日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
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35 巻, 2 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 吉田 正人, 向原 伸彦, 大保 英文, 尾崎 喜就, 本多 祐, 金 賢一, 溝口 和博, 井上 武, 深瀬 圭吾, 三里 卓也, 志田 ...
    2006 年 35 巻 2 号 p. 61-65
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    2000年1月から2003年12月までの4年間に当院で施行した80歳以上の大動脈弁置換術(AVR)症例29例を高齢者群とし,その手術成績ならびに中期成績について検討した.使用した弁は,全例,生体弁(Carpentier-Edwards PERIMOUNT)であった.また,同時期に施行された75歳以下の生体弁によるAVR症例36例を対照群として,2群間で比較検討を行った.平均年齢は高齢者群で82.9歳,対照群で71.6歳であり,病変は高齢者群では大動脈弁狭窄(AS)症例が79%と対照群の53%に比較して有意に多く,ASの程度も高度であった.術前合併症としては,高齢者群では糖尿病と腎機能障害(Cr≧1.5)の頻度が有意に高く,緊急手術例も高齢者群24%,対照群6%と高齢者群で緊急手術の頻度が有意に高かった.術後合併症は,48時間以上の長期の人工呼吸器管理を要した症例と一時的にCHDFを必要とするような腎機能障害をきたした症例の頻度が高齢者群で有意に高かったが,病院死亡は高齢者群6.9%,対照群5.6%と差はなく,3年生存率も高齢者群89%,対照群78%と差は認めなかった.80歳以上の超高齢者に対するAVR症例では術前の重症度が高かったが,その手術成績ならびに遠隔成績は良好であり,外科的治療を積極的に考慮すべきであると考えられた.
  • 中村 喜次, 中野 清治, 中谷 速男, 五味 昭彦, 佐藤 敦彦, 杉本 晃一
    2006 年 35 巻 2 号 p. 66-71
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    人工心肺使用CABGにおいて糖尿病は重大なリスクファクターであると報告されているが,off-pump CABG(OPCAB)に対する糖尿病の影響は明らかではない.2001年10月から2005年3月までの間に施行した単独OPCAB 194例を対象とし,糖尿病(DM)群82例,非糖尿病(nonDM)群112例の手術成績,術後経過を比較検討した.両群の平均年齢に差を認めなかった.腎機能障害(22.0%vs.8.9%,p=0.011),脳梗塞の既往(25.6%vs.11.6%,p=0.012)の比率はDM群で有意に高かった.グラフトの選択を含めた手術方法は糖尿病の有無で変更しなかった.手術時間,輸血率,AC吻合,動脈グラフト,両側内胸動脈の使用率に差を認めなかったが,バイパス数は有意にDM群で多かった(3.0±0.9vs.2.7±0.9,p=0.042).両群とも病院死亡を認めなかった.術後挿管時間,ICU滞在時間に差はなかったが,術後在院日数は糖尿病患者で有意に長かった(16.2日vs.13.3日,p=0.0085).術後合併症発症率に差を認めなかった.表層の創感染を両群に1例ずつ認めたが,縦隔炎は認めなかった.平均20.8ヵ月の中期遠隔期の心臓関連死亡,心事故回避率に差はなかった.術後在院日数は軽度延長するもののOPCABにおける糖尿病の影響は少ないと思われた.
  • 宮城 直人, 大島 永久, 白井 俊純, 砂盛 誠
    2006 年 35 巻 2 号 p. 72-75
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,女性.57歳時に心房中隔欠損症でパッチ閉鎖術を施行している.2001年7月,僧帽弁閉鎖不全症(MR),三尖弁閉鎖不全症(TR)に対し僧帽弁置換術(CEP 29mm),三尖弁形成術(Cosgrove ring 32mm)を施行した.術後徐脈性心房細動どなりペースメーカーを挿入した.同年12月,人工弁感染性心内膜炎(PVE)を発症したが投薬治療で軽快した.2002年3月8日発熱,背部痛出現,Streptococous agalactiaeによるPVE,化膿性脊椎炎の診断で入院となった.抗生剤にて炎症反応が沈静化したのち,5月16日再僧帽弁置換術(CEP 27mm),ペースメーカーリード抜去,心筋電極植え込み術を施行した.1ヵ月のペニシリンG,ゲンタマイシン点滴静注ののち,経口薬に変更,術後第104病日に軽快退院した.感染性心内膜炎と化膿性脊椎炎の合併は,本邦では報告例は少ないが,念頭に入れ,診断・治療を行う必要がある.
