日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
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20 巻 , 9 号
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  • 山崎 徹, 箱島 明, 石川 幹夫, 石丸 新, 古川 欽一
    1991 年 20 巻 9 号 p. 1465-1469
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    閉塞性動脈硬化症(ASO)における冠動脈病変合併の評価として,ジピリダモール負荷心電図を施行し有用性につき検討した.対象は1988年11月より1989年12月までに閉塞性動脈硬化症(ASO)にて手術予定とされた35例である.ジピリダモール0.568mg/kgを4分間かけて静注し,血圧,心拍数,標準12誘導心電図の変化を測定した.35例中11例が陽性と判定され,陽性11例に冠動脈造影を施行し,10例に75%以上の狭窄病変が認められた.負荷陽性で有症状の1例についてはCABGを施行し,負荷陽性で無症状の10例については現疾患の手術のみを施行した.全例術中術後にわたり,心電図異常および胸痛発作も認めず良好に経過した.負荷陰性例については,complete re-vascularizationを施行した.以上により,ジピリダモール負荷心電図は,冠動脈病変を非侵襲的に発見することが可能であり,手術術式の検討に役立ち,術前検査として有用であった.
  • 諸星 保憲, 大内 博, 上沖 修三, 大熊 恒郎, 森 昌造
    1991 年 20 巻 9 号 p. 1470-1475
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    原発性下肢静脈瘤症例20肢(17名)を対象として,大伏在静脈逆流部(弁不全部)の同定を目的に,術中下行性大伏在静脈造影を試みた.その結果,本法は深部静脈系と表在静脈系の圧格差を作り出した条件下で大伏在静脈弁不全部の描出が可能であった.逆流の様相は複雑であり,とくに本幹の弁不全部から静脈瘤化した枝に逆流した後再度末梢で本幹に流入してくるもの(3肢)や,拡張を伴わぬ逆流部(5肢)も存在した.逆流範囲による分類を行うと大伏在静脈全長にわたるtype 1,下腿部の本幹に健常部を有するtype 2,大腿部より本幹が健常であるtype 3の3型に分けられたが,とくにtype 2, 3は15肢,75%を占め,これらの症例では本幹の健常部を温存した選択的ストリッピングが可能と思われた.しかしtype 2の例で温存可能な長さは平均20.5±4.0cmであり,とくに15cmに満たないものが2例あり,将来の動脈血行再建への利用には限界があるものと考えられた.
  • 長田 一仁
    1991 年 20 巻 9 号 p. 1476-1482
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    教室では,metal hot tip probeを用いたレーザー血管形成術の臨床応用を行っており,その方法,成績,適応,問題点につき検討した.症例は,下肢閉塞性動脈硬化症に起因する血管閉塞あるいは血管狭窄の34例40肢53病変で完全閉塞15肢15病変,50%以上狭窄病変25肢38病変であった.全病変における初期成功率は90.5%であった.血管部位では腸骨動脈領域91.6%,浅大腿動脈領域87.8%,膝窩動脈領域100%であった.閉塞病変と狭窄病変では,閉塞病変で66.6%,狭窄病変では100%であったが,両者た有意な差は認めなかった.また,閉塞病変に関しては,10cm未満の病変の初期成功率は71.4%, 10cm以上が62.5%であった.病変焼灼に要したエネルギー量をみると,閉塞病変焼灼に要したエネルギー量は狭窄病変に比べ有意に多かった.レーザー血管形成術成功肢35肢について,術前後のAPIをみると,閉塞病変,狭窄病変ともに術後に有意な改善を示した.また,レーザー血管形成術の単独群と他の血行再建術を同時施行した群では後者でより有意なAPIの改善を認めた.成功35肢の術後開存成績は,2~30か月(平均経過観察期間19.5±9.6か月)で77.1%(27肢)であった.以上より,metal hot tip probeによるレーザー血管形成術接触法は血行再建術として十分な評価を得られるものと考えた.
