日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
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32 巻, 4 号
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  • 古瀬 彰
    2003 年 32 巻 4 号 p. 179-189
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
  • 安田 慶秀
    2003 年 32 巻 4 号 p. 190-196
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
  • 同時手術,2期手術の選択
    田中 弘之, 成澤 隆, 森 貴信, 桝田 幹郎, 岸 大次郎, 鈴木 隆, 高場 利博
    2003 年 32 巻 4 号 p. 197-200
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    腹部大動脈瘤(AAA)患者に,非侵襲的検査で冠動脈病変(CAD)の評価を行った.また両疾患を合併する場合,それぞれの重症度によって同時手術,2期手術を選択した.平成8年から13年まで当科で施行したAAA待機手術36例を対象とした.薬物負荷心筋シンチにてCADがあると考えられた症例にのみ冠動脈造影(CAG)を施行した.8例に有意なCADが認められた.同時手術症例は4例で,すべて心拍動下冠動脈バイパス(OPCAB)を併施した.2期手術症例は4例で,冠動脈バイパス(CABG)1例,OPCAB1例,PTCA2例を先行した.AAA手術のみが施行されたのは28例であった.同群に心事故,心臓死はなかったが,2例の死亡例があった(出血1例,消化管穿孔1例).CAD合併8例で同時手術群の1例が筋腎代謝性症候群(MNMS)で死亡したが,ほかの7例は早期に社会復帰可能となった.非侵襲的検査を用いることで全例にCAGは必要ないと考えられた.CADを合併する場合,その重症度に合わせて同時手術,2期手術を選択するという方針は妥当であると考えられた.
  • 塚本 三重生, 進藤 正二, 尾花 正裕, 秋山 謙次, 塩野 元美, 根岸 七雄
    2003 年 32 巻 4 号 p. 201-205
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    1999年1月1日から2001年12月31日までに当科で経験した大動脈解離症例152例(Stanford A型77例,Stanford B型75例)のうち真性大動脈瘤の合併は25例(16.4%)にみられ,A型解離が10例(13.0%),B型解離が15例(20.0%)であった.発症年齢は71.4±9.8歳であり,真性大動脈瘤を合併した大動脈解離症例の手術では高齢であることを考慮して治療方針,術式を決定する必要があると考えられた.大腿動脈送血で体外循環を行うさいは,瘤を介して脳へ血液が送られることが多いため,人工心肺開始時に順行性送血に比べて送血を緩徐に行い,また心室細動となったのちは灌流圧を低下させるようにし,粥腫が脳血管へ流れ込むのを予防,さらに末梢側吻合後は送血分枝から送血することなどが重要であると思われた.また紡錘状大動脈瘤が解離のエントリーとなったのは152例中3例(2.0%)で,大動脈解離が大動脈瘤に接して存在した11例中2例の嚢状瘤は解離の進行を停止させたが,9例の紡錘状瘤は停止させることはなく,大動脈瘤は形態により解離に及ぼす作用が異なると考えられた.大動脈瘤と大動脈解離が異所性に併存する症例においても再解離により瘤内に解離が進入することがあり,大動脈解離を保存的に治療する場合であっても真性瘤の手術時期の決定は慎重に行うべきである.
