日本心臓血管外科学会雑誌
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巻頭言
原著
  • 西村 善幸, 岩田 昭夫, 深谷 俊介, 須田 久雄
    2024 年 53 巻 6 号 p. 313-317
    発行日: 2024/11/15
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー

    [背景]アンチトロンビンIII(AT III)欠乏症は稀な疾患であるが,開心術ではヘパリンを使用するため厳重な周術期管理が必要である.今回われわれは,当科における周術期管理の妥当性について検討した.[対象と方法]2013年9月から2023年12月までに当院で施行した開心術416例のうち,AT III欠乏症は8例(1.92%)だった.先天性AT III欠乏症I型は3例で,II型が5例だった.AT III欠乏に対してAT III製剤を補充する必要があり,参考文献3のように術前はAT III活性を120%以上,術後は80%以上になるように補充した.[結果]すべての症例で,出血や血栓症などの周術期合併症はなく退院した.遠隔期では,透析患者の大動脈弁狭窄症で,生体弁による大動脈弁置換術後約9カ月後に再弁置換術を施行した.病理検査では弁尖の流出側に多量の血栓が生じ劣化が起きたものと考えられ,透析による異所性石灰化ではなかった.[結論]術前はAT III活性を120%以上,術後は80%以上になるように補充することが肝要だった.また,血栓症の既往のある患者は遠隔期も抗凝固薬投与の必要性が示唆された

症例報告 [成人心臓]
  • 大谷 篤司, 髙木 寿人
    2024 年 53 巻 6 号 p. 318-323
    発行日: 2024/11/15
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー
    電子付録

    症例は66歳,男性.1カ月前に化膿性脊椎炎の入院歴があった.呼吸困難を主訴に受診し,経胸壁心臓超音波検査で感染性心内膜炎による重度大動脈弁逆流を疑い,緊急手術を行った.大動脈弁は3尖で,弁尖が著しく破壊され疣贅が付着していた.弁尖を切除すると,左冠尖と無冠尖の交連直下(弁間線維三角)に空洞を認め,体外循環前の術中経食道心臓超音波検査を見直すと,同部位に奇異性運動をする左室憩室を認めていた.低左心機能で心停止時間を短縮するために,憩室は放置し大動脈弁を置換した.体外循環からは大動脈内バルーンパンピング(intra-aortic balloon pumping; IABP)補助下で離脱した.集中治療室帰室後に血圧が低下したため,経皮的心肺補助(percutaneous cardiopulmonary support: PCPS)を開始したが,術後5日目にPCPSから,6日目にIABPから離脱した.IABPから離脱した2時間後に心室細動,また術後9日目にtorsades de pointesとなったが,いずれも1分弱で洞調律に復した.抗菌薬の静注を6週間行う予定で,術後30日目現在退院へ向けリハビリテーション中である.

  • 井内 幹人, 那須 通寛, 田中 仁, 仲井 健朗, 香西 英孝
    2024 年 53 巻 6 号 p. 324-328
    発行日: 2024/11/15
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー

    症例は70歳,男性.61歳時,徐脈性心房細動のためscrew-in電極を用いてVVIペースメーカーが移植された.69歳時に電池交換されたが,1年後にペーシング不全のため新電極が追加され,古い電極はシリコンキャップで近位端を閉鎖後ポケット内に納められた.2カ月後に発熱のため当院総合診療科に入院した.感染所見を認めなかったが,心嚢液の増加が認められ,抗ARS抗体陽性で間質性肺炎の既往があったため,非特異的心膜炎としてコルヒチン,アスピリンを投与し,2週間で心嚢液は消失した.2カ月後にアスピリンの減量を始めたが,炎症反応の再燃があり,CTにて横隔膜との位置関係は不明であるが,右室下壁と肝臓の間に膿瘍を認め,右室穿通した旧電極が膿瘍腔と連続していた.胸骨正中切開,心停止下に上大静脈,右房,三尖弁,前乳頭筋と線維性に強固に癒着していた旧電極を剥離後,抜去した.膿瘍腔は横隔膜を越えておらず心嚢内に止まっており,膿瘍腔,ポケット内を洗浄後閉胸した.ポケット内,旧電極内腔,膿瘍腔に液貯留を認め,すべてよりCutibacteriumが検出されたが,感染の再燃を認めなかった.後方視的にはCutibacteriumによるポケット感染が電極内腔を伝播し,右室穿通し心表面脂肪組織にあったscrew-in電極遠位端周囲の瘢痕組織に膿瘍を形成した可能性が高いと考えられた.特異な感染伝播形態をとった稀な症例であったので報告する.

