日本栄養士会雑誌
Online ISSN : 2185-6877
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53 巻, 12 号
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  • 今井 佐恵子, 松田 美久子, 東川 千佳子, 大藪 加代子, 梶山 静夫
    2010 年 53 巻 12 号 p. 1084-1091
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル フリー
    外来2型糖尿病患者を対象に、食後の血糖上昇を抑制するため、食品の摂取順序に重点を置き、野菜から摂取する方法を取り入れた独自の栄養指導が、長期の血糖コントロールにどのような影響を与えるかを検証するため、2.5年間のHbA1cをレトロスペクティブに調べた。管理栄養士が栄養指導を行った196名と栄養指導を実施していない非介入の対照群137名の計333名(男性161名、女性172名、HbA1c8.0±1.7%:平均±標準偏差)を対象とし、栄養指導群には野菜を最初に摂取する食事療法および主食における低GI食の摂取、ウォーキングなど簡単に実践できる生活指導を4週間ごとに実施した。介入後、栄養指導群の摂取エネルギー、炭水化物、脂質、菓子類摂取量は減少し、栄養指導群のHbA1cは8.3%から7.1%へ著明に改善したが、対照群は変化が見られなかった。糖尿病の早期の食事介入方法として、本研究のような「食べる順番」を重視した教育方法が有効であると考える。
  • 矢島 恵美子
    2010 年 53 巻 12 号 p. 1092-1101
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、高齢者介護施設で行う栄養教室が、施設周辺住民の栄養・食生活改善につながり、地域へ波及し、高齢者介護施設との良好な関係構築のきっかけになることを明らかにすることである。対象は、高齢者介護施設周辺の全1 , 291 世帯から募集した女性33 名(平均BMI 23 kg/m2)である。本研究では、「学習参加型」の教室を計4 回実施した。評価は、開催前と終了時、開催前と終了2 カ月後を比較検討した。栄養食生活改善では、緑黄色野菜、その他の野菜、果物の摂取頻度が有意に増え、終了2 カ月後にもこれらの摂取頻度が維持された。スキル・態度の変化では、野菜摂取、脂肪を控える料理を選ぶに有意な改善が認められ、終了2 カ月後にもこれらの改善が維持された。食生活の満足度においても、「楽しさ」が終了時および終了2 カ月後とも増え、体重計測の習慣も終了時および終了2 カ月後とも継続されており、生活の質(QOL)の向上にもつながったと考えられた。また、地域での波及効果では、家族との会話や地域の人や友人との会話が増加した。さらに、高齢者介護施設との関係では、高齢者介護施設を気軽に立ち寄れる場所と思う人が増え、良好な関係構築のきっかけともなった。以上の結果から、高齢者介護施設で行う栄養教室は、高齢者介護施設周辺住民の栄養・食生活改善につながるばかりでなく、地域と高齢者介護施設との良好な関係構築のきっかけになることが推察された。
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