  • 向井 資正, 八百 英樹, 宮本 魏, 山村 光弘, 田中 宏衞, 中川 隆司, 良本 政章, 稲井 理仁
    2003 年 32 巻 4 号 p. 206-208
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    1995年4月から2002年6月に施行した90歳以上の高齢者に対する腹部大動脈瘤(AAA)手術8例を対象とした.男性7例,女性1例.平均年齢90.8±1.4歳(90~94歳).緊急手術は4例でこのうち術前ショックを1例に認めた.術前の併存疾患は高血圧症4例,虚血性心疾患,播種性血管内凝固,胸膜炎をそれぞれ1例に認めた.AAAの最大径は69.5±16.6mm(48~10mm)であり,全例全腹部正中切開を行った.手術成績は全例軽快退院した.術後合併症は,術後譫妄2例,無気肺,イレウスを1例ずつ認めた.遠隔成績は,遠隔死亡5例で,死亡原因は肺炎2例,老衰,心不全,吻合部仮性瘤破裂がそれぞれ1例であった.遠隔生存率は1年,2年,3年がそれぞれ88±12%,63±17%,20±18%と不良であったが,期待生存率との差は少なかった.手術成績ならびに遠隔成績はほぼ良好であり90歳以上の高齢者であっても,積極的に手術を勧めるべきであると思われる
  • 塚本 三重生, 進藤 正二, 尾花 正裕, 秋山 謙次, 塩野 元美, 根岸 七雄
    2003 年 32 巻 4 号 p. 209-214
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    1999年1月1日から2001年12月31日に当科で治療を行った発症48時間以内のStanford A型急性大動脈解離症例を70歳未満の症例と70歳以上の症例に分け,外科治療と保存的治療の成績および死亡原因を比較検討した.総症例数は74例で年齢は33~88歳(66.5±11.9歳),男:女=39:35であった.真性大動脈瘤を70歳以上で21.1%に合併しており,70歳未満の5.6%と比較して有意に高率であった.治療成績は70歳未満では36例中27例(75.0%)が救命されたのに対して,70歳以上では38例中18例(47.4%)のみの救命であった.外科手術は62.2%に相当する46例に対して行われ,手術施行率は70歳未満で69.4%,70歳以上で55.3%で有意差はなく,手術死亡は70歳未満で25例中3例(手術死亡率12.0%)に対して,70歳以上では21例中9例(手術死亡率42.9%)と有意に高率であった.手術を行わなかった28例の死亡は70歳未満で11例中6例(死亡率54.5%),70歳以上では17例中10例(死亡率58.8%)と有意差はなく,いずれも50%をこえ高率であったがそのうち9例は手術準備中に破裂し死亡した症例であった.高齢者ではさまざまな合併症の危険性が高く手術成績が不良であることから慎重な治療方針の決定が重要であると考えられ,手術を行う場合は可及的速やかに手術を行い,短時間で手術を終えられるような術式の選択が重要である.
  • 伊藤 茂樹, 石丸 新, 清水 剛, 平山 哲三, 橋本 雅史, 首藤 裕, 末定 弘行
    2003 年 32 巻 4 号 p. 215-219
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    内胸動脈グラフト(ITA)の術後評価として,golden standardである血管造影法による形態学的評価と,心筋シンチグラフィー,ドップラーガイドワイヤーによる生理学的評価が行われている.しかしながら,グラフト血管の内膜性状を知ることは難しい.われわれは,冠動脈バイパス(CABG)術後1年の左内胸動脈グラフト(LITA)に対して,血管内超音波(IVUS)を用いて造影所見では得られないグラフト中枢側の内腔血管壁,プラークの性状や局在を観察し,プラークの定量評価を試みた.CABG術後1年の6例に対し,冠動脈造影とLITA造影ならびにIVUSによるLITAの観察を行った.LITAは全例造影上狭窄病変,石灰化など認めなかったが,IVUSで観察したところsoft plaqueが2例,hard plaqueが2例,mixed plaqueが2例において観察された.内胸動脈は動脈硬化性変化をきたしにくいという定説に反し,いずれも偏心性の動脈硬化性プラークが認められた.LITAの最小血管径は2.6±0.2mm,血管内腔面積は5.4±0.7mm2,プラーク面積率は37.1±5.9%であった.IVUSを用いることにより,造影所見では得られない血管壁構造を観察することが可能となり,プラークの性状,局在ならびに定量が可能となった.IVUSは剖検時以外得ることができないITAの組織学的性状を観察するのに有効な方法であると思われた.