  • 小松 茂樹, 佐藤 宏, 田宮 幸彦, 深田 穣治
    2024 年 53 巻 6 号 p. 329-332
    発行日: 2024/11/15
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー
    電子付録

    症例は81歳男性.発症より1週間程度経過した心筋梗塞と診断.#7 100%と心室中隔穿孔(VSD)を認め,IABP挿入の上,同部位に対するPCIが施行された.心筋梗塞発症から2週間待機し,VSD閉鎖術を施行した.手術は右室を切開しアプローチ.VSDが中隔中央に位置し,広範に虚血壊死が及んでいた.壊死心筋の切除・トリミングの際に右室後乳頭筋の切除が必要となった.ダブルパッチ法で左右心室内に1枚ずつパッチを逢着した.右房閉鎖前に三尖弁を確認すると,後乳頭筋離断のため弁尖が完全に逸脱していたため,生体弁(Inspiris 27 mm)を,ホルダーを外して逆向きにして縫着,三尖弁置換を施行した.IABPサポート下で人工心肺離脱可能であった.術後7日目にIABP離脱した.術後エコーで遺残短絡がないことを確認した.全身状態安定化には時間を要したが,術後114日目に自宅退院となった.VSDに対する右室アプローチでのダブルパッチ法は,遺残短絡を残さない確実な術式であるが,虚血壊死心筋の切除の際には右室乳頭筋の離断も要する症例もあり,十分に留意する必要がある.

  • 加藤 大樹, 田中 陽介, 草木迫 充, 高橋 亮太, 陽川 孝樹, 日隈 知憲, 大保 英文, 脇山 英丘
    2024 年 53 巻 6 号 p. 333-338
    発行日: 2024/11/15
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー

    症例は74歳,男性.近医にてクリオグロブリン血症血管炎の経過観察中,非細菌性心内膜炎を発症し抗免疫療法を受けた.1年3カ月後に,呼吸管理を要する心不全を発症した.心エコー図検査で大動脈弁尖の構造的破壊を伴った重度大動脈弁閉鎖不全症,僧帽弁疣贅,重度三尖弁閉鎖不全症が認められた.準緊急的に大動脈弁置換術,僧帽弁疣贅切除術,三尖弁形成術を施行した.クリオグロブリンは寒冷で凝集する性質を持ち血管炎症状を呈する免疫グロブリンである.低体温下体外循環使用時に塞栓症や回路閉塞などの危険性が想定されたため,術直前に血漿交換療法を施行した.術中は目標直腸温33℃とした体外循環を施行し,心筋保護は投与温度30℃の微温血液心筋保護液を投与した.人工心肺使用中のトラブルや術後微小塞栓症の合併は認められず,術後23日目に退院となった.

  • 鉢呂 康平, 髙島 範之, 神谷 賢一, 榎本 匡秀, 近藤 康生, 宮下 史寛, 脇坂 穂高, 松岡 健太郎, 角 宏明, 鈴木 友彰
    2024 年 53 巻 6 号 p. 339-342
    発行日: 2024/11/15
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー

    症例1は78歳女性.前医で右冠動脈の閉塞を伴う急性心筋梗塞に対してPCI治療を施行された.翌日に後壁型心室中隔穿孔を発症し,手術加療目的に当院へ搬送された.当院でImpellaを挿入したところ,心拍出量は2.13から2.57へ増加し,Qp/Qsは2.92から1.78へと減少した.Impella挿入2日後に心室中隔穿孔閉鎖術を施行した.術後3日目にImpellaを抜去し,術後22日目に退院となった.症例2は89歳女性.前医で左前下行枝の閉塞を伴う急性心筋梗塞に対してPCI治療を施行された.3日後に前壁型心室中隔穿孔を発症し,手術加療目的に当院へ搬送された.当院でImpellaを挿入したところ,心拍出量は2.29から2.85へ増加したが,Qp/Qsは3.79から3.81に変化したのみであった.Impella挿入3日後に心室中隔穿孔閉鎖術を施行した.術後3日目にImpellaを抜去し,術後22日目に退院となった.2症例ともにImpella挿入後から手術までの間の循環動態は落ち着いていた.どちらの症例も術後残存シャントはみられなかった.急性心筋梗塞後心室中隔穿孔は急性心筋梗塞後の致命的合併症であるが,周術期にImpellaを使用して良好な結果を得た2症例を経験したため,文献的考察をふまえて報告する.

  • 和田 駿佑, 橋本 孝司, 梶山 洸, 田中 敬三
    2024 年 53 巻 6 号 p. 343-347
    発行日: 2024/11/15
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー

    僧帽弁形成術(MVP)後の抗凝固薬としてはワルファリンが一般的に使用されている.ワルファリンの効果は個人差が大きく,時には大量に内服させてもPT-INRの至適な延長が得られない場合がある.本症例ではワルファリン耐性によってワルファリン9 mgとブコローム300 mgを内服させてもPT-INRが目標値まで延長せず,代用薬として直接経口抗凝固薬(DOAC)を内服させた.症例は57歳男性で,易疲労感を自覚するようになり,心雑音を聴取するため医療機関を受診した.経胸壁心エコーでは左室駆出率(LVEF)75%で,僧帽弁前尖の肥厚と後尖の逸脱による重症僧帽弁逆流(MR)を認めた.Barlow症候群とそれに伴う僧帽弁逆流症と診断し,低侵襲僧帽弁形成術(MICS-MVP)を施行した.術後の心エコーではMRは認めず,弁の可動性は良好,有効弁口面積は2.0 cm2,血流通過速度は0.9 m/秒と改善が見られた.術翌日からワルファリン内服を開始したが,PT-INR延長が得られずワルファリン量を徐々に増量した.ワルファリン6 mgを内服してもPT-INRは1未満であり,ブコロームの併用を開始した.ワルファリン9 mgとブコローム300 mgの内服を行ってもPT-INRは1.27であった.ワルファリン耐性と診断し,ワルファリン内服は中止しダビガトラン300 mg分2を内服のうえで退院とした.塞栓症や出血性合併症を認めず,術後3カ月が経過した時点で,ダビガトランの内服を終了した.遺伝子多型によるワルファリン耐性が原因でPT-INRの延長が得られない場合があり,そのような場合は僧帽弁形成術後の抗凝固薬としてDOACが使用できる可能性がある.

症例報告 [大血管]
  • 上田 遼馬, 坪田 秀樹, 本田 正典, 工藤 雅文, 岡林 均
    2024 年 53 巻 6 号 p. 348-353
    発行日: 2024/11/15
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー

    Endologix社の腹部大動脈ステントグラフト(EVAR)システムAFXは,内骨格ステント構造を持つ独自のユニボディデバイスであり,腹部大動脈分岐部が狭小化した腹部大動脈瘤(AAA)の治療に適している.しかしType 3 Endoleak (T3EL)のリスクが指摘されており,中枢側にカフデバイスを使用する際は十分オーバーラッピング長を取るように推奨されている.症例は81歳男性.45 mmの腹部大動脈瘤に対してAFX2メインボディとカフを使用し,オーバーラッピング推奨長を遵守したEVARを施行した.しかし術後に瘤径が徐々に拡大し,術後4年後にメインボディとカフが完全に分離(uncoupling)した.経過CTを振り返るとメインボディとカフがおのおの尾側と頭側方向へマイグレーションしType 3a Endoleak (T3aEL) が生じていた可能性が考えられた.両者をbridgingするように追加デバイスを留置し,問題なく自宅退院した.AFXデバイスのメインボディとカフを使用した症例では,オーバーラッピング長さを十分確保した場合でも経過でsideways displacementが生じる可能性があるため慎重なフォローアップが必要である.特に3D再構築画像を用いたデバイスの変形観察は有用である.