  • 羽鳥 信郎, 奥田 恵理哉, 瓜生田 曜造, 志水 正史, 芳賀 佳之, 吉津 博, 田中 勧
    1991 年 20 巻 9 号 p. 1483-1488
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    腎動脈下腹部大動脈瘤の10手術症例を対象とし,術中の大動脈遮断・再灌流に伴う血中の過酸化脂質(MDA)の変動を検討するため補体系や,他の血液生化学的検査とともに術前,術中,術後7日まで経時的に測定した.大動脈遮断時間は,平均63±18分であった.血中MDAは,術前値(3.2±0.7nmol/ml)に比し,大動脈遮断解除20分(2.3±0.6nmol/ml,*p<0.05 vs術前値),40分(2.3±0.5nmol/ml*)で一時的に低下した.C3は,遮断前より低下し術後5日目に回復した.一方,TPとHtは,術前値に比し術中,術後に低下し,さらに,TPとMDA, C3, Htの間には正の相関(p<0.01)がみられたことから,MDA, C3の低下は,血液希釈によるものと考えられた.全症例で全身の合併症は認められなかったものの,手術に伴うミオグロビン,CPK, LDH,アミラーゼ,乳酸等の一過性の上昇が示された.通常の腎動脈下腹部大動脈の一時的遮断・再灌流には,流血中にMDAが生じるような活性酸素の関与は少ないものと思われる.
  • 辻 義彦, 岡田 昌義, 森本 真人, 吉田 正人, 佐藤 洋, 太田 稔明, 細川 裕平, 山本 信一郎, 中村 和夫
    1991 年 20 巻 9 号 p. 1489-1493
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    レーザー血管形成術あるいは冠血行再建術中に血管内視鏡による血管内病変の観察を行った.慢性下肢閉塞性動脈硬化症に対するレーザー血管形成術において血管内視鏡を施行した23例のうち19例(83%)で閉塞または狭窄病変の観察が可能であった.血管内病変の観察率は病変の部位により異なり,大腿動脈より末梢側では13例全例で観察が可能であったのに対して,腸骨動脈領域では10例中6例(60%)が観察可能であった.観察できなかった4例はいずれも血管の屈曲,蛇行が強い症例であり,病変部位を正面視することができなかった.一方,冠血行再建術中の血管内視鏡による観察を計7例で実施したが,いずれも良好な画像が安定して得られ,病変部,冠動脈吻合部および吻合部より末梢側の冠動脈内腔の状況が観察された.以上より血管内視鏡は今後心臓血管外科領域において必須の術中診断法となると考えられた.
  • 青柳 成明, 原 洋, 田山 栄基, 安永 弘, 田中 攻, 明石 英俊, 小須賀 健一, 大石 喜六
    1991 年 20 巻 9 号 p. 1494-1497
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    三心房症は,心房が異常な隔壁によって二分され見かけ上,三つの心房をもつ比較的まれな心奇形である.われわれは左型三心房症の1例を経験し,外科治療を行ったので文献的考察を加えて報告した.症例は25歳の男性で,断層心エコー図で左房内を上方から前下方へ曲線を描く異常隔壁を認め,この隔壁により左房は副左房と真左房に二分されていた.経食道的エコー図ではさらに明確に左房を二分する異常隔壁と,この隔壁の拡張期に僧帽弁側へ向かう動きを明確に認めた.肺動脈造影でも同様に左房を二分する異常隔壁を認めた.完全体外循環下に経心房中隔切開法により左房に達し,左房内異常隔壁を完全に切除した.各種心エコー検査は非侵襲的に異常隔壁を証明でき,本症の診断にはきわめて有力な手段であった.とくに,経食道的心エコー図では,より明確に異常隔壁を描出でき,確定診断が可能であった.
  • 坂口 秀仁, 北村 惣一郎, 河内 寛治, 森田 隆一, 西井 勤, 関 寿夫
    1991 年 20 巻 9 号 p. 1498-1501
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    内胸動脈(ITA)を用いた冠動脈バイパス術(CABG)後に左鎖骨下動脈(SCA)起始部に狭窄性病変が出現しcoronary subclavian steal (CSS)を呈した症例を経験した.症例は70歳女性で,左ITAを左前下行枝(LAD)に用いたCABG術後1年3か月ごろから胸部圧迫感を認めたため,冠動脈グラフト造影検査を施行した.左SCA起始部に高度の狭窄がみられ,造影剤が逆行性に左ITAグラフトを介してLADから左SCAへ流れるCSSを認めた.左SCA起始部の狭窄に対しバルーン拡張術を施行したところ本現象は消失し,狭心症状も消失した.ITAを使用したCABG後にCSSが出現するのは稀であるが注意を要する合併症であり報告した.
