経皮的補助循環は素早く治療開始が可能なことから一刻を争う心原性ショックに対しては,治療現場のfrontlineで使われている.Intra Aortic Balloon Pumping(IABP),Percutaneous Cardiopulmonary Support(PCPS)がおのおの年間2万例,7,000例に用いられてきたが,既存の補助循環装置では血行動態の改善と心筋の負荷軽減を同時に,かつ低侵襲に行うことはむずかしく,それらを実現できるデバイスとして左心室から大動脈へ直接血液を送り出す経皮的補助人工心臓Impellaが開発され,本邦でも2017年より保険適用となった.2021年5月の時点で202施設が補助人工心臓治療関連学会協議会インペラ部会によってインペラ認定施設として認定され,3,300例を超える症例に使われている.特に補助効果の高いImpella 5.0の装着・管理における心臓血管外科医の役割は大きく,手技や管理方法に精通することにより重症心不全急性増悪,急性心筋梗塞,劇症型心筋炎,開心術後に伴う心原性ショック症例の救命に寄与することが期待される.
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