  • 大橋 伸朗, 小松 大介, 茅野 周治, 御子柴 透, 田中 晴城, 市村 創, 五味渕 俊仁, 福家 愛, 和田 有子, 瀬戸 達一郎
    2024 年 53 巻 6 号 p. 354-357
    発行日: 2024/11/15
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー

    動脈瘤破裂による血腫が周囲組織に被覆され,進行性の出血がないchronic contained ruptureでは,動脈瘤破裂の典型的な症状を欠き,診断に時間を要することがある.症例は78歳,男性.右下肢痛を呈し整形外科にて精査したところ,腹部大動脈瘤chronic contained ruptureと診断された.画像所見では腰椎の融解を認め感染も否定できないため,リファンピシンを準備し準緊急で人工血管置換術を施行した.術後も右下肢の神経症状は改善せず,整形外科にて椎体固定術を行った.文献的考察を加えて報告する.

症例報告 [末梢血管]
  • 佐藤 大樹, 久米 悠太, 盆子原 幸宏
    2024 年 53 巻 6 号 p. 358-361
    発行日: 2024/11/15
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー

    症例は65歳女性.背部痛を主訴に近医で診断された両側水腎症のため,当院泌尿器科へ紹介.CTで両側内腸骨動脈瘤(右:30 mm,左:26 mm)を認め,瘤による尿管圧迫が水腎症の原因であった.まずは両側尿管ステント留置を行い,水腎症の改善を得たのち,全身精査を行った上で開腹による腹部大動脈人工血管置換術,両側内腸骨動脈瘤切除術を施行した.周術期合併症なく遠隔期に尿管ステントも抜去されている.今回両側同時に水腎症を来した両側内腸骨動脈瘤に対して,外科的加療を要した症例を経験したため報告する.

各分野の進捗状況(2023年)
第54回日本心臓血管外科学会学術総会 卒後教育セミナー
  • 本宮 久之, 小田 晋一郎
    2024 年 53 巻 6 号 p. i-vii
    発行日: 2024/11/15
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー

    ファロー四徴症の修復術は小児心臓血管外科医生涯育成プログラムにおいてAdvanced-1の術式群に該当しており,まさに小児心臓血管外科修練医にとって登竜門とも言える手術である.当術式の要点は,心室中隔欠損孔の完全閉鎖と右室流出路狭窄の十分な解除である.いずれにおいても,心内の解剖をまず良く理解しておくことが必要不可欠である.また,患者の血行動態を良く理解し,適切な治療戦略をとることも重要である.

  • 斎藤 俊輔
    2024 年 53 巻 6 号 p. viii-xiv
    発行日: 2024/11/15
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー

    薬物療法では効果が不十分な重症心不全,心原性ショックの患者を救命するためには,一時的あるいは恒常的に心臓のポンプ作用の補助または代行を機械的に行う補助循環治療が必要になる.植込型補助人工心臓の登場により,わが国における重症心不全に対する治療戦略は大きく変わった.しかし急性の心不全・心原性ショックに対する初期治療としてのIABP(intraaortic balloon pumping),ECMO(extracorporeal membrane oxygenation, もしくはpercutaneous cardiopulmonary support[PCPS])の重要性は変わっておらず,今後も変わらないと思われる.2017年より,わが国においても循環補助用心内留置型ポンプカテーテルのIMPELLAの臨床使用が可能となり,これにより急性心不全に対する補助循環治療戦略もさらなる広がりをみせている.ECMOおよびIMPELLAの周術期管理について概説する.

