開心術後の心臓リハビリテーション(CR)の早期導入の有用性について検討した.患者本人に早期CRの効果を理解してもらうため教育用ビデオを作製した.毎日ICUにて多職種参加の合同カンファレンスを開催し,術翌日よりCRを開始した.2004年6月から2007年9月の間に当施設で行った開心術症例179例(平均年齢:65.4歳,女性51例,CABG:91例,弁手術:53例,その他:35例)を対象とし,早期CR開始前をA群(
n=73),早期CR導入後をB群(
n=106)とし比較検討を行った.CR開始(日)はA群4.3 vs. B群1.5,50 m歩行達成(日)はA群5.4 vs. B群3.1とB群で有意に短縮(
p<0.01)した.B群症例の90%が自力歩行可能な状態でICUを退室した.回復期における歩行距離の達成期間(日)は,100 m:A群6.9 vs. B群4.9(
p<0.01),200 m:A群8.5 vs. B群6.5(
p<0.01),300 m:A群10.2 vs. B群8.1(
p<0.01),500 m:A群14.5 vs. B群11.9(
p<0.05)と全ての距離でB群の有意な短縮を認めた.早期CR施行中に致死性不整脈などの合併症もなく,平均在院日数(日)もA群:31.0からB群:25.9と有意に短縮(
p=0.03)した.退院時のアンケートで,B群症例の91%が早期CRは有用であったと回答した.開心術後CRの早期導入により,歩行能力が早期に回復し,在院日数の短縮につながった.早期CRを有効に行うには,術前の患者教育と多職種参加のカンファレンスが必須である.
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