日本栄養士会雑誌
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53 巻, 9 号
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  • 田村 須美子, 窪津 悌子, 島田 幸男, 岩澤 佳則, 佐藤 智子, 細川 弥生, 須藤 節子, 中島 康行, 梶本 雅俊
    2010 年 53 巻 9 号 p. 838-845
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル フリー
    誤嚥性肺炎の繰り返しから、主な栄養補給方法が経管栄養になる利用者が、さがみ緑風園では、年々増えてきた。そこで、誤嚥性肺炎を予防し、1 日でも長く口から食事を摂り、人間らしく生きていけるように、チームでケアシステムについて検討した。 嚥下が不自由な方に普通食をただ細かくきざんだだけの食事はかえって誤嚥を誘引するということが報告されている1,2)。そこで開園以来40 年間続けてきたきざみ食を廃止し“形そのままソフト食"(以下ソフト食)の導入を考えた。平成20 年5 月栄養・看護・介護担当が中心となってソフト食プロジェクトチームを立ち上げその効果を評価した。 1)調理師は、見た目は限りなく普通食に近いが舌や歯茎でつぶせる硬さの食事“ソフト食"を工夫・開発し、ソフト食調理マニュアルを作成、すべての調理師がソフト食を作れるようになった。 2)介護職員は、食事介助の際、ソフト食を、本人に見せた後でその日の体調に合わせ、はさみやフォークを使って切ったりつぶしたりして大きさを調整し、食事介助を行い、むせこみの防止と見た目の良さで利用者のQOLが向上した。 3)ソフト食プロジェクトチームの指導により、調理形態や食事介助の工夫、利用者への食教育に取り組むことにより、飲み込みに問題のあった利用者の割合が全体の58 . 3% から32 . 8% に減った。 4)平成20 年4 月、副食を一品提供することから始めソフト食の数を増加させた。平成20 年10 月からソフト食が必要な者には全面実施となった。試行期間中の平成20 年6 月と全面実施後の平成21 年3 月にソフト食を食べている利用者と介護職に「利用者別ソフト食アンケート」、また平成20 年11 月には利用者全員に「食事の満足度調査」を実施し良好な結果を得た。 今回、多職種がそれぞれの視点から見た意見を持ってディスカッションできたことや健康セミナーの開催が良い結果につながった。また、いろいろな人がかかわることで栄養士にとっても良い刺激になり、口から食べることの大切さとプロジェクトづくりの重要性を再確認できた。
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