  • 高橋 昌一, 貞弘 光章, 山谷 一広, 田中 茂穂
    2003 年 32 巻 4 号 p. 220-223
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    アレンテスト陰性で橈骨動脈を使用した冠動脈バイパス術が行われた患者に対して,サーモグラフィ検査による皮膚温の変化と臨床症状の関係を検討した.術後3ヵ月以上経過した連続10症例を対象とした.全例左側から橈骨動脈を採取した.皮膚温測定は,運動負荷前・後の2回測定した.2例のみ安静時動脈採取部位の冷感を訴え,ほか1例を含めた3例が負荷後採取部位に沿って疼痛を訴えた.負荷前後左右の手掌・前腕の尺骨側の温度差は認められなかった.これに対し橈骨動脈側の皮膚温は,右側に比べて左側の上昇が抑えられた.さらに3症例は,運動負荷後明らかに皮膚温の低下を認めた.動脈採取部位の循環障害に伴う症状を有する症例があり,今後グラフトの使用適応において検討が必要と考えられた.
  • 高橋 昌一, 高谷 俊一, 一関 一行, 畠山 正治, 大徳 和之, 久我 俊彦, 棟方 護, 福井 康三, 福田 幾夫
    2003 年 32 巻 4 号 p. 224-229
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    1996年から2002年3月までの約5年間(前期:1998年6月まで,後期:1998年7月以降),39例の腹部大動脈瘤に対してステントグラフト(SG)挿入による治療を行ってきた.そのうち80歳以上の症例は前期3人,後期8人で,感染性動脈瘤を2人認め,また併存症として後期に虚血性心疾患5例,COPD1例,胸部大動脈瘤合併4例などhigh risk症例が含まれていた.前期の3例が外科手術に移行したが,残り36例(92%)がSG留置に成功した.36例中6例にendoleakを認め,5例に腸骨動脈解離(全例ステント留置)を認めた.SG留置に成功しendoleakを認めない症例は,前期50%,後期89%であった.経過観察中に追加治療や手術を受けたのはそれぞれ3例と4例であった.在院死は前期に4例認め,遠隔死亡は3例認めた.全体の生存率は術後3年で82%であった.腹部大動脈瘤に対するSG治療は,high riskな症例に対して有効と考えられ,今後さらに治療成績は向上すると考えられた.
  • 藤井 弘通, 大橋 博和, 堤 泰史, 河合 隆寛, 月岡 俊英, 大中 正光
    2003 年 32 巻 4 号 p. 230-233
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    開心術,大動脈解離術後のmyonephropathic metabolic syndrome (MNMS)の合併は,その手術の予後を大きく左右する.そこで,当院において心大血管術後にMNMSを発症した7例につき検討した.対象は43歳から81歳の男性が5例,女性が2例で,疾患の内訳は心筋梗塞が4例,大動脈解離が3例(Stanford A/B=2/1)であった.心筋梗塞例ではIABP・PCPSが,大動脈解離例では解離による下肢虚血がMNMSの原因であり,当施設でのそれぞれの発症率は1.4%,4.2%であった.施行手術はCABGが4例,上行弓部大動脈人工血管置換術+CABGが2例,左腋窩-大腿動脈バイパス術1例であった.4例が死亡,うち3例は心筋梗塞例で,1例は大動脈解離発症18.5時間後に血行再建を行った症例であった.MNMSの対処法としてはIABP・PCPS抜去可能例では抜去し,下肢灌流法を1例に,血液透析濾過を5例に行った.IABP,PCPS抜去不能例では,人工血管を間置して挿入,送血管の部位を変更するなどの処置が必要である.大動脈解離においては合併症の1つとして考え,早急な血行再建または四肢切断を考慮すべきである.臨床症状と血液検査から術後早期にMNMSを察知し,血液透析濾過を早急に導入することが肝要である.