  • 藤解 邦生, 洲鎌 盛一
    2006 年 35 巻 2 号 p. 76-80
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    静脈グラフトを用いた低侵襲冠動脈バイパス術は内胸動脈がグラフトとして不当である場合に有効とされるが,現在のところ静脈グラフトの開存率を含めた臨床成績は明らかにされていない.当施設で経験した大伏左静脈(SVG)を用いた左腋窩動脈-左前下行枝(LAD)バイパス術5例の臨床成績について検討した.年齢は平均72.6歳,患者背景は,心臓手術既往2例,脳血管障害1例,食道癌術後(胸骨後再建)1例,腎不全1例であった.術式は,SVGを腋窩動脈から胸腔を通しLADに吻合した.手術時間は平均186分であった.腎不全症例を除いた4例で術後冠動脈造影を施行しグラフト開存を確認,腎不全症例は経胸壁心臓超音波検査でグラフトとLADの血流を認め,5例とも退院した.術後平均10.4ヵ月の観察期間中,手術6ヵ月後にグラフト不全による死亡を1例認めた以外は冠動脈合併症なく経過した.グラフト経路が長いため圧迫などによる血栓形成の予防が重要と考えられた.鎖骨下パルスドプラ法によるグラフト血流評価を行ったところ,グラフト径(平均)4.73mm,収縮期最高血流速(平均)22.4cm/s,拡張期最高血流速(平均)22.1cm/sの結果であった.本法は経胸壁超音波検査によるグラフトの最高血流速を経時的に測定することでグラフト血流を評価することが可能であると考えた.ハイリスク症例に対する静脈グラフトを用いた低侵襲冠動脈バイパス術は有効であり,グラフト血流の評価に経胸壁超音波検査は有用であると考えられた.
  • 永谷 公一, 長嶺 進, 逢坂 研志, 垣畑 秀光
    2006 年 35 巻 2 号 p. 81-84
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,女性で,検診の胸部単純X線写真で異常を指摘され,精査となった.胸部CT検査で,冠動脈-肺動脈瘻を認め,異常血管の途中で径40mmの巨大な冠動脈瘤を形成していた.冠動脈造影検査では,右冠動脈および左冠動脈前下行枝より異常血管を介して冠動脈瘤が造影された.毎年検診を受けており,今回初めて,胸部単純X線写真で異常を指摘されたことから,急速に拡大してきたものと判断し手術を施行した.手術は人工心肺を使用して,心停止下に巨大冠動脈瘤切除と瘻孔閉鎖術を行った.病理所見では,冠動脈瘤壁に血管成分が欠如しており,仮性動脈瘤の診断であった.術後CTおよび冠動脈造影では冠動脈瘤は消失し,異常血管も認めなかった.術後の経過は良好で合併症なく術後2週間で退院となった.
  • 森嶌 淳友, 笹橋 望, 植山 浩二
    2006 年 35 巻 2 号 p. 85-88
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    左内胸動脈(LITA)開存の再冠動脈バイパス術(re-CABG)において左開胸下におけるoff-pump CABG (OPCAB)が有用であった1例を経験したので報告する.症例は62歳,男性.6年前に当院でCABGを施行した(LITA-LAD,Ao-SVG-OM1).術後冠動脈造影でAo-SVG-OM1のSVGは閉塞しており,外来で経過観察されていたが,今回不安定狭心症で再入院となった.冠動脈造影の結果,右冠動脈(RCA)#1が完全閉塞であった.左回旋枝(LCx)とRCAへ対する血行再建目的に再CABGを施行した.心拍動下に下行大動脈からOM1,OM2,4PLへ橈骨動脈をfree graftとしてsequentialに吻合した.術後経過は良好で26病日に退院した.再CABG例における正中切開ではグラフト損傷や剥離困難などriskが高いが,本症例では左開胸下OPCABが非常に有用であり,RCA#4PLまで含めた完全血行再建も可能で,術後早期グラフト閉塞も認めず,有効な手術手技と考えられた.
