患者は69歳, 男性. 1995年10月, S状結腸癌に対しS状結腸切除, 11月, 盲腸多発穿孔に対し右半結腸切除・腹腔ドレナージを施行された. 1996年3月始めより, 38℃以上の弛張熱と赤沈, CRPの高値が持続するため, 再入院した. 腹部CTおよび動脈造影にて, 不整形の腹部大動脈瘤と左総腸骨動脈瘤を認め, 動脈血培養でブ菌陽性の所見と併せ, 感染性腹部大動脈瘤および左総腸骨動脈瘤と診断した. 瘤の急速な増大傾向を認めたため, 準緊急的に手術を施行した. 瘤と周囲組織との強固な癒着により, 感染巣の除去は困難と判断し, 瘤空置および解剖学的バイパス術を施行した. 術後, 白血球数が正常化した後も, 熱発と赤沈, CRPの高値が続いたが, 抗生剤投与を約3か月間にわたり継続し, 熱発, 赤沈, CRPの高値は消退した.
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