  • 坂本 滋, 松原 純一, 松原 寿昭, 永吉 靖弘, 西澤 永晃, 庄野 真次, 神野 正明, 武内 克憲, 野中 利通, 野口 康久
    2003 年 32 巻 4 号 p. 234-239
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    心筋電極法で左室および両室ペーシングを施行し,その有効性に関して検討した.2002年4月までに11症例に左室および両室ペーシングを施行した.診断は,完全房室ブロック2例,洞結節不全症候群1例,除脈性心房細動1例,ICM4例,DCM3例であった.植え込み方法は,全身麻酔下に左第5肋間小開胸法(7例)と開心術例に対しては胸骨正中切開法(4例)で施行した.使用したペースメーカーはDDDRとSSIRで両室ペーシングを行う場合は,ジェネレーターの心室側リードをYアダプターにて2極とし,両室に植え込んだ.臨床症状は,術前NYHA3.7±0.5度から術後1.5±0.7度に有意に改善した(p<0.001).心係数(CI)は,術前1.9±0.4l/min/m2から術後3.2±0.4l/min/m2(p<0.05),肺動脈楔入圧(PCWP)は,術前16.3±2.4mmHgから術後11.9±2.1mmHg(p<0.05)と有意に改善した.心内電位は,左心房電位3.3±1.4mV,左心房閾値(PW:0.45msec)1.0±0.7V,左室電位13.9±4.4mV,右室電位5.9±2.5mV,左室閾値(PW:0.45msec)1.0±0.4V,右室閾値(PW:0.45msec)0.9±0.5Vと左室電位が高値を示した.本方法は,現時点では心内膜電極法に比較すると全身麻酔のリスクはあるものの臨床症状と行動態の改善は良好であり,心不全患者のQOL向上に有効な方法と考えられた.
  • 古川 貢之, 桑原 正知, 中村 栄作, 松山 正和
    2003 年 32 巻 4 号 p. 240-242
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    Carpentier Edwards pericardial valve 19mm(A群)および21mm(B群)を使用した高齢者・狭小大動脈弁輪症例の術後血行動態をSt. Jude Medical hemodynamic plus 19mm(C群)を用いた症例と比較・検討した.A群10例,B群5例,C群13例を対象とし,人工弁の機能評価として心臓超音波検査を用い,左室-大動脈間最大圧較差を計測した.また追加検査が可能であったA群5例,B群4例,C群4例にドブタミン負荷試験を行い,その前後での最大圧較差を計測した.最大圧較差は,術前ではA群で80±18.5mmHg,B群で81.6±17.5mmHg,C群で87±36.3mmHgであった.術後いずれも改善したが,A群で24.2±7.3mmHg,B群で14.2±6.2mmHg,C群で26.7±19.0mmHgで統計学的有意差は認めなかった.ドブタミン負荷試験における負荷量はA群で8.2±1.6μg/kg/min,B群で7.2±2.0μg/kg/min,C群で7.7±1.5μg/kg/minであった.最大圧較差は,負荷前ではA群で18.1±4.3mmHg,B群で14.2±6.2mmHg,C群で20.9±5.7mmHgであり,負荷によりいずれも圧較差は増大したが,A群で41.1±15.0mmHg,B群で32.2±9.8mmHg,C群で46.8±14.4mmHgで統計学的有意差は認めなかった.CEP19mm,21mmの血行動態はHP19mmと比較しても満足できるものであり,CEP19mm,21mmは高齢者・狭小大動脈弁輪症例に有用であった.
  • 越田 嘉尚, 大橋 博和, 堤 泰史, 河合 隆寛, 藤井 弘通, 大中 正光
    2003 年 32 巻 4 号 p. 243-245
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は70歳男性.1982年に前壁中隔領域の急性心筋梗塞後の心室中隔穿孔に対してlinear法にてVSP閉鎖術を施行されている.軽快退院後外来経過観察中であった.術後19年目に心不全をきたし再入院.心カテーテル検査にて広範囲な左室心尖部および中隔側のasynergyを認めた.LVEF39%,LVEDV200mlであった.手術は体外循環,心室細動下にDor手術と左回旋枝への1枝バイパスを行った.術後経過は良好で,術後33日目に軽快退院した.前回の手術ではlinear法を用いて左室切開線を閉鎖した結果,遠隔期に広範囲akinesisを認めるにいたった.今回Dor手術を行い,術後著明な改善が認められた.このことは,linear法による瘤切除よりもDor手術の優位性を示すものと考えられた.
