではCD34(-),c-kit(-),α-Actin(-),Desmin(-),S-100(+)であり,悪性所見のない神経鞘腫であり断端は陰性であった.大腸原発の神経鞘腫は稀な疾患であり,一部に悪性例の報告もあるが,大部分は良性であり,自験例のように縮小手術で患者のQuality of life(QOL)を損なわずに根治できる疾患である.本邦報告例82例と合わせ,診断・治療について検討を行う.

  • 中本 裕紀, 神山 俊哉, 横尾 英樹, 折茂 達也, 若山 顕治, 中 智昭, 三橋 智子, 武冨 紹信
    2018 年 43 巻 5 号 p. 892-899
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は59歳,男性.HCV感染症に対して28年前にIFN治療を施行されSVR後であった.また胃原性悪性リンパ腫に対して化学放射線治療施行され寛解中であり,年1回の外来通院をしていた.定期検査CTでi肝S8に38mm大と20mm大の腫瘍を認め,造影CTでそれぞれ動脈相で早期濃染,平衡相でwash outを認めた.EOB-MRIでは,それぞれ肝細胞相での信号低下を認め,両腫瘍とも肝細胞癌と診断した.肝S8の2つの腫瘍に対して肝S8ab切除術を施行し,術後18日目に退院となった.病理組織検査で38mmの腫瘍は中~低分化型腺癌の所見を認め,免疫組織学的染色でCK7陽性,CK19陽性であり肝内胆管癌と診断した.一方,20mmの腫瘍は単一腫瘍内に肝細胞癌と肝内胆管癌へ明瞭に分化した成分が混在しており,免疫組織学的染色で肝細胞癌成分はHEP-PER1陽性,肝内胆管癌成分はCK7陽性であり混合型肝癌と診断した.同時性に混合型肝癌ならびに肝内胆管癌が併存する症例は稀であり,本症例のように多血性を示す場合は肝細胞癌との鑑別が困難となり注意を要する.

  • 中本 裕紀, 石川 隆壽, 横山 良司, 西川 眞, 武冨 紹信
    2018 年 43 巻 5 号 p. 900-904
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は75歳女性.持続する上腹部痛を主訴に当院受診.精査の結果急性胆囊炎と診断され,同日に経皮経肝胆囊ドレナージ(PTGBD)としてpigtail catheterを挿入した.その後症状および炎症反応の改善を認め,待機的に腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した.術中にpigtail catheterを抜去した際,抜去部の肝実質が損傷し,動脈性出血を認めた.腹腔鏡下での対処は難しく,開腹手術に移行し止血を行った.術後経過は良好であり術後10日目に退院となった.

    PTGBD tube留置時の手術においては慎重な抜去手技と,副損傷の有無の確認が重要であることが示唆された.PTGBDは急性胆囊炎に対し,合併症も少なく,安全で,かつ有効な保存的治療法であるが,今回の症例のように偶発症が発症することを念頭におき,その取扱いには慎重を期すことが肝要である.

  • 新庄 英梨子, 堀岡 宏平, 中本 充洋, 長尾 祐一, 山内 潤身, 中島 洋, 北原 光太郎, 中村 賢二, 八谷 泰孝, 福山 時彦
    2018 年 43 巻 5 号 p. 905-909
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は73歳の男性.脳梗塞に対しアスピリン,深部静脈血栓症に対しエドキサバンを内服中であった.心窩部痛があり,血液検査で軽度の貧血と炎症反応の上昇を認めた.造影CT検査で出血性胆囊炎が疑われ緊急手術を施行した.腹腔内には血性腹水を多量に認めた.胆囊は緊満し壁が肥厚しており,体部に穿孔部位を認めた.活動性の出血はなかった.腹腔鏡下に胆囊を摘出した.病理組織学的検査では胆囊体部の穿孔部周囲に出血,フィブリン析出を伴う全層性の壊死を認めた.

    胆囊炎に胆囊出血を合併することは稀であるが,本症例のように抗血栓療法中の患者における胆囊炎を診療するにあたっては,胆囊出血や腹腔内出血の発症を念頭に置く必要がある.