  • 三浦 崇, 丁 毅文, 佐藤 一樹, 押富 隆, 橋本 宇史, 丁 栄市
    2006 年 35 巻 2 号 p. 89-94
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.2004年10月にsevere ARによるうっ血性心不全で入院した.心不全改善後,手術治療を含めた精査加療の必要性を説明したが,本人は精査を希望せず,内服加療となった.経過中,完全右脚ブロック,左脚後枝ブロックから完全房室ブロックを合併し,本人の承諾を得て恒久的ペースメーカー埋め込み術(DDDモード)のみを施行した.2005年1月に心不全が再燃し,再入院となった.術前の心筋組織ドップラー検査で,中隔と後壁の非同期収縮を認めたため,手術は生体弁による大動脈弁置換術と両心室ペーシング埋め込み術を同時施行した.術後の心筋組織ドップラー検査では中隔と後壁の収縮時相のずれが改善(自己リズム時175msec→両心室ペーシング時58msec)し,拡張期相に認められた中隔の局所心筋収縮が収縮期相へ改善した.術後18日目に独歩退院し,術後5ヵ月でNYHA I度である.
  • 森本 徹, 伊藤 篤志, 神野 禎次, 多胡 護
    2006 年 35 巻 2 号 p. 95-97
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は馬蹄腎を伴った腹部大動脈瘤の65歳,女性.術前3D-CTで両側の総腸骨動脈から馬蹄腎峡部に流入する一対の異所性腎動脈を認めた.手術は腹部正中切開アプローチ,馬蹄腎峡部を切断せず,また,異所性腎動脈を温存してY字型人工血管置換術を行った.術後の3D-CTでは馬蹄腎に新たな梗塞所見はなく,腎機能障害も認めなかった.馬蹄腎を伴う腹部大動脈瘤の手術において3D-CTは異所性腎動脈の描出に有用であった.女性症例としては本邦3例目と考えられる.
  • 井上 有方, 望月 吉彦, 島村 吉衛, 鴛海 元博, 山田 靖之, 松下 恭, 枝 州浩, 三好 新一郎
    2006 年 35 巻 2 号 p. 98-101
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,男性.交通外傷にて肋骨多発骨折,血気胸で入院した.入院時より三尖弁閉鎖不全症および低酸素血症を認めた.肋骨プレート固定術・胸腔内血腫除去術を施行したが,低酸素血症は改善せず,在宅酸素療法導入となり退院した.受傷より3年10ヵ月後,肺換気血流シンチグラム検査を施行したところ,右左短絡の存在が指摘され精査目的に入院した.経食道心エコーで卵円孔を通る左右短絡が確認された.手術は卵円孔の直接閉鎖と人工弁置換術を施行した.卵円孔開存により低酸素血症をきたした外傷性三尖弁閉鎖不全症はきわめてまれであるので若干の文献的考察を加え報告する.
  • 佐藤 久, 樗木 等, 内藤 光三, 柚木 純二
    2006 年 35 巻 2 号 p. 102-105
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は45歳,女性.突然の左上下肢麻痺,左下腹部痛を主訴に来院した.両側卵巣腫瘍と,右頭頂葉,肝臓,脾臓,腎臓に梗塞巣を認めた.胸部X線写真で心拡大を認め,心エコー検査で大動脈弁に疣贅と,IV度の大動脈弁閉鎖不全を認めた.感染性心内膜炎と卵巣癌の疑いで準緊急で大動脈弁置換術と両側付属器切除術を施行した.大動脈弁の表面に疣贅を認めたが,弁尖はほぼ正常であった.病理所見において,疣贅はフィブリンが主体で炎症性細胞浸潤や細菌は認めなかった.術後経過は良好で,神経学的異常も改善し,術後13日目に軽快退院した.Trousseau症候群による非細菌性血栓性心内膜炎の症例は,非常にまれであり,若年者で悪性腫瘍を合併する脳梗塞患者においては,本症を考慮すべきである.
  • 片岡 浩海, 樗木 等, 内藤 光三, 柚木 純二, 上野 陽介
    2006 年 35 巻 2 号 p. 106-108
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    右胃大網動脈(RGEA)を使用した冠動脈バイパス術後胃癌発症症例に対して,胃切除術前の経皮的冠動脈形成術(PCI)が有効であったので報告する.症例は73歳,男性.平成15年2月に不安定狭心症に対してRGEAを使用した心拍動下冠動脈バイパス術を行った.平成16年4月,貧血の精査の結果,肝転移を伴うBormann III型の進行胃癌と診断された.胃癌からの出血による貧血の進行を認め,止血および将来の通過障害の予防を目的とした手術が予定された.術前施行した血管造影検査で左回旋枝(LCx)に吻合したRGEAの開存を確認した.RGEAグラフトの温存が困難であった場合に備えて同年5月PCIによりLCxの閉塞病変を拡張し,6日後に幽門側胃切除術+Roux-Y吻合術を行った.RGEAは術中の損傷のために結紮切離を余儀なくされたが,術後とくに合併症なく第19病日に退院した.
