冠状動脈バイパス術(CABG)のグラフト選択およびデザインについて検討した.1999年5月より,2007年3月までの,単独CABG(耐術3枝バイパス以上)505例を対象とした.平均追跡期間3.3年,追跡率98.2%であった.吻合部位別では,遠位右冠動脈において大伏在静脈使用群が右胃大網動脈使用群より心イベントが少ない傾向にあった.左回旋枝では,右胃大網動脈使用群が不良であった.心イベントの危険因子は,血液透析(risk ratio 5.28,
p<0.001),橈骨動脈グラフトの中枢吻合が右胃大網動脈(5.75,
p=0.02),人工心肺非使用(1.62,
p=0.03)であった.吻合部位別のグラフトは,右冠動脈末梢は橈骨動脈,大伏在静脈,左前下行枝は内胸動脈,左回旋枝は橈骨動脈,大伏在静脈,内胸動脈が適当であろう.右胃大網動脈についてはflow demandを考慮し,慎重に使用する必要がある.
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