  • 力石 健太郎, 小村 伸朗, 柳垣 充, 日高 卓, 佐々木 敏行, 平林 剛
    2018 年 43 巻 5 号 p. 910-918
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は80歳代女性.身長145cm,体重37kg,BMI 17.6kg/m2.2017年X月,1週間前から続く腹痛を主訴に当院を紹介受診した.来院時37℃台の微熱と筋性防御を伴う下腹部痛,右季肋部痛を認め,Murphy徴候陽性であった.血液検査ではWBC 9,500/uL,CRP 10.7mg/dLと炎症反応高値であったが,肝胆道系酵素の上昇は認めなかった.腹部CTでは胆囊壁肥厚,胆囊腫大,胆囊底部の下腹部への偏位,胆囊管の渦巻き像を認めた.また同日施行したMRCPにて胆囊管の捻転,胆囊頸部の欠損,胆囊底部の偏位を認めたため,胆囊捻転の診断にて緊急手術の方針とした.開腹すると,暗赤色に拡張した胆囊を認め,胆囊が時計回りに360度捻転していた.遊走胆囊Gross Ⅰ型と診断し,捻転解除後に胆囊を摘出した.術後4日目より経口摂取を再開し,術後20日目に軽快退院となった.自験例ではCTでは確定診断がつかず,MRCPにて確定診断に至った.胆囊捻転症は比較的稀な疾患であり,文献的考察を加えて報告する.

  • 鈴木 和臣, 丸山 常彦, 鈴木 修司
    2018 年 43 巻 5 号 p. 919-925
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は49歳,女性.主訴は腹部膨満感と頻回の嘔吐で,当院消化器内科を受診した.上部消化管内視鏡検査にて十二指腸下行脚の狭窄が指摘され緊急入院となった.血液検査ではCA19-9 285U/ml,SPan-1 82U/mlと上昇を認めた.腹部造影CTでは胆囊壁のび漫性肥厚と肝浸潤を疑う所見を認め,腫瘍による圧排で十二指腸下行脚の狭窄を認めた.胆囊癌十二指腸浸潤の診断にて手術を施行した.術中所見では腹腔内に多発播種結節を認め,大網結節の迅速診断で印環細胞癌の診断に至った.根治切除は困難と判断し,胃空腸バイパス術を施行した.術後はゲムシタビン+シスプラチンによる化学療法を開始した.現在術後10カ月経過しており,生存中で化学療法を継続している.胆囊原発印環細胞癌は全胆囊原発癌の約1%とされており稀である.今回われわれは非常に稀な胆囊印環細胞癌の1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.

  • 栗原 重明, 金沢 景繁, 清水 貞利, 村田 哲洋, 浦田 順久, 塚本 忠司
    2018 年 43 巻 5 号 p. 926-931
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は67歳,男性.65歳時に胆石症に対して他院で腹腔鏡下胆囊摘出術施行の既往あり.肝右葉下縁の不整な軟部陰影がみられ当科紹介受診された.画像所見上,一番に軟部腫瘍が疑われ,増大傾向を認めたことなどより診断目的のため腹腔鏡下摘出術を施行した.術中腫瘤周囲を剝離中に膿汁や多数の結石の流出を認めた.術後経過は良好で術後4日目に軽快退院された.病理組織学的所見上,多彩な炎症細胞の集簇を認め,膿瘍を形成している所見であった.また結石はビリルビンカルシウム結石であり,2年前に他院で施行された腹腔鏡下胆囊摘出術時の落下結石の遺残による膿瘍形成と診断した.腹腔鏡下胆囊摘出術中の落下結石による遅発性の膿瘍形成の報告は非常に少ないものの,再手術を要する例が多く注意を要する.