  • 中西 啓介, 和泉 裕一, 眞岸 克明, 光部 啓治郎, 久保田 宏
    2003 年 32 巻 4 号 p. 246-249
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は47歳男性.平成13年2月13日特発性食道破裂の診断で緊急食道破裂部縫合閉鎖が当院外科で施行された.術後腹部CTで腎動脈下大動脈から右総腸骨動脈までの解離が認められた.大動脈の最大径は3.0cm,右総腸骨動脈の最大径は2.5cmで偽腔は開存していた.手術は右後腹膜経路でアプローチ,腎動脈下で大動脈を遮断し瘤壁を切開したところ右前方に偽腔が存在しエントリーまたはりエントリーと思われる交通孔が3ヵ所存在した.腎動脈下大動脈から両側腸骨動脈までY型人工血管で置換を行った.術後経過は良好で術後15日目に退院した.本症例では食道破裂時以外に強い疼痛の既往がないことなどから特発性食道破裂と同時に腹部限局大動脈解離が発症した可能性が考えられた.
  • 高橋 昌一, 大徳 和之, 福井 康三, 畠山 正治, 久我 俊彦, 一関 一行, 棟方 護, 福田 幾夫
    2003 年 32 巻 4 号 p. 250-252
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    大動脈二尖弁による大動脈弁狭窄症と動脈管開存症に加えて,動脈管を中心とした鉛管様大動脈を合併した症例を経験したので報告する.症例は76歳の男性で,大動脈弁狭窄症の診断で紹介となった.大動脈造影でわずかに右心系が造影されるため,心エコーを行ったところ,動脈管開存症の診断を得た.またCT上,上行から弓部大動脈にかけてのみ全周性の重度の石灰化を認めた.ほかの部位には石灰化はほとんど認められなかった.手術は石灰化のため大動脈遮断が不可能であったため,大動脈遮断用バルーンを用いた低体温体外循環と脳分離体外循環を用いて,大動脈弁置換と動脈管閉鎖(経肺動脈)を行った.術後経過は良好であった.先天性の心奇形において,大動脈二尖弁に動脈管開存症を合併する可能性は高く,診断にさいして注意が必要であると考えられた.また成人の動脈管開存症で動脈管を中心とした石灰化が上行大動脈まで達する症例はまれと考えられた.
  • 田山 雅雄, 阪越 信雄, 安田 治正
    2003 年 32 巻 4 号 p. 253-255
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    仮性動脈瘤は破裂しやすいことから一般に早急な修復術が必要とされる.今回われわれは局所麻酔下にePTFE-covered stent graftを用いて腸骨仮性動脈瘤の治療を行った.症例は85歳男性,腹部大動脈瘤・総腸骨動脈瘤に対するY型人工血管置換術後6年目に,人工血管右脚と右内外腸骨動脈分岐部における吻合部に仮性動脈瘤を生じた.腎不全を合併した高齢者であり再手術は危険であると判断しendovascular interventionを計画した.局所麻酔下にParmatz stent®をImpra graft®でカバーしたstent graftを合成しこれを吻合部に留置した.術後1週目の造影CTで仮性動脈瘤の閉鎖を確認した.腸骨動脈領域の人工血管吻合部仮性動脈瘤に対するstent graftを用いたendovascular interventionの報告は少ないが,本手技はハイリスク症例にも施行しうる有効な治療法であり今後広く普及していくものと期待される.
  • 大澤 晋, 入江 博之, 森田 照正
    2003 年 32 巻 4 号 p. 256-259
    発行日: 2003/07/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    膝窩動脈外膜嚢腫は,血管の外膜に発生する嚢腫で,動脈内腔の狭窄および閉塞をきたす希な疾患である.症例は32歳男性.生来健康であったが,突然の左下肢脱力にて発症.血管造影検査などで,平滑な三日月状の陰影欠損が認められた.手術は,嚢腫切除,および人工血管をパッチとして用いた血管形成術を行った.術後1年後も再発の症状を認めず,良好な経過である.
  • 2003 年 32 巻 4 号 p. e1
    発行日: 2003年
    公開日: 2009/08/21
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