  • 松山 謙, 田中 茂夫, 二宮 淳一, 浅野 哲雄, 小泉 潔, 川本 雅司, 大久保 直子, 庄司 佑, 隈崎 達夫
    1991 年 20 巻 9 号 p. 1502-1507
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    膝窩動脈外膜嚢腫は,間欠性跛行をきたす下肢動脈疾患のなかでは稀な疾患であるが,治療のアプローチが他の疾患と若干異なり外科治療が著効するので術前診断が重要である,われわれが調べた限りでは本邦で40例の報告があるが,当施設で2例目を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は58歳男性会社員で16歳から35歳まで週3回の野球,42歳から週3回の3kmのジョギングというスポーツ歴をもつ,正座不能と200mの左下肢間欠性跛行を主訴に来院した.DSAにて左膝窩動脈に分節的狭窄を認め,膝窩動脈外膜嚢腫と診断し,硬膜外麻酔下に膝窩後方S字皮膚切開による手術を施行.左膝窩動脈の内側と外側の2か所に嚢腫を認め,穿刺にてゼラチン様内容物を採取後,嚢腫壁切除術を施行した.術後経過は良好で跛行は完全消失し,術後8週の血管造影では術前の狭窄は完全消失していることを確認した.
  • 大久保 正, 金子 兼喜, 星野 良平, 郷古 親夫
    1991 年 20 巻 9 号 p. 1508-1510
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    鎖骨下静脈カテーテル法による血液透析は緊急時の方法として広く用いられているが,最近になり,重要な合併症として鎖骨下静脈血栓症が少なくないことがわかってきた.末梢にシャントがある場合,それは上肢の腫脹や疼痛を引き起こし,外科的処置が必要となってくる.われわれは67歳女子,右鎖骨下静脈閉塞例にはpolytetrafluoroethylene人工血管による鎖骨下静脈-内頸静脈バイパス,59歳男子,無名静脈狭窄例に対しては自家心膜を用いた血管形成術により静脈血行再建を行った.両例とも症状が消失し,術前と同一のシャントで6か月から25か月にわたり血液透析が可能であった.
  • 小西 宏明, 布施 勝生, 小西 敏雄, 渡辺 泰徳, 高澤 賢次
    1991 年 20 巻 9 号 p. 1511-1514
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    修正大血管転位症に動脈側房室弁閉鎖不全(TR)を合併することはよく知られ,外科的処置の報告も多いが,今回われわれは,腱索断裂によるTRと静脈側房室弁閉鎖不全(MR)を合併した心不全の症例に対し,2弁置換術を施行した.本邦での腱索断裂の報告は1例だけであり,またMRの外科的処置の報告は3例にすぎない,今回は両心不全のため早期に確実に循環動態を改善すべく2弁置換術を選択,良好な結果を得たので報告する.
  • 高山 鉄郎, 須磨 久善, 鰐渕 康彦, 寺田 康, 齊藤 力, 福田 幸人, 古田 昭一
    1991 年 20 巻 9 号 p. 1515-1518
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    3例の左冠動脈主幹部単独狭窄症例に対して大伏在静脈による同部のパッチ拡大術を行った.症例1, 3は狭窄が左冠動脈入口部より始まり左冠動脈主幹部の近位側部分にあるため大動脈と主肺動脈の間を剥離,左冠動脈主幹部を露出確認,上行大動脈左側壁より左冠動脈主幹部前壁を切開,大伏在静脈パッチを連続縫合にて縫着した.一方,症例2では狭窄が左冠動脈主幹部の遠位部分に限局していたため心臓を脱転主肺動脈の外側部より左心耳の手前で左冠動脈主幹部を露出,同部のみの切開でパッチ拡大を行った.左冠動脈主幹部の露出剥離には超音波キューサーが出血も少なく有効であり,また術野が深いため無血野の確保のためには左房左室ベントが不可欠であった.なお左冠動脈に著しい石灰化を認める場合にはパッチ縫着部の止血が困難であり,この手術方法の適応から除外すべきと考えられた.3例とも術後の造影では良好な狭窄部分の拡大が認められており,今後とも適応を限って選択すべき術式と考えられた。
  • 神頭 定彦, 藤井 尚文, 野原 秀公
    1991 年 20 巻 9 号 p. 1519-1523