  • 山中 千尋, 谷口 仁章, 三宅 泰裕, 森本 芳和
    2018 年 43 巻 5 号 p. 932-938
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は25歳,男性.下痢を主訴に近医受診.上部内視鏡検査にて十二指腸乳頭部近傍に腫瘍を指摘され,加療目的に当院を受診.腹部造影CTでは,膵頭部に10mm大の腫瘍を認め,生検にてGroup 5と診断した.膵頭部癌の診断下,膵頭十二指腸切除術を施行.病理組織診断では,腫瘍は腺腔を形成する腺房細胞癌部分と,大小不同の胞巣状構造をとる神経内分泌腫瘍の部分が存在し,両者は混在することなく,比較的明瞭な境界を有していた.免疫組織化学染色において,前者はトリプシン,後者はシナプトフィジンおよびクロモグラニンAが陽性で,腺房細胞癌と神経内分泌腫瘍が併存する膵併存腫瘍と診断した.神経内分泌腫瘍はホルモン産生細胞であるグルカゴン,インスリン,ソマトスタチンも陽性に染色された.胃排出遅延を認めたため入院が長期化し,38日目に退院した.第7版膵癌取扱い規約に則り,膵併存腫瘍の本邦報告例について報告する.

  • 佐々木 健人, 高野 公徳, 中西 亮, 山本 聖一郎
    2018 年 43 巻 5 号 p. 939-945
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は71歳,女性,重度のうつ病患者である.上腹部痛を主訴に精査され上部消化管内視鏡検査にて十二指腸球部後壁に陥凹性病変を認め,同部位の生検の結果低分化腺癌が疑われた.画像検査では膵頭部Groove領域に,十二指腸浸潤を伴う2cm大の腫瘤と3か所の肝転移を認め,通常型膵癌同時性多発肝転移と診断した.コンプライアンス不良で化学療法は施行できず,対症療法のみで経過観察したが,緩徐な増大傾向を示すものの診断より50カ月経過した現在も担癌生存中である.切除不能膵癌の経過として非典型的であったため,病理組織標本を再検討し膵神経内分泌腫瘍(pNET)G1と診断した.転移巣を伴うpNETに対する外科切除の意義は無治療とのランダム化比較試験によって示されたものではなく,肝転移切除後の再発も少なくない.そのため,腫瘍の分化度,腫瘍量,進行の速度および腫瘍随伴症状の有無などを考慮した慎重な手術適応および術後補助療法と厳重な経過観察が必要と思われた.

  • 中本 裕紀, 石川 隆壽, 横山 良司, 西川 眞, 市原 真, 武冨 紹信
    2018 年 43 巻 5 号 p. 946-951
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は70歳男性.3カ月前からの右鼠径部膨隆,1カ月前からの間欠的腹痛・腹部膨満感を主訴に当科受診し,イレウスの診断で同日にイレウス管を挿入した.イレウス管造影では一部小腸の狭窄を認めた.保存的治療で軽快し食事再開したが,イレウスが再燃し手術を施行した.審査腹腔鏡を施行したところ,小腸の一部に器質的狭窄・右大腿ヘルニアの所見を認め,右大腿輪に小腸が一過性に嵌入し,イレウスおよび小腸狭窄をきたしたものと考えられた.腹腔鏡下小腸切除術を施行した.病理検査では狭窄部小腸に瘢痕性変化を認め虚血性小腸狭窄が疑われた.大腿ヘルニアに関しては2カ月後に再入院し腹腔鏡下大腿ヘルニア根治術を施行した.その後大腿ヘルニアに起因する鼠経部腫脹,イレウスなどの症状の発現はなく経過している.

    大腿ヘルニア嵌頓自然整復後に虚血性小腸狭窄を生じイレウスが遷延することがあり注意が必要である.

  • 上田 正射, 池永 雅一, 板倉 弘明, 高山 碩俊, 津田 雄二郎, 中島 慎介, 太田 勝也, 足立 真一, 遠藤 俊治, 山田 晃正
    2018 年 43 巻 5 号 p. 952-958
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    われわれは小腸および虫垂が嵌頓した大腿ヘルニアの1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は80歳代の女性で,嘔吐,腹痛を主訴に当院受診した.右鼠径部に3cm大の圧痛を伴う膨隆を認め,腹部は著明に膨隆していた.また,腹部造影CTで右大腿動静脈内側,恥骨筋前面に小腸の嵌頓を認め,右大腿ヘルニア小腸嵌頓による腸閉塞と診断した.腸管の血流異常は認めなかったため用手的な還納を試みたが不可能であったため,緊急手術を行った.手術所見では,右大腿輪へ小腸が嵌頓しており小腸壊死を認めたため,小腸部分切除を施行した.また,その背側に虫垂の嵌頓も認めたため,虫垂切除を行い,大腿輪縫縮によりヘルニア修復を施行した.大腿ヘルニア嵌頓内容物は大網,小腸,大腸の順で多く虫垂は稀であり,小腸および虫垂嵌頓が併存した例は現在まで報告がなく,本症例が本邦で初めてである.