  • 尾頭 厚, 村田 升, 山本 登
    2006 年 35 巻 2 号 p. 109-113
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.1999年9月急性心筋梗塞と診断され,以後外来通院していた.2002年2月NYHA II度.2003年5月NYHA III度の心不全で入院した.2003年9月,10月にも同様の心不全で入退院をくり返していた.経過とともに心臓超音波検査にて拡張型心筋症様形態変化,僧帽弁閉鎖不全の悪化を認めた.弁輪拡大による僧帽弁逆流に対し僧帽弁形成術を施行した.手術時に心筋症を疑い心筋生検を施行,病理所見より心Fabry病と診断された.術後一時的に心不全の改善が得られたが,約4ヵ月後より再び心不全の悪化をきたし1年後に死亡した.Fabry病はα-galactosidase活性の欠損により生じる先天代謝異常であり,心肥大を主症状とする亜型である心Fabry病が比較的多く存在することが明らかになり近年注目されるようになった.心Fabry病は日常診療で目にしている左室肥大や弁膜症患者のなかにも存在する可能性があり,このような疾患も念頭におき診療にあたることが重要と思われた.
  • 小池 則匡, 金子 達夫, 江連 雅彦, 佐藤 泰史, 相崎 雅弘, 岡田 修一, 森下 靖雄
    2006 年 35 巻 2 号 p. 114-117
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,男性で,平成15年10月,労作時息切れのため受けた心臓超音波検査で大動脈弁閉鎖不全症が4年前に比べて進行していたため,手術目的で当科入院となった.小児期より数回の骨折歴あり,身長は146.0cm,体重は49.0kgで青色強膜を認めたので,骨形成不全症と診断されていた.血液・凝固系に明らかな異常はなかった.心臓超音波検査では,大動脈弁左冠尖の逸脱が逆流の主たる原因で,バルサルバ洞は軽度拡大していた.大動脈弁置換術(SJM25mm)を施行した.胸骨および軟部組織は通常に比べ脆弱な印象であった.大動脈弁は全体に菲薄化した弁尖で,病理組織学的所見(Elastica-Masson染色)では,弁尖および左室心筋で弾性線維肥厚が著明であった.術後経過は良好であった.骨形成不全症に心・血管疾患の合併することは希であるが,手術による死亡率が約30%と高い.術後21ヵ月目に心不全で死亡した例の報告もあり,今後注意深い観察を必要とする.
  • 青木 賢治, 平原 浩幸, 菅原 正明, 小熊 文昭
    2006 年 35 巻 2 号 p. 118-121
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性,大腿-大腿動脈交叉バイパス術(FFBG)8年後,突然の右足痛を主訴に当院を受診した.右下肢は微小塞栓症を呈していた.鼠径部の感染所見は症候的になかったが,CTで左側吻合部近傍にグラフト周囲液体貯留とグラフト血栓を認め,同部の感染を強く疑った.手術は感染グラフト摘出と感染創から離れた血行再建として右側は腋窩-浅大腿動脈バイパス,左側は外腸骨-浅大腿動脈バイパスを行った.術後経過は良好.摘出したePTFEグラフトの壁内には広範にグラム陽性球菌が侵入していた.グラフトと右足壊死巣内の血栓から黄色ブドウ球菌を検出した.細菌性末梢塞栓が初発症状のFFBG遠隔期グラフト感染はまれであり,報告した.
  • 体外循環に工夫を要した1例
    阪越 信雄, 山口 高広, 小林 靖彦
    2006 年 35 巻 2 号 p. 122-125
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は4年前に大動脈弁置換術を施行された67歳,男性.胸部CTで胸骨裏面に接する直径10cmの偽腔開存型解離性上行大動脈瘤を認めたため手術となった.胸骨再正中切開や瘤周囲剥離中の大出血とこれに関連した脳血流確保が問題であった.両側総頸動脈を頸部で露出して脳分離体外循環に備え,大腿動静脈からの部分体外循環下に胸骨再正中切開・縦隔内剥離を行った.胸骨再正中切開は問題なかったが,大動脈弓部や上行大動脈頭側が高度癒着のためにまったく剥離できなかった.血液温を23℃に冷却し,両側総頸動脈からの脳分離体外循環下に大動脈基部を切開した.解離のentryは大動脈弁置換術時の大動脈切開部右半分で,これをePTFEパッチで閉鎖した.MRSA肺炎などのため長期入院となったが,術後14ヵ月目の現在,元気に通院している.
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