  • 清家 愛幹
    2024 年 53 巻 6 号 p. xv-xx
    発行日: 2024/11/15
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー
  • 駒井 宏好
    2024 年 53 巻 6 号 p. xxi-xxvi
    発行日: 2024/11/15
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー

    昨今の研究より,包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)の治療における外科的バイパス術の重要性が増してきている.特に下腿病変に対するdistal bypassは,血管外科医として習得しておくべき非常に重要な手技となっている.Distal bypassの成功には,正確な手術手技は当然のことながら,それ以上にCLTI治療に対するエビデンスに基づく長期的な治療戦略の構築が重要となる.病変の状況,患者のリスク,そして術者の技量を総合的に判断して適応を決め,静脈を可能なかぎり有効に使用した愛護的な吻合技術,そして周術期の管理の工夫や長期遠隔期までの有効なフォローアップが相まってはじめて良好な成績を収められるものである.Distal bypassは術者の弛まぬ向上心と救肢への情熱に裏打ちされる手技であると言って過言はない.

  • 小暮 智仁
    2024 年 53 巻 6 号 p. xxvii-xxxi
    発行日: 2024/11/15
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー

    経カテーテル肺動脈弁留置術(Transcatheter Pulmonary Valve Implantation:TPVI)は,ファロー四徴症を中心とした右室流出路形成術後の患者の遠隔期肺動脈弁狭窄,閉鎖不全症に対して,繰り返す開胸手術を回避する目的で開発された.ファロー四徴症は代表的なチアノーゼ心疾患であり,心内修復術の治療成績向上に伴い多くの患者が成人期に達しているが,術後遠隔期には続発症,遺残症が問題になる.特に肺動脈弁閉鎖不全症は多くの症例に合併し,心不全や不整脈,突然死の原因となる.しかし,術後長期にわたって無症候で経過し,また幼少期からの生活制限により症状を感じにくい背景もあり,症状出現時には右心機能の悪化が重度になっている例を経験するため,適切なタイミングでの治療介入が肝要である.現在までの標準治療は外科的肺動脈弁置換術だが,低侵襲で,繰り返す開胸の負担を軽減できる経カテーテル肺動脈弁留置術が日本でも承認になり,新たな治療選択肢になった.現在国内では導管置換術後と生体弁置換術後の症例に対してはSAPIEN3弁(エドワーズライフサイエンス社)が,自己組織温存例に対してはHarmony弁(メドトロニック社)が適応となっている.適応患者が多いHarmony弁は国内29施設で治療可能となり,2024年8月現在までに210例以上に留置され良好な成績を納めている.今後,経カテーテル肺動脈弁留置術のさらなる普及により多くの患者に最適な時期の治療介入が進むことが望まれる.

  • 柴田 利彦
    2024 年 53 巻 6 号 p. xxxii-xxxv
    発行日: 2024/11/15
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー

    ループテクニック法は僧帽弁形成術での人工腱索再建法の一種であり,ライプチヒのMohr先生が開発した方法である.術中に計測した人工腱索長を参考に,ループの長さを決定する.計測した長さのループセットをePTFE糸とプレジットを用いて作成する.ループセットを乳頭筋に固定し,各ループを弁尖の逸脱部位に縫着する.この方法の特色は,前尖,後尖の逸脱にも同じ方法で行うことができる点である.正中切開手術でも右小開胸手術でも応用でき,最近ではロボット支援手術にも用いられている.ループテクニック法の考え方およびキーポイントを説明する.

U-40 企画コラム
  • 山崎 友也, 高木 大地, 新妻 健, 長沼 政亮, 武田 美貴, 今村 優紀, 田林 東, 石田 圭一, 石澤 愛, 小渡 亮介
    2024 年 53 巻 6 号 p. 6-U1-6-U5
    発行日: 2024/11/15
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー

    心臓血管外科でも新専門医制度により,専門医資格を早期に取得することが可能となった.最短で取得するためには制度の理解と準備が不可欠である.今回は専門医申請において特に重要となる学術活動,手術症例数,Off the Job Training(OJT)に注目した.特にOJTに関しては2024年6月から経験時間に係数が設けられ,学会主催のOJTでは実施時間の2倍で申請が可能となった.なお,今まで自由であった証明書のフォーマットは所定のものを利用する必要があり,周知が必要と思われた.専攻医が効率よく専門医申請ができるようまとめたため報告する.

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