  • 徳丸 剛久, 松橋 延壽, 田中 千弘, 長尾 成敏, 河合 雅彦, 國枝 克行
    2018 年 43 巻 5 号 p. 959-963
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は50歳,女性.日頃よりダイエット用の下着を着用し,腹部全体を締め付ける状態で日常生活していた.咳をした後より徐々に出現した右季肋部痛および嘔吐を主訴に,当院受診され,イレウスの診断にて入院となった.イレウス管による保存的治療で経過観察していたが,症状改善を認めないため当科紹介となった.腹部MD-CT検査所見において,門脈と下大静脈の間に陥入する腸管像を認めたためWinslow孔ヘルニアと診断し,開腹手術を施行した.開腹するとWinslow孔に回腸が陥入しており,一部腸管は壊死していたため腸管温存は困難と判断し,小腸切除を行った.術後経過は良好であり,術後15日目退院となった.近年,画像進化に伴い術前診断可能な症例も増加しているが,現代のダイエットブームにおける強制下着など発症要因など改めて問診の重要性を考えられた.

  • 東 勇気, 月岡 雄治, 桐山 正人, 中村 友祐, 東 友理, 北野 悠斗, 杉本 優弥, 金本 斐子, 高田 智司, 庄司 泰弘
    2018 年 43 巻 5 号 p. 964-970
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は70歳代,女性であり,腹痛と嘔吐を繰り返すため,救急外来を受診した.開腹手術歴はなく,腹部CT検査の結果,内ヘルニアと診断され消化器内科に入院した.保存的加療で症状は改善するものの,食事摂取を開始すると症状が再燃するため,手術適応について当科へ紹介となった.腹部CT検査で胃背側にループを形成した小腸を認め,上部消化管造影では胃背側に上部空腸が造影された.傍十二指腸ヘルニアまたは横行結腸間膜裂孔ヘルニアを疑い,腹腔鏡下手術の方針とした.術中所見でTreitz靭帯左前方に陥入している上部空腸を認め,横行結腸間膜裂孔ヘルニアと診断した.横行結腸間膜裂孔ヘルニアは稀な疾患で,本邦での報告は自験例を含め33例のみであり,腹腔鏡下に修復しえた症例は6例であった.腹腔鏡下手術は出血量が少なく,術後在院日数も短縮される可能性があり,術前に横行結腸間膜裂孔ヘルニアが強く疑われれば,腹腔鏡下手術は有用な治療手段であると考えられた.

  • 水本 一生, 山口 峰一
    2018 年 43 巻 5 号 p. 971-975
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー

    症例は90歳,女性,第2腰椎圧迫骨折で入院加療中に発熱(38.2℃),下腹部痛が出現,腹部CTで子宮留膿症と診断し,婦人科医により経腔的にドレナージが施行されるも症状軽快せず,腹膜刺激症状が出現し,再度の腹部CTで骨盤腔内膿瘍を認めたため緊急手術を施行した.開腹所見では消化管穿孔は認めず,直腸,子宮,膀胱は炎症性に癒着し,骨盤底に膿瘍を認めたため,子宮留膿症の穿孔と考え,子宮腔上部切断術と骨盤腔内ドレナージを施行した.子宮留膿症は高齢化社会において増加している疾患である.多くは経腔的ドレナージで治癒するとされるが,ごく稀に,悪性腫瘍や良性腫瘍の合併,手術,放射線療法や老人性頸管炎による頸管閉塞などがあると穿孔に至る可能性があるため,注意深い経過観察が必要であると考えられた.

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