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    比較的まれなサルモネラ菌感染による仮性腹部大動脈瘤に対し,手術治療により良好な結果を得た.症例は75歳,女性発熱,腹痛にて入院した.体温39.5℃で,腹部に5×5cmの拍動性腫瘤を触知したが,腹膜炎症状は認めなかった.超音波およびCT検査にて,5×1cmの嚢状動脈瘤を認め,血液培養にてサルモネラ菌を検出したため,細菌感染性腹部大動脈瘤と診断した.抗生剤治療を続けたが,炎症所見の亢進が持続し,瘤径の増大を認めたため,手術を施行した.仮性動脈瘤は椎体によりかろうじて破裂をまぬがれており,感染巣の処置後,人工血管にて再建した.術後経過は良好で,術後1年経た現在も感染再燃徴候はみられない.本邦の細菌感染性腹部大動脈瘤の報告は8例のみで,うちサルモネラ菌感染は4例である.治療は,抗生剤が奏効しない場合はできるだけ早期に,感染巣が限局性ならanatomicalグラフトを,広範ならextraanatomical bypassを施行すべきと考える.
  • 飯尾 雅彦, 宮本 勝彦, 黒田 修, 中川 正, 稲村 昇, 松田 暉
    1991 年 20 巻 9 号 p. 1524-1527
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    生後31日目の総肺静脈還流異常症Darling分類1-A型症例に対する根治手術後に人工心肺からの離脱が困難な左心不全をきたした.垂直静脈を開放することにより人工心肺からの離脱および閉胸が可能となった.術後3日目に垂直静脈に通していた糸を引き上げることにより垂直静脈の経皮的二期的閉鎖を行った.閉鎖前後において左房圧,体動脈圧に変化はなく術後経過は良好であった.垂直静脈の経皮的二期的閉鎖は本症の術後左心不全に対する有用な一手段と考えられたので報告する.
  • 田中 攻, 青柳 成明, 古賀 正之, 鈴木 重光, 林田 信彦, 安永 弘, 小須賀 健一, 大石 喜六
    1991 年 20 巻 9 号 p. 1528-1532
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    感染性心内膜炎に起因する僧帽弁瘤を経験し,手術で良好な結果を得た.症例は53歳,男性である明らかなリウマチ熱の既往はなかった.大動脈弁閉鎖不全症の診断のもとに内科治療を受けていたが,経過中に感染性心内膜炎を生じた.そのときはじめて,心臓超音波断層検査で僧帽弁前尖の異常エコー像を指摘された.当科に紹介入院ののち諸検査を行い,僧帽弁瘤の診断で開心術を施行した.手術所見では,大動脈弁は感染性心内膜炎のために高度に破壊されており,僧帽弁前尖は全体が瘤をなし左房側へ突出していた.二弁ともにSJM弁を用いて弁置換術を施行した.術後の病理組織検査では真性僧帽弁瘤の診断を得た.僧帽弁瘤は本邦では自験例を含めて22例の報告をみるにすぎない.僧帽弁瘤の術前診断には心臓超音波断層検査が有用であった.また治療法としては外科手術が必要であり,とくに穿孔をきたす以前に弁置換術を第一選択とすべきである.
  • 阿久津 博美, 末定 弘行, 河内 賢二, 清水 剛, 平山 哲三, 石丸 新, 古川 欽一
    1991 年 20 巻 9 号 p. 1533-1535
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル フリー
    術前高ビリルビン血症を伴った42歳男性の大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症に対し人工弁置換術とHaemonetics社製Cell Saver 4®を用いた術中血漿交換療法を施行した.人工心肺の回路残血と術野吸引血11,300mlを洗浄処理し210mgのビリルビン除去が可能であった.術中輸血量は同種赤血球濃厚が2単位,血漿交換に要した同種FFPは36単位であった.ビリルビン値は9.9mg/dlから術直後4.5mg/dlに減少,その後一過性の上昇(9.0mg/dl)を認めたが徐々に正常化し退院した.高ビリルビン血症に対する術中の血漿交換は安全かつ有用な手